表題作溺れる夏の庭

宗方鉄真,貿易商の嫡男で後に当主
弓削晶,執事

その他の収録作品

  • ひよこと執事と薔薇の庭
  • 執事の夏休み
  • まだ見ぬ義弟へ
  • 判定
  • 猫を預かる
  • 百花の王
  • 終の箱庭

あらすじ

「さよならトロイメライ」商業誌番外編同人誌。

目次
ひよこと執事と薔薇の庭
執事の夏休み
まだ見ぬ義弟へ
溺れる夏の庭
判定
猫を預かる
百花の王
終の箱庭

死ネタを含みますので苦手なかたはお気をつけ下さい

作品情報

作品名
溺れる夏の庭
著者
尾上与一 
媒体
小説
サークル
freezia<サークル>
ジャンル
オリジナル
発売日
4.5

(7)

(5)

萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
32
評価数
7
平均
4.5 / 5
神率
71.4%

レビュー投稿数2

さよならトロイメライの番外編

読んでしばらくたつのですが、ようやく言葉にできそうな気がして書いてみました。さよならトロイメライを忘れないわという方でしたら、おススメしたいと思います。本編が本編なだけに、どうしてもハンカチが必要な同人誌です。

1 ひよこと執事と薔薇の庭 
  弓削がまだまだひよっこだった頃の、紅茶を入れるトレーニング中のお話。
  このまま穏やかに生きられると良かったのに。

2 執事の夏休み
  鉄真が「休みをとれ」と頑強に言い張るお話。
  というもの自分も休みをとって軽井沢に一緒に行きたいからで・・・
  という甘いお話。いつまでも二人お休みを一緒に過ごせると良かったのに。

3 まだ見ぬ義弟へ
  弓削に会うのを楽しみにしていた久松のお話。
  この時代の結核というものが、本当に恨めしい。  

4 溺れる夏の庭
  薬の後遺症で苦しむ弓削と鉄真のお話。
  いつまでも花の庭に佇んでいてほしかった。

5 判定
  一誠の「弓削は童貞か?」を判定するための質疑応答話。

6 猫を預かる
  家を出ろ、出ないで大喧嘩した後に弓削を預かる一誠のお話。
  一誠も苦労人なのか、なんだかんだいって上手くいく星の下に生まれた人なのか。

7 百花の王
  訪れる客に応じて飾る花を変えるという宗方家。弓削が庭で細やかに花を
  選んでいると、後ろから「誕生日おめでとう」と抱きしめられるお話。
  秘めやかに庭で交わされる一瞬の慕情です。

8 終の箱庭
  鉄真と弓削が最後幸せに過ごした小さな家でのお話。
  これを何回も読んで、ようやくこの二人の物語を終えることが出来た心地です。

とても印象深い本編に、同じぐらいの確かさで寄り添う同人誌です。是非。

1

幸せの定義はそれぞれの中に

さよならトロイメライの番外編同人誌。
弓削と鉄真のありったけを詰め込んだような番外編で、これが本編ではないのが惜しいという感じでした。
鉄真と弓削の間に起こった決定的な事件の前の話と、事件後の生活、ほんのささやかな2人きりの夏休みに他の使用人目線の話、そして鉄真と弓削の最期までの僅かな甘い日々と、手を変え品を変え色鮮やかに書き出されています。
花が芽吹き、蕾を開き、華やかに咲き、そしてその花を散らすまでのほんの短い弓削の人生を、鉄真の深い愛情と共に書ききっているのは見事でした。
桃色描写も短いながら濃密でもったりとした色香を振りまき、普段は楚々とした弓削の佇まいとの対比がたまりません。魔性の受は健在です。

鉄真と弓削が宗方家から姿を消してからの日々は、読むのが辛く中々ページが進みませんでした。
私は死ネタ大好物ですが、もしかしたらひょっとしたら弓削は回復して鉄真とひっそり幸せに暮してるんじゃないかと希望を持ったりもしましたが、そんな希望もあっさりと打ち砕くこの容赦のなさ!!
こと切れるその瞬間まで弓削は美しくて、鉄真の愛情は真っ直ぐで、読んでいて何とも言えない幸せを感じました。悲しいのは悲しいのですが、不思議と涙は出なくて、弓削と鉄真が感じている本当にそのまま、私自身も同じように弓削と鉄真が紡ぐ最期までのわずかな時間は幸せだなと。
これ以上の幸福は宗方の家では望めなかったからそこ尊く、その身の全てを鉄真に、その身の全てを宗方に捧げてきた弓削と鉄真へのご褒美のように思えました。

弓削を失った後の鉄真の様子も一誠の視点から垣間見ることも出来、悲壮感が漂ってないのも良かったです。これ本編に入ってないの、本当に勿体ないなと。

4

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