パリ編。憧れの本店で目をキラキラさせたり、ド王道の観光名所でウッキウキなところが、棗らしくて可愛い。そんなに楽しみにしてた旅行計画が潰れちゃったのに、せっかくの機会だから頑張ろうって前向きになれるところも。
斗真が「もっかい言って」「もっかいやって」とねだる流れも好きです。
そして斗真の決断。
ここは、いろんな意味ですごく心を掴まれました。
今まで二人の価値観はちょっとズレがあった。
斗真はいつも棗が最優先で、棗さえ居ればいい。執着溺愛と言えばBL的には美味しいけど、危ういし閉鎖的な考え方。
一方の棗は、自分だけ甘やかされるのはイヤだし、斗真に自分自身を大事にして欲しいし、恋愛にかまけてダメ人間になりたくない……っていう、ド健全で上昇志向の考え方。
それで散々ぶつかり合って、お互い歩み寄りつつも何だかんだ斗真が優位で来ていたけど、この巻で初めて流れが変わった。
棗との未来のために、プラス、斗真自身の仕事への情熱のために、遠距離になってでも上を目指そうという、棗寄りの考え方に斗真が動いた。
いつも口では「仕事バカ」とからかいながら、斗真は棗のその健全さや上昇志向を何よりも愛して尊敬してきた。つまり斗真だって本来はそっち側の人なんだよね。エマの現場で「レベル高くて俺がいちばんヘタクソ」なのを「楽しい」と感じた、というのと似たようなことを、初期の頃からチラホラと口に出してたし。
棗と出逢って変化してきた斗真が、ここまできて最後の殻を破った……それで二人のベクトルが完璧に揃った。感無量です。
棗もすごく成長したな。いつもの早とちり空まわりは自制して、斗真の言葉に耳を傾ける姿が頼もしい。
もちろん、遠距離の切なさもあり。
棗が「寂しい」と「応援したい」の間を揺れ動くのに共感したし、斗真がいつになく弱さを曝け出すところがめちゃくちゃに好き。表向きはハイスペな男が、好きな人のことでヘタレてる姿って萌える。
攻めの方が優位に見えて実は受けの方が芯が強いの、すごく好みです。
遠距離って定番中の定番だけど、離れがたい気持ちを抑えて二人の未来のために自ら別離を選ぶというのも、いちばんハマるパターン。
何より、いろんな積み重ねを経て成長していく二人が素敵。
個人的に刺さる要素が詰まっていて、シリーズ中でいちばん好きな巻です。
ポスターのエピソードもお気に入り。
最初のぎこちなさから斗真がうまいこと誘導して、棗のお仕事モードの表情を引き出したのかな〜とか妄想してしまいます。
描き下ろしの「甘々しいから応戦!」も可愛かった。やっぱり棗はちょっとぐらいは空まわってくれないとね。
火事の件は伏せられたままだけど、二人の出逢い編が読めて嬉しいです。
病院で再会したときの明……今より髪が長くてどこか陰をまとった色気に、いきなり吹っ飛ばされました。
1巻で友也が登場したあたりでも思ったけど、明って最初が無愛想な分、そのあとで見せる笑顔や優しさの破壊力が高い。あの静かで柔らかい優しさがほんとうに大好きです。
またその優しさと、酔っ払って可愛いトオルとの相性がめちゃくちゃいい。抱え上げて布団に寝かせるとか、その他諸々……ありがとうございます。眼福です。
1巻の第1話からトオルが着ていたダッフル。似合いすぎて可愛いから気づかなかったけど、確かにトオルの趣味ではなさそう。なのにあれから毎年着てて、健気すぎる。
そしてナチュラルに距離を詰めてくる、明のあの天然人たらしは何なんでしょう……「呼んでくれないんだ」からの「俺は呼ぶね」の畳み掛けに窒息。明が「トオル」と発音するたびに、心臓をキュッと掴まれる。
明の「おやすみ」の優しさと、トオルの瞳の透明さ。自分史上いちばん美しくて心に沁みる、“恋に落ちた瞬間”の情景でした。
明が友也の過去を聴いて「消そうか?」と言う場面も、とても綺麗で印象的でした。
「俺の」と呼ぶような存在だったのに……切ない。
そんな話ができるぐらい、明と友也の信頼関係も強くなってるんだな。
友也って、トオルのこともすごく好きだけど、明のことも大好きですよね。3人のバランスが心地良いです。
トオルと友也の酒癖悪いコンビでわちゃわちゃ暴れてるのに、明が全く動じないのがもどかしすぎるけど。
ちょっとだけ登場の宝生さん。意外とラフな私服姿もお美しい。あの麗しいお顔と淑やかな物腰でありながら、時々ほんのり武闘派な気配を滲ませてくるところが非常に善きです。「守る」っていうのは神職の特殊能力でってことだろうけれど、腕力もお強そう……。
もう一人、強く美しい男・氷川。
ひめかわ以前にも、明にそんな辛い過去があったなんて。
そして明があんな風に弱いところを晒す相棒がいたなんて。
明の知られざる側面が少しずつ見えてきました。
氷川の今の相棒は、可愛い姿だけど、厳しくて、せっかちで、頼もしい。
氷川が彼と一緒にいることを知れて良かったね、明。
「背負い込もうとする癖を直せ」と毅然と言ってくれたのが、男前すぎて痺れました。この人にしか伝えられない言葉。
明の心の柔らかい部分と、想像以上に過酷な庭師の世界。
それを知った上で明とトオルの出逢いエピソードを読み返すと、最初にトオル視点で読んだときとは違うものが見えてきた気がします。
氷川のことがあって、さらにひめかわでも犠牲が出て。再会したときの明の心はどん底だったはず。
そんなとき、トオルの「庭師さん」という呼びかけは、明の心にどんなふうに響いたんだろう。
トオルがまた板前として元気に働いてる姿は、そしてあの可愛さと健気さは、明にとって救いだったんじゃないかな。
……でも、その背中には消えない傷跡があって。
背中と言えば、「トオルの名推理」には膝から崩れるほど笑ってしまった。
笑ってしまったけど、それだけ明のこと考えて、明のこと知りたいと思ってるんだよね。
だから、少しだけどちゃんと教えてくれたって、嬉しかったのに。やっぱり消してしまうのかーーー、明。
何も知らずに目を覚ますトオルが、何ともいえず切なかった。
光の差し込む美しい朝と、前向きで真っ直ぐなトオルの心。なのにどこか、もの悲しく感じてしまうのは何でだろう。
最後のページは……どういうことなの?!
早く続きが読みたいのに、次の巻が出たら完結してしまうなんて寂しすぎる。
幸せな結末を信じています。
今回もまたマサの「強いDom」っぷりが堪能できて至福でした!
イカツいカッコ良さと可愛さのバランスが本当に絶妙〜〜で大好き。
オトが腕を組まれている写真を見て「距離が近い奴が居た」って拗ねてみせるの、何であの見た目で可愛く見えるんでしょう……天才的すぎる。
オトが酔わされて誘われてるところに割って入ったときは、完全に攻め受けのムーブが逆転しちゃってる男前さ。コマンドもカッコ良すぎました。
でもこの二人、ただ“逆”っぽいだけじゃなくて、瞬発的にはオトの方がしっかり強いところが更にいいのです。
マサは安定感のある鋼鉄のような強さで、オトは希少なダイヤモンドのような強さ。
暴走しかけたマサをオトが一瞬で鎮めたシーンは、見惚れてしまいました。
グレアといえば1巻を思い起こして……こんなにも強いオトの力を、あの時はマサが体を張って受け止めたんだよなという過去と重なって、二重に感動。どちらも強くて、どちらも良い、この二人。
1巻との対比といえば、あの頃はマサがぐったりしちゃうと「やりすぎた?」って不安になってたオトが、今は何も言われなくても「マサは強いDomだから」と信じられるようになってる。二人の信頼関係が、ほんとに完璧なものになったんだなって、感慨深いです。オトも、マサも、よかったねえ。
オトの年下らしい可愛さも好き。
助けてもらっておきながら「ハヤタにコマンド言ったよね」とお仕置きモード?……と思いきや、ヤキモチ妬きながら好き好き言ってるのとか。そのまま健やかに寝ちゃうとか。
冒頭の、お互いボンに妬きながらイチャイチャしてるところも、幸せで楽しいです。
そう、この巻の第三の主役はハヤタじゃなくてボンですね。
強いポメ!!
ただひたすらに可愛いだけなんだけど、なんだかイイ仕事してくれてる。
ハヤタは、当て馬というよりただの厄介者でした。
マサが怒ってコマンドやグレアを出すというストーリー上、イヤなキャラなのは仕方ないけど、それならそれで最後はきっちり二人から遠ざけてほしかったかな。厄介だけど根は憎めないヤツ、みたいなポジションに収まるにはあまりにも話が通じなすぎて怖かった。
続刊ではあまり出てきませんように……
なんかもう、恒例行事と化してきた棗の“空回り”。
まずは「脱バカップル」っていうのが……めちゃくちゃ好き。初めて、棗の空回りを100%手放しで可愛いと思えたかも。
愛されすぎて幸せすぎて他に悩むところがないっていう証だし。
でもまあ色ボケしすぎないよう気を引き締めるのも、実際のところ大事ではあるし。
そこを大真面目にぐるぐる考えて、勝手に張り切っちゃうのが、いかにも棗らしい。
代役で急遽ショーに出てくれ!なんて話はいかにも少女マンガ的な非現実展開だったけど、これも好きなエピソード。
斗真への恋人としての想いと、メイク(仕事)への情熱、両方のドキドキ感が伝わりました。
やっぱりコスメ関連で二人が輝いてこその、コスラバ。
モデル復帰疑惑……これは棗の悪いところがまた出てしまって、本人に確認もしないで一方的に疑うとかありえないんだけど、意外とあまりイラつかずに見守れました。最初の「バカップル」というパワーワードが効いていたのかな? 勝負だとかイチャイチャ禁止だとか、ハイハイ平和デスネーという感じで。
そしてイチャイチャ禁止でそれぞれ悶々としている二人が可愛かった。最後はお互い耐えられなくなってなし崩しになるという、清々しいまでのバカップルぶりで大変によろしい。
この巻では、斗真も余裕のないところが結構出ていたのも良かったです。
イチャイチャ禁止を宣告された後の「ミスった…」「苦行…?」「死ぬ…」とか、普通にこういうこと考えるんだなって。
クリスマスツリーの前での「泣きそう」も可愛かった。
斗真が棗を手のひらで転がしていたようでいて、棗の言葉が、斗真の想像を遥かに超えたところから、圧倒的に心を満たしてしまうの。
1巻の頃からは予想もできないほどの素敵なカップルになったなあと思います。
電子限定描き下ろしが「キスの日」の棗視点で、さらにシーモア限定描き下ろしで斗真視点を読めるのも有り難すぎました。斗真のこういうところを見せてくれるの、ホントいい……
家族エピソードの回。
個人的に、家族の不和に外部の人間が(たとえ恋人でも)首を突っ込む話って苦手なので、最初から警戒気味で読み始めました。棗の性格的に、首を突っ込まないわけがないし。
一応、簡単に踏み込めないものだということはわかっているらしい。「家族の在り方に正解なんてない」ってことも。いきなり自分の正義を押し付けないで、立ち止まって相手のことを考えるようになったのは、棗も少し進歩しているのかな。
ああ……でも結局NYに行けとか言ってしまうのね。
それで険悪になって、春川くんまで盛大に巻き込んだ挙句、ほぼ現状維持で決着。ちょっとすっきりしない感じでした。
ただ、お節介で空回りではあったけど、棗がほんとうに真剣に斗真のことを考えているのには共感できました。
棗さえいればそれでいい、っていう斗真の考え方は、私も危ういなと思う。一歩踏み外したら、地獄の道行きまっしぐら。それでも二人一緒なら幸せっていうのも嫌いじゃないけどさ……地獄まで添い遂げる覚悟はありながら、でも出来る限りは日の当たる場所に留まりたい、留めてやりたいって思う棗の健全さが私は好きです。
斗真もそんな棗の気持ちを汲んで天真に会いに行ったし。
理想を求める棗と我が道を行く斗真、本来なら相容れない二人が、お互いを受け入れ合って歩み寄ったのは良かったです。
春川くんの片想い設定はなんだか残念。ただでさえスピンオフカップルが2組もいるので、あっちもこっちも同性愛なのは食傷気味です。仕事中にカウンター内でそんな話ばっかりしてるのも感じ良くないし。何より、春川くんは田之内さんと同じく中立的な癒し系キャラでいてほしかったな。
それと、実家で家族に隠れて…とか、神社で…みたいなのも、シリアスな雰囲気がぶち壊れてしまうので今ひとつでした。
棗のお姉さんたちは楽しかった。タイプはバラバラなんだけど全員コミュ強、かつ賑やか。あの3人に可愛がられて育つと、棗みたいな性格に育つよな……と妙に納得しました。
天真のコミュ障ブラコンキャラも結構好きでした。
ほんとうに大好きな作品なので、かなり迷ったけれど……考えに考えた末、評価をひとつ下げました。
面倒くさい性格の二人がどうしようもない割り切れなさを抱えながらお互いを求めていく4巻までのストーリーが、私にはとにかく強く深く心に突き刺さっていて。
5巻以降は、二人の関係が安定していき、それぞれの人格も落ち着いていきつつ……若い頃の記憶が描かれたり、環境の違いからちょっとギクシャクしたり、柿沼さんの人生に触れたりで、ほろ苦さが心に沁みて。
そしてこの8巻。朔の伯父さんのことや静の迷いはありつつ、二人ともすごく穏やかでお互いわかり合っていて……それは当然の流れだし嬉しいことではあるけれど、半面あまりに穏やかすぎて、以前のように心の奥底をぎゅっと掴まれるような感覚がなくなってしまったなと。
かといって、すれ違いや変な波乱を見たいわけでもないし……複雑です。
前巻での、柿沼さんエピソードから朔太郎の共訳決定という流れがすごく熱かったので、今回仕事関係の話が少なかったのもちょっと残念。
とはいえ、DIYは楽しそうだし、サンルームにソファもいいな。4巻で朔が「報告」をしたあとに、静が「次ソファを買う時は」と言ったのが回収されそう。頑丈なソファをお願いします!
こだわりすぎて悩んでしまう頑固な静と、どこでもいいという大らかな朔太郎、どちらも最後に行き着く答えは“二人で一緒なのがいちばん大事”ってところがもう阿吽の呼吸ですね。
絵本のエピソードに出てきた「ヘンリー・エヴァレット」という名前は前にも見たなと探してみたら、4巻と5巻で朔が好きな作家だという会話をしてました。その辺りの伏線はしっかりしてて流石です。
出版の夢が消えてしまったのを朔はすんなり受け入れてたけど、私は残念だなあ。
そして冒頭のかかとクリームのシーンが素敵でした。
前からちょこちょこお互いに加齢ネタでじゃれあってたのを、こんなにも色っぽく美しい場面に昇華してしまうとは。こういう二人ホントに好きです。
1巻、2巻と、どうも苦手な部分が目についてしまっていたこのシリーズ。この3巻で唐突にハマってしまいました。
今までの棗も好きな部分はあるキャラだったけど、それよりも意固地で独り善がりな部分が前面に出すぎていて何だかなあ……だったのが、今巻では生来の素直さがいい具合に出てきたような。
前半、新任チーフとして肩に力が入っちゃってるあたりも、微笑ましく見守れました。
二人でくっつきながらコーヒー淹れてるシーンとか、初めて合鍵を使うエピソードがすごく好き。普段は意地っ張りなのに、こっそり手を繋いでみるとかさ……そういう可愛さが棗のいいところ。
後半はまた良くない空回りが出てきちゃうんだけど……ここは個人的に、しっかり向き合ってほしいところだったので、描いてくれて良かったです。
斗真みたいに出来が良すぎる後輩がいるのって、普通に誰でもやりにくい。
棗は、そんな斗真を真っ直ぐに受け止められる稀有な人。
けど、ただの先輩だった頃はともかく、恋人となるとまた、棗には違うしんどさがあると思うんです。恋人だからこそ、頼りっぱなしじゃなくて対等に隣に並べる存在でありたいよね。まして同性だから、なおさら。
そういう棗のコンプレックスが痛いほどわかって、切ない。体調悪いときって心も弱ってネガティブになるのも、傷つける言葉を言ってしまってから我に返って後悔するのも、わかりすぎて身につまされる……。
斗真の秀でた部分には棗は敵わないけど、棗には棗の、唯一無二のいいところがあって、それを斗真は何よりも愛しているってことを、二人がちゃんと確かめ合えてよかった。
才能コンプレックスを乗り越えて自分の輝ける道を見出していくって、すごく好きなテーマなので、めちゃくちゃ刺さりました。
これまで斗真の方が常に優位だったのが、今回のケンカではちゃんと年下っぽい未熟さが見えたのも、バランス良く感じます。
弱ってる相手を正論で詰めるとか……いくら優秀でもこういうところがまだまだコドモだよねと。
お互いにダメなところがありつつ、補い合える関係性というのも、私の好みド真ん中でした。
この先もほんとに大好きなカップルに育ってくれる二人。この3巻で、恋人としての原点に立ったような気がします。
いきなり自分語りで恐縮ですが、私はストーリー以上にキャラクターとか心情とか関係性を重視するほうです。攻め受けが長所だけじゃなく短所もひっくるめて魅力的で、かつ、二人の相性がうまく噛み合ってると感じられる作品は、ものすごくハマります。
斗真は、(1巻の最初の暴挙を抜きに考えれば)すごく好きなキャラ。不遜で強引なところも好きだし、彼が棗にベタ惚れな理由もよくわかるし、すごくいいカップル。
棗も、頑張りすぎて空回りする性格なのはよくわかるし、そういうところも含めて好きなキャラなんだけど、1巻では空回りを通り越して独りよがりすぎるのが微妙なところでした。
2巻でも、またもや絶賛空回りの棗。
リサちゃんに嫉妬してるけど嫉妬なんてカッコ悪くて認めたくない、先輩として仕事を応援したい、恋人としての正解がわからない、みたいなことをグダグダと悩んで。こういう面倒くさい性格……めちゃくちゃ好物なんですよね、私。
なんだけど、棗の場合は、1・2巻ともに行動があまりにも良くない。自分の理想論に凝り固まりすぎて、斗真を含め周りが見えなくなる。自分に気のあるそぶりを見せてる男の家に上がり込むとか、あり得なさすぎる……。
結果的には南条が悪人じゃなくてよかったけど。
それどころかヒントになる言葉までくれて、南条さん実は大人すぎる。この人もまあ歪んだところとストレートなところ、相反するような両面を持ち合わせていて、魅力的なキャラ。スピンオフのほうも良かったし、本編の脇キャラとしても、なくてはならない貴重な存在です。
南条から「ずるい」と指摘されて、自分の独りよがりを自覚してから、棗はすごく良くなりました。相変わらず意地っ張りで理想が高くてぐるぐるしがちだけど、ちゃんと斗真の気持ちを考えたり、自分に素直に向き合ったりするようになってきて。
斗真の方も、触れたくなかった過去のことを棗に明かしたりして。
この2巻を経て、3巻以降はほんとうに大好きなカップルになりました。そして巻を重ねるごとに成長して絆を深めていく二人をずっと見守りたい、私にとってとても大切な作品です。
大きな声で言っておきますが、このシリーズ、3巻以降はほんとうに大好きな作品なんです!!!
もうすぐ最終巻が出るとのことで全巻レビューを書くにあたり、この1巻にはあえて厳しい評価をつけました。この巻の中でも好きな部分が全く無いわけではない、という意味では「中立」に近いんだけど、可愛さ余って憎さ100倍?いや愛の鞭?という感じで「しゅみじゃない」レビューを書きます。
まず、最初の斗真が最低すぎた。
ムリヤリから始まるパターン自体好きじゃないけど、作品によっては目を瞑ることはできるのに、これはどうしても受け付けない。ふざけた態度と、脅迫と、職場で何回も、っていうのでもう3アウト。
一応3巻でこのあたりの斗真の背景が補足されているけど、それを読んでもやっぱり許せない……。
しかも棗の方も、ここを有耶無耶にしたまま好きになっちゃうのが、感覚ユルすぎて残念。
それと柿崎の件も、気分の悪いエピソード。
柿崎の性格が歪んでいるのはむしろ仕方がないとして、棗やカウンターの仲間の対応があり得なさすぎて見ていられなかった。
棗の仕事熱心さが空回りして窮地に陥ったところを斗真が救う……という展開に持っていくためなんだろうけど、あれでは棗が空回りを通り越して無能みたいに見えてしまう。
棗の、真っ直ぐすぎて不器用で、お人好しで、お節介な性格自体は好きです。そんなところに、才能はあるけど捻くれている斗真が、ベタ惚れして尊敬しているところも。
全巻を通して、この作品のいちばんの魅力だと思っているんだけど……この1巻では棗のいいところより悪いところの方が大きく上回ってしまっているのが悲しいです……。
最初の犯罪行為を除いたら、斗真も好きなキャラです。不遜な性格も含めて、かなり好みの年下攻め。
斗真が棗を見る眼に、愛しさと憧れが滲みだしているのが、すごく好き。
1巻2話で棗が斗真に「俺はお前に上を目指してほしいって思ってる」と言ったのが、巻を重ねるたびにどんどん実現していくという、すごく素敵な関係の二人です。
最初の送別会のエピソードからもう千歳の気持ちがわかりすぎて、心がキュッとなる。
別に嫌われたり虐められたりしてるわけじゃないんだけど、うまく溶け込めてもいないあの感じ。しかもそれが誕生日。
誕生日って、そうなんだよね。ちょっとした嫌な出来事が、なんかやけに響いてしまう。
現在の誕生日から始まって、回想を挟み、何回かの誕生日の思い出を辿っていく構成がすごく良かったです。
高校生時代は2人とも丸刈りだけど、それほど気にはならず。むしろ短髪だからこそ、高鷹の顔の良さが際立ってました。ものすごく好きな顔。
ただ、2人の恋愛にそこまで萌えられなかったのは、千歳の性格がちょっと苦手だったからかな。
お調子者で目先のことしか考えられないところが……可愛いよりも居たたまれないがまさってしまう。特に、高校から浪人を経ていろんな思いをしたのに、結局ほとんど成長してないのが残念です。金髪ピアスになっちゃってるし……不満を呑み込んで優しくしてくれるお姉ちゃんが浮かばれないだろ、とツッコミたくなっちゃう。
せっかく高鷹と再会したのに、茶化しすぎるのもね。高鷹は気にしてないみたいだからいいんだけど。
ともあれ、最後はハッピーな誕生日でまとまって、表紙絵の回収もお見事で、良かったです。