ああ、やっぱりこの二人、好き。
キャラクターも好きだし関係性も好き。
Dom/Subは普段は読まないけど、この作品だけは大好きです。
第二の性がある世界って“男同士”という葛藤が無さそうだけど(読んでないから知らないけど)、この二人はDom同士だから、いわばダイナミクスの中での同性愛。本来の性志向と違う相手と付き合っているマサはノンケみたいなもので、元々の性志向どおりのオトはゲイといったところ。
ゲイとノンケのカップルといったら、ゲイの方が悩むんだよね。自分のせいで相手に負担をかけてしまう、自分と別れた方が相手のためじゃないか……BL界の普遍のテーマ。ベタといえばベタだけど、やっぱり好きです。悩んで迷って苦しんで、それでもこの人じゃなきゃダメなんだ、っていう強い気持ち。それを見たくてBL読んでると言っても過言でないのです、私は。
マサのこと好きすぎるわ、自分の力は強すぎるわ、根が真面目だわで、あれこれグダグダなオト。表向きはカッコよくてデキる男なのに受けのことになるとヘタレてしまう攻めが大好物な私としては、非常においしい展開でした。まあ何も言わずに避けるのは違うだろとツッコミたかったけど、マサがバシッと言ってくれたし。
こういうタイプのヘタレ攻めには大きな愛で包んでくれる受けが必須で、マサはそういう意味でほんと理想的な受け。
とにかくマサの男前で懐が深いところがどストライクです。なのに、すりすりして可愛かったり、わくわくして可愛かったり。カッコよさと可愛さがナチュラルに同居してるのも、堪らなく好き。
オトとマサは、向き合った状態で「右」と言ったらお互いに“相手から見て右”と当然のように考えるからすれ違う。
そんなふうに相手を気遣う二人も好きだし、でも本音をぶつけ合ってバチバチする二人も好き。やっぱり強いDom同士だもん、こうでなくちゃ。
血管ビキビキで喧嘩しながら、ちゅっちゅして、ほわほわしてるのも可愛かった。
そして、普段のワンコだったりヘタレだったりする顔から一転、常人ならざる瞳を見せるオト……ゾクゾクきます。
オトの「本気のコマンド」が見られるかとかなり期待したんだけど、今回はお預けで残念。3巻で描いてくださるのでしょうか……楽しみにしてます!
「夢」を叶えたくて必死で食い下がってくるオトも歳下らしさが滲んで可愛かった。二人の関係がいろいろ変化してきても、オトのいちばんの根っ子はマサへの永遠の憧れ。そこはずっと無くならないでくれて嬉しいです。
雑誌に掲載された写真は、7話の扉絵みたいなモデルっぽいマサを想像してたのでちょっと意外だったけど、こっちの方が素敵。
裏表紙とかの2ショット絵もカッコいいですね。見た目完全にマサが攻めっぽいけど……腰を抱いている方が攻め。BLカップルの真理。
謎めいた終わり方をした上巻から一転、いきなり蛍の話になって混乱させられる下巻。上巻で蛍と曽我部さんは会ってたのに、また初対面みたいになってる……???
ここでやっと気づく、「AとB」という考え方の意味。これを「未来と現在」と考えてしまうと訳がわからなくなっちゃう。
Aの蛍が過去の晶の前に現れた瞬間から、「Aの過去」とは別の「B」の世界線が始まる。○ックトゥザ○ューチャーみたいに未来の人が過去に干渉したら未来が変わってしまうのではなくて、もう一つの未来ができる。こういう分野のストーリーに馴染んでいない者にとっては、頭がこんがらがるたびに「これはAだからBとは別なわけで……」と整理しやすい、親切設計でありがたかったです。
おかげで初読でもなんとか90%ぐらいは理解できた……かな? 2回読んだら95%ぐらい。3回読んでもまだ完璧ではないけど、それぐらいでむしろいいのかも。スピリチュアルな世界はわからないことがあって当然だしね。繰り返し読んでだんだん理解が深まっていくのもまた一つの楽しみです。
下巻の萌えポイントは、やっと生身の二人が出会って危機を乗り越えるまでのバディー感。
蛍の方は全容が見えていて確信を持っているけど、晶は突然のことで何もわかってない、しかも失敗したら失うのは自分ではなく相手の命。未来が見えたとはいえ晶の方が決断するのに勇気がいるけど、それでも蛍を信じて託す信頼関係が尊い。
欲を言えば、10代の二人の恋のもだもだ部分をもうちょっとじっくり見たかった。
アフターストーリーをABそれぞれ描いてくれたのはさすがです。
まず、サスペンス作品として面白い! 上下巻イッキ読みでした。
ただ、かなり頭を使うので、気力・体力があるときしか読めないですね。何回も繰り返し読みたいのは山々だけど。
まず事件の謎より前に、蛍と晶を取り巻く基本設定からしてややこしい。
蛍の父と晶の母が兄妹で、蛍ファミリーは海辺の町の寺在住、晶ファミリーは東京在住。晶はの母は早くに亡くなっているけど、晶は法事の時や夏休みには母の実家(=蛍の家)に滞在。お寺の先代住職は曾祖父で、二人が子どもの頃に亡くなっている。現住職は蛍の父。次期住職は二人のハトコ(曾祖父にとってはこの子も曾孫)の敬人。
文字に起こしてみるとそんなに複雑でもないけど、これを人々の会話から読み取らなくちゃならないのにけっこう消耗しました。
けどこんなのは序の口、ここからがさらに難しい。ちょこちょこ回想が入ってくるし、回想にも20年ぐらい前、15年ぐらい前、10年前といろんな時点の話がある。現在の時間軸もあっちに行ったりこっちに行ったり。
「AとB」という考え方を示してくれた曽我部さん、ほんとにグッジョブでした。最初に上巻を読んだときはまだそれもピンと来ていなかったけれど、下巻を読み始めてからこれのおかげで頭の整理が大分しやすくなったのでした。
で、肝心カナメの蛍と晶の関係ですが、確かにBL要素はかなり薄い。けど個人的には、けっこう好みの要素が多かったです。
ずっと一緒に育ったわけではないけど、一種の幼馴染ですよね。
しかも二人だけにしかわからない問題を共有してる。お互いに唯一無二の存在。
小さい頃に弱虫で相手に頼りきっていた方が、大人になると背が伸びて攻めになるという……何気に好きなBL界のお約束。
そして晶が、表紙を見たときはキツそうな顔立ちで苦手かなーと思ってたけど、本編ではかなり好みでした。透明感があって、それが内面の清廉さとも合ってる。「晶」という名前もぴったり。
サングラス姿もなんか可愛く感じてしまう。赤面するのも可愛い〜
1巻がものすごく好きだったので、楽しみなのと同時に読むのが心配でもあった2巻。綺麗に完結した話はあまり引き延ばさないでほしい派なもので。
でも変な当て馬が出てきたり無理矢理なすれ違い展開になったりせず、良かったです。
緑を差し色にした表紙が素敵。1巻の赤が慶司、2巻の緑が雀のイメージカラーなのかな? 残念ながら電子だと表紙を2つ並べて見ることができないので、サムネが並んだ画面を拡大して眺めています。
雀の表情がナチュラルな笑顔になっているのもいいなあ。1巻の困り顔も好きだけど。
正直いって私は、アラフォーが歳下に愛される話が大好きってわけじゃないし、内面が乙女なおじさんはむしろ苦手。
でもこの作品が大好きなのは、雀がただチョロ可愛いだけじゃなくて、ちゃんとデキる男なところ、大人なところを見せてくれるから。
1巻もそれをすごく感じていたけど、2巻でも雀のいいところがたくさん出てるのが良かった。
慶司のために温泉やプレゼントを奮発しちゃうの、今までの雀なら出来なかったことをやってのけたのが胸熱。描き下ろしのプレゼントを買いに行った話も好きです。
1巻と比べてしまうと、二人の関係が進展していくドキドキ感とか、恋が実ったカタルシスとかは無くなってしまったけれど。
恋人として甘々なところ、プラス、掘り下げて欲しいところ、その後が気になるところなんかを丁寧に回収してくれて、心穏やかに読むことができました。
デパ地下のお姉さんたち、羨ましい……!
ピリッとした雰囲気の1巻から少しずつ柔らかく、甘く、頼もしく変化してきた表紙絵が、最終巻では明るく綻んだ笑顔に! なんだか二人の歴史を感じてしまって、表紙からすでに感慨深いです。
ラストはやっぱり尊の両親との対峙。
といっても激しく対決したりするのではなくて。これまでの誠志郎との結婚生活を通して、尊の中ではもう母親と向き合える下地は出来上がっていたんですね。
どこまでもブレない貴子ママも、意外なキャラだった和日郎パパも、どっちも好きです。子どもの育つ環境としてはいろいろアレだったけど、黒の京極家もなんだかんだ素敵な家族。
完璧なんじゃなくて、いろんな形の結婚・家族があっていい。このシリーズのテーマそのものでした。
わかってはいたけど切ない礼央との別れ。礼央の前では泣かないのが誠志郎らしい。ウルグアイ、とかズレた論理を持ち出すところが栄一郎パパ譲りよね。
2回目の結婚式はthe大団円という感じでした。尊が黒は自分で白は誠志郎と拘っていた1回目とは対照的に、お揃いの袴で素敵でした。GI値をちゃんと習得してる芳子ママ、さすがです。
家族BLとして、とても素晴らしい作品でした!
巻数表記が「1」だから3巻以上は続くのかと思ってもう少し待とうと思っていたけど、結局読んでしまいました。でも読んで悔いなし。じっくり時間をかけて待つのも楽しみと思える出だしでした。
妹の代わりに嫁ぐとか、実は過去に接点が、という展開はBLとしては目新しくはないものの、そんなことは枝葉に過ぎず。
皇帝一族のことや治水のことといった土台がすごくしっかり作り込まれているから、普通に漫画として読み応えがあって1冊があっという間でした。
名前の付いている脇役もたくさん出てくるけど、それぞれの個性とか関係性とかが分かりやすくて、混乱せずに読めるのはさすがです。私は今のところ王悟がお気にいり。
治水の部分はちょっと難しそうだけど、話し言葉は現代風でサラッと読めるし、ムダなところで嫌な人間が出てこないし、全体的に柔らかくてほのぼのした雰囲気。
小梅ちゃんが真単や端正に結構ずけずけものを言っちゃうなんて、リアリティーはないけど好き。彼女だけ名前が何故か訓読みなのも。
子パンダまで出してきて……まんまと癒されてしまう。
陛下が腹違いの弟殿下と仲良しなのも、ほろっときてしまいました。末の弟君のエピソードはとても重いので、これぐらいのバランスが好みです。
恋愛面はまだまだ序章という感じ。王佳が空気読めないキャラのうえ、陛下もなかなかに不器用なお方。でも、不器用だけど、重荷も負っているけど、器の大きさも感じられる人で、これから期待大です。
このシリーズを買い始めたのは既に10巻か11巻まで刊行されていたころ。そんなにたくさん買うのは負担が大きいよな〜、まあでも1巻ごとに話がまとまってるから、もう満足となったらそこでストップすればいいか。8巻で一段落つくらしいから、長くてもそこまでかな……というゆるい考えで買い集め始めたのでした。
5巻ぐらいまでは共感しづらい部分もありつつ、なんだかんだ安定のクオリティーで8巻まで読み終えて、うん、満足。満足したけど、もう1巻買おうかな。別に、続きが気になる!ってわけじゃないけど、やっぱり読んだら確実に面白いんだよね……と、新刊が出るたびに買って、かれこれ15巻。自分の中では、いい意味で水戸◯門のような存在です(若い人にはわからないか…)。
おなじみのパターンでありつつバリエーションがしっかりあって、9巻以降もちゃんと二人の関係が進展している。“3歩進んで2歩退がる”程度だけど着実に1歩ずつ進んでる。むしろ以前は“3歩進んで3歩退がる”ぐらいだった二人を思えば、なんと成長したことか。
そしてこの巻での宗一の「家族」発言……!
BL作品でこの手の言葉は何度か見てきたけれど、私の場合ものすごく感動するケースと、逆に冷めた目で見てしまうケースと両方あります。
重みのある言葉だけに、すごく好きというだけで安直に使われると後者になるし、それだけの積み重ねがちゃんとあったうえで言われると前者になる。
宗一のはまさに前者。
哲博の実家問題は1巻から折に触れて描かれてきて、私は密かにこの作品の裏テーマなんじゃないかと思って見守ってきました。
6巻では巽ファミリーの絆を目の当たりにした哲博が切なくて、宗一が無意識ながら寄り添ってくれたのにはじんと来たし、哲博の福岡時代を支えてくれたマスターとのエピソードも好きなので10巻も泣けました。
そして15巻にして、ここまで築き上げてきたんだよなと思うと、感慨深くて涙出ます。
今後の巻で、実際に親との対峙が描かれるのか否か、描かれるとしたら和解するのか決別か……どう転んだとしても納得できる気がします。
私は長編作品はあまり引き延ばさないで欲しい派なんだけど、この作品は穏やかに読み続けられる稀有な存在。
全巻を通しての神評価です。
1〜8巻合わせての評価&レビューです。
正直いうと、初めて1巻を読んだときはドン引きでした。
あまりにも暴力的でワガママな暴君・宗一に対してはもちろんのこと……一見健気そうに見える哲博もやっぱり自分の気持ちを押し付けてばかりで。
でも漫画自体はテンポが良くてギャグとシリアスの緩急も上手く、ついつい読み進めていったら(3巻まで無料で読めるときだった)、なんとなく腑に落ちてしまったんです。
この二人に限っては、これでいいのかもしれない……と。
お互いに無茶苦茶なエゴをぶつけ合っていても、それなりに受け止め合えてるし、互角に渡り合えてるし。そもそもすごく波長が合ってる二人。値切り式で回数決めるって何だよ……なんか楽しそうになっちゃってるじゃん。
これはいわゆる破れ鍋に綴じ蓋ってやつか。他の相手なら“逃げてー!”な案件だけど、この二人の間だったらアリかも。というかお互いこの相手以外は無理かも。
そこが納得いったらあとは楽しく読めるようになりました。5巻ぐらいまでは二人とも“それはやりすぎ……”と感じる言動は毎巻ありつつ、やっぱり全体的には読みやすくて面白い。前半に軽め、後半にしっかりめの絡みがあり、その間にモメゴト勃発!というお馴染みのパターンもなんだか安心感があるし、新しい1冊を開くときにはヒロトくんに会えるのを楽しみにしている自分がいる。
8巻でいったん完結するとのことだったから、当初はそこまで読めばいいかなと思っていたけれど、なんだかんだ15巻まで出ている今でも買い続けています。
気軽に読めるラブコメとしても楽しくて好きだし、意外としっかりしてるなと思うところもあって、そのひとつが哲博の抱えている問題。
恋人と引き裂かれ、周囲から蔑まれ、親兄弟からさえ疎まれて。しかも愛し合っていたつもりの相手は別の人を想っていて。
サラリと語られているけど、高校生でこんな経験はほんとに辛い。普段は強引な哲博がときどき異常なほどにネガティブになるのも、宗一の気持ちを執拗に確認したがるのも、無理ないかと思える。
しかもそんな思いをしながら、なおも相手を思いやり続けているとか……骨の髄まで愛が重い気質。
こんな重い重い過去と重い重い愛情を抱えた男を、普通の人間はなかなか受け止められないな。迂闊に寄り添おうものなら一緒に潰される。情け容赦なくぶつかり合って、だけど絶対見捨てたりしない、宗一の「鉄拳付き」の愛だけが哲博を救えるのでは。
そしてもうひとつ、宗一は哲博の笑顔が好きなんだな、という気配が1巻目からずっとさりげなく描かれているのが、とても好き。
二人とも自覚していないから、言葉でそうと説明されるわけではないんだけど、表情や間から伝わってくる。哲博にニコッとされるのに、宗一は弱い。
子どもか!ってレベルだけど、これが暴君の「恋」なのかな、と思う。
5巻あたりから哲博の表情の変化を気にかけるようにもなって。9巻で「お前はへらへらしててこそだろ」と言ったのは宗一らしくて微笑んでしまった。
恋人としての関係は一進一退でほとんど変わらず、8巻にしてようやく人並みのスタートラインに立てた感じだけど、水面下で宗一のマインドはずいぶん変わった。恋の力は偉大。
他人に興味がなかった暴君・宗一が人間として成長していって、その宗一に、心の傷を抱えた哲博が支えられていく。破れ鍋に綴じ蓋だけど、最高のパートナー同士。
少しずつだけど着実に変化していく二人の関係を、ゆるく楽しみながら気長に見守っているシリーズです。
対になっている5巻の表紙と比べると、露出度は半分以下なのに色気は10倍の男・久慈静。(ごめんね朔ちゃん)
外側はこんななのにね、蓋を開けてみれば可愛い静ちゃんの詰め合わせ。
私がBLの中で見たい“男の可愛さ”って、こういうのだよなと思う1冊でした。
1巻の頃から、すかした顔して朔を大好きなことも意外と必死なことも感じてはいたけれど。こうして改めて本人視点の回想を読むと、想像以上に青かったんだな。
感傷的で頑なで、独りよがりのまま終わらせてしまった片恋。
孤独と閉塞感の中で、人生を学び、愛について考えた8年間。
自分から一歩を踏み出した、再会の夜。
不器用で、誠実で、切実で……なんともまあ可愛くて、愛しい。
パンイチで正座しちゃってるのも、通りすがりのおっさんに励まされちゃってるのも、家に連れ帰った朔を前にソワソワしちゃってるのも、みんな可愛い。
キス魔になってるのも、椅子に座りに来ちゃうのも、「頑張って」と言われて神妙に「うん」と答えちゃうのも、みんなみんな可愛いよ、静。
この巻を読んでから1巻を読み返すのも楽しい。朔視点で描かれた静とのギャップに微笑んでしまう。あんなに本音を出せずにいたのに、今はこんなに素直になれて……という感慨も。
そして久慈父が大学に行ってしまうエピソードは初読から印象的だったけど、あの台詞がこんなロングパスで繋がってくるなんて。
長く続いているシリーズだけど、ちゃんと全部が地続きになっている。「ん〜〜」が口癖の先生、前にモノマネされてたな。
嶋田さんへのカムアウトもすごく好き。家族のことや仕事の愚痴もぶっちゃけて話せる、彼女のキャラやこれまでの関係性が下地にあってこその、ああいう流れ。原さんに明かしたときとはまた違う信頼関係を感じられました。嶋田さんの咄嗟の対応力もお見事!さすが教育者。多治見さんの告別式で、朔を気遣ってくれたのも嶋田さんだったんだな。
同じMRから翻訳業を目指すのに、静と朔ではいろんな面で格差があるなーというのも初期から気になっていたけど、ここに来てなかなか痛烈な形で突きつけてきました。でもイヤな感じにギクシャクするわけではなくて。
40歳すぎても、両想いになっても、まだまだ学ぶし成長する。着々と人生の伴侶になっていく二人、素敵でした。
まずはとにかく瑛人がドストライクでした!
中身がほとんど見えない1・2話の、目つきが悪くて無愛想で不遜なところも好みだし、3話でチラチラと内面が見えてきてからがほんと可愛くてハマっていって、とどめに6話の瑛人視点で悶絶。無愛想なまま、不遜なまま、微妙〜に正孝に懐いていくのがすごくいい。「夢に出てきて鬱陶しかった」なんて、瑛人すぎて可愛すぎる。
そもそも顔がいい。初登場のエレベーターの場面で、正孝と同時に「イケメン〜〜」って思ったし。そのルックスで実は子どもじみた負けず嫌い……正孝より一瞬前に「こいつ可愛いじゃん」って思っちゃった。瑛人のこの青臭さ、大学生特有な感じで好きです。
正孝のほうはチャラ系クズなんだけど不思議と愛着持てて、普通なら嫌悪感が湧くようなエピソードも笑えました。彼独自の「善く生きる」というモットーも何となくわかる気がする。
ただ、個人的には“大好き”とまではいかず、“嫌いじゃない”で留まってしまったかな。
家庭環境が原因で自己肯定感が低い、という設定が私にはしっくり来なかった。
幼い我が子の好きな本を「変」「役に立たない」と笑顔でバッサリ切り捨てて兄のようになれって……病みを感じるレベルの毒親で、何か複雑な事情(兄は先妻の子とか)があるのかと思ったら特に説明はなく。本当にただ兄が超優秀なだけの話?
自信を失くして好きなものを好きと言えなくなった…わりに、大学はしっかり哲学科に入るんだ? 実家暮らしでお小遣い付きってことは、親も普通に認めてくれたんだ?
親からの評価を上げるため料理や家事をやるのに、しょっちゅう外泊して酒タバコor香水のニオイさせて帰るのはマイナス評価じゃないの?
せっかく哲学科に入りながら、ろくに授業にも出ない? なのに実は優秀で、教授には何かと目をかけられて……これ、瑛人じゃなくても普通に周囲の反感買いそうだけど、みんな認めてくれてる。
この辺りの諸々がうまく腑に落ちなくて、正孝に同情するよりむしろ甘ったれた印象を持ってしまったので……もし続編があるなら、正孝の背景をもう少し見たいです。
身体だけの関係から始まって、正反対の二人が惹かれあっていって、恋が実るというド王道ストーリーだけど、お互いの気持ちが変化していく過程の描写がすごく好きな作品でした。
講義室で二人並んで座っている情景が美しすぎて、喉の奥がじわっと熱くなる。「魂の片割れ」って素敵だな。