SS付き電子限定版
作家買い。
倫敦さん作品はドシリアスだったり、コミカルだったりエロ満載だったりしますが、今作品はコミカル寄り。コミカル寄りですが、でもコミカルだけな作品でもない。コンプレックスを抱え、それでもなお、それを乗り越えていこうと奮闘するDKたちのお話でした。
主人公はDKの千歳。
彼はぶっちぎって優秀な頭脳を持ちながら、性格には難あり。とかく効率を求め、無駄なことはしたくない。口は悪いし、かつ独断的、俺さまな性格でもある。
千歳には双子の弟・万里がいる。
双子でありながら、見た目は全く似ておらず、将来有望な柔道の選手でもあり礼儀正しく温厚な性格。
そんな万里に勝つために、将来のビジョンを事細かく展望し、そしてそれに向かって邁進している千歳。その夢のためなら手段を択ばない。周囲の人たちからは「性格が悪い」と言われているし、自分でも自覚している。
そんな千歳に万里の柔道部の後輩の信吾が声をかけてきた。柔道が強くなりたいから指導してくれ、という。信吾は努力を忘れない努力家だけれど、でも、柔道は全く強くない。万里に心酔している信吾は、千歳に万里と同じ指導をしてほしいというのだが―。
千歳が万里にライバル心をむき出しにしているのは、彼のコンプレックス故。
子どもの時に柔道を始めたのは千歳が先だった。けれど、身体が弱い千歳はドクターストップがかかり柔道を断念することに。対して万里はたいして努力もしないのに柔道も強く、そしてなんでもそつなくこなすことが出来る。
と書くと、千歳と万里の中は悪いのかと思いきや、この二人は実は非常に仲がいい。千歳は口が悪いのでポンポンと罵詈雑言が飛び出しますが、万里のほうは千歳のことが大好きなのです。
そして、彼らの両親も。
二人の息子をよく見ていて、適材適所を貫いている。両親に差別する意思は全くないんですね。
けれど、自分が出来ずに諦めたことをやることが出来る万里に、千歳はコンプレックスを抱えている。でも、卑屈になるだけではなく、彼は自分でできることが何かを考え、そして実行し、そして達成する。その彼の強さがとても素敵なのです。
読み始めたとき、万里×千歳、というCPが出来上がるのかなと思ったんです。コンプレックスの裏返しで素直になれない兄(千歳)を広い心で見守り続けてきた弟(万里)、みたいな。
が、その予想を裏切る展開でした。
素直になれない千歳が、自分の気持ちに素直になり、自分のコンプレックスを受け入れ、そして恋をした。
そんな風に成長できたのは、後輩の信吾くんのおかげ。
信吾くんは、ザ・天然ちゃんです。
それゆえに裏表がなく、天真爛漫。
ちょっとアホな子なので彼の言動から誤解を招くこともあるのですが、それすらも愛おしい。柔道が弱く、でも、それを自分の中で咀嚼し、諦めることなく理想に向かって歩むことが出来る。
万里、千歳ともに、信吾くんが好きなのは万里だと誤解しているのですが、その誤解がコミカルな展開を生みつつ、BL的な萌えツボもあり、切なさもあり、とストーリーに奥行きを与えています。
そして万里も。
寡黙な男の子なので感情を露わにすることはあまり無いのですが、それでも彼の千歳への愛情が言動の端々に見えている。カッコいいんです。なんでも完ぺきにこなせる彼ではありますが、それでも彼も様々な葛藤やコンプレックスを抱えている。でも、そのすべてが、千歳に起因してるんですよね。彼の全ては、千歳にためにあるといっても過言ではない。
あとがきで倫敦さんが「千歳はある意味総受けで~」と書かれているのを見て納得。初めに万里×千歳、と感じたのはあながち間違っていなかったんだなと。
というか、千歳と信吾くんの濡れ場で、千歳が攻めなのにちょっとびっくりしてしまいました。絶対受けだと思って読んでいたので。
三者三様の悩みを抱え、でも自分の力でそれを乗り越えていこうと奮闘する。そんなDKたちのお話でめっちゃ萌えました。
時にシリアスな展開になったりもしますが、登場人物たちがみんな優しく、そして強く、たくましい。それゆえに、愛に満ち溢れたストーリーでした。
クール男子の万里が、千歳をストーカー紛いに見つめている描写に爆笑。ぜひとも彼メインのスピンオフを描いてほしいな。
とにかく何もかもがツボにぶっ刺さる萌え作品でした。文句なく、神評価です。
相変わらず根底にどこか暗いものを潜ませつつ、
カラッとしたギャグと気持ちのいいラストで締めくくられ、
最後には面白かった!vと本を閉じさせる巴里子さん!
流石です!
そしてやっぱり好きですv
歪んだ兄に、更に歪みすぎてる弟、
そこに飛び込むまっすぐできらきらな後輩という
微妙な三角関係が面白いですが、
そのうち万里君にもいい人見つかるといいなぁv
三人三様のキャラが面白いし、
BLの主人公らしくない主人公千歳が可愛いv
そして三人共に諦めない前向きさが清々しい・:*
攻めは千歳だけど、千歳総受けって、なんだかとても納得v
しかし、巴里子さん初読みの人には
ぶっ飛び加減がちょっとハードル高いかも⁈
そこを乗り越えて是非こちらに来て欲しい!vvv
とにかく巴里子さんのファンなら読むべしの一冊。
評価はやっぱり「神」で!
やっぱり最高。
倫敦巴里子先生の描く男の子たちはプライドが高かったり、コンプレックスを抱えていたりしていて凄く人間味があって最高。そんな中で自分の恋心を自覚して覚悟を決めていく様がかっこいい。絵が素敵なのはもちろん、セリフが洗練されているので、めちゃくちゃ丁寧に読みたくなる。
今作、周囲の"普通の幸せ"を内面化しているのを、自分の論理で押し返して幸せを勝ち取る様が見ていてかっこいいし気持ちいい。
メインキャラクターは三人。双子で頭脳明晰な兄千歳と、柔道で優秀な成績を収める弟万里。万里に憧れる柔道部後輩の磯貝。
磯貝が千歳に接触したことから始まるすれ違いラブコメです。
恋に落ちるまではわりと爆速ですが、話の展開が面白かったです。
二話目までは、兄視点で“兄→後輩→弟”の構図で話が進み、二話目ラストで兄が後輩を強姦。三話目で話が遡り、後輩視点で強姦されるまでの心の動きを描写、強姦の時点で兄と後輩が両想いと発覚。四話目からは、“兄→後輩→弟”と思い込む兄、兄との関係を弟に隠さなければならないと思っている後輩、二人の邪魔をする弟、というややこしさで話が進みます。
私はアンジャッシュタイプのすれ違いがめちゃくちゃ好きなので、この作品もすれ違いラブコメとして凄く楽しめました。
キャラの心の動きが忙しいので勘違いの状況を書き記す事が難しいのですが、兄と後輩の恋愛と兄弟間の嫉妬や執着の絡め方が絶妙で面白かったです。
キャラも可愛かったです。
後輩くんはとにかく真っ直ぐキラキラで凄かった。キスされて尊敬が恋に変わり、セックスして両想いだと思っていた相手に、「(弟から)何か一つ取ってやりたかっただけ」と突き放された瞬間が可哀想でした。それでもめげない所が本当にすごい。
私はこういう真っ直ぐ過ぎるキャラが苦手なのですが、ウワ! 苦手! と思えたところが凄くよかったです(笑)
特に兄への理解力で弟を凌駕したシーン。相手を言い負かすとかマウント取るとか何も考えず、とにかく真っ直ぐ発言しただけなのに勝手に相手が負けた感じが凄く良かったです。
兄は二話目ラストで後輩を強姦しますが、これが物語として物凄いインパクトを残してくれました。このインパクトのおかげで、三話目の後輩視点がより映えたと思います。
強姦については両想いかつ後輩が能天気だったので不問になるのですが、三話目ラスト時点でのやっちまった感が凄かったです。溜め込んでる人の暴走ってヤバイなと思いました(わりと常に暴走気味だが)。
そして弟。めちゃくちゃかわいかった。描き下ろし含めて面白かったです。
どうでもいいのですが、エロシーンについて。
エロい事を学校でしかしないので少ないエロでもインパクトがありました。教室での強姦も驚きましたが、屋上でエロいことをする時、二人の背後に隣接する建物の窓が見えるので色々と心配になりました。
大丈夫か未来の総理大臣……!!!
気持ちいいほど合理的な思考の攻め千歳くん
不条理な難題を受けの磯貝くんにふっかけるけれど
罪悪感を感じてファミレス奢るのに揺らぐ男子高校生の心理を感じました。
弟にコンプレックスと尊敬の気持ちを併せ持ちとっても人間味溢れる魅力的な主人公です。
前半どっちが攻受けか私はわからずドキドキしてましたが、わかった時には
「俺は 初恋すら上手くできないのか」
の胸を締め付けられる言葉...
常時コミカルに話が進むなかでも、男子高校生の葛藤と衝動をみて、あの頃の甘酸っぱい気持ちを思い出しました。