イラストあり
なんて言うんですかね、シンデレラストーリーと言いますか、苦労してきたキャラが王子様に見惚れられて幸せになるって展開のお話、定期的に読みたくなります。
私は名倉先生の、受けを溺愛してて様子がおかしくなってしまう攻めが大好きです。
今作の攻めのナサニエルも、受けのジーンに高すぎるプレゼントをあげまくったり、無意識に好みのタイプとしてジーンの特徴を羅列してしまったりと思わずニヤニヤしてしまうシーンが沢山あり、大満足。
作り込まれたハイファンタジー作品も好きですが、今作のような気軽なファンタジー作品、定期的に読みたくなるんですねぇ。
と思ったらスピンオフ?もあるらしく、早速購入!
名倉先生の溺愛攻め、大好きです!
女性のように見える表紙なので買うのを躊躇っていましたが、読めそうな気がして購入。
読んでみたら、女々しいとか女っぽいところはなく、むしろ芯のあるキャラで良かったです。
そしてとてもとても謙虚なんだけど、卑屈さはないところも良かった。
私はひたすら受け身の愛されキャラが苦手なんだけど、この作品の受け・ジーンは攻めと出会うまで超〜苦労人だったこともあり、とっぷりと愛されとけ!!と思えたところも高ポイント。
電子で帯がないため「初恋×初恋」「鈍感×鈍感」といった売りを知らずに読んだこともあり、さほど鈍感さは感じなかったな。
読後にタイトルを見て「あぁそういえば鈍感ってついてるけど、そこまでか?」と思ったくらい。
というか、BL世界の方々は9割鈍感な気がするので、アホなの!?なぜ気づかない?!と憤慨するレベルじゃないと「鈍感さ」は特筆できない気がする。
ジーンの美しい緑の瞳を見た時から心を射抜かれてしまっているのに、無自覚な王子様のナサニエル。
ナサニエルがせっせとジーンに見当違いの贈り物攻撃をするところが、名倉さんの暴走ぎみの攻めって感じで好きです。
これよ!これ!!感とでもいうのかな。
やたら高価な贈り物をして、ジーンを困らせて、シュン……となる王子様。
何を贈ったらいいのか頭を悩ませ、臣下に相談し、ジーンの反応に一喜一憂するとか、かわいい。
あと嬉しかったポイントは、両視点ということ。
攻め視点大好き!なので。
ナサニエルときたら恋に気づいていないのに、心の動きがまさにそれが恋!!でいっぱいなので、ニヤニヤ読めて楽しかった。
敵が目の前で血飛沫をあげて死ぬシーンがあって、こんなリアルな死に様、名倉さんので初めて読んだ……とちょっと新鮮に感じました。
ジーンの両親も、ジョシュアの母親もお話の中で殺されてるし(リアル描写はなし)、結構死人が多い気がする。
でも、全体のほのぼの風味を台無しにするほどではないので、気にせず読めるかと思います。
名倉さんらしいお話ですね。
悪者は表立っては一人だけでその他はみんないい人達です。
あらすじは紹介されているので感想を。
ジョシュアを必死に清廉に育てるジーンにこちらもジーンときます。
王太子の迎えのタイミングも良かったです。
離宮に迎えられて今までの苦労が報われましたね。ジョシュアはジーンのおかげで健やかに育ち、兄である王太子のナサニエルに剣や弓の鍛練の機会や興味深い書物を与えられすくすくと成長していきます。
ジーンに一目惚れしたナサニエルは自覚がないまま、ジーンの功労に見合った褒美をあげたい、喜んで欲しいとプレゼント攻勢。
謙虚なジーンは戸惑います。
お互いに愛しい気持ちを自覚していき距離を縮めるのも読んでいて楽しかったです。
きっとひと波乱あるだろうというところに、オーデッツの逆襲が。早目に助けに来てくれて良かったです。
そのまま翌日の昼までとはお盛んですね!
侍従達もいいですね。
無事に教皇に懐剣も返し婚礼の予定を立てるところでおしまいです。最後は馬車の中で!
毎晩お盛んでジーンもすっかり体を作り替えられましたね。
健気で甘々で苦労も報われて結ばれてめでたしなのですが、もうちょっと欲しかったです。
ジーンがとんちんかんだとか、ナサニエルが妄想暴走ムッツリだとか、実はジョシュアもジーンをとか。
でもジョシュアが無事に王家に受け入れられ、ジーンは愛を知りナサニエルは愛する人と添い遂げる、3人とも幸せをつかみましたね。
懐剣がこれまでのジーンの道標でしたがもうナサニエルがいるので共に生きていけますね。
ジーンの苦労が報われて良かった!
本棚が危機的状況のため、電子になるのをずっと待っていた本作。遅まきながらやっと読みました。
かわいい。
何て可愛いの、二人とも!
今までレビューを書いてくださった皆さまが丁寧な内容のご紹介をされているので、感想のみで。
皆さまが書かれているように、このお話のキモは『鈍感』。そして『初恋』。
ナサニエルは政務に、ジーンはジョシュアを亡き者にしようとする追手から逃げ、なおかつ彼を真っ当に育てることに必死だったことから考えれば、恋なんてものにかかずりあっている暇はないのかもしれません。
だから初めての恋に振り回される二人は『鈍感』と言うよりは、想定外の事態に対応できていない人たちです。『鈍感』は人をこっぴどく傷つける時もありますが、この二人はそういうことが全くないのね。
しかし『こんな気持ちは初めてだから、それが何なのか解らず頓珍漢な贈り物をしてしまった』り『保護すべき者に「あの人のものになっちゃった?」的なことを聞かれても意味が解らなかった』りする、いわゆる初心な男性って、どうしてこんなに可愛らしいんでしょう?(『男は色恋にうつつを抜かすべきではない』なんていう刷り込みがあるんだったら、ちょっと問題だなぁと思うんですが)
右往左往する二人がとても微笑ましかったです。
冷静な目で見ると、結構『人死に』が書かれているんですよね。
でも、それもあまり気にならないほどの可愛らしさでした。
幸せな気持ちになりたい時の一冊。
帯にも「焦れったすぎる」・「初恋」などもう簡単ではないなというのを最初から教えてくれていました。そのせいか構えすぎて思ったよりはという感じです。でも、他に比べると焦れったい方です。
両視点なのでお互いの気持ちが分かる分、焦れったさが増しているのかもしれないです。
受けのジーンですが、王の隠し子ジョシュアを託され、両親はそのせいで殺されてジーンはジョシュアを守るために逃げ回るという不憫というかなかなか壮絶な人生です。ジーンは決して肉体派という感じではないです。美人さんです。
そんな彼が幼いジョシュアを連れて逃げていられたのは母の懐剣のお蔭でした。その懐剣が危険を教えてくれるので追手が来る前に逃げ出せるという少しファンタジーな部分がありますが、それがあるからこそジーンでも守れたんだよねと納得です。
ジョシュアは良い子で可愛いですが、急に来た他人の子どもを託され両親は殺されて逃げないといけないという状況でよくジョシュアを育て上げたなと感心してしまいました。
他の方も言っていますが、ナサニエルの贈り物作戦の失敗さが可愛いというかほのぼのします。何でもかんでも高級品を贈れば良いという訳でも無いというのを、部下から諭されます。ナサニエルはジョシュアを守ってくれてという感謝の気持ちというようですが、どうみても想い人への贈り物としか思えないです。
ジョシュアの事を隠すためにジーンはナサニエルの愛人という事にしておきますが、夜逢引きをするのに2人とも楽しみにしすぎていてもうバレバレという状態です。気づいていないのは当人同士というのが焦れったいです。
ジョシュアの件があるのですんなりといかない部分もあり事件が起こるので良くも悪くもハラハラしながら読めます。
苦労したジーンがナサニエルとの幸せな日々を送るという素敵な終わり方ではありましたが、ジョシュアも数年すればライバルになりそうと思ってしまうと、この国の跡継ぎ大丈夫なのか!?と色々考えてしまいます。
国王もジョシュアの存在が分かっていたのならもっと早く手を打てなかったのかなとか、ジーンだからこそナサニエルを愛したとは思いますが親の仇の子どもとそんなに簡単に想い合えるかなと少し気になる部分もありました。
しかし、焦れったいと思いながらも甘々でとても面白かったです。