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fake fur
この本を読む前に、『スリークオーター』と『感情回路』は絶対に読んでてもらいたいなァと思う。
バラバラの二つの物語を優しく結びつけてくれるお話です。
とくに『感情回路』でマキの過去を知っておくのとおかないのとでは、この本の読後感がまったく違ったものになるんじゃないかなと思います。
『スリークオーター』の主人公、山下の過去と現在。
相手役の深沢が焼きもちをきっかけに自分の感情を自覚するシーンはシビレタ。
そして『感情回路』のマキの現在。
無自覚ながら、山下がいい起爆剤の役目を果たしてました。二人とも泣いてたんやん…私も泣いちゃったよ。
この作品単体の評価はしにくいんですが、あわせ技一本で神です。
実は「スリークォーター」「フェイクファー」「感情回路」は三部作的な作品。
「スリークォーター」が1作目なんだけど、次の2作はどちらを先に読むかはなんとも言えない。
とりあえず発行年順にレビューしてみようと思うが、「マキ」という少年が非常に興味深くて、彼を中心に読み込むのなら「感情回路」を先に読むほうがいいような気もする。
「R」
山下の初恋のような何か。
中学生時代。仲良しの久保が自分に何も言わずに北海道の高校を受験する。
見捨てられたような気分…
同時に久保は山下の恋心を知っている。そしてそれを正しく受け止めている。久保だって山下の事は好きなんだ。恋愛じゃなくても。軽いキスをするくらいなら。
「フェイクファー」
同性愛サークルに繋がろうとする山下。
そこで出会ったレニ、という男のエピソード。
このレニがこの後大きな存在感を示すようになるわけで、そこがこの3作品のキモにもなりえる。
レニに誘われて家についていく山下。
レニの部屋には男の子が住んでいる。それが「マキ」で、ここが山下とレニxマキの交差。
山下を連れ込んだレニ。それを見て出て行ったマキ。そんなマキを追いかけるレニ。
「恋の終わりからはじまる」
深沢x山下。
深沢と山下の想いは違うんだけど、2人は想いを言葉にした。
こういう一歩で進んでいける。
「カンジョウカイロ」
レニの部屋にいたマキの話。
ここではマキは行く所が無くて、レニに身体で置いてもらうような存在。
マキは自分が誰かの代わり、という事を受け止めているような少年。
不思議な事に、それでも誰でもいいわけではない。ここからマキの不思議な存在感が増してくる。
「感情回路」と一緒に読むべし。
それぞれのお話が、『感情回路』、『スリークオーター』と繋がっていますので
こちらの作品を読む前に、前述の2作品を読まれたほうが良いかもしれません。
山下15歳の初恋や、『スリークオーター』の深沢×山下の後日談、
『感情回路』のレニ×マキの後日談などが収録されています。
このシリーズは、ひととおり落ち着くべきところに落ち着いたかな…という印象。
山下もマキも良かったねーと、感慨深い気持ちになりました。
マキを追いかけるレニの後ろ姿に、希望を見出した山下。
『友情だろうと恋だろうと、同じ感情を他の奴に持つな。』と山下に言い切った深沢。
この2つのシーンは、胸にぐっときました。
やまがたさとみ先生、やっぱりイイです。
先に感情回路読んだ方が、という時系列ではありますが、向こうに書き下ろしでレニ×マキの出会い編があり、どっちかというとそれはこっちのフェイクファーを読んだ後の方が感慨深い気がします。
やまがたさんは、ステディーいるけど体は違う人と繋がってるとか、好きなのに体だけのふりをしているr、という設定が多い。
レニ×マキも、体だけの感じ。レニは、初恋が実らず傷心の山下を連れ込み、優しく体を開く役。しかし、同居しているマキとは、何度か体を重ねているくせに、マキがいるにも関わらず、山下と家でしたりする。
しかし、ある日山下を連れて帰ったら、マキは出て行ったあとで、それを見たレニは後を追う。
つまり、好きっていうつもりになったってことで、それを見た山下も、男同士の恋愛に希望を持つ。
一方、山下の初恋(同級生)も描かれるが、今になって北海道から便りが来て、それに嫉妬する深沢。
こちらもちゃんと恋愛になったようでよかったね。