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表題作一度なくした恋の続きを

加賀誠一郎・ベーカリーオーナー・緑川の同級生
緑川桂・ベーカリーコンサルタント・32歳

あらすじ

ベーカリーコンサルタントの桂は、指名してきたクライアントの顔を見て驚いた。
大学時代の親友で、恋人でもあった誠一郎だったからだ。
突然の再会に動揺したものの、仕事と割り切ろうと決意する。
けれど、顔を合わせるたびに当時を思い出してしまい気持ちは乱れる一方だ。
そんな桂に、過去の関係にきっちり決着をつけようと、
誠一郎から提案された方法とは……! ?

作品情報

作品名
一度なくした恋の続きを
著者
宮本れん 
イラスト
天路ゆうつづ  
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
ISBN
9784775528105
3.2

(25)

(2)

萌々

(9)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
77
評価数
25
平均
3.2 / 5
神率
8%

レビュー投稿数6

攻めがめちゃくちゃ好みだった〜!

タイトル通り、元恋人同士による再会ものです。
大学時代の恋人同士が仕事をきっかけに再会し、しまいこんでいた過去の恋と向き合う……。

もっともしまいこんでたのは受けだけで、攻めは一途な思いを抱えてパン屋さんにまでなっていたという。

こういう一途な、人によってはキモいと思うかもしれないけど執着しまくってる攻めが好きなので、とても楽しく読めました。
こういう攻め、好きだーーー!!と叫びたい。

が、なぜ萌えどまりかというと、受けに対して、はぁ??と思うことがしばしあったので……。

まず10年前とはいえ、別れた時のことはうろ覚えってそりゃないでしょ……と。
トラウマ級の出来事があってショックのあまり記憶を捏造とか、努めて忘れるようにしていたのか?と思わず深読みしちゃったけど、自分の都合の良いように忘れていただけというのが、何だかなぁ……で。
自室の羊のぬいぐるみも攻めからもらったものだというのも忘れてたし……。

受けにとって、攻めは「忘れたくても忘れられなかった」という訳ではなく、所詮その存在程度に思えてしまいました。。。。

あと過去の関係にきっちり決着をつけるために、期間限定の恋人ごっこをするというのが、読んでて頭の中???でいっぱいで……
そんな変な事を言い出してでも、なんとか受けとの繋がりたかった攻めという視点からだと萌えるんだけど。

でも受けがそれを了承して、そしてまた別れは自分から告げようとか決意してる姿を見ると、こいつはま〜た一人で勝手に結論だして……!!としか思えなかったです。
勝手に思い込んで別れてしまった10年前と成長していないというか……。

私としては「期間限定と言われてたけどお前のこと好きになっちゃった……だからもう二度と別れたくない!!」と今後は受けから体当たりの告白してもらいたかったわ。

1

一途な想い

昔終わった恋が再び動き出すお話ってロマンティックですね。
しかも元カレの誠一郎がどれだけ一途なのか序盤からまるわかりです。
ベーカリーショップのこだわりは桂が好きだった食パン、
店に使われている木材はカツラの木、
店名は“石釜ベーカリーK”…。
当の桂は誠一郎に言われるまで気づかなかったようですが
これだけお前のことしか考えてないってわかってあげなよぉおお!!と
そういう意味でもだもだしました。
桂はコンサルタントとして誠一郎の店を立て直さなければならないし
過去に誠一郎を傷付けてしまった事を後悔したり
ハイスペックで優しい後輩に口説かれてたりでいっぱいいっぱいだったのもわからなくないですが
あまりにも誠一郎がブレなさすぎたので
これからどうなっちゃうんだろうという心配は全くありませんでした。
期間を決めてもう一度ちゃんと終わらせる為に付き合うという誠一郎の提案も、
終わらせるつもり無いくせに、桂を手に入れたくて必死だったんでしょうね。
誠一郎の幼馴染の存在もある程度桂を焚きつけるきっかけになるかと思ったら
わりとあっさり桂を認めてくれてちょっともったいなかったかな。

ハラハラしないで読める、攻めが一途なお話をご所望の御方にはぴったりかもしれません。

1

もう一度同じ人に恋をする




ベーカリー専門のコンサル会社で再生コンサルを担当する緑川桂(受け)。
指名され担当することになったクライアントは大学時代の恋人だった加賀誠一郎(攻め)。
何故別れることになったのさえも忘れてしまった相手が自分を指名してきたのか理由がわからず最初は戸惑うのですが、仕事と割り切り誠一郎のパン屋の再生に力を注ぐことにするのです。
誠一郎に再会したことにより否応にも意識が大学時代に戻ってしまい、実は忘れてしまったのではなく忘れようとして意図的に忘れていたしこりの残る終わり方だったことを思い出すのです。
誠一郎を傷つけたことを後悔する桂に誠一郎は期間限定で恋人として再び付き合いきちんと別れようと提案してくるのです。


きちんと終わらせようと付き合うことになり、止まってしまった時間が再び動き出しますが、二人とも大人になった分余裕をもった付き合いができ穏やかな時間を過ごすことができます。
二人の間に特筆する出来事があるわけではありません。
そのため、再び好きになったというよりは、昔のことを思い出し好きだったのに相手を信じられなくて別れただけだったことを思い出し好きな気持ちが甦ったという感じでした。

誠一郎とその幼馴染との仲を邪推してさえいなければ別れることにはならず、ちょっとタイミングが悪かっただけかもしれません。
でも、この10年という時間で二人が離れて大人になったからこそ二人はお互いを思いやりながら相手の幸せを願う気持ちと共に二人で一緒にいようと決断できたのではないかと思います。

それにしても最後に明らかにされた誠一郎の執着具合はすごいです。
桂が好きだという食パンの味を受け継ぐためにと桂のお気に入りのパン屋に弟子入りし、店の名前や内装まで再会するかわからない桂のことを考え続ける執念には感服です。
病んでないのにここまでできる一途さに驚きました。


ちょっと不満だったのは、誠一郎の幼馴染の朝日奈の行動です。桂と別れたときの傷ついた誠一郎を見ていて心配する気持ちもわからないでもないけど、30過ぎた男二人の間に入って「傷つけたら許さない」とか「仕事以外ではつきあうな」とか余計なお世話だし、嫌な感じがしました。

話としては王道ですが、誠一郎の執着がとても心地よいものだったので、こんなに愛されて桂は幸せだなと思え、読了感もよかったです。

3

心の奥底に沈ませた彼への思い

今回は
大学時代の元カレのベーカリーオーナーと
ベーカリーコンサルタント会社の課長補佐の
お話になります。

受様が経営難の攻様の店を上向かせ
攻様との恋を再び手に入れるまで

受様はパン好きが高じて
ベーカリーオーナーを対象に
経営方面からアドバイスを行う
コンサルティング会社に就職します。

日本人の主食として根付いてきた昨今、
美味しいパンが焼けるだけでは
スタートラインに過ぎず
走り続ける為の伴走者として
受様の会社は業績を伸ばしています。

入社して10年目、
仕事は忙しいけれどやりがいがあり
楽しいので気力は充実しています。

受様が得意とするのは小さな店で
小規模店舗を担当するうちに
店の再建を担う新チームの立ち上げに
手腕を買われて引き抜かれます。

そんな中、受様を指名して
自店の再建をしたいという
新しいクライアントが現れます。

その依頼者こそ受様の元カレであり
今回の攻様になります♪

受様と攻様は
大学時代の同級生で1年間だけ
恋人として付きったかつての親友で
異性愛者の受様が唯一絆された
同性の恋人でした。

攻様は大学時代に
アルバイトをしていたパン屋に
そのまま就職したと聞いてはいたものの
再会するのは実に10年ぶりです。

日々精進する職人としての厳しさを
感じさせる男になっていましたが
3年前にオープンしたという店も
彼のこだわりの溢れた店でした。

攻様のみせは再開発で
大型モールが誘致されたために
少し前から人気が出たエリアでした。

環境変化すれば客層が変わり
求められる役割も変化する為
商品も変えていく必要がありますが
攻様は良いものを作っていれば
続けていけると思っていたようです。

攻様は自らに商才がないと言い
なかなか大変そうです。

そんな受様の様子に攻様は
自分の仕事は受けたくないのか
10年たっても避けるのかと
煽るようなことを言われて
つい剣呑な声が出てしまいます。

俺が繁盛店にしてやる
やってみせりゃいいんだろ

厳しい条件でも窮地に立たされた
攻様を無視する事も出来きず
勢いよく啖呵を切ってしまいます。

そもそも攻様と親しくなった時も
受様のお節介な性格が
きっかけだったのです。

受様は自分を慕う後輩社員とともに
受様の再建計画に乗り出します。

果たして攻様の店は
盛り返す事が出来るのか!?

誤解から別れた恋人同士が再会し
またお互いの手を取るまでを描いた
王道な両片思いの恋物語です。

受様は異性愛者のノンケですが
攻様は同性愛者のゲイです。

攻様は受様と知り合った時から
受様を良いなと思っていて
攻様の性思考が噂になった時に
唯一変わらずに傍にいた受様に
恋をします。

受様は友人の延長として
攻様の恋人になりますが
攻様に好きな相手が出来たと誤解して
徐々に疎遠になった結果
2人の恋は自然消滅的に終わってします。

しかし、
ある野望を持って店を持った攻様は
徐々に傾く自店を持ち直す策を
ベーカリー専門のコンサルタントとなった
受様に求めます。

受様は攻様の店に通い
攻様がどんな思いでパン職人になり
自店を持ったのかを知るにつれ
大学時代に過ごした攻様との時間の
心地よさを思い出していきます。

読者的に視ればそれぞれが
互いに思いを寄せる両片思い状態なので
このままゆるっ~と
恋仲になるのかと思いきや

かつて受様が攻様のとの仲を疑った
攻様の幼馴染である年上の銀行マンや
受様を慕うガッツのある後輩社員が
2人を揺らす存在として登場♪

受様が攻様への気持ちをあらため
お互いの気持ちを確かめ合い
攻様の店が人気店へと変わるまで

受様と一緒にぐるぐるしながら
大変楽しく読ませて頂きました。

攻様は早くから
同性に惹かれる自分を自覚しつつも
理解してくれる人がおらず
なかなか自分の思いを口にできず

受様は初めての同性との交際に
自分の何気ない言葉が
どう受け止められるかを知らず

大事にしているからこそ
口にできない事もありますよね。

そんな微妙で繊細な思いが
丁寧に描かれていて
とても胸を打つお話でした。

攻様の本気をしっかりと知った受様は
攻様に好かれている自信をもって
攻様に幸せにしてあげられるでしょう。

攻様の受様への愛のこもった角食、
私も食べてみたいな (^-^)

あと受様の後輩君の恋バナも
ぜひ味わう機会が欲しいです。

今回はベーカリー繋がりで1作、
凪良ゆうさん『お菓子の家』をおススメです。
しんみり切なくがっつり泣けるお話です。

5

会いたい。会って顔が見たい。それだけでいい・・・。

こちら、しっとり読ませる大人の恋愛です。
もうすごく良かったですね~。
不意打ちでホロリとさせられるシーンなんかもあったりして。
宮本先生の作品ですが、ほのぼの可愛い系のお話しか読んだ事無かったんですよね。
しかし、こんなほろ苦くて切ない、落ち着いた雰囲気の作品もお上手なんだなぁと感嘆しました。
傷付けた過去はやり直せないけど、それでももう一度、二人で「恋」はやり直せる。
そんな、二人の軌跡が心に沁みる作品。
とても心を動かされました。


内容ですが、大学時代の恋人でクライアントの誠一郎×ベーカリーコンサルタント・桂による、超拗らせ再会ものです。
ベーカリーコンサルタントとして辣腕をふるう会社員・桂。
そんな彼が10年前に自然消滅した元恋人・誠一郎と、仕事上で再会した所から話はスタート。
経営の思わしくない誠一郎の店を立て直すと言う桂の業務に伴い、ぎこちなかった二人の距離が近付いていく様。
そこに並行して、10年前の二人の過去が桂の追憶と言う形で語られます。

で、こちら、とにかく切ないんですよね。
すっかり誠一郎の事を、記憶の底に沈めていた桂。
それが、再会した事により、蘇る想いの数々。
楽しかった事も、辛かった事も。

互いに10年と言う月日が経ち、大人になった彼等。
これ、誠一郎はゲイで、桂はノンケなのです。
真っ直ぐで曲がった事が嫌いな桂ですが、誠一郎と付き合った当時は22才。
まだまだ未熟だったんですね。
当然、それは誠一郎も。
そんな未熟さから、二人はすれ違ってしまった・・・。

再会した二人は、大人になった分、上手に付き合い始めます。
そんな穏やかで楽しい日々の中、桂の過去を振り返っての悔恨が切なくて切なくて。
幸せそうな家族を見て、素直にうらやましいと口にしてしまった時-。
今になって、誠一郎をひどく傷付けたんだろうと、強い衝撃を受けるんですね。
もう、若かったんですよ。
まだ未熟で、そこまで相手の気持ちに考えが及ばなかった。
そんないくつもの未熟さ故のすれ違いを重ねて、二人は別れてしまった・・・。
これ、出会ったのが今だったら、こんな事にはならなかったんだろうと思うと、切なくて切なくて・・・。
だって、二人が愛し合ってたのは確かな事実なのだから!!

で、そんな過去に囚われている二人が、もう一度付き合う事から始めて、別れる所までしっかり経験する。
そして過去の恋に決着を付ける。
期限は桂がコンサルタントを担当する1ヶ月間でー・・・と言った流れになります。

まぁ、オチは予想がつくんですけど。
ただ、もう一度「恋」をやり直してる二人がとても甘酸っぱくて、読者としても嬉しくて嬉しくて仕方ないんですよね。

あと、当然1ヶ月後に別れると言う取り決めは切ないのですが、ここで見せる誠一郎の深すぎる愛情がいい。
「こんなに一途な男は他にいないぞ」と冗談にして桂を笑わせるのが、またいい男なんですよね。
また、誠一郎がパンを作り続けてる理由が良いのです。
大切な人の「美味しい」と言う笑顔が見たい、離れてしまっても変わらない「もの」を守り続けたい-。
これ、誠一郎に限らず、誰しも食事なんかを作る時の原点ですよね。
自分だけならカップラーメンですよ。
そう、彼は相当な執着系であると共に、一途で深すぎる愛情では誰にも負けない健気攻めなのです!!

こちら、グルグル悩む主人公が苦手な方には合わないかもしれませんが、個人的にはその思い悩む部分こそにグッときました。
こういう、しっかり心情が掘り下げてある作品がたまらなく好きです。

と、超素敵な作品でした。


10

三日月ロック

ぴれーね様

はじめまして。突然のコメント、すみません。
ぴれーね様のレビューを拝読し、こちらの作品にとても魅力を感じたのですが、評価が「神」に届かなかった理由を聞いてみたい…と思ったりなんかしまして。

差し支えなければ教えていただけないでしょうか?感覚的なもの…とかだったら、言葉にするのは難しいですよね。
ポイントレースでお忙しい時期かと思われますので、面倒くさかったらスルーしてくださいね。

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