高い志を持つ王太子×聡明な元側室+大国の王が織りなす国と恋を巡る物語

小説

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後宮を飛び出したとある側室の話

koukyu wo tobidashita toaru sokushitsu no hanashi

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表題作後宮を飛び出したとある側室の話

ラウル、オルテンシアの王太子でアローロ王の甥
リード、前世の記憶を持つ青年でアローロ王の元側室

同時収録作品後宮を飛び出したとある側室の話

リケルメ、賢王と名高い大国アローロの王
リード、中位貴族の庶子ながら王に望まれた側室

その他の収録作品

  • 掌編
  • あとがき

あらすじ

現代から転生した側室のリードは、国王に寵愛されるも馴染めずにいたが、王が新たな側室を迎えることを知り、出奔することに。しかし逃亡先の隣国で王太子・ラウルから「国を変える手伝いをして欲しい」と請われ…?

作品情報

作品名
後宮を飛び出したとある側室の話
著者
はなのみやこ 
イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
Ruby collection
発売日
ISBN
9784041077399
3.8

(44)

(22)

萌々

(9)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
8
得点
160
評価数
44
平均
3.8 / 5
神率
50%

レビュー投稿数8

凄く面白かったです!

はなのみやこ先生の作品は「虎族皇帝の果てしなき慈愛」に次いで読むのは2作目なんですが、あちらも素敵でしたがこちらも凄く面白かったです。

リケルメ派の方が多いと思いますが、私は断然ラウル派でした。年齢を重ねた狡猾さより青臭い若造の真っ直ぐさが凄く眩しかったんです。

確かにリケルメが唯一欲したリードを手放さなければならなかったのは、とても気の毒だと思いました。
でもこれってどうにもならないんですよね。ただ1人の者になれないリケルメと、どんな事をしてもただ1人を選びたいと決意したラウル…。

既に王になると決まってた者と、王になる筈だった者が亡くなって王にならなければいけなかった者の差だったとは思いますが、掌編のリケルメ視点を読めばリケルメの犯した過ちを知ることとなります。

もの凄いボリュームで読むのに2日掛かってしまいましたが、多くの登場人物の名前や人間関係や国の繋がりなどに頭がこんがらがること無くスッと入って来ました。

4

求めるものを持っていた人と出会えた物語

「小説投稿サイトで連載されていた作品の書籍化。初めての創作小説。名実ともに処女作でありデビュー作」
レビューで絶賛されているので、電子版を購読。

主人公・リード(リディア):
教授の側室の子。向学心旺盛で聡明。黒髪、碧眼、白い美肌、バランスの良い肢体。物おじしない可愛らしい性格の美少年。才気豊かな麗人に育つリードは、何処に行っても、権威を持つ者から愛を寄せられます。リードは、自分の容姿に無頓着な人タラシ。

最初の恋人・リケルメ;アローロ国の国王は、自分自身に力を持つ英雄タイプで、不足がない。初恋の人であるリードを過保護に匿う。リードの才能を必要とせず、外部からリードを遮断して、他人に奪われないように囲う愛し方をする。
★アローロの国王が、10才のリードに恋をした訳は、巻末の短編に王視点の一節があります。王は孤独でした。

二番目の恋人ラウル:出奔して出会った隣国の王ラウルは、リケルメの甥。リードより年下。自分の足りない所をリードに補ってもらいたいと、リードの智慧を求めたので、己を活かせる場所を得たリードは喜んで、隣国の王の愛を受け入れます。
---
10才で国王から望まれて後宮に入り、側室として13才から9年間、隔離された環境で育ったリード。生母の訃報をうけて、更に男の新しい側室が入り、寵愛が離れる気配を感じます。生母から受けた手紙の内容から、自由に生きることを決意。
王に男性の側室と王が夏至の祭典に出かけた日、国王の愛を失う前に離れたいと、隣国へ出奔。

男性の側室のリードは子を生めない、その代わりに貢献の喜びを求める。子を生めない自分を悲しんで、物ではなく、心を求めたリードに対して、アローロ王は、愛し方を失敗したことに後から気づきます。
子を生めない寂しさを埋める他の何かを与える(才能を活かす為に文官に就任させる)ことを気づいて居ながら、手放したくなくてしなかった。逆に、リードにやきもちを焼かせようと試みて、リードの心を潰してしまいます。
アローロ王は、溺愛していたのに、逃げられちゃって気の毒でした。人気者が初めて嫌われる体験をしたのですから、辛かった筈。心情描写が細かいので、王の喪失感と悲しみを読んでいて深く感じてしまいました。

リードが逃げた先は、隣国の修道院。そこで子供達に文字を教えていたら、隣国の国王の眼に留まり、国の農村部と都市部の格差を解消して、国民の生活水準の底上げをしたいので、国造りを手伝ってほしいと申し出を受けて、サポートをすることになったリード。そして、隣国の国王から求愛をうけて・・・と展開します。

恋愛が土台の物語で、面白かったのですが、幾つか自分の中で折り合い付かない疑問がありました。
★疑問:
リードには、前世の記憶がある
現代の日本人で、大学を卒業後に飛行機事故で早世している。
その後に、アローロ国の国王の側室に入る生を送り、側室に荻野式を教えてあげたり。
・・・現代の日本から、馬しかない中世を思わせる時代に再生するって、過去の時代に生まれ変わったということ? 時代を逆行した過去への生まれ変わりって、可能なのかな。それは、生れ変りというより、過去世にタイムワープか、異世界にいった物語と書いた方が、スッキリ分かりやすいのでは?
この点以外は、スンナリ受け入れられる筋書きでした。

★読むときの注意点:
連載時の作品をそのまま書籍化しているので、人物と粗筋の説明が冒頭に必ず重複繰り返しされているので、くどい。その分頁数が増えています。焦れやすい人には向かないかもしれません。じっと我慢で読む必要があります。

続篇の「その後の後宮を飛び出したとある側室の話」・・が、角川ルビー文庫で試し読みが可能です。面白そうなので、購入しました。

9

とある側室がたった一人の唯一になる話。

 他の方もおっしゃってますが、飛び出すことになった後宮の主である王、リケルメの存在感が大きいわー、の感想につきます。


 受け様は大国アローロの名君と名高いリケルメに見初められて男ながら後宮にと望まれ、寵愛されていたリード。
 どんだけ出来杉くん設定なんだってつっこみたくなるくらいいい子過ぎな気がしないでもなかったのですけど。

 攻め様は後宮を飛び出したリードが行き着いた先のオルテンシアの王太子ラウル。


 読み出してしばらくはリケルメのリードへの溺愛っぷりにあてられました。
リードを心から愛しく思っていても、王という立場が側室の1人でしかないリードだけを愛することはできないリケルメ。
そんなリケルメの立場を慮ってはいても、愛し愛される唯一の相手が欲しい、そんな唯一の存在に自分もなりたいと願ってしまうリード。
 
 そんな2人の甘やかだけど切ない関係を見てきただけに、本命である攻め様のラウルへは、そんじょそこらのヤツには任せられんって気持ちになってしまいました。

 リードとラウルの出会いは最悪なもので、なんだコイツ、と再読のたびにムカついてしまうのですが。
 リードの博識ぶりと聡明さを認めて、ラウルから自分の片腕としてより良い国つくりの手伝いをして欲しいと乞われるのは、気分よかったです。
一緒に過ごしていく内にリードに惹かれていくラウル。
堅物とも思えるラウルが真っ直ぐに愛を伝えるところはよかった。

 それでも、一番私のきゅんが爆発したのは、リードとリケルメが再会したところだなぁ。
リケルメの執着心、最後にはリードの幸せを願う包容力。
大人の男のかっこよさがはなまるです。
退宮の儀のシーンはイラストのきゅんさも相まって、胸に染みました。

 最後の「掌編」では、リケルメ視点のお話になっていて、めっちゃ興奮でした。
そうそう、こんなお話大好き。


 リケルメ贔屓なレビューになってしまいましたが、ラウルにはこれからの伸びしろに期待大です。

 上下2段の475ページにおよぶ分厚い本でしたが、とても楽しく読ませてもらいました。

7

王様が断然よすぎた

ボリューム感たっぷり!
文字の大きさにもよると思うのですが電子だと1000ページ近くありました!
設定も好きだったので値段は高かったですが3回くらい迷って購入。

私は最初あたりの後宮で王様から愛されてる部分が一番好きでした…
読み進めていっても王様贔屓入ってしまう…
なんせ王様に全然悪いところはないし、主人公のことを心から愛しているので…
その人の唯一になりたいって所からしたら、国が一夫一妻制で既に王妃様がいるから仕方ないことだとは思うんだけど、間違いなく誰よりも愛されてるんだよなぁ…
愛されることが許されない隠した関係でもなく、正式に側室として愛されてることは誰からも認められてるし。

王様と再開した時も、もう一波乱あったらよかったなって気持ち。
話し合いで和解(?)してしまった…

人それぞれの趣味によると思いますが、今回わたしは王様以上に主人公とくっつく殿下に魅力やすっごい好きになる展開を感じれなくて王様と和解した所で本閉じちゃいました…(´;ω;`)
それ以降に素敵なシーンがあったらすみません。

最後の方に王様視点があるとレビューでみたのでそれは読んできます。

1

好きだなあ

香坂あきほ先生の挿絵が好きで購入。4センチはあろうかという厚さで持ち運べず、積み本と化していたのをようやく読めました。めっちゃ好きなキャラがいたので神に近い萌2。リケルメ大好き・・・。webで発表していたお話を加筆修正した本編2段組440Pほど+リケルメ視点の後日談23Pほど+香坂先生のラフ1P+あとがき。(以下長文ごめんなさい)

10歳でリケルメ王に出会い、13歳で後宮に入り、15歳から頻繁に床を共にしてきたリード。王には王妃もいればその他の側室もいれば後継ぎとなる立派な王子も王女もいるのですが、なぜかリケルメはリードをとっても愛しんでいます。なのに!!ある日、リード以外にはいない男の側室をリケルメ王が新たに迎えるということを聞かされ!!!そしていつもリードと一緒に出掛けてくれていた夏至祭を、今年はその新しい男性の側室と一緒に行くということになって!!!!少しずつ思うところがあったリードはその日後宮からいなくなり・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は山盛り。web小説の宿命か?しかも全員カタカナで「あんた誰」多し。
爵位呼び、ミドルネーム等がないだけまだましか。
アローロ国(攻めのリケルメの国)
マリアンヌ(王妃、ええ人)、マクシミリアン(王子、リードの4歳下)、その他側室、ルリ(侍女)
受けの父、義母、母:フレッド、ナタリー、セシリア(故人)

オルテンシア国(攻めのラウルの国)
攻めの父、母:リオネル、レオノーラ
フェルディナンド(攻めの兄、故人)、ナターリア、セドリック(フェルディナンドの妻子)
マルク(攻めの幼馴染、騎士団関係)、サビオラ(文官)、エンリケ(将軍)、ミレーヌ(エンリケ妹)

自由な人:フェリックス(大商人)、ジャスパー(医師)
まだ他にもいますが、活躍する方はほぼカバーしているはず。様々な人との様々なエピソードを最後のゴールに向けて積み上げていくという感じで、人が増えている印象です。

**好きだったキャラ

リケルメがすごく好きだったんです。逃げて行ったリードを秘密裡に探させて探させてようやく再会したと思ったら、むんずと腕をつかんで「帰るぞ」  きゃああ!!!!!
帰る帰る一緒に帰る!と私は叫んだのですが、リードは違う人生を選んじゃいました(ぐっすん)。

既に優しく素敵な王妃様も子供もいて、大国を治めていて、立派な立派な王様。国のことを考えると離婚なんて絶対できない状況の中、リードをとてつもなく愛していて、でも王妃にも他の側室にも気をくばり・・・ああツライ。リードもお利口さんなので、そんな無理言えないのは十分分かっていて、でもいつか王様の愛が無くなったらどうするのと密かに不安でいっぱいで、でも何も言えなくてぐるぐるしている素振りもできなくて・・ああ苦しい。

愛されている今の状態のままで消えたい!ええーい逃げちゃえ★と後宮を脱出してしまうのは分かります。うん、そういう時あるあるある、逃げてよし!とも思うのですが。

ホントにリケルメを愛していたなら、最後の最後までリケルメを愛して側にいて彼が離れて行っても愛されたことを誇りに残りの人生、別のことをして生きるというのもアリなんじゃないのと思ったりもします。人生、何歳になってもやり直し、方向転換はできると思いたいなと、最近思います。

リードが若かったのと、転生前の記憶(現代日本ぐらいに生きたときの記憶)で知識があってそれを活用したいという野心(男子ならではの向上心?)が、リケルメから離れる人生を選ばせたのかなあ・・・とちょっとしんみり。

ラウルも素直で一生懸命で可愛いですが、うーん、私個人は年上好きなのでリケルメに軍配でした。
リードは、お前ひとりだけだ、一緒に人生を歩むと言ってくれたラウルが良かったらしいですが、結婚が全てかよ!と思うと、ちょっと微妙な感じでした。

ということで全面的にリケルメ推しな一冊でした!
商業的にはもうちょっとぎゅっと詰めるのもありでは?と思うぐらい長いお話ですが、悩める年上の攻め(妻子持ち)が気になった方は、ゆっくりリード達の人生を楽しんでみてはどうでしょうか。

10

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