途切れた初恋の赤い糸を結ぶ、あやかしウェディングラブ!

小説

  • あやかし婚、承ります ~鬼と桜の恋結び~

あやかし婚、承ります ~鬼と桜の恋結び~

ayakashikon uketamawarimasu

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作あやかし婚、承ります ~鬼と桜の恋結び~

藤原世威、鬼の血を引く一族藤原家の御曹司25
比良野真咲、老舗ホテルのウェディングプランナー28

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

勤め先の新規ウェディング事業に抜擢された真咲は、そこで昔振られて疎遠になった幼馴染み・世威と再会する。驚く真咲に世威は自身が本当は鬼であること、今回の事業は妖怪専門の結婚式場運営だと告げてきて……?

作品情報

作品名
あやかし婚、承ります ~鬼と桜の恋結び~
著者
市川紗弓 
イラスト
三浦采華 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041066805
3.9

(10)

(3)

萌々

(3)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
39
評価数
10
平均
3.9 / 5
神率
30%

レビュー投稿数2

あやかし結婚式場はじめての成婚カップルはあの昔話の子孫


自分の気持ちがうっかりばれて距離を置かれていたと思っていたら、実は相手にも事情があって、両片想いだったという二人の再会愛。
たくさんある伏線をすべて回収する構成はすごいと思いました。

<あらすじ>
老舗ホテルでウエディングプランナーをしている比良野真咲(受け)は新規のブライダル事業部への異動を命じられます。
新しい部署の上司として真咲の前に現れたのは、6年前から音信不通になっていた幼馴染でこのホテルの御曹司・藤原世威(攻め)でした。
驚く真咲が連れていかれた先はあやかしの住む異郷の結婚式場「禧櫻閣」。
異郷でブライダル事業部を開くにあたり、人間界でのウエディングプランを目玉にするため真咲が呼ばれたのでした。
世威が直々に選んだ少数精鋭部隊で同業他社から一歩抜きんでたプランを練るのですが、実績のない「禧櫻閣」はなかなか成約にたどり着きません。
そんな時、弱くなった結界を破って魔神・天魔雄が侵入し、本殿が穢されてしまうのです。


真咲はもともとゲイで高校生になったあたりから3歳年下の世威のことが好きでした。
無邪気に懐いてくる世威に知られないようにしていたのですが、就職も間近になったころ一緒に行った旅行で寝ている世威にキスしてしまいそうになったところを、世威に気づかれてしまうのです。その日以降、世威は大学をやめ行方不明になってしまいます。気持ちを知られて気味悪がられたのかと落ち込む真咲でしたが、世威のことを忘れられずにいました。
真咲の就職先が図らずも世威の一族が経営するホテルのブライダル部門で、再会を果たすことになるのです。


世威は老舗ホテルを経営する一族の御曹司でしたが、実は鬼の一族でした。
異郷でも一番という力の強い一族で、異郷で宿屋から出発し結婚式場を経営していましたが、原因不明なまま本殿が封印されてしまったため異郷での式場は閉鎖し、人間界に活動の幅を広げていました。
が、再び本殿の封印が解けたことにより結婚式場を復活することになり、世威が責任者となったのです。

世威が自分で集めた人材は、メイクアップアーティストの雪女・雪緒、料理人の玉兎・月影、記憶喪失の妖狐・風千代、絵描きの玄鳥という一風変わった人たちですが皆いい人達ばかりで、人間の真咲をすぐに受け入れてくれます。
彼らが仕事で腕を振るえるように頑張らなければと気合をいれる真咲でしたが‥

何故世威が真咲の前から姿を消したのか?
何故本殿が封印され、また再び解けたのか?
風千代の正体は何か、何故記憶喪失になったのか?
突然現れて真咲を狙う天魔雄と風千代や世威との因縁とは?

謎がたくさんあるのですが、すべて一本の線でつながったとき「禧櫻閣」は新たな一歩を踏み出すことができました。
二人がお互いを想う気持ちの強さもさることながら、辛い記憶を封印したと思われる風千代のため身体を張る彼らには好感を持ちました。
天魔雄との因縁は世威にとっては切なく辛い話だし、風千代の話に至っては記憶を無くすことでしか自分を守れないくらい悲しく辛い話で、全体的に甘い話ではなかったのですが、それでも前を向いて歩くためにどうすればよいかを考える彼らは強かったです。
そして、記憶喪失でも天真爛漫でいつも皆の気分を明るくする風千代が本当に可愛かった。



最後は大団円で、とても気持ちよく読了できました。
これだけいろいろなエピソードを入れた濃密な話を綺麗に終わらせたのは凄いと思いました。

ただ、気になったのは真咲のオーラにつて。
魔神曰く美味そう、雪緒や世威曰く純粋できれいであやかしを魅了すると評される真咲は何故そんなオーラを纏っているでしょうか。ただの生まれつき?それとも心根の問題?
風千代が「お兄ちゃん」と呼ぶ真咲そっくりで似たオーラを持つ人と関係はなかったのかとか、本編には関係ないことですがちょっと気になりました。
彼らの両親は話には出てきたけど、現在進行形では登場しなかったので、プロポーズもされ指輪も貰ったけど、家族関係は大丈夫なのか?
それと、鬼である世威と人間である真咲の寿命は違うのでしょうか?
細かいことはきになりましたが、これから二人に幸多からんことを願いたいと思いまた。


電子書籍特典SS
「鬼にパンツ」

来年のスケジュールの話をしていると時々世威が「くすっ」となるので、不審に思って聞いてみると生理現象のようなものなのだとのこと。
「来年の話をすると鬼が笑う」ということわざを思い出し、同じく鬼っぽい風習で虎柄のパンツを履くのかと聞いてみると、履いてみたいと思っていたが小さい時は鬼だとバレるんじゃないかと思って履けず、そのまま機会がなかったとのこと。
せっかくなのでプレゼントしようということになり、真咲はあやかし街の鬼婆が店番をしている雑貨屋で虎柄パンツを購入しプレゼントします。
厳選した3枚をプレゼントしたのですが、実はそれには術が掛かっていたのです。
やっと天魔雄の術が解けたばかりなのに、世威がまた術を掛けられたのかと真咲は焦るのですが、その術とは・・

パンツを売った鬼婆が真咲が若いからからかったのでしょうか、精力増強の術がかかっていたのです。
ただでさえ絶倫なのに術のせいで鬼に金棒状態になった世威に付き合わされる真咲なのでした。

残念ながら?洗濯したら効果がなくなり、喜んで履いている世威と残った2枚のパンツはどうする?と悩む真咲というオチまで楽しかったです。

3

鶴の恩返しの子孫まで出てくるとは…!

前作のデビュー作から感じていましたが
市川紗弓さん、新人作家さんとは思えないお話を書きます。
今作もそうですが、
内容も凄く緻密で、ありきたりな設定でも新鮮さもあり、最後まで面白い!と思えるお話でした。

受けさんの真咲は、ウェディングプランナーとして
新事業に抜擢され、地下何百メートルという世界に行きます。
(しかもエレベーターで)
そこで、昔振られた年下の幼なじみでもあり攻めさんの世威と再会。
あやかし相手にウェディング事業をしていきたいと話され、
しかも自分自身鬼だと言われ、
普通はパニックにもなる状況なんですが
肝が据わっているのか、真咲は最初こそ戸惑うものの受け入れ、
あやかし世界で奮闘していきます。
そんな折に、人間やあやかしの精を食べようとする天魔雄という魔神が現れ、
世威に呪いをかけた事実を知り…

という、ファンタジー全開なお話でした。
ですが、今回のお話は甘々ではないです。
小さい頃の2人の情景も出てきますが、どこか切ないんですよね。
結婚の約束をした直後に天魔雄に呪いをかけられ、
そのせいで結ばれることなく今まで気まずい関係となってしまったり。
記憶を失くした子狐の風千代に起きた悲しい出来事・本来の姿だったり。
1つ1つの要素が深いです。
ですが、こんなに盛り沢山の内容も綺麗にまとまっているので
最後まで読みやすい作品でした。

市川紗弓先生、次回作も期待したい好きになりそうな作家さんです(*´ω`*)

5

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP