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表題作酒は愚を釣る色を釣る

吉川尚吾、千秋に懐いている後輩
篠田千秋、融通のきかないサラリーマン

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

元カレを思い出させる後輩の尚吾に懐かれ困っていたある夜、千秋は彼にゲイだとバレてしまう。忌避されることを望んだ千秋の誘いに、意外にも尚吾は乗った。後悔に陥る翌日、千秋は突然営業部に配属され尚吾と同じチームになってしまう。縁を切った実家とも仕事上で繋がりができて憂鬱な中、尚吾は以前にもまして声をかけてくる。なかば強引に飲みに付き合わされつつも、一緒にいるのが不思議と心地よくて…。

作品情報

作品名
酒は愚を釣る色を釣る
著者
尾上セイラ 
イラスト
まりぱか 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778123796
3.5

(23)

(2)

萌々

(12)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
80
評価数
23
平均
3.5 / 5
神率
8.7%

レビュー投稿数9

(このふてぶてしいのが)グズグズになるんです‼

初読み作家さんですが、帯につられて購入です。
ちなみに帯の煽り文句ですが、「・・・俺にグズグズにされて泣いてる篠田さん、可愛い」。(ふてぶてしい表情の)表紙からは想像つきづらいと思いますが、これが本当にグズグズにされてはしゃくりあげてる可愛い受けでした。


内容です。
過去の手痛い恋愛から本気の恋はせず、一夜限りの関係ばかり持っていたサラリーマン・千秋。元カレによく似ている後輩・尚吾に懐かれ困っています。そんなある日、たまたま男と揉めている時に尚吾とかち合い、ゲイだとバレてしまいます。いっその事、嫌われようと尚吾をベッドに誘いますが、その日から何故か尚吾は更に距離を詰めて来てー・・・。

地雷要素が結構ある作品だとは思うのです。攻めの尚吾は女性と別れたばかりで千秋に愚痴ったりしてますし、千秋はビッチで過去の恋愛に囚われている。苦手な方は避けた方がいいとは思うのですが、二人の心情がしっかり書き込まれているため、気持ちの移り変わりとかに、軽い印象は受けなかったです。逆に、二人が惹かれ合っていくのがとても自然に感じられると申しましょうか・・・。

あと、お仕事BLでもあり、その描写も面白いです。酒に酔っては一夜限りの関係を繰り返す千秋ではありますが、その真面目で融通のきかない仕事ぶりには好印象を持ちます。
更に、大きなプロジェクトで日本酒を扱う事になるのですが、そこの部分も読み応えがあります。千秋の実家の家業も関係してきて複雑ではあるのですが、そうでなくとも単純にお酒の描写が美味しそう。私は全くの下戸でして、お酒は一滴も飲めません。特に困る事も無いのですが、こちらの作品を読んでると、人生をちょっぴり損してる気がしてきます・・・。

そして個人的に一番萌えた部分。二人のキャラクターに関係性です。
昔っから、年下ワンコ攻め×意地っぱりなクール受けというのが好きで仕方なかったりするのです。
また、この意地っぱり受けですが、かなり拗らせ系でもあります。でも可愛い。真面目でいかにも堅物なサラリーマンだったりするのに、酔うとめちゃくちゃ色っぽいんですね~。もう、尚吾をエッチに誘うときが色っぽすぎる・・・。その上、すぐグズグズにされちゃってはしゃくりあげてたり泣いてたりするのがホント可愛いすぎる。ギャップ萌えてヤツでしょうか。
また、尚吾のワンコぶりも大変よろしい。
朝になり、正気になった千秋に塩対応されてるのが不憫でね・・・(/_;)

プロジェクトに問題が起こり、その結末にはちょっと都合が良い気がします。あと、千秋と元カレの和解には若干違和感を覚えます。と言うより、もっと元カレには痛い目にあって欲しい。

と、ひっかかる部分もありますが、個人的にはキャラクターといい、ストーリーといい、かなり好みで萌えました。

6

元彼は誰よりも不幸になれと願う

初読み作家さん。
お酒にまつわる話という事で、期待半分で購入。
期待以上の面白さに思わず読み入り、気付けば一気に読み終わってました。

受けさんの千秋は初めの印象は男同志の恋愛を諦めたビッチ。
嫌いなタイプの受けだなー…と思っていたのですが、
読み込んでいくと不思議と好きになるというか、応援したくなるというか。
頑張って立ち直ってほしい!次こそは幸せなってほしい!
と思える、本当は純粋一途なツンツンツンデレ。
そんな千秋に見事落とされるノンケだった後輩の尚吾。
一見、カッコいいんです。
でも実は相手に釣り合おうと背伸びしたワンコ攻め。それも千秋限定の。
早くに落とされそこからは好き好き攻撃(口撃)が止まらない
こちらも一途な攻めさん。
そんな2人がセフレから始まり、すれ違いを経て、最後やっと結ばれた時は
私自身が嬉しいほどでした笑。

ただ!
今思い出してもムカつく千秋のトラウマの元凶となった元彼。
田舎でゲイだとバレるのを恐れるプレッシャーから千秋の妹を妊娠させた?
しかも、千秋の家に婿養子で来ると。
ひとつ屋根の下にも関わらず住むと。
はあ?
と、つい自分の性格の悪さが露呈してしまう程に腹立ちました。
千秋は何も悪くない。
このクソ元彼が本当に自己中だったんです。
話し合うことも出来ただろうに、いきなり家族全員の前での報告で知った
千秋の気持ちがいたたまれません…。
そりゃあ、千秋も簡単に許せませんよね、
いや、むしろ、許す必要はこれからもないんじゃないかな?
ずっーとずっーと罪悪感に苛まれてばいい、と思うくらい本当に嫌いな奴でした笑。

お酒好きの方にも、純連を好む方にも。甘々を求める方にも
随所随所で萌えポイントがあるかと思うので、オススメです★

3

掘り出し物でした

本屋さんでふと手に取って何となく買ったのですが、面白かった!
掘り出し物でした〜!

過去の恋がトラウマになってしまって、前に踏み出せない受け様の心情が切なくて、胸がぎゅーっとなりました。
融通がきかなくて、会社では周りから疎まれちゃうようなカタブツの受け様が、酔うと可愛くなっちゃうのがたまらなかったです。
それも、ぶりぶりな可愛さじゃなくて、弱さや傷ついてることが垣間見えちゃう可愛さなのが、もう本当に。
ノンケだった攻め様も好きになっちゃうよな…って思いました。

3

「BL読んだなぁ」という充実感

この本、何とはなしに気になっていたのですが、購入を迷っている間に時が過ぎてしまっていて。今回、目にとまって良かったです。
篠田千秋くんが可愛いの何のって!

一般的な可愛らしさではないのですよ。
実際、篠田は随分捻くれています。
自分に懐いているノンケの後輩、吉川と初めていたしちゃったのも、やつあたりに近い『からかい』のため。
それも、吉川が過去に因縁のあった男に似ているのから意識的に避けていたのに、それを無視して懐いてくるからなんですよ。『傷つけて自分を嫌いにさせよう』的な。吉川からしたら、かなり理不尽なやつあたりですよねぇ。
こんな理由で喰われちゃうって実に可哀想。吉川の立場から見ると、これ、酷い話なんです。篠田に向けている好意が本心からのものだから、余計にねぇ。

でも、篠田を憎めないのは彼がコテコテの乙女だから。
哀しい結果に終わった前の恋を引きずって、もう二度と恋なんてしないと思っているとか。
そのくせ、口へのキスは愛情を示すものだから、誰にも許さないとか。
自分の実家(造り酒屋)に頭を下げれば、仕事の危機を回避できるかもしれないのに、恋愛がらみの因縁がネックになっていて実家に帰れないとか。
造り酒屋に育ったので訓練されている(そういうエピソードがある)はずなのにお酒に弱くて、酔うとトロントロンの『エロい子』になっちゃうとか。
普段は『正論を振り回す堅物』だったり『セックスを楽しむ大人』のふりをしているけれど、それは鎧。一皮剝けば『真性乙女』なんですよ。

「ここまでではないけれど」と思いつつ、篠田の中に自分に似たものを見つけてしまって、ほんの少し心が痛みます。篠田が可愛いと思うのは、自分も可愛い(可愛かった)と思うことに近い。
恋は正論で語るものではないので、たとえ自分に一切の比がなかったとしても、想いが通じなかったり、期待する様にならなかったりするのはままあること。
でも、そのことを思い出すのは限りなく痛い。
それでも恋を信じてみようと意を決する主人公が幸せになる所を見たいから、私はBLを読むのです。

どこかで読んだ様なエピソードが多いのは、このお話が王道中の王道だから。
そこも含めて、BLを読む醍醐味を感じたお話でした。
篠田くん、最初の奴よりこっちの方が何倍もいい男だと思うよ!

3

豹変してエロエロ

以前の恋人にひどい別れをされ、恋人は作らず一夜限りの出会いで満たしていた千秋。なぜか以前の恋人に似ているノンケの後輩尚吾に懐かれていたが、ある日酔った勢いで寝てしまう。
そんな時に尚吾の部署に移動。。。

尚吾に対しても、他の人に対してもツンケンした態度で、本当に可愛くないのに、いたしている時は別人!可愛くてエロい!
つい先日まで女性と付き合っていたノンケの尚吾が骨抜きですよ。
以前の失恋の理由がひどい。女の人に心変わりだけならまだしも、それが自分の妹で妊娠中なんて。それを全く予期せず、自分を好きでいてくれていると思っている時に言われたら、現在の千秋みたいになるわ。
そして、結婚後に同居なんて考えられない。

千秋の心境を考えると、尚吾のことが好きになっても、踏み切れない理由がわかるし、先の不安ばかり考えてしまいますよね。
今作で尚吾の気持ちが全くブレないのが救いです。ノンケなのに。
そのノンケを骨抜きにする千秋の可愛さも今作の良さだと思います。

1

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