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表題作情愛恋華

水嶋和生・フラワーアーティスト・20代なかば
松堂怜史・京都松堂流家元・27歳

あらすじ

伝統的な華道の家元怜史は自分とは正反対の花を生ける水嶋に出会う。突然水嶋に告白され戸惑う怜史だが段々彼自身に惹かれ…!?

作品情報

作品名
情愛恋華
著者
華藤えれな 
イラスト
加東セツコ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイデジタルノベルズ
電子発売日
3.5

(2)

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萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
7
評価数
2
平均
3.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

ストイックな若き華道家元

電子短編。挿絵の加東セツコ先生推し。
著者は華麗なヨーロッパやスペインなどのイメージがある華藤えれな先生ですが、本作はしっとりと京都の華道家元の物語です。

若くして伝統ある流派の家元になった怜史。
子供の頃から「家」と「花」の事ばかり、家元になってからは尚更無理やりに笑顔を作り人々に穏やかに接するが心の中は…
そんな時、TVで見たのが新進気鋭の華道家・水嶋。
自由奔放な明るく楽しくカラフルで美しい花の世界に一目で惹かれる怜史だが、自分は伝統流派の家元なのだから水嶋の花に憧れてはいけないのだ…

…みたいな。
両極端な個性を持つ2人が運命的に惹かれ合う。そこに華麗な「華道家元」という縛りも加わって非常に魅力的な作品になっていると感じました。
何より風貌も生活もストイックな和風美人の怜史。
そんな彼が心を波立たせ、自由な水嶋に憧れと同時に嫉妬と反感を抱く。
一方水嶋は屈託なく、あなたが好きです、あなたの花が好きです、とグイグイ。
短編だからか、初めから水嶋が怜史を好きだったという設定で展開は早め。
雨の中で2人濡れながらの長いキスの描写はとてもしっとりとした味がある。
ただし、続くセックスシーンでは怜史の和服設定が文章では大して生かされてなかったかな。挿絵で足袋萌え補給です。
クール黒髪男性が格別な加東セツコ先生に「美しき華道家元・怜史」はピッタリ!

2人の花の世界は決して相反するものではありません。
南フランスの光に満ちた水嶋の花。
京都の地で静かな祈りに添える怜史の花。
怜史の初めての恋を応援したいです!

1

読んでいるうちに自分がスケベオヤジと化した

『気持ちが高ぶると方言が出てしまう』というのは大変素敵だと思うのですよ。
で、全くもって個人的見解ですが、その中でも京都弁と博多弁はステイタスが高い様な気がします。
時折、気が高ぶると京都弁が出てしまう美人な華道家元……そそりますよね。

27歳という若さで華道の家元になった怜史はその重圧でかなり息苦しい思いをしているんです。
そんな時、たまたまテレビで映っていた水嶋の作品に目を奪われてしまいます。
そこには、自分の流派では決して出来ない『西洋絵画的』色使いで輝く花があったから。
その直後、実演講習に出向いた禅寺で怜史は水嶋と出会うのですが、水嶋から高校生の頃の怜史の作品を見て華道の世界に進もうと思ったことを告げられ、つき合って欲しいと告白されます。
怜史は怒りにまかせて「あなたと親しくする気はない」と水嶋を突き放します。
そんな中、京都の老舗ホテルのリニューアルに、怜史と水嶋の作品を同時展示する話が持ち上がります。
怜史の若さを理由に家元就任に反対する叔父一派を納得させる為もあり、怜史はそれに作品提供することを決めます。それがきっかけとなり、花菖蒲という題材に馴染みがないという水嶋に花菖蒲の名所を見せるため一緒に出かけることになるのですが……

ただ、淡々と花を活けて来た怜史は生け花以外はとことん苦手なんですよ。
でも、家元になったらそれだけじゃぁ済みませんよね。
愛想も振りまかなきゃならないし、権力闘争もある訳です。
で、そうこうするうちに自分の『道』が解んなくなっちゃった。
だから人当たりも良いし、素直でコミュ力が高く、型に縛られない自由な表現をする水嶋は嫉妬→憎しみの対象になっちゃうんです。
でも、嫉妬って「羨ましい」ってことですから。
掛金が違う処に填まったら恋愛になっちゃいました、というのはよく解ります。

ちょっと残念だったのは、水嶋の告白と『好き好き具合』が唐突で過剰だったことと、叔父の悪役ぶりがあまりにも『絵に描いた様』だったこと。ここの誇張気味な処で、ノリを阻害されちゃった様な気がします。
(いや、ごめん。だって「花を愛して活けるように俺を受け入れて」って……水嶋、私はその科白、滑っている様に思うぞ。本当に申し訳ないけど、吃驚して笑っちゃったもん。足袋をはいたままいたすという、色っぽい、いいシーンなのになぁ)

和服、京都弁、不器用(愛想なし)という怜史の美人ぶりを堪能するお話だと思います。
何回も書いちゃうけど、足袋をはいたままいたすというのはよろしい。
このシーンは私の中のスケベオヤジ心をかなりくすぐりました。

4

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