SS付き電子限定版
作家買い。
中原さんの新刊は、中原さんらしい、と言っていいでしょう、オヤジが主人公です。刑事×バーテンダーの恋のお話。ここ最近中原作品はツボに入りすぎる神作品ばかりでしたが、今作品もすごく面白かった。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
一人の刑事が、人気のない山奥に赴くシーンからスタート。
自分よりも大切な親友をストーカーから守るためにやってきたのだけれど、不意を突かれ犯人によってめった刺しにされてしまう―。
そんなショッキングな描写から物語は始まります。
主人公は、その刑事・菊池の「自分よりも大切な親友」であるバーテンダーの沖野。ほぼほぼ彼視点でストーリーが展開していきます。
決して美しいビジュアルではないものの、シェーカーを振る姿に独特の雰囲気と色気があり、常連客達から秋波を送られている。さらに、正体のわからないストーカー被害を受けている。当の本人は全く意に介していないのだけれど、菊池は沖野を心配し、一人捜査に当たっていたところに被害を受けたのだった。
菊池が大量の血痕を残して行方不明になったことで警察の捜査が入るが、遺体も見つからず行方不明のまま。
大学からの悪友である菊池を失った沖野は心にぽっかりと穴が開いた状態で日々過ごすようになるが、そんなある日、菊池が沖野の目の前に姿を現し―。
というお話。
死んだはずの菊池が沖野の目の前に現れた理由。
実は、菊池は殺されかけたときに、
ネタバレ注意!!
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吸血鬼に助けられ、そして彼自身、生き延びるために吸血鬼になることを選択した。
からなのです。
ああ、なるほど。
タイトルはここにかかってるわけね。と一人納得しつつ。
ヴァンパイアものって、血を吸うとか、にんにくや日光が苦手、といった従来のヴァンパイア像を否定する設定のものも多くありますが、今作品はがっつり従来の「ヴァンパイア仕様」です。
日に当たると灰になってしまうし、血を吸わないと飢餓状態に陥るし、にんにくが目の前にあると苦しくなる。
そんな思いをしてまで菊池がヴァンパイアにになり、そして沖野の前に戻ってきたのは、沖野への恋愛感情と、彼を追い回すストーカーを逮捕するため。
昔から、菊池は沖野のことが好きだったんですね。
で、一方の沖野というと。
まー、口が悪い。
辛辣なセリフはポンポン口から飛び出すし、そんな思いまでして自分を守ろうとしてくれた菊池に対しても容赦がない。
が、この二人の漫才のような掛け合いが非常にコミカルで面白いんです。
沖野を付け回すストーカーに殺された菊池、という事で、設定としてはかなりシリアス寄り。寄りなのですが、この二人の掛け合いがある事で、シリアスになりすぎずテンポよくストーリーが進んでいきます。
沖野を付け回し、そして菊池を殺した犯人はいったい誰なのか。
刑事として有能なスペックを持ちながら、「行方不明」であり、かつ「日光に当たると灰になる」菊池には、できることは少ない。そんな彼の捜査をサポートするのが沖野と、菊池の相棒だった刑事の田中くん。
ヴァンパイアものでもあり、ミステリーでもあり、そして恋愛ものでもある。
シリアスな設定ながら、爆笑必至のシーンもある。
なんともバランスのいい作品でした。
ヴァンパイアになってしまった菊池は、沖野のストーカーであり、自分を殺した犯人を捕まえた後は日光を浴びて灰になることを覚悟している。そして沖野も、そんな菊池の意思を尊重する想いを持っている。
という事で、犯人逮捕のあと、菊池と沖野が一体どうなってしまうのか、結末が気になりページをめくる手が止められませんでした。
中原さんらしい「オヤジ」を堪能しつつ、ストーリー自体すごく面白くて作品の持つ世界観にググっと惹きつけられました。
そして挿絵を描かれている小野浜さん。
失礼ながら初めてお見掛けしたレーターさんでしたが、作品のイメージにぴったりでした。特に菊池の汚い、というかワイルドな雰囲気がまさにイメージそのもので、とてもよかったです。
主要CPの2人も非常に魅力的でしたが、この作品の脇役さんたちもなかなか魅力あふれる人たちでした。
菊池をヴァンパイアにしてしまった加藤さん。
菊池の部下で相棒の田中くん。
彼らのお話も読んでみたいな。
今回もすごく面白かった。
文句なく、神評価です。
オヤジのカプものでしたが、何とも楽しく、可愛い人達でしたw
こんなに萌えるとは…。究極のエンターテイメントで癒されました。
ヴァ○○○○ものですが、流石、中原先生だけに、独自路線で進まれます。
ストーリーがどちらへ向かっていくのか未知数だし、ユーモアのあるストーリー展開で面白かったです。終盤にかけて、ストーリーがとても盛り上がり、映画やドラマを見ているような爽快感が味わえました。終わり方も良かったです。
ヴァ○○○○要素も、オヤジらにかかれば、薄れるほど、オヤジ個性が濃厚でした。でも、ちゃんと萌えもありますので、ご安心を。個人的に両方が男臭いカプが好みだけに、ツボにハマりました。
あとがきを読んで中原先生が、売れる路線か、独自路線かで悩まれる事もあるようですが、先生の持ち味、個性を、これからも活かした執筆を続けていかれる事を望みます。ついていきますw
表紙に惹かれて読んでみたらとても良かった。
思い人のバーテンを守るため、吸血鬼になってまで戻ってきた刑事。
バーテンを狙い、刑事を殺した犯人を捕まえるまでの期限付きでこの世にしがみつくことを決めた刑事が格好いい。見た目もワイルドなジゴロ。
バーテンが刑事に対して素っ気ない態度を取る度に、別れが迫ってるんだからもっと優しくして!と思ったが、
その本心も察して愛し続ける刑事さんの包容力が凄い。何という男前。
バーテンに言い寄ってくる常連客達を調査していくシーンも緊張感があって面白かった。
酒を作る描写が良くて、バーテンの仕事中に帯びる魅力と相まって格好良かった。
このバーのカウンターの隅っこでずっと仕事姿を眺めてみたい。
この作品で一番好きだったのは、バーテンも男前だったところ。
この手の話だとバーテンは女性と見紛うような麗しい美人だったりするけど、こちらもしっかり男性で男女の恋愛とは違った気持ちの展開があって面白かった。
学生の頃から友情とも愛情とも意識せずずっと共にあるものだと思っていた刑事が突然いなくなって初めて自分の気持ちを意識してからの、バーテンさんの心の移り変わりが良かった。
いや〜、シリアスなストーカー事件が絡むのに、笑えちゃう、という!
中原先生のシリアスと笑いのバランスが素晴らしい、(時々面白)事件解決ヴァンパイアものでした◎
事件の犯人に刺されたものの、死にかけのところを吸血鬼に救われ、吸血鬼になっちゃった刑事 × バーテンダー。
大学時代から「ニコイチ」と言われていた2人のカプです。36歳同士、渋い男の魅力がたまらない感じ…!
小野浜こわし先生の硬い感じのイラストがすこく作品に合っていて、色気たっぷりでした。
犯人探しのミステリーでそっちも面白いんですが、やっぱり 沖野のお母さんに棺桶の蓋を開けられ、家に戻ったら菊池が干からびてたシーンがもう、笑えて笑えて仕方なかった…!
いや、沖野泣いてるし笑っちゃいけないんですけども。…うん、今思い出しても笑える。
そしてラスト。感動の涙の…になるかと思いきや!思いきや!その顛末も笑えて仕方なかった〜面白すぎますꉂꉂ(๑˃▽˂๑)
先生のあとがきによると、この作品を書く前、ヴァンパイアものは売れない、と担当さん?に言われたとのこと。
中原先生節の吸血鬼×ミステリー、個人的にはかーなーり!面白かったので、もしまたチャンスがあるならぜひ読みたいなぁと思います。
ミステリー好きさんにも、おじさま萌えの方にも、笑いを欲してる方にもおすすめの、こちら。ぜひ!
こ…この表紙は…!!!!
BLお仕事待ってましたよ…小野さん…(;///;)
色気のあるオヤジといえばの中原さんと小野さんのタッグがうれしい////
オヤジ好きにゴリゴリに推しておきます。
表紙の印象とあらすじでシリアス調なのかな?と思ってたんですが
攻めと受けが「ニコイチ」と呼ばれるほど仲の良い友人で軽口をたたき合うコトが多く
コミカルな印象もありました。
犯人を追うミステリー要素と、ジゴロなオヤジの恋愛と、吸血ファンタジーと、コミカル。
なんだかこう並べるとごった煮感はありますが面白かったですヾ(*´∀`*)ノ
お話は刑事の攻め・啓介が大量の血液と上着を残して失踪したところから始まります。
友人でバーテンバーの受け・稔は啓介の部下から失踪の捜査状況を聞き、啓介の死を覚悟していました。
ところがある夜、啓介が突然、血まみれの着衣のまま姿をあらわして…。
あやうく死にかけたところを吸血鬼に助けて貰って吸血鬼として生き長らえた啓介。
その目的は、稔のストーカー犯を追い、捕らえること。
吸血鬼の本能と戦いながら稔の元へ帰ってきました。
そして、長年互いに触れずにきた感情がーーーと展開します。
2人のニコイチっぷりが中々ですね~。
あけすけな言葉やキツイ言葉もバンバン言い合うけれど
何を言っても許されるし、許してあげられる、という信頼感が見えてニヤニヤ。
キャッキャとはしゃいでるようにしか見えないオヤジたちですw
過去回想では女友達GJ!でした。
息ぴったりのラブラブ(にしかみえない)ニコイチの"あーん"はめっちゃ萌えた///
アイスを分け合って食べてる学生とかホント尊い…*。゚+(大好き)
そんなこんなでニコイチな仲の良さの2人ですが「友人」の枠からは出ておらず。
1度死にかけて生き返った啓介が、今度は後悔しないようにと想いを口にするのがグッときます。
しかしこの瞬間たとえ通じ合ったところで刹那的でしかないのですね。
言われた方の稔のどうにもできない感情が切なキュンでした(;///;)
吸血鬼になってしまった啓介。
姿形・言動は何もかもが変わらないのに、味覚が変わり、血に飢える姿が…。
時折襲ってくる啓介であって啓介でない違和を感じる稔の複雑な思いも切なかったです。
オヤジのお色気シーンは多々ヾ(*´∀`*)ノ
というのも啓介のジゴロな雰囲気は立ってるだけでカッコイイ~!
吸血本能が出たときのゾワッと感も鋭利な雰囲気がすごく良かった。
で、稔を抱いたあとにストーカーを煽るとこなんて噎せそうなほどの+゚。*オヤジフェロモン*。゚+
良い…すごく良い…////
稔のバーテンシーンはさすが中原さんですね。
お酒飲めないけれどすごく美味しそうな描写にそそられ、味を想像して楽しみました。
全体的にミステリー仕立ての中に
吸血鬼が登場するシーンだけが浮世離れしていた雰囲気も良かったです。
啓介を助けた吸血鬼さんはおっとりした親切な人でした(^^)
吸血鬼になってまで稔を守ろうとした啓介。
出だしが出だしだったのでどこに終着点を置くのかハラハラするのも見所の一つかと思います。