ムシシリーズで一番好きなお話です。絶対交わらないであろう儚い郁と孤独虚無の陶也が出逢い、個々の苦しみを乗り越え、お互いに克服し少しずつ歩んでいく様が素敵すぎて儚くて。『愛の巣』で登場した陶也は相変わらずですが彼なりの苦しみや孤独を抱えた迷子です。それが儚い憂いを持った郁と出逢い化学反応が起きていく。少しの間幸せをが訪れても心の何処かで憂いを抱えるふたりが、お互いに手を取り合って成長し、一歩一歩踏み締めながら前に進んでいくのが慎ましく美しくて。一緒にいるのにお互い孤独に感じるのが、これまた切なくて。なんか凝り固まった硬い何がが、じんわり溶けてく感じってこんななのかな~と、最後は優しい気持ちになれる作品だと思います。