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表題作時間巡る恋

ヴィクター・アシュワース,28歳,娯楽小説家
篠原斉希,23歳,土木工学科の大学院生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学院生の斉希は、ゼミの一環で
トンネルを奥まで進むうちに、
気づけば見知らぬ世界に迷い込んでいた。
19世紀のドイツのようなその場所で、
斉希は文筆家のヴィクターの
世話になることに。
知的で美しく上流階級でも
一目置かれる存在のヴィクターは、
1人異世界で心細く過ごす斉希に寄り添い、
力になってくれる。
そんなヴィクターが殺人事件の容疑者となり、
斉希は彼の謎めいた一面を知る。
誰も知り合いがいないこの世界で、
ヴィクターだけが斉希のすべてで、
彼を信じたいと強く願うが…?

作品情報

作品名
時間巡る恋
著者
遠野春日 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784799733165
3.7

(12)

(4)

萌々

(4)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
43
評価数
12
平均
3.7 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数4

あぁ、タイムスリップものを読んでいるんだった

タイムスリップものには馴染みがないので、読む前は自分の好みに合うかどうか心配ではあった。

主人公の斉希はふとしたはずみで19世紀のドイツのような公国にタイムスリップしたが、運よく出逢った小説家のヴィクターに状況を理解してもらい、面倒を見てもらう事となる。

ヴィクターは容姿も立ち振る舞いも非の打ちどころない紳士だが、周りの社交界仲間から見たら謎が多く、彼は何者?って部分で読むのを引っ張っていく。
そんな一方で、斉希の世話を焼いていても打ち解けている訳ではないと思わせながら、急速に心惹かれていき平常心を保てない恋する男の内面も垣間見せてくれた。

ヴィクターと斉希の恋物語あり、殺人事件勃発のサスペンスありって話に浸っている中で、クライマックスからの急展開には少々面食らったが、そもそもタイムスリップものを読んでいるんだってのを思い出した。
ただ、無事に元居た現代に戻れるのか?って点はクリアできていたが、何故斉希がその時代や場所へ引き寄せられたのか?って疑問点は解らなかった。

てっきり、斉希がヴィクターの過去の想い人・ミツヤと何か関わりがあると想像していたんだけどな…。
思わせぶりにミツヤの事が書かれている割には話の核心に触れるって訳では無かったので、彼のエピソードに触れた意図は何だったんだ?って引っ掛かりは残った。

3

がちのタイムトラベルもの

遠野先生の新作。関連作なし、書下ろし。がちのタイムトラベルものでした。
このテーマ読むの久しぶりな気がする。
あえてそう書かれているのか、たんたんたんたん・・・と
進んでいってしまって今一つ盛り上がれず。
最後はよかったので萌でお願いします。
甘ーいシーンは最後の方までほとんどなし。
それほど切羽詰まってもいないけど、
どうなるどうなるといった読みものでした。
どんな地雷要素も無かったように思います。

お話は 土木工学を学んでいる受けさんがフィールドワーク中に
廃線トンネル内部でいきなりタイムスリップするところからstart。
時間のみならず空間も移動し、19世紀っぽいドイツ語圏農村に出現。
(受けはドイツ語しゃべれるらしく、言語はOK)

農村からちょっと都市部に出て行って、
なんとか保護者になってくれたのが攻めさん。
流行小説家でサロンの人気者、はちみつ色の髪、青い瞳のイケメンさん。
冷静沈着、べらべらしゃべるタイプではなく ちょっと威圧感ありな印象。
傲慢ちゃんという印象ではないですが、何考えてるんか分からん!と
いったところ。

受けさんは弱っちい感じではなく、何とかしようと頑張るタイプ。
かつ美人な鈍感さん。
変な事話して病院ほりこまれても困るし と大人しく攻めさんの庇護下へ。
で、お話が進みます。

せつないシーンもあるのですが、なぜか攻め受けどっちにも感情移入せず、
読了。
攻め受け両方のキャラが、冷静なキャラだからかも と思いました。
クールトーンなお話がお好きな方にはよいかも です。

忘れちゃいけない挿絵話。
yoco先生のカラー口絵が秀逸。受けさんのうるうる瞳のドアップ。
今にもあふれてきそうなキレイな泪にきゅーん。
しかしyoco先生、本当に 空間の切り取り方?構図?が本当に素敵。
余白?残りの空間?がすごく効いているなあと毎回思います。
余韻のある絵 です。すごいです。

5

物分かりの良すぎる斉希に、もっと我儘いって!と言いたくなる!

タイトルから察せられる通りのタイムスリップもの。
トントン拍子にお話が進み、
飛ばされた過去に馴染みすぎな斉希にそんなものかい?と思いつつ、
助けたヴィクターもすんなり受け入れ、これはと思えば……うんうんうん。

題材的には好きな方のお話で、面白いなとは思うのですが、
展開が淡々としていて、こういうSFチックなお話につきものの
ドキドキとかハラハラの展開に欠けていた気が。
事件的にも恋愛的にも。

斉希が察しが良すぎて、更に物分かりが良すぎて我儘を言わないので、
淡々さに拍車がかかっている気が。
ヴィクターも訳あってではありますが、
自分の感情を押し殺している感があるので、
更に淡々さが増している感が。

ラストもやはり淡々としていて、イマイチ盛り上がりに欠けるのが残念。
でも気持ちいいラストではありますv

yocoさんの表紙が素敵v
遠野作品でなくても手に取っていたかもv

前に書いた通り、こういう設定好きなのでもっと書いて頂きたい。
スピンオフ的な!
それを期待しつつ「萌×1」。

1

久々の遠野作品でしたが期待しすぎましたか…

久しぶりの遠野先生のシリーズものでない新しい作品だなと思いながら手にしました。

19世紀にタイムスリップしてしまった大学生が保護してくれた青年と恋に落ちる。
筒井康隆の書く小説のようでした。
人間関係の絡みや殺人事件が起こったりと、タイムスリップものだったことを忘れてしまうような内容でその上ラブの甘さは控えめでした。

話題の小説家でイケメンの有名人のヴィクターが、なんだか一筋縄ではいかないというか裏の顔があるというか謎がちらりと垣間見える怪しい人です。
悪い人じゃ無いけどなんかあるなあと思わせる描写に、もしやと想像しているとああやっぱりという結末が予想通り過ぎてちょっとつまらなかったです。

別の時代を生きる人、あるいは身分差ということで恋してはけないと想いをセーブする斉希は切なかったです。

ヴィクターの過去の亡き恋人のエピソードは余計だと思う。
昔の恋人に嫉妬したり、自分に似た人だと知って身代わりかと悩むといことは一切なく斉希は存在を知ることもないです。
部下や上司からもうふっ切ったら?と言われるくらいでとってつけたようなヴィクターの過去設定はいらなかったと思う。

もう別れるしかない二度と会えないのかと悲壮感いっぱいでしたが、ハッピーな結末によかったとは思いつつも、あっさり都合の良い展開にもう一捻り欲しいところでした。

3

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