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表題作ヴァンパイアと子守り恋夜行

闇弐、夜壱が血を分け与えた下僕、100~
夜壱、ビルオーナーで血の濃い大吸血鬼、400~

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

新宿在住の吸血鬼・夜壱は闇弐を血の隷属関係にして80年。Hアリの蜜月を経て今や倦怠期の夫婦の様な彼らの前に謎の子供が現れ!?

作品情報

作品名
ヴァンパイアと子守り恋夜行
著者
小中大豆 
イラスト
陵クミコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344843844
3.4

(57)

(17)

萌々

(17)

(7)

中立

(4)

趣味じゃない

(12)

レビュー数
10
得点
178
評価数
57
平均
3.4 / 5
神率
29.8%

レビュー投稿数10

切なかった

闇弐に冷たくされる夜壱に同情しながら読み進めました。
夜壱視点でお話しが進むので闇弐が好きで一途なのに、邪険にされ悲しむ姿に理不尽さを感じました。

戦時中にまだ人間だった闇弐に惹かれて、ずっと追いかけていたのが健気でした。いつかは自分の元を去るだろうと覚悟していたのに、闇弐が夜壱のせいで亡くなって彼を吸血鬼にするのです。

蜜月期を過ごして新宿に定住してから、闇弐に嫉妬した他の吸血鬼達から夜壱の事を聞き嫉妬して、2人は何十年もすれ違うのです。

そんな時にちびっこ達が夜壱に助けを求めて来た事から狼男達のトラブルに巻き込まれて行くのです。それがきっかけとなり2人の間に会話が生まれて、お互いに誤解も解けて2人は恋人同士に戻りました。狼男達のトラブルも解消して闇弐の元で料理を習っていたのには、ほっこりしました。

ただ過去に闇弐が夜壱を嫉妬させようと、女性とホテルに入ったけど勃たなかったからセックスしてなかったって話にはモヤモヤしました。夜壱はもっと怒って良いよ!

0

倦怠期というより擦れ違い

80年連れそった恋人達が、子連れ旅行中に仲直りする話です。

あらすじに倦怠期とあったのですが、擦れ違いという感じでした。

それと子供を連れて行く目的がどうも…。要はおじいちゃんが怖かっただけだよね?というもので、子供達に内緒で大人同士で話し合ったら解決したのでは?という気もして。

まぁその分、安心して二人の恋愛模様に集中できましたが、そうなると子連れ道中が邪魔なんですよね。二人の誤解の解決に子ども達が役に立ったというわけでもないですし。

本筋のストーリーがいまひとつ腑に落ちず落ち着きませんでしたが、夜壱(受)の切なさはすごく伝わってきましたし、誤解が溶けてすごくほっとしました。陵クミコ先生のイラストも可愛かったです。

0

吸血鬼夫夫〜倦怠期からの再生物語

正直、吸血鬼にそんなに期待はしていませんでした。
が、40年越しの再生愛にまさかこんなに胸がギュッとさせられるとは思いませんでした。
とっても良かったです!

ぐるぐる回ってやっとこハピエンのお話も大好きなんですが、本作のように出来上がってるカップルが好きあってるはずなのにぐーるぐるしちゃうのも大好きなんですよね。


一緒になって80年。
セックスレスになって40年。
最近じゃあ名前でも呼んでくれない。
(おい!眼鏡と呼ばれている)

吸血鬼として必要な「オド」も自分以外からもらってると、互いに誤解していて、二人の温度差は修復不可能かと思われるほど。

そんな夜壱と闇弍のもとにちびっ子二人が転がり込んできます。

突然のことで、最初こそ慣れない子供達のお世話にアワアワしていましたが、ちびっ子がいることにより、いつもより自然に闇弍と会話することができる夜壱。
(まさに倦怠期夫夫)

4人で逃避行して、闇弍と出会った頃のことを思い出す。
あんなに愛してるって言ってくれたのに、自分は今でも大好きなのに…。

夜壱と闇弍の出会った戦争時代のパートもこれまた切ないんです。
初めて出会った日から結ばれるまで10年かけたドラマ愛なんですよ。

燃え上がった当時の愛と、すれ違ってしまった今と、二つの切なさを楽しめます。

ちびっ子達のプチ家出騒動と絡んで、だんだんと家族のようになっていく4人の変化、夫夫の変化がとても微笑ましくて可愛かったです。


それにしても、これから永遠に食事の支度をしなくちゃならない闇弍。
本人は苦にならないくらい料理好きなんでしょうけど、私は目眩がしましたよ。

吸血鬼じゃなくて良かったわ…笑

神よりの萌2です!

3

思い込みは危険です

今回は隷属関係にある下僕の吸血鬼と
400年を生きる血の濃い大吸血鬼のお話です。

受様を頼ってきた幼い兄弟を助けつつ
すれ違っていた2人が再び手を取り合うまで。

この世には人間とは明らかに異なる
種が存在します。

受様は32,3歳の時に
血の濃い吸血鬼によって殺され
吸血鬼に生まれ変わって早400年、
受様自身も血の濃い大吸血鬼として
生き続けています。

力ある者の常として
弱者のために吸血鬼の糧である
生き物の精気・オドを回収もした為

ヤリチンの様に誤解されたり、
化物扱いされて首を切られたり、
磔にされて灰になりかけたりしつつも
元気に(!?)暮らしていました。

受様が今では受様の下僕となった攻様と
初めて出会ったのは80年以上前の上海で
攻様は20才そこそこでした。

受様は維新で渡った大陸から
日本に戻る道中にあり
オドを得るために日本兵の紛争で
潜り込んだ軍の駐屯地で目を惹かれたのが
瑞々しい生命力に溢れた攻様でした。

腹を空かす攻様のためにせっせと
芋や握り飯を差入れながら
受様は攻様からオドを摂取しましたが
殺伐とした時代を生きる中で受様にとって
攻様と共に過ごす時間は楽しみとなります。

しかし、戦争が激化する中、
部隊の移動で2人は別々の道を歩みます。

その後も何度かの再会と別れを知り返し
やがて2人は心を寄せ合うことになりますが
受様の短慮の招いた攻様の死によって
攻様は受様の下僕となる吸血鬼となるのです。

2人はあちこちの土地を見て回って
東京を棲み処と定めてからは
受様は所持する不動産を上手く転がし
攻様の手を借りて様々な職に手を出しつつ
生計を立ててきますが

いつしか2人の蜜月に影が差し、
攻様は受様の名前すらも呼ばなくなり
嫌々ながら世話されているような
扱いをされるようになっていました。

居場所のない吸血鬼のためにと
始めたシェアハウスさえも時代流れで
閉める事になった受様は
今後の攻様と2人だけの生活を思うと
悲しみしか湧いてきません。

それでも受様は
今でも変わらず攻様を愛していて
彼の手を放す事なんて出来ません。

そんな時に
攻様が受様を探していたという幼い兄弟を
自宅マンションに連れ帰ってきます。

兄弟は悪い奴らに追われていて
受様が昔開いていた探偵事務所の名刺から
受様に助けを求めていたのです。

母の元に行きたいと言う兄弟が
黒ずくめの男達に追われているのは
確かなようですが
全てを話しているようには見えません。

乗り掛かった舟と2人は
兄弟を母親の実家のある四国を
目指す事になります。

果たして2人は兄弟を無事に
母親に会わせられるのでしょうか!?

恋愛は成就した時点で終わりではなく
エンドマークの後にもある「いろいろ」を
コミカルに描いたお話でした (^-^)

吸血鬼となった2人が徹底的にすれ違っている
時点からお話が始まるので
着地点は仲直りのハピエンだろうとは
想像できるのですが

受様を頼ってきた兄弟と出会い、
追手を巻いて彼らの母の実家を目指す道中で
受様と攻様との出会いの過程が
詳らかになっていきます。

もともと受様は
あまり物事を深く考えない性格な上に
吸血鬼となって死からも遠ざかり
長い年月を気ままに思うままに
その時々で良いように生きてきます。

それは不老不死のまま生きる故に
受様自身を守る術でもあったのですが
受様の浅慮な行動が攻様の死と
吸血鬼への変転を招いた事も確かなのです。

吸血鬼となった攻様は
大吸血鬼である受様と共に暮らす中で
受様が思いもよらない嫉妬の的になり
徐々に疑心暗鬼になっていたのです。

お互いに言葉が足りなさすぎなのですよ (>_<)

すれ違っている時点からのスタートで
2人の馴れ初めが受様視点の回想なので
初恋よろしくキラキラ度も糖度も高く
現実の2人のギスギス感との差が如実です。

受様を頼りに現れる幼い兄弟と接することで
徐々に2人の間で放置されていたズレが
白日の元に晒されて誤解が解消されるまで
ヤキモキ&ハラハラさせられつつ
楽しく読ませて頂きました♪

2人の時間が有限であれば
失われる時を恐れてもっと早く
変化を求めたのかもしれません。

年を重ねれば誰でも
思慮深くなる訳ではないけれど
臆病にはなっていくのかな。

幼い兄弟達の秘密には
なかなか難しい問題も孕んでいましたが
彼らの追手達も本物の悪人じゃなかったので
こちらの決着点も安心できて良かったです。

今回は本作同様デキカプのお話で
栗城偲さん『蛍火』をご紹介作とします。
40オーバーの恋物語になります。

4

吸血鬼の覚悟が好きだ

小中先生なので購入。小中先生、初ヴァンパイアとのことでした\(^o^)/ 小さな笑いを取り混ぜながら、大好きな「吸血鬼のせつなさ」を盛り込んでくださっていて、それはそれは盛大に泣いたので神寸前萌2にしました。人外のせつなさに弱い。本編250P弱+あとがき。

新宿通りに面した11階建てビルは、吸血鬼である夜壱(よいち)の持ち物。新宿御苑前駅まで徒歩30秒と至極便利で、建てた30年前から店子は切れず、下僕である闇弐(あんじ)と二人生活するのに全く困ったことがないのですが、今回その中にあるシェアハウスを止めて二人だけの生活に戻ることに。最初の頃は「愛している」と熱く囁いてくれていた闇弐でしたが、もう何年も前から「おい眼鏡」と呼びつけ、冷たい態度で・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
良太、良二郎の兄弟(お子様、夜壱を頼って逃げてきた)、お子様たちの両親、親族の方々。お子様はいい子たちで兄弟愛たっぷり、大活躍です。

**泣いちゃったところ

お話は、現代→80年ぐらい前、闇弐に出会ったころのお話→現代となっていて、昔のパートが泣けました。

夜壱が初めて闇弐に会ったのは、太平洋戦争が始まる前の上海。日本兵の扮装をして駐屯地に入り込み、庵二(下僕じゃない時の闇弐)に一目ぼれしたんでしょう、何回も通って身の上話を聞いていましたが、彼の部隊が移動してしまって、夜壱は日本へ。5年たって今度は呉で再会。しかし庵二はすぐに招集され、夜壱は天涯孤独となっていた彼に「また君を探すから無事で帰ってきてくれよな」と必死にすがり・・・ このあたりで涙腺崩壊1回目。だって「あんたのところに帰ってくることにしよう」なんて言うんだもん、泣くじゃん。

3回目の再会は香川。ここでようやく終戦となり、除隊となった庵二を夜壱は迎えにきて・・夏の暑い日差しのもと、無理をしてでも「約束したから」と迎えに行く夜壱に涙腺崩壊2回目。
その後、大阪に行って、そこでのプロポーズ話がたまらん!!!!!!寿命が違う、種族が違うということを全部乗り越えようという庵二の覚悟が!!!!!!と盛大に泣いていたら、とんでもないことが!もう涙腺なんてあったもんじゃないです。顔中どろどろ。

と、とっても忙しい昔話。この辺りで半分少し過ぎ。

こんなに強い結びつきだったはずの二人が東京に出てから、すれ違ってボタンを掛け違って、心がお互いの上にあるのに通わせることができずに・・・・と、後半は、むきーーーーーと悔しい気持ちが多かったです。最後、良い形になるし、何十年ぶりに闇弐からオド(精気)をもらって号泣するシーンや、最後の「寂しかったんだ」と告げるシーンは、またもやもらい泣きして良いのですが、むきーー(怒)をすっきり解消させる方法が今一つ、自分で見つけられなくて。でろ甘になるタイプの二人ではないんですが、「甘さか何かで、むきーー(怒)としたのを打ち消してよーーー」と感じてしまったのです。

二人とも好きなキャラだったんですけど、甘さ演出するタイプではないように感じたので、そのような場合、どうやってハピハピ感じさせて終わらせるのがいいんだろうなあ??と考えた1冊でした。すれ違い話や吸血鬼話(王道とはちょっと違う気がするが)が気になる方は是非。

3

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