電子限定特典付
テレビアニメ「バビロン」のキャラクターデザイン(原案)のイラストレーターとのことで読みました。
まず絵が素敵です!キャラクターも魅力的です!
そして美しく均整のとれた背景やアングルでとてもスタイリッシュです。
エッチシーンもとても綺麗です。
でも、ミュージッククリップのようにアッサリし過ぎていたように思います。
兄の死をきっかけに兄の恋人と関係を持つ・・・という魅力的な設定ながら盛り上がりに欠けるような感じがしました。
とは言うものの絵を堪能するには秀逸な作品で、やっぱり時々開いてその美しさを眺めたくなります。
独特の背景から浮いたような、切り絵に見える絵柄は結構好きです。
『つめたい石に反射したことばが 不謹慎なほどにあたたかい』ちなみにつめたい石というのは墓石の事ですが、そこ格好良く言う必要ある?と思いました。
ただメインの二人がどこまでもあっけらけんとしてるのでそこまで悪い感情は持てません、こういう人たちもいるのかなというくらい。
でも純愛がメインのBLという市場でこういうカップルが毛嫌いされるのもわかります、はたから見ればやっぱり家族の死をネタにして盛り上がってる薄情な人たちなので。
辛口です。
「兄を亡くした弟×兄の元恋人」という組み合わせなんだけど、大事な人を喪った悲しみといったものは殆ど伝わってこなかった。
死後間もないにも関わらず「兄の死」「恋人の死」が、まるで過ぎ去った過去のスパイス程度にしか感じられない。
なんだろなー。
人が死ぬって、オシャレな恋の演出効果みたいなもんじゃないと思うんだけどなぁ。
遺された人は深い深い穴の底にいるかのように真っ暗で、周りの人がやたら幸せをそうにキラキラしていて眩くて眩しくて…
末妹を亡くした時はそんな感じだった。
しかもいよいよ死期が近づき会話もままならなくなった恋人の姿に、悲しいというよりも、音楽や本の話が出来ない姿にがっかりして、そこで早々に諦めついたとか……薄情すぎる。
段々おかしな音がし始めた洗濯機を見て、そろそろもう寿命かなぁ?みたいなのと違うんだから……。
次の恋にとっとと走る二人の姿にある意味似たもん同士だわ……と思いました。
この二人のどこにも共感出来なかった。
この二人にとって、死ってなんなんだろう。
個性的な絵柄と独特な世界観の作品でした。
兄が亡くなった後、兄の友人で恋人だった秋成と再会して口説くという展開は
さぞ切なかろうと思ったのですが意外に引きずってないような…??
秋成が修の最期の頃を“諦め”って言ってしまうのは
私にはちょっと薄情に思えてしまいました。
突然亡くなったのとは違うにしても
なんていうか…もっと喪失感があってもいいような…。
そしてどろどろしたところが無いんですね、なんだか全体的にシャレオツ。
サラーって読めてしまってちょっと勿体なかったです。
弟の景が実は秋成にずっと片想いしていたというのは
幼い頃の無自覚が愛おしいですし
大人(実はそうでもない)な秋成に追いつきたくて
早く隣に並びたいと思う若さは青春だなぁと思いました。
年下攻めってやっぱり素敵ですね。