既婚者叔父に恋した

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表題作残映

阿部優,40歳,叔父,薬剤師
高峰あつき,15歳,甥っ子

その他の収録作品

  • アパートにお泊まり(描き下ろし)

あらすじ

「代わりでもいい、僕を愛して」
母に捨てられ、祖母を亡くした少年・あつき。
引き取り手のなかった彼の手をとってくれたのは、叔父・優。
彼も妻の月子を亡くしており、田舎で2人だけの生活。
自分を大切にしてくれる優に、あつきは好意をよせていく。
しかしそんな時、酔った優に月子と間違ってキスをされ――…

妻を失った40歳 × 母を失った15歳
美しき片田舎の切ない年の差恋愛

作品情報

作品名
残映
著者
酒渼ゆづ子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
ISBN
9784829686089
3.9

(90)

(32)

萌々

(33)

(17)

中立

(6)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
349
評価数
90
平均
3.9 / 5
神率
35.6%

レビュー投稿数10

『残映』に初レビューを捧げます・・・

本誌連載読んでいました。大好きな作家さんです。
1話の扉の受けのキャラ絵が好みで即一目惚れ!
冒頭、この可愛さをもって母に置き去りにされ、育ての親の祖母が他界し親族に疎まれる不憫さが萌え!
攻めの叔父さんは、妻である受の母親の妹を亡くして今でも彼女を忘れないでいるのか、寝ぼけて妻の名を呼びながら受けにキスしてしまう・・・実はここまで読んで完全にノンケ攻めを受けが絆すのかと思っていました。
それをきっかけに受けはオナってしまい恋心と確信し、想い溢れて告白。健気で可愛いのです!
攻めが実はゲイであったと回想でわかるのですが、攻めが亡き妻と出会ったエピソードやその最愛の妻を失った時に、実は受けと出会っていて、死にたい気持ちを妻に似た受けに救われていた!運命!!
この2人は互いに生かされている対のようで、ドラマティックな展開にドキドキしました!
5年後、20歳になった受けからキスをされてベッドに行くのですが、なにせ叔父さん!受けを大切にするあまりに、一線を越える度胸が足りない!!年甲斐もなくカッコ悪いと思っているから挿入までこぎつけない!こんなに可愛らしい受けが大丈夫だと言っているのに、手加減できない・・・と・・・叔父さんが2本一緒に手でいたす止まり・・・というわけで、エロは確かに少ないです。
ですが!このジレったさやお預けのもどかしさが大好きな私にはこれが萌えでしかない!!
作中の猫もカワイイし、受けの友達も気になるイケメンです!(特典リーフレットにも出てきます^^)
カバーと帯が作品の世界観をよく表していると思うので、カバーに目を留めた方はなおのこと
『残映』を気に入ると思います!
あ、受けの幼少時代のショタ萌えもかなり美味しくいただけました!!

7

アツキの目は草食動物の目と似ている

誰だって大小の違いはあるけれど、去った人の面影や残映を何かに重ねて心の傷を自己修復していると思います。本能にあるから。
BL作品に惹かれるのは、「ファンタジーを通して未来を見つめ、異端者やマイノリティーに思いを注いでいる作品」が比較的多いからです。だから、評価ランクが、萌しかないのが、ちるちるの残念な所です。BLを嗜好ものから文化に格上げするには、今のままじゃちょっと無理。すごく大事な問題を言語を超えた絵で提起する作品があるのに、勿体ない。

この作品は、母親に育児放棄や暴力を振るわれた少年と、少年の母親の妹と結婚した優しい男性の心の触れ合いを描いて話題になっているので、読みました。

▽あらすじ
 少年は、男性の亡くした妻と似ている。背中に母が熱湯をかけた跡の火傷がある。健気で、嫌われないよう怯えるところがある。少年の瞳は、狩られて倒れる時の草食動物のように見開いている。
 年上の男性は、ゲイ。唯一心を許せる存在だった妻と、虚弱な体質を承知で結婚した人。祖母と一緒に焼香にきたアツキと一度会っている。祖母の生前、アツキの保護を頼まれていた人。

二人とも「あなたが必要」と求めらることで生きる意味を作りたい。「代わりでもいい、僕を愛して」叔父は妻の死後、死のうか生きようか迷い、ギリギリで生きてきた。
アツキが成人して、互いに「必要な存在 共に行きたい」と思いを交わす。

もし、こんな二人が近くで居るのなら、壊さずにそっと見守れる自分でありたいと読後思いました。危なっかしくてほっとけない。
神評価。

2

泣きたくなるのはなぜだろう

母から捨てられた少年と妻を亡くした男やもめ、
愛に飢えた二人だけの静謐な世界が心地よく、しっとりと読み浸りました。

幼い頃に母親に捨てられたあつき。
以来彼を育ててくれていた祖母を病気で亡くしたとき、
あつきを引き取ってくれたのは血の繋がりのない叔父の優でした。

まるで本当の家族のように、あつきをいとおしんでくれる優。
あつきにとっても優は唯一心を許せる存在でした。

けれど、優に笑顔を向けられる度、大切にされる度に
あつきの胸は苦しく締め付けられ、自覚のないままに
優に対する家族以上の情が芽生え始めていました。

ある日、寝ぼけた優から亡き妻と間違われてされたキスをきっかけに
あつきは自分の内に沸き起こる優への劣情に気付いてしまいます。

相手は同性で、年の離れた、かつて叔母の夫だった人。
この恋は普通じゃない。
諦めなければいけないのに、それでも抑えきれず、
優に愛されたくて、あつきの口から言葉が溢れ出します。

亡き叔母の代わりでもいいから、と想いを告げるあつきに対し、
残酷で臆病な優の返答に正直最初はがっかりしました。

けれど、優もまたその報われない恋の痛みを知る人間でした。
というのも実は優はゲイで、かつて同性の友人に恋をして
想いを伝えるも拒絶され、傷ついた過去がありました。
そんな彼だからこそ、あつきの気持ちだってわかっていたはずなのに。
恋に破れ、妻を失い、年を取るほどに臆病になっていった優。

対してあつきは気弱そうな外見に反し、その内側では拒まれても尚
優への恋心が熱く滾り続け、自分の気持ちをまっすぐにぶつけることの
できる強い意志をもつ子でした。

あつきと優の間には20歳以上もの差があって、
一緒に生きようとしたところで、優が言うように
二人が一緒に過ごせる時間は決して長くはありません。

いつの日か必ずやってくる別れ、そして、置いていく優と
置いていかれるあつきの未来を考えると胸が苦しくなりました。

だけど、それでも二人が一緒にいることは幸せなのだと思う。
未来を恐れて、一緒にいられないことの方が遥かに悲しいことに思えました。
どうか、少しでも長い時間を二人が共に生きられますように。

二人が幸せそうに笑っていると、楽しそうなのに、嬉しいはずなのに、
なぜか切ないような、泣きたいような気持ちになっていました。
じわじわと幸せや優しさが沁み込んでいくと同時にその裏に儚さや
切なさを感じさせる独特の雰囲気があって、心に残る作風でした。

二人のその後に関してはキスや触り合いの描写は
ありますが、最後まで、は描かれませんでした。
優と繋がりたくて涙をポロポロ流すあつきが不憫で可愛くはありますが、
年の差もあり、親子のように過ごしてきた二人が想いが通じた途端、
というのも品がないしこの二人はこれくらいのペースでちょうどいいのかも。
でも、待ちきれないあつきのためにも早く次の機会がきますように(笑)

1

丁寧

年の差がしっかりありますが、あつき15歳の段階では事故チューのみなのでそのあたり気になる人でも大丈夫だと思います。
あつきが優さんへの気持ちに気づいて葛藤する、また優さんが自分の性指向や亡くなった奥さんであつきの叔母である月子さんとの関係で悩む心の動きが丁寧に描かれていて切ないです。
5年後物理的なふれあいが増える二人もかわいいし、年の差があることで体力とか、いい雰囲気への流れが違ってきて分かり合えないほどではないけど新しい発見があるようなやりとりがあって、そういうリアルさがまた↑のような気持ちの描写に説得力をもたせてるのかなと思いました。
絵もずっと綺麗でかわいい。

0

静かに紡がれる受容の物語

簡単に思えて、実は最も難しいことのひとつが、「受け入れる」ことだと思います。
ただ、あるままを受け入れる。
余計なことは考えないで良くて、両腕を広げてこころに迎え入れるだけ。
それだけのことがどうしてこんなに難しいんでしょうね。
動作自体は簡単でも、両腕を広げるまでに考えたり、見極めたり、悩んだりしてしまうのがひとの常だからなんだろうなあ。

さて、こちらの作品はいろいろな意味での「受容」が描かれていました。
母に置き去りにされて、保護して育ててくれた祖母も亡くなって、引取先の押し付け合いを目の当たりににしていたあつき。
そんな彼を引き取ってくれたのは、母の妹の夫である優(すぐる)。
一緒に暮らしていくうちに、それぞれの気持ちが変化して…。

という始まりで、優はあつきの叔父だけど、叔母である月子がすでに亡くなっているため、あつきを引き取る謂れはありません。
ただあつきの祖母(優にとっては義母)との約束と、優自身、思うことがあったからで。
母に捨てられて、学校でもいじめられて、不登校になっていたあつきとの生活は、子育て経験もない男性が1人で担うのは大変そうだと思うけれど、あつきが特に腫れ物という感じの子じゃないので、野良猫手懐け系ではありません。

寝惚けた優があつきを月子と間違えてキスすることから、2人のバランスが崩れます。
あつきが一歩踏み出したことで、優が向き合わなければいけないことが浮き彫りに。
優を好きだというあつきの気持ち。
自分が居心地が良いという理由だけで、月子を犠牲にしたのではないかという後悔。
ゲイかもしれないということ。
支えられてばかりだった自分が、誰かの支えになれるのかということ。
何が大事で、何にこだわるべきなのか。
罪悪感というフィルターが取れたとき、それらがはっきり見えてきて、ひとつずつ、わだかまりが溶けて、受け入れていく姿が心に沁みました。

優の職場が自宅で営む薬局という設定が良かったです。
2人だけの閉ざされた世界というのが際立っていたし、一歩外へ踏み出したあつきにとって「帰る場所」のイメージがより強くなったような。
一方的に「支える」のではなく、「支え合う」という関係に踏み出せたのも良かった。

5年後の話より、帰って来た後の10年後くらいが見たかったかなあという気もしないでもないですが、そこは脳内補完で。
優しさに溢れた作品でした。

0

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