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表題作ブラックスワン

エヴァルト・アドラー 元国家保安局職員
オデット エヴァルトの逃亡を助けると現れた青年

あらすじ

祖国に居場所をなくした若き将校・エヴァルト。追い詰められた彼の前に、自らを白鳥だと言う不思議な青年が現れ…!?

作品情報

作品名
ブラックスワン
著者
桑原水菜 
イラスト
宇良ままじ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイデジタルノベルズ
電子発売日
3.6

(3)

(0)

萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
11
評価数
3
平均
3.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

ニヒルな話で「やられた!」

電子書籍。挿絵有り、あとがきなし。

小説b-Boy2016年春号が初出とのことですが、お話の舞台は東側の政治体制が崩れて行く90年代前後と思われます。サスペンスどっさりのお話なので、内容のご紹介は簡単に。

秘密警察の一員であったエヴァルトは国家体制が崩壊するのと同時に新しい体制に追われることとなり、身を隠しながら国境を越え亡命しようとしています。追っ手が迫ってきたため逃げ込んだ山小屋に、一人の青年が「あなたを助けに来た」と現れます。目を見張るような美貌の青年は窮地に追い込まれていたエヴァルトの国境越えに手を貸してくれるのですが、逃亡の最中に自分は白鳥だと言います。確かにエヴァルトは山小屋に逃げ込む前に、羽に釣り糸が絡みついて飛べないために子ども達から虐められている白鳥を助けたことがあるのですが……果して亡命は成功するのか?また、この青年の正体は?

このお話、二部構成と言っていいんじゃないかしら。
エヴァルトの逃亡が中心に描かれる第一部と、謎の青年にまつわる第二部。
第一部は追走劇でハラハラですし、第二部は心理戦でドキドキです。
それに加えて、今まで自分を支えてきた国家というものが消滅し、国家の名の下に自分がやってきたことが自分個人の責任として問われる。『国に捨てられてしまった』痛さが全編を貫いています。

今まで信じてきたものが壊れ、未来が思い描けない。
その中で、献身的に自分を助けてくれる美青年が登場する。
彼の全ては謎に包まれている。
でも、彼に好意を持ってしまった。彼も同じように思える。
あああああ、こんなの萌え転がるじゃないですかぁ!

最後に地雷よけを書いておきます。
ハッピーエンドじゃなきゃ読みたくない方には向いていないお話かと。
最初から最後までとてもとてもニヒルです。

2

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