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表題作化け猫にゃんにゃん恋の船頭

紀里谷嘉威,32歳,船関連事業主で大型船のオーナー
宮尾椎名,19歳,水難を予見できる化け猫憑きの青年

その他の収録作品

  • 化け猫にゃんにゃん恋を後押し
  • あとがき

あらすじ

化け猫憑きで水難の予知能力のある椎名は、大手の造船・海運企業を統べる王子様系のクールな美形・紀里谷に気に入られ…! ?

作品情報

作品名
化け猫にゃんにゃん恋の船頭
著者
真崎ひかる 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576181295
3.2

(9)

(0)

萌々

(2)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
29
評価数
9
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

猫憑きシンデレラ




両親が早くに亡くなって伯父たちにこき使われている受けが、海運業の社長の攻めに見初められるお話です。小間使いをさせられてるところだけがシンデレラで‪12時に魔法が解けたりしないんですがね。受けに憑いてる化け猫勘太郎が恋の船‬頭です。

<あらすじ>
瀬戸内の小さな島に住む宮尾椎名(受け)は先祖代々猫憑きの家系で、勘太郎という化け猫を憑依させる能力と船の命運を視ることができます。
江戸時代半ば頃から船の航行についてアドバイスを続けてきた勘太郎と宮尾の一族ですが、レーダーなどの発達により必要とされなくなり、オカルト的な勘太郎の存在を信じるのはお年寄りだけになってきました。
祖父から勘太郎を受け継いだ椎名は、両親を事故で早くに亡くし、伯父家族からも猫憑きだと罵られながら、高校卒業した今も伯父の寺の手伝いをさせられています。
そんなある日、お使いで島を出た際見かけた大きな船に気になる影を感じ見入っていると美形の男に声を掛けられます。どうにも気になって、ついこの船の航路についてアドバイスしてしまいます。
そんなことがあったことも忘れたころ椎名を探して、先の船のオーナー・紀里谷
(攻め)が訪ねてくるのです。
船の事故を予言した椎名に興味をもち、海運業をしていることもあり三毛猫の雄は縁起がよいと一人と一匹で東京に来るように誘ってくれるのです。
島の中で最低限の生活をしていた椎名はすべてのことが新しく驚きの連続で、紀里谷はそんな椎名を楽しそうに見、いろいろな体験をさせてくれるのです。


椎名は代替わりする物心つく前から勘太郎と会話できる稀有な才能を持っていました。そのため、両親の事故についても予言したのですが信用してもらえず、両親は亡くなってしまいます。身寄りのなくなった椎名は祖父が亡くなってからは伯父の家に身を寄せることになるのです。
猫憑きのことを信じる人が減ってきて、親戚にまで蔑まれるなかで、他人に興味を示さず勘太郎だけを頼りです。
誰の言葉もスルーしてきたのに、なぜか紀里谷の言葉には反応してしまい、何故だかわからず戸惑うのです(勘太郎はわかっていますが沈黙しています)


紀里谷は海運業の一族に生まれたオランダ女性と日本人とのハーフです。
父親を早くに亡くし、旧家の嫁に耐えられなくなった母親が帰国してからは唯一心許せたのは祖父だけで一族からは異分子扱いされ孤独だったと思われます。


プロローグ以外はすべて椎名視点なため、紀里谷の気持ちの変遷はよくわかりませんでした。
椎名に興味を持ち調べた結果、東京に家事手伝いをさせるという名目で連れて帰りますが、自分に似た孤独な境遇などに同情したからなのか、はじめから下心があったのかもわかりません。
ただ、下心があったといわれても不思議じゃないくらい最初から甘々でしたが、懐かない猫がちょっとづつ懐かせていくような気持ちだったのでしょうか。
できれば、もう少し紀里谷の気持ちを吐露するところがあってもよかったんじゃないかと思うのです。


椎名は役に立つと言われてついていきましたが、結局家事手伝いしかしてなくて(家政婦も雇っているので本当に家事手伝い)、せっかく船を視ることができるのに全くその能力が生かされてなかったのはちょっと残念。
勘太郎と話ができ憑依能力もあったためピンチをしのげたということはありましたが、せっかくの能力が今までまわりに信じられなくて使えなかったので、紀里谷のそばでそれを生かして欲しいと思いました。


三池ろむこさんのイラストがとてもお話の雰囲気にあっていて、男前な紀里谷に美人な黒猫椎名に勘太郎はふわふわのでか猫でとても良かったです。
特に勘太郎は抱きしめてモフモフしたいくらいかわいかったです。

1

猫様の存在感!

猫が主役といっていいほどの存在感+゚。*(*´∀`*)*。゚+

タイトルの「恋の船頭」は猫を指していて、
攻めと受けの恋を見守り、時には後押しする、まさに船頭さんです♪

受けの保護者のような立ち位置で
受けの態度や行動に失礼がある場面などピシャリと注意をしたかと思えば、
大好きな食べ物に釣られて尻尾フリフリしてる"ただの猫"になったり。
この塩梅が微笑ましくてホッコリします(﹡´◡`﹡ )
徳の高い猫様のお言葉は風流で時折美しい言葉が見られました。

受けは地元では"猫憑き"と忌み避けられ、
不憫な境遇がチラリチラリと見て取れました。
でも常に猫がいることが心強く、見ててツライまではなかったかな?
きっと本気で受けに危害が及ぶのであれば猫様が黙ってなかっただろうし。
1人ぽっちで耐えてた…という風でなかったのは良かったです♪

猫様の存在感が大きいせいか、攻めは少々影が薄く感じました。
これといって悪い部分が見当たらないトータル的には素敵な攻めです。

ただ、上に立つモノ特有の話し方は少々気になりました;
初対面で「おまえ」とか「連れてこい」と命令形だったりとか。
お坊ちゃまだけどだいぶ苦労してるせいか不遜さがチラホラ。
でも初対面の時以外は優しさが見えて途中から気にならなくなりました。

個人的に非常に萌えたのは、不憫な境遇ゆえに何も知らない受けが
攻めに初めての経験させて貰う度に目をキラキラさせてたとこ!
シュークリームさえ食べたことない子なのですよ(泣)
どうやって食べて良いかわからずおずおずして、一口食べてパァァァとするのにキュンキュン。
これからは攻めにいっぱい美味しいモノたべさせてもらいなさいね…(;///;)

1

雄の三毛猫は幸運の象徴

今回は造船海運業を営むオーナー社長と
化け猫憑きの青年のお話です。

親戚筋から虐げられていた受様が
攻様との出会いで居場所を得るまでと
化け猫の恋を絡めた後日談を収録。

受様は瀬戸内の小島の出身です。

古来、船乗りにとって
「雄の三毛猫」は縁起のいい存在とされ
船に乗せれば沈まないと言われていました。

江戸時代、
島に瀕死の状態で流れ着いた雄の三毛猫が
受様の先祖に助けられて死の淵から生還し
船の命運が視える化け猫となりました。

船の事故を予見する三毛猫・勘太郎と
化け猫憑きとなった者は
船に淀む暗い影を感じる力を得て
島民始め海に生きる者達に
貴重な助言を与える存在となったのです。

しかし、
漁船にも高性能レーダーが備わる現代では
「雄の三毛猫」信仰もすたれてきていて

勘太郎の声が聴ける猫憑きである受様は
先代の猫憑きである祖父と両親の死後
勘太郎ともども化け物扱いされて
引き取られた伯父の元で
肩身の狭い毎日を過ごしていました。

ある時、
受様は伯父の使いで向かった別の島にて
濃霧で船が出港できなくなってしまい
暇つぶしの散策で大型船に目をとめます。

そんな受様に声を掛けてきたのが
その船の持ち主だと言う攻様でした♪

攻様は日本人離れした美貌の主ですが
受様と勘太郎に気軽に接し
船内から操舵室まで連れまわします。

攻様を変わった人だと思いながらも
受様は船の航路に見えた災いを
水先案内人に伝えて下船するのですが

後日、攻様が受様のを訊ねて
伯父の屋敷にやってきて!?

ヒトから距離を置く受様が
勘太郎の助けで攻様との恋を実らせ
居場所を見つけるまでのお話です。

三毛猫信仰の衰えとともに
勘太郎の力は予見の力以外は
徐々に弱まっていました。

それでも受様にとって勘太郎と居る事は
とても自然な事でしたが廻りからは
浮いた存在になっていたのです。

そんな受様に関わってくる攻様もまた
父が愛した母が外国人だった為に
異端児扱いされて育ちます。

長じて祖父の遺産を継ぎ
事業を発展させている攻様を
やっかむ親戚もいる中、

攻様は立ち寄った島で出会った受様に
自身と同じ境遇を見て
閉じ込められている受様に
違った世界を見せようとします。

勘太郎も自分を幸運の猫として
歓待してくれる攻様に好意的で

2人が惹かれ合っているも
勘太郎にはバレバレですが
2人の仲はなかなか進みません(笑)

しかも2人は学生の頃に
受様の出身島で出会っているのですが
その邂逅は勘太郎しか覚えていません。

その邂逅をいつ思い出すのかと
ワクワク読み進める中、

勘太郎の誘拐事件が発生、
勘太郎があわや!?な山場を乗り超えて
大団円を迎えるまで楽しく読めました♪

受様と勘太郎の会話、
勘太郎の鋭いツッコミが絶妙にツボで
面白かったです。

あらすじ&表紙のイメージから
王子様な攻様に見出される
シンデレラな受様というラブコメかな
と思ったのですが

ほのぼの路線ながらも
お笑い要素はそう強くないので
ご注意くださいね (^_-)

今回はケモミミ受様つながりで
橘かおるさん『支配者は愛猫と戯れる』
をおススメします。
こちらの受様のケモミミは自前です(笑)

2

お猫様が格好いい

あらすじ買い。本当に水難を予知するお猫様とコミュニケーションできる男の子のお話でした。色っぽいお話は少なめで、せつなさ満点でもなく、恋愛話ばっかりでもなく、軽やかな、ファンタジー要素こみの優しいお話かと思いました。地雷は思いつかないです。「本編200Pほど+後日談26P+あとがき」でした。お気に入りは「カンタ」=お猫様です。

母親がオランダ人のため、アッシュブロンドで瞳も青みがかったグレーの紀里谷。友人に頼まれて合コン兼新しいクルーザーのお披露目に出かけたはいいものの、途中でエンジンの調子が悪くなり、ある島に立ち寄ります。そこでデカい猫と少年に出会い、「あの船、沈むよ、気を付けて」と言われ・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
勘太郎=カンタ=200年ぐらい生きてる猫(椎名と会話するが周りの人には「にゃあにゃあ」鳴いてるだけのように聞こえている模様)、攻めの従兄弟ぐらいかな。

**以下は攻め受けカンタについて

攻めさんはいわゆるスパダリさんなんだろうと思います。いい人だし、ちゃんと攻略法を考えてじっくり陥落させようとゆっくり頑張ってるんでいいのですが、受けに惚れたポイントというかタイミングというか、そのあたりがなかなかピンときませんでした。いや、好きになってるんですよ、でもいくら可愛いとはいえ、なんかこれだという瞬間についてもう少し強いものがほしかったな・・と少し思います。まあ色恋なんていつの間にか始まることも多いんだろうけど・・

受けさんは良い家庭環境ではなかったので、色々あきらめていたのを、攻めさんに連れ出されて・・ということで、ヒナの刷り込み状態では?という気が少々。好きなんで役にたちたい!と健気になるのはよーく分かるのと、弱っちい感じではなくメンタル的に逞しいようなので好印象でした。

それよりなにより好きだったのがカンタ。人知を超えた存在なんだけど、達観した様子に「おお」と思うところもあり、でも妙に人間臭く、ちゃんと猫っぽいところもあり、めっちゃ面白い!!!!水族館に行ったときに「あの蟹は食せるものなのか?」等と聞いてくるエピなんかは、水族館あるあるじゃーん(笑)と思ってとっても楽しかったです。
そんなカンタが取り持つ縁だったということで。

ファンタジー好きで、猫好きな方でしたらおススメです!

2

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