パピレス限定特別版
何年経ってもアンタのそばにいてやる
でもまず最初に…
20歳差のBLです。攻め小学校4年生10才で受けはすでに30才です。攻め20才で受け40才ですね。この時点で「あ…無理かも…」な方には合わないかもしれません。BL界にはどうしても無理な設定というものが誰にでもありますもの…
そしてなんとこの主人公・おっさん受けの榛名、性格が捻じ曲がってる。なので冒頭のエピソードで完全にドン引です。萌えジャンル「性格悪い受け」属性の私ですら、うわぁ…ってなりましたもん。でもなんていうか、違和感があったんです。そしてストーリーを読み進めてくウチに徐々に気づきました。
あ。こいつただのいいやつじゃんって。
以下、私の妄想炸裂感想文になりますので、勘違い見当違い内容もあるかもしれませんがご容赦ください。ですが、なぜ自分にとってこの小説が神だったのかを暴走気味に語らせてください…!
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榛名の魂みたいなものは、ツルッツルの小さな豆みたいなものなのかなーと!そこに優しさとか自尊心をキュッキュッて詰めてて、でもそれを傷つけられないよう隠すためにいっぱいそこらへんに落ちてるガラクタで武装しちゃって、大きくなってるポンコツマシーンなのかなって。ポンコツだから、わからない。優しくしたいのにできない。
毒親の下で育って、ろくな自尊心の守り方もわからず、不器用にトタン屋根みたいなものを何枚も重ねて武装してしまって、もう前も見えない。そんな高校生時代に出会った初恋の男・星野は光みたいな存在で。ただただトタン屋根の隙間から漏れてくる光だけを見てて幸せになってた榛名を思うと切なくなっちゃう。
そしてそのトタンのバリケードを初恋の男の息子・涼一がものすっごい勢いでバリバリ剥がしていくんですよ。きゃーーーやめてーーって榛名は悲鳴をあげて逃げるのに涼一はめげない笑
身ぐるみ全部剥がされてツルッツルの榛名を魂ごと捕まえて言うセリフはもうクラックラきますよ。あーここで書いちゃいたい、でも読んで欲しいから書かない。ああああああ今一瞬ここにコピペしたんだけど、それみてフゥゥゥってなった。魂を揺さぶる萌えBLゼリフbest3に入る!
もうもう本当にドキドキしたーーー!涼一がやばい!筋肉の描写には鼻血出るかと思ったぁあああ。こりゃ榛名もたまんないだろうな!と。
しかも涼一の執着っぷりにも脱帽ですよ!もう11歳の頃には養子にしろって、多分無自覚婿養子要請ですよね。何が何でも榛名にくっついてなきゃダメだって思ったんだろうなぁと。それは自分の保身じゃなくって子供心にも純粋に榛名を想ってのことだったのがわかって、すごいな〜何年越しの想いだろうねって。なんとなくわかるんですよ、子供時代の絶望の淵から救ってくれた榛名に対して執着する涼一の気持ち。救ってくれたスーパーヒーローなはずなのに、榛名の脆さとか儚さが混ざっちゃって、守んなきゃ!って、榛名のスーパーヒーロー像を自分の中に同一させて、それごと恋に落ちちゃったみたいな。あとは榛名を守り抜くために居たのかなって。
「居場所」 「帰る場所」っていうのがキーワードに出てきますが、涼一の「帰る場所」は榛名を守り抜くポジションなのかな〜って。そしてずっと武装してなきゃ居られなかった榛名にも、装備を外してくつろげる 「帰る場所」ができた。
素敵な素敵なラブストーリーでした。
何よりもエロがエッロい!!!!!ここ重要!!!!!久々、くぅ〜〜〜〜〜参りましたっ!!!とかわけわからない感想でたもん。
最後にショートストーリーが何編か入ってるのですが、そちらは本当にふわふわエロエロで幸せです。豆粒ツルンな榛名は本当にエロ可愛いです。そして涼一はエロかっこいいです。
とにかく、読みやすい文章そして感情表現の巧みさに新鮮な感動を覚えました。この作者さんがこれからどんどん活躍してって欲しい、私好みのエロ作品をどんどん出して欲しい!という下心満載で、レビューを投稿させていただきます。
是非是非たくさんの人に読んで欲しい作品です。BL界の新しい風のように感じました。
表紙が余りに印象的で、性癖や内容等で何が出てくるか、おっかなびっくりだったんです。実際読んでみるとディープさはあるけれど、なかなか味わい深い人間ドラマが描かれていました。表紙で敬遠しないで欲しいですねw
エブリスタのBL合戦のクロスノベルズの大賞受賞作です。エブリスタ受賞作は、これから編集者がついて指導というより、既にプロの域に達成している人が受賞される賞のようで、どの作品も読んでいて安定感があります。ただWEB小説ですので、商業ものに比べて個性が強い作品が多いので、好き嫌いが分かれるようですね。
この作品も正直最初設定に思いっきり引きました。。主人公榛名の余りに屈折した性格と榛名の恋人になる涼一が榛名の高校時代の初恋の相手の星野の子供で、しかもその子は星野には全く似ず、榛名も良く知る星野の高校時代からの彼女で結婚した妻にそっくりという設定。。冒頭ではかなり尖った作品だなーと思いきや、読み進めるうちに人間のどうしようもない業の深さや人間同士の結びつきに深く沁みる部分がありました。義理親子恋愛ものでもありますが、とても長い家族の物語でもありました。後半は感情が込み上げて泣けましたね。。
榛名の性格も嫌いじゃないし、攻めでは珍しく小悪魔な涼一のキャラも良かったです。涼一は年を経るほど小学生化していくのが笑えましたが…。20歳差の年の差婚(?)の切実なリアル事情もショートストーリーで描かれていました。昔「咎犬の血」というゲームで、「青葉の様に瑞々しいアキラにおっさんの源泉は勿体無い!」と思って、おじさん×青年が苦手だったのですが、慣れって恐ろしいなー。年の差カップルに抵抗感無く読めました。
私はこの作品を読んで天性のBL作家さんのように感じたんですが、個性が強い故、評価が分かれるようですね…。恋愛ものは、余程特殊な舞台設定が無いと、飽きたり退屈してしまう方なのですが、人物描写や感情の機微の描き方が光る作家さんで、ストーリーに引き込まれ、読み応えがありました。
大どんでん返しがある訳でもなく、ある意味予定調和な物語であるけれど、時にぐさっときたり、ホロッとしたり、読み手も振り回される所も良かったです。義理親子ものといえ、背徳感はあまり感じず、人間同士深く関わる中で産まれてくる、どうしようもない情だと個人的に昇華しました。BL部分はなかなかディープな世界が繰り広げられます。
一つ残念に感じたのは、榛名がずっと好きだった星野との夢の5年間の同居生活が全く描かれる事も無く、スルーされた事です。これが描かれると、榛名と涼一との関係の焦点がブレるリスクもあるので、避けられたかもしれないけれど、榛名の人生において、大きな意味のあるこの濃い5年間の描写もがあれば、もっと物語に深い彩りも添えられたのでは無いかと感じました。
全体的に理論立っていて、まとまりもあり、読みやすかったです。次作大いに期待しています!
こちらではあまり評価が高くないのですが、私は面白かったんですよね……
私の萌えポイントは『乙女』なんですよ。
これ、榛名の弁護士事務所の上司にして大学の同級生、なおかつセフレという非常に濃いキャラクターの岩下が作中で言っているんですけれども、言い得て妙だなと思います。
榛名は高校時代の初恋を引きずっています。
貧しくて、親からも大切にされなくて、同級生らからも侮蔑的な言葉を投げかけられる榛名を救ってくれた星野のことが忘れられないのです。
『救ってくれた』と言っても、人に好かれる性質の星野の『空気を読まない発言や振る舞い』が、本来であれば『周りとは異質なもの』であった榛名をいじめの対象にさせなかった、ということなんです。
同情から手を差し伸べられたのなら、プライドの高い榛名は決して星野に恋をしなかったと思うんです。
この辺がね、上手い。
で、長じた榛名のところに星野が金の無心に来るんです、子どもを連れて。
親が経営していた会社が潰れて、もうどうしようもない状態の星野に対して榛名が浴びせる罵詈雑言がもう酷いのなんの。
でも、それは全て、自分を守るためなんですよ。
「頼る人を持たずに一人で生きるというのはこういうことだ」と思います。
でも結局、榛名は星野の借金を肩代わりし、2人を自分のところに住まわせます。そして星野が亡くなった後には、息子を養子として育てます。
乙女だから。
彼は初恋に、そして自分を救ってくれた星野の為に精一杯のことをするんです。偽悪的なので、決して自分では『精一杯』と認めようとはしませんが。
この認めない所も、とてもとても乙女を感じます。
捧げたことはあくまでも榛名の自己満足です。
そういう意味では、榛名の恋はいつも独りで行うものでしかありません。
「それでいい」と思っていたんだと思うのです。
いやー、とても乙女ですね。
でも、子どもは気づいていたんですよ。変な鋭さで。
「ここからの展開をドリームと言わずして何を?」と乙女の私は思うのです。
人は単純なものではないですよね。
1人の人に綺麗な処と醜い処がある。
綺麗な処をひけらかす人もいれば、殊更それを隠そうとする人もいる。
自分の感じていることが上手く言えないだけじゃなく、下手をすれば自分でもよく解らなかったりする。
そういう部分が非常にリアルで、とても身につまされました。
涼一の母のお骨を担保に、借金の形替わりをして、同居をするうちに、榛名は、死んだ初恋の男の息子・涼一を男手ひとつで育てる事になる。
涼一は母似。高卒後、涼一は消防士になり、強くたくましい男性に成長していく。
いつの間にか、育ての親の榛名を愛していた涼一。
実母に似た涼一は、実父の卑怯が許せない。榛名が寄せていた実父への恋慕の情を実父は利用して、榛名を頼りに行っていた。
父の狡い下心に気づいて居た涼一は、性根が良い子。
申し訳ないと言う気持ちから、恋慕に代わっていったのかな。そうだとしたら、榛名の育て方は、間違っていなかったのだと思う。
榛名は、同僚とのセフレの宙ぶらりんより、涼一と愛を育んだ方が、ずっとマシな関係だと思う。
拗れても居ないまっすぐな気持ちを持つ涼一はマトモな良い青年なので、榛名の世間体への抵抗が解消されたら、問題ない二人。
それにしても、涼一の父親はだらしない狡い、顔だけ良い男だったと思う。あんなのにどうして惚れたのかしら・・小説の中のネタだから、しょうがないことだけど。
父子相姦といっても、血のつながりはない、年の差と世間体だけが障害なので、予想よりずっと波乱のない内容。ただ悶々と榛名が悩んでいただけ。
どう決着付くのだと最後までハラハラしながら読みました。
榛名は頑なに涼一を拒否し続けるし、しまいには仕事を辞めて黙って逃げようとします。
年齢差は確かに気になるし、老いをこれから迎える恐怖は理解出来ました。
榛名は一見嫌な人間に見えますが、本当は不器用で素直に甘えられ無い孤独な人間です。
涼一はそれを分かっている理解者です。自分の父親のズルさを分かってて、榛名にお金を返そうとする潔癖さを持っていました。
もし星野に榛名の気持ちを教えたのは亡くなった母親で、それで榛名の元に来てたなら冒頭のシーンは全く違う意味を持って読むことができるでしょう。
ようやく一緒にいる事を選んだ榛名は幸せながらも、涼一に去られる事に怯えています。
そんな事はきっと無いだろうけど、2人の幸せを願わずにいられないお話でした。