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神作品

アドバンスドレビューアー

女性碧蓮さん

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苦難を包み込むように乗り越える、穏やかな意志の強さ

早寝電灯先生のオメガバ作品……!うわーん!めちゃめちゃ嬉しい!配信で読み、コミックス発売を心待ちにしていました。表紙の白根が美麗……!
切なさと優しさや温もりの同居する、早寝先生らしさ溢れる作風で描かれるオメガバの魅力が優しいです……。早寝先生独自の視点で描かれるオメガバース作品の魅力が輝いています!キャラもみんな魅力的~!

自分の舵は自分で取りたい、と自分を律しながら進む白根も、噂話など好奇の目による居心地の悪さから他者のことを思い遣れる清成も、二人とも魅力的です。生きづらさを抱えながら、それでも懸命に生きている姿を見ていると、応援せずにはいられません。そして、そんな彼らに励まされます。
高校時代、お互いの何気ない言葉や遣り取りがお互いにとって救いや支えになっていたという事実がもう……たまりません!相手がそう感じていたことにお互い気付いていなかったというのも、たまりません!
その事実が、バース性による身体的本能的な引力ではなく、心情面で共鳴、共振していた片鱗のようにも感じられました。オメガバースに52ヘルツの鯨を組み合わせるところに早寝先生らしさやセンスを感じます。タイトルを見たとき、「そう来たかー!」と悶えました(笑)
運命のつがいが存在しない世界(相性の良い相手はいる)ということで(ご本人のツイッターより)、そういう設定の違いも早寝先生らしい作風に繋がっているのかもしれません。他にも隠れた設定などがありそうで、密かに気になっています。

左右違う靴下を履きがちな清成と、それによく気付く白根が好きです(笑)
清成にとって大切な一瞬には、2回とも白根が清成の左右違う靴下を見ていた……。名シーンです……!
白根も清成も、バース性に関わる生きづらさを抱えていますが、生きづらさを感じている理由がバース性だけに直結するものではないところに、作品の魅力を感じます。オメガバースでなければ成立しないお話でありながら、バース性がなくても、彼らは生きづらさを抱えていたのではないかと感じる。だからこそ、彼らの姿に励まされるのだと思います。

規則正しい生活を重んじる白根から「転じて恋と生き」を思い出したり、再会ものということから「see you later,mermaid」を思い出したりしました。
「罫線上のカンタータ」や「君にはふれると鳴るとこがあって」の雰囲気も感じられて、早寝先生の作品にある、苦難や辛さも包み込むように乗り越える、穏やかな意志の強さや優しさに今回も浸らせていただきました。好きです。
オメガバース作品として素敵なお話であり、また、その枠に留まらない魅力あるお話なので、多くの人に読んでいただきたいです。

好きと言葉にする意味の重要性

今後、結婚して落ち着いてラブラブになる、と予告されていた辰見と戌井のその後を読むことができて、とっても嬉しいです!!
「ドラッグレス・セックス 辰見と戌井」での、戌井が辰見の匂いを感じない件は辰見にとってトラウマになっているかも?と密かに心配していたので、こうして描いてくださったことに感謝です。幼い頃の経験も含めて……ということで、改めて戌井を怒りたくもなり、戌井でよかったとも思いました。一方通行ではない関係に救われます。

戌井の気持ちをどうしても信じられない辰見に対して、戌井が出した答えに心が震えました。
「辰見が怖くても、信じられなくても、好きと言い続けるから隣で聞いていて」
辰見には戌井しかいない、と再度確信。もちろん、戌井にも辰見しかいない。
「ずっと」という言葉が嫌か?と辰見に尋ねる戌井がよかったです。その問いに、泣きながら、言葉に詰まりながらも素直に正直に本心を答える辰見が愛おしくて愛おしくて。そこまで曝け出せるようになったことが大切なことで。感動で泣けてきました。

それにしても、フェロモン症は怖いですね。わかりやすくて便利だからこそ、気持ちが離れたときの怖さと切なさもダイレクト。幼い辰見にはとても大きな心の傷になったと想像に難くない。本来、恋愛感情が消える恐怖や不安は誰もが抱いているものだと思いますが、あまい匂いの有無という形ではっきりと示されてしまうが故に、自分を誤魔化すこともできない。
その不安を取り除くことはおそらく誰にも無理なはずですが、辰見を好きな戌井なら大丈夫だろう、と思えてしまう不思議。辰見を嫌いになるという選択肢が元から存在しない戌井だからでしょうか。

戌井と喧嘩しながら、ぶつかり合いながら、少しずつ変わっていく辰見が愛おしいです。まさか、あんなにも素直に戌井を求め、甘えるようになるとは。人としても成長するとは。それもこれも全て、お互いの愛故なのでしょう。

結婚後の二人のラブラブっぷりを堪能することもできて、とっても嬉しかったです!お互いを名前で呼び合う辰見と戌井……もうそれだけで感動で嬉しくて泣きそうです。きっかけがあのような形だったので、どうすればラブラブな未来に?と思っていましたが、想像以上にラブラブな未来が訪れてくれました!ありがとうございます!
二人にはこれからもずっとずっと一緒に幸せでラブラブな毎日を過ごしてほしいです。

蜜果 3 コミック

akabeko 

レオのおかげ

プレーバックセフレ編ということで、再会からセフレとして過ごし、一緒に住むようになるまでが描かれています。
電子単話で追いかけているとき、恋人編がとても幸せな光景でひと段落してしまい、もうこの二人の新しいお話を読めないのか……と落ち込みかけたところ、突然始まったプレーバックセフレ編。とっても嬉しかったです!
描かれていない空白期間も気になっていたので、そこを描いてくれるんですか!?と小躍りしました(笑)

落果スピンオフにて、レオが店長(貴宏)に一度抱かれてから、店長を探し求めていたことは有名(?)ですが、蜜果第3巻は漸く再会でき、念願を果たしたところから収録されています。
とにかく冒頭からレオの可愛さが随所に。そりゃ、店長もつい連絡先を渡しちゃいますよ。レオ専用コールボーイに立候補しちゃいますよ。レオだけのために現役復帰。
これが現役を引退していた店長にとって、どれだけ異例のことなのか。レオは知りませんが、店長自身は自覚している。そんな店長も可愛い。

レオの素直さやちょっとしたおバカ加減が店長にとっては心地好く、愛おしさが少しずつ募っていく様子に悶えました。必死に自分の気持ちを否定しよう、無視しようとする店長の戸惑いが微笑ましく、あの店長をそんな風にしてしまうレオの可愛さにも悶えました。
この二人がセフレという関係から、どのようにして恋人や一緒に住むという関係に変わっていくのか。どんなに考えても謎だったのですが、こうして描かれると納得。
店長視点で描かれているにもかかわらず、レオの感情まで伝わってくる気がするのは何故でしょうか(笑)
店長自身はそんなわかりやすいレオの感情をすぐには認められず、予防線を張りまくって否定しているところがまた愛おしい。恋人編でも描かれていた、店長のノンケに対するトラウマや不信感。レオと恋人になってからも不安を抱え続ける程なので、相当に根深い。そのせいで何度も何度も必死にどちらの気持ちも否定する店長がいっそ健気で、切なかったです。

でも、そんな店長の苦悩をよそに、レオはレオで悩みながらも、彼らしい素直さを発揮してくれました。
レオの場合は、悩む点が店長の不安と見事にズレているところが魅力。だからこそ、店長の苦悩がレオのおかげで吹き飛んでしまう。
それでも、セフレ関係から抜け出すための一歩を踏み出すことは、レオでさえ躊躇していて、もどかしさでどうにかなりそうでした。ですが、それもまた、レオのおかげで心を決めた店長が一歩を踏み出した。
二人ともが協力して踏み出せたということに感動です。彼らの未来を知っているのに、幸せになってくれ~と願わずにはいられませんでした。

あのとき、レオの相手をしたのが店長だったこと。それがあのような幸せな日々に繋がるきっかけになるとは。
幸せな日々へ繋がる空白のひとときを描いてくださったことに感謝です。
それにしても、まさか「豆ができた」が理由とは……(笑)
あの辺りのお誕生日エピソードや、レオが「ただ会いたかった」だったり、ご飯のために店長を誘ったりするエピソードがお気に入りです。

強固な箱庭の完成

ついに完結の第3巻。月人と澪斗の関係はやはり特殊なのだと思い知らされました。
「プリフェクトの箱庭」というタイトルが示す通り、学園内でもそこはまるで箱庭のようだったのですが、卒業し、月人がプリフェクトではなくなってからのほうが、より強固な箱庭となったように感じます。月人が作り上げる、澪斗だけが存在する箱庭の完成。
途中、澪斗との対話や関係性の変化から、いつか月人が箱庭を必要としなくなる未来が訪れるのかな?とも考えましたが、真逆に進んで喜んでしまいました。

おそらく、月人が抱えているものが根深かったことに加え、いくつかの事件が起こってしまったことが強固な箱庭形成に舵を切らせたのだと思います。そして何より、それを澪斗が受け入れたから。
澪斗が受け入れなければ、澪斗に嫌われたり見捨てられたりしたくない月人は、無理強いしてまで箱庭に閉じ込めようとはしないと思います。以前の月人ならやりかねませんが、澪斗と接することで「神様」でなくなった月人なら、澪斗の意思を尊重できるはずなので。
けれど、いつの間にか澪斗にとって、一般常識よりも月人のほうが大切で大きな存在となっていました。澪斗もまた、月人を嫌いになれず、見捨てることもできなくなっていた。
澪斗にとって月人が大切な存在となっていく過程には、月人自身の優しさや思い遣り、情熱などが関係していて、決して同情や畏怖などではないことが重要です。
見様によっては、澪斗もまた月人の引力魅力に魅了されてしまったと言えなくもないのかもしれませんが、少なくとも「神様」と崇めていた人たちの信仰心のようなものとは別物。単なる同情にも感じられないので、やはり二人の関係は特殊と呼ぶほかない。

月人が澪斗に対して影響を与える、という一方通行ではないことが大きいと思います。誰の影響も受けない孤高の存在であった月人が澪斗の影響を受け、変わっていく部分があるということが二人の関係を特殊なものにしています。
そうして変わっていったにもかかわらず、最終的には月人が強固な箱庭を完成させてしまうという展開がとても魅力的。
時間をかけ、少しずつ月人のことを知り、心を通い合わせていったことで、澪斗は月人を手放せなくなってしまった。そうやって少しずつお互いを知っていくことは、他でもない澪斗自身が望んだことで……。
卒業後、彼らだけの箱庭で過ごす二人が自然体でこの上なく幸せそうなので、何の疑念もなく、よかったと思えました。間違いなく、この形が月人と澪斗にとっての幸せだと思います。

実は、花菱さんの一言「神様の箱庭か…」が衝撃的でした。重く響きました。「神様」ではなくなったように感じていた月人がやはりまだ「神様」だったのか……と。
ですが、だからこの箱庭を完成させることができたのか、と納得もしています。誰のことも求めない「神様」から、たった一人を求める「神様」に変わったということ。
花が咲き誇る美しい庭園に寄り添い佇む二人という、美しく幸せそうな光景だからこそ、鳥肌が立つようでした。
「神様」が意志を持ったとき、それに抗うことは誰にもできない、と突き付けられたような気分です。

敢えて具体的なエピソードについては言及しませんでしたが、様々な魅力が詰まっているので、是非ご一読いただきたいです。
「プリフェクトの箱庭」に出ている魅力的なキャラたち、久世と花菱さんのスピンオフ作品「プリフェクトの熾火」もおすすめです。
プリフェクトシリーズ大好きです。

二人の結晶の美しさと、それを噛み砕く意味

好きな作家さんのオメガバ作品! オメガバ好きとしては見逃せない!
マキ先生が大事にしてきたもの、朱音くんが苦しんできたこと。出会って交わって、お互いの苦しみや大事なものが尊重される形で前に進めたことに感動と喜びを禁じ得ません。

第一話冒頭から引き込まれます。
オメガである朱音くんは、フェロモンが結晶として見えるという特徴を持っている。それだけを聞くと、きらきらして綺麗だろうな、と想像しますが、様々な色や光が目に飛び込んでくる視界は、眩しくてしんどい。幼い頃は朱音くんもそれを「キレイ」だと感じていたのですが、思春期頃になると、結晶が見えることで体調を崩すことも。
そんなときに朱音くんが唯一安心できる相手が保健室勤務のマキ先生だった。マキ先生の結晶は透明だから。
ただでさえ不安定になる思春期に他者には理解されにくい悩みを抱えている朱音くんに、たった一人だけでも理解者であり安心できる相手がいてくれたという感動的なエピソードなのですが、まさかそれが朱音くんとマキ先生を引き裂くような、心を本当に通い合わせる際の大きなハードルになるとは、何と言う皮肉。

中学卒業の五年後、マキ先生と朱音くんが夜の街で再会する場面から現在の二人のお話が始まります。
今でも結晶が見える上に、オメガというフィルターを通して周囲から見られる朱音くんにとって、マキ先生との偶然の再会はとんでもない幸運で、奇跡にも思えたと思います。そして、変わらぬ優しさを見せるマキ先生の結晶は、変わらず透明だった。
朱音くんのマキ先生に対する好意はわりと最初からはっきりとしているのですが、マキ先生がくれる優しさはあくまで元教え子に対するもので。朱音くんからの積極的なアプローチに動揺しながらも、のらりくらりと一見受け止めるかのように躱していく。
そこまで受け止めたなら、なんでもっとちゃんと受け止めてくれないんだ! と若干の苛立ちを感じるくらいに、朱音くんと対峙してくれないマキ先生の狡さ。
ですが、そこにはマキ先生にとって、自分自身の根幹や生きる支えにも関わるような重大な事情がありました。それなら、なかなか踏み出せないことも納得できる、と思うくらいの。何より、朱音くんとの過去もそこに関わっている。

朱音くんが救われた中学生の頃のマキ先生との遣り取り。それがマキ先生にとっても、救いとなっていた。
マキ先生のバース性に関する苦悩は特殊で、強い薬の常用によって本来は色の付いているフェロモンの結晶も透明になってしまう程。でもそれは後ろ向きなものではなく、強迫的ではありますが、マキ先生でいるための覚悟とも呼べるもの。
自身を追い込むような方法は褒められたものではないかもしれませんが、その影響で結晶が透明になり、それがきっかけで朱音くんとの遣り取りが生まれたのは紛れもない事実であり、それはお互いにとっての救いとなった。
マキ先生の無茶が二人のきっかけを作り、二人にとっての大きなハードルともなるという皮肉は、朱音くんがマキ先生の大事にしてきたものを尊重してくれたおかげで、運命的な繋がりとなったように感じます。
お酒に酔ったマキ先生が本心のままに朱音くんを襲いそうになってしまったとき、ずっとマキ先生に抱かれたがっていた朱音くんがマキ先生のために告白しながら拒否する場面。朱音くんのマキ先生に対する想いが溢れていて、思い遣りに満ちていて、切なさと感動で胸が締め付けられました。

そして、その後の決心したマキ先生の情熱的な愛の告白! マキ先生かっこいい!
朱音くんの涙も泣き顔も綺麗で愛おしくて、よかったねぇぇぇ!!!と心の中で叫びました。
チョーカーを贈る意味は「誰のものにもならないで」
ベータとオメガのカップルにとっては、切実な願いの象徴で、そこにどれ程の想いが込められているだろうか、と。
愛の告白後、自身のバース性についてもマキ先生が告白してくれてよかったです。朱音くんは結晶の色の濃淡で相手のバース性がどれなのか見分けがつくとのことで、マキ先生の告白もすぐに納得できたのですね。
そうして隠していることのなくなったマキ先生のストレートな愛情表現に、嬉しくなりながらも照れてしまう朱音くんが可愛い。

二人が初めて心も身体も繋げるところでは、感動や喜びだけでなく、美しさにも圧倒されました。マキ先生が朱音くんの項を噛んだとき、結晶も一緒に噛み砕いていた場面。
結晶を噛み砕く音に驚いた朱音くんが振り返ると、部屋中に散りばめられているルビーレッドとサファイアの結晶たち。見開きで描かれているので圧巻です。カラーではないのが残念ですが、モノクロでも充分に美しさが伝わってきます。
何より、それらを見つめる朱音くんの瞳がきらきらと輝いている。キレイだと思ったのはいつぶりだろう、という朱音くんの呟きが胸に刺さります。
最終話の最後のコマで、これからはマキ先生がうっとうしい結晶を噛み砕いてくれる、と嬉しそうな朱音くんを見られて感無量。

描き下ろしがまた、甘々で幸せ満載で、寝落ちするマキ先生の一言に期待が膨らんで仕方ありません。
続編も決定しているとのことで、とても楽しみです。

当て馬のようで全然当て馬じゃない朱音くんの友人、叶芽もいいキャラしています。彼の恋も応援したい!
更に装丁も美しい。表紙は真っ赤なルビーレッドですが、裏表紙とその折り込みだけに濃すぎない明るい青の結晶……。センスの良さ……!
コミコミスタジオ特典のクリアファイルがこれまたとっても美しかったです。作品にとって大切な二人それぞれの結晶が効果的に配置されていて、装丁と同じく真っ赤なルビーと濃すぎない明るい青が美しい。

雨降って地固まる

とても癒された作品の続編が発売されると知り、とても嬉しかったです!もっと続きを読みたいと思っていました。
北斗も大和も大和の家族もみんなが優しくてあたたかくて、読むといつも癒されます。続編も変わらずの癒し。

冒頭から、髪型を変えて雰囲気の変わった大和が出てくる辺りが心憎いです。イメチェン大和の魅力が炸裂!
それに北斗がノックアウトされているところが微笑ましくて可愛くて。
そんな北斗の好みを把握して確信犯な大和が微笑ましくてかっこよくて。
北斗の初恋の相手と好みを知っているからこそ、内心で嫉妬してしまうけれど、メロメロになっている北斗の姿が嬉しくて満足してしまう大和……二人とも可愛い! お互い大好きなことが伝わってくる!

北斗の転勤と転職によって、遠距離とライバル出現という大きな山が訪れる続編。
そこに真名人くんの受験や進学がうまく絡んでいて、伏線の作り方や回収の仕方が見事でした。大和の家族も好きなので、真名人くんだけでなく、みんなが続編でもしっかりストーリーに関わってくれたことが嬉しかったです。
真名人くんが進学を目指して受験できるように、と木下銀行制度を提案する北斗の賢明さに惚れ惚れします。前作でもでしたが、北斗は明るい木下家に救われる一方で、木下家に新たな光をもたらし、照らしているように思えます。
それが彼らを引っ張っていくようなものではなく、下支えするようなタイミングや方法であるところが北斗らしくて魅力的。大和も北斗のそういうところが好きなのではないかな?と思ったり。北斗の芯の強さは魅力です。

遠距離と転職から生じる擦れ違いやライバル出現といった問題も、乗り越えることで二人の結びつきが更に強まり、ほっとしました。まさに「雨降って地固まる」!
特に、大和の過去が描かれたことと、そこから彼が抱え続けている後悔や懺悔、不安といった今まで隠していたものを北斗に明かせたことは、二人にとって大きく重要な出来事だったと思います。
北斗が自分が何を最も大切にしたいか、をはっきりさせることができたのも、大和が素直な本音を見せたから。そこで悩んでいた転職を決意する北斗の潔さがかっこいい!
遠距離中、夜の公園で抱き締め合う二人の姿はとても印象的でした。彼らなら、これからも擦れ違いそうになる度、向き合う二人でいてくれるだろうと感じました。
北斗の転職に関して、今度は真名人くんが協力してくれたのも感動。ヒメちゃんたち含めて、本当にもう北斗は木下家の一員、家族です!

魅力的な大和には言い寄る相手が次々現れるわけですが、北斗ラブ!な大和はあっさりきっぱり断る。でも、そのせいで、北斗がその相手にまたまた巻き込まれてしまい、今回はその相手ともどもピンチに陥ってしまいました。
普通ならここで相手を罵ってしまいそうなところ、北斗の芯の強さと思い遣りが炸裂。一緒に脱出する過程を通して、相手が前を向くきっかけを作ってしまうとは……。
しっかり助けに来てくれる大和もめっちゃかっこいい!

北斗から本音を引き出そうと、北斗をお酒で酔わせる作戦エピソードも気に入っています。結果としては、北斗の本音が大和に対する想いで満ちていることと、北斗のエロさを再確認するものでした。
大和にメロメロな北斗にメロメロな大和という、お互いにラブラブな二人を堪能できて大変満足です。

素直な弱音という愛の告白

電子限定有償特典の描き下ろしは、更にたっぷりエロエロラブラブな二人を堪能できます。
Sな廉次も楽しめる上に、サクちゃんのドライ……!
それまでちゃんと口を塞いでくれていたのに、肝心な瞬間に手を放すなんて、ほんとSですよね、廉次。ドライでいってしまったサクちゃんを見て、更に興奮する廉次がやばかった……。いい表情する。
「ラブラブ」については、サクちゃんは全否定するかと思いますが、私にはラブラブに見えました。
そんなSな廉次が見せる素直な弱音に頭を抱えます。サクちゃん、早く素直になってあげて……。
でも、素直になれないサクちゃんも魅力的なので、難しい問題です。

エロまで堪能できる、根底に優しさが溢れているお話。

私の好きな強いオメガが出てくるオメガバース作品。その上、幼馴染みで、お互い(心は)一途で、なっかなかくっつかないけど、お互いが唯一で救い救われの関係。根底に優しさが溢れているお話。
更にエロも楽しめる。絵が綺麗なので、ついじっくりと眺めてしまいます。
ストーリーの深さも、エロの濃厚さもたっぷり味わえる作品です。18禁版も電子で出ているので、そちらもおすすめ。電子限定有償特典付きもおすすめ。

電子単話で読んだ第1話のヒートとラットを必死に耐える二人の様子に興味を引かれ、こういうオメガバもいいなぁと読み進めた先で出会った、バース性検査結果通知の日のエピソード。ここで落ちました。
怯えるサクちゃんを茶化しながらも、安心させるようにぎゅっと抱き締める廉次の思い遣り。サクちゃんに掛ける言葉にも思い遣りが込められていて、とても好きな場面です。サクちゃん側からだけでなく、お互いの本音を伝え合った(サクちゃんは素直になりきれていないですが)後に廉次側の視点からも描かれているので、二人にとってどれくらい重要な出来事だったのかがしっかり伝わってきます。

サクちゃんと廉次の幼馴染みっぷりもとてもいいです!
相手が廉次だからこそ、大切な存在だからこそ、反発してしまうサクちゃんが愛おしいです。それも対抗心からでなく、対等な立場でいたいからという前向きな気持ちからというのがもう……ほんと可愛い(禁句)
幼馴染みだからこそ、特に理由がなくとも近くにいられるけれど、想い出があればある程、思い入れが深い程、そこに信念が絡み合うと素直になることが難しくなっていく。意地やプライドというものは信念とも繋がる部分があるから、手放してしまえばいいと一概には言えないのだな、と思わされました。
だからこそ、素直になるようサクちゃんに無理強いしない廉次の思い遣りや慈しみ、愛をより強く感じ、絶対に幸せになってほしい!と応援したくなります。

サクちゃんも廉次もキャラが立っていて好きです!
二人とも目立つし激しいけれど、可愛いところもあって繊細で。目が離せない。
廉次の関西弁も好きです! 軽い印象にさせつつ、鋭さを発揮する彼の魅力が際立つ感じで、どんどん引き込まれます!
サクちゃん……どう足掻いても廉次の好みから抜け出せなさそうなところがとても好き。それすなわち、廉次はどんなサクちゃんでも好きだという事実の裏返し……になりそうなところも好き。
二人ともがそれぞれ「自分」というものを持っていて、それがバース性の本能に消されてしまうことを恐れ、必死に保とうと懸命なサクちゃんと、そんなサクちゃんを理解した上で、自分自身は既にバース性に左右されないサクちゃんへの気持ちをしっかり自覚し、サクちゃんを丸ごと愛している廉次。廉次の眼差しが庇護対象に向けるものではないところが好きです。αに守られるΩのお話も好きですが、ポプチェリの二人はそうではないところが魅力。
今後、どう足掻いてもバース性関連で勝てず、サクちゃんがΩとして守られる展開が来る可能性はありますが、そうなったらそうなったで受け入れられるという矛盾を抱えています……。廉次はそのままのサクちゃんを丸ごと愛しているから仕方ない。Ωであるサクちゃんも、バース性と闘うサクちゃんも。そして、そんな二人が好きなので、どんな二人もどんと来い!

描き下ろしの「奉仕活動」も、廉次の愛とサクちゃんの気持ちが詰まったエロエロなお話です。
特に廉次……! その拘り……! めちゃくちゃサクちゃんのこと好きやん! 知ってたけど!
という内容で満足です。

サクちゃんが素直になれる日まで、廉次のお願いを守っていてほしい!と切に願っています。サクちゃんのそこは廉次予約済み。
サクちゃんは強いので、そうそう危険な目には合わないだろうと思いますが、それでも気を付けて!と思わずにはいられません。
続編の予定があるとのことで、今後も追いかけ続けます。

愛についての話

グアンをマフィアに売り渡したことを後悔し、自責しながらも自身の力で思い直し、助け出すために即時行動に移すレイの姿から始まる2巻。
レイの視点を通して見るパライソの光景から、彼らが「魔法」と呼ぶものの一端が何なのか、推察することができます。それでもまだ「魔法使い」については謎が多いため、魔法についての推察も正しいのかは判断できない。
冒頭からますます作品世界に引き込まれました。2巻目でも衰えることのない引力。

新たな登場人物ゼラと、1巻から登場しているセイランがグアン救出に協力してくれるわけですが、彼らの過去にもグアンや那家との浅からぬ因縁があるとは……。
那家が血を守るための近親婚が生み出す様々な問題。それが今回のグアン監禁にも関わっており、ゼラやセイランの因縁とも無関係ではない。
グアンの義弟イエンの狂気とマフィア吉祥のコンビは怖かったです。組み合わせちゃ駄目なやつ……!誰も止める人がいない……!
前魔法使いの元騎士ゼラとグアンの義母リンファの関係は切なかったです。「素直に告白していたら」という「もしも」を異なる相手に対して抱き続けてきた二人。でも、そうしなかった現実がある。
那家(魔法使い)後継者を巡る争いは、イエンが触れてはならない秘密を暴いてしまったために、一度にまとめて決着がつくことに。物事は一気に進むこともある。

しかし、決着がつくのと並行して、新たな問題(謎)が示されます。
何故、グアンは「愛してる」と言えないのか。
1巻でも軽く触れられていた点ですが、2巻では「愛」についてが更にクローズアップされることになります。
1巻のラストで「これが愛だ」と自覚したレイ同様、2巻ではグアンが「これが愛」と自身の中にある炎のような熱い感情を自覚する。レイはグアンに向けて、グアンはレイに向けて。
相思相愛という奇跡のような幸せな状況にあって、グアンに向けて紡がれたレイの「愛してる」という言葉。それに何も答えることができないグアン。
魔法使いの呪い(影)が警告のような脅しをする。「魔法使いはその愛を口にした瞬間死ぬ」

レイからの愛の言葉に答えられない状態に耐え続けられるかどうか、不安になるグアンの心情を考えると辛いです。
続くシーンで、ゼラとリンファの「もしも」が描かれるので、余計に。伝えられないこと、伝えなかったことによる結果に対する後悔と、夢見てしまう「もしも」という仮定。
伝えられないままだとしたら、グアンの未来もそうなってしまうのでは、と危惧してしまいます。
が、流石のレイです!
レイがグアンの男妾と揶揄された件をきっかけに、グアンが違うと言ってくれればそれだけでいい、誰の許しも必要ない、と、揺るがぬ信頼を示し、詩歌の遣り取りで愛を伝え合った。「愛してる」という言葉など無しに。
二人の教養や知識の豊富さがあればこそ、伝わる気持ち。だから、レイはグアンの騎士で、グアンはレイの王なのだと、お互いしかいないのだと、魂を分けた半身なのだと、改めて納得させられます。
多くの資料が失われ、文明が一度途絶えたような世界では、知識に触れることすら難しい。その中で、教養を身につけ、出会ったことは運命とも呼べる。出会うべくして出会ったのだと。

魔法使いの力(呪い)など、謎もまだまだあり、彼らの困難はこの先も続くと思いますが、お互いの光を失わずに進んでいってほしいです。呪いを解くため進み続けるグアンとレイから目が離せません。
「光」を意味する名前を持つ二人のこれからが少しでも光あるものになるよう、願っています。
これからも単話で追いかける予定です。

現実世界とも通じる話の重厚さと二人に見る光の引力

独特でありながら現実的、ファンタジーのようでありながらサスペンス的、という世界観に一気に引き込まれます。
その中で、グアンとレイ、二人が心を通わせる様子に感動します。心が震えます。お互いの背景や過去まで絡み合い、複雑ですが、美しい。
グアンとレイ。それぞれの名が示すように、お互いがお互いの光となり、懸命に生きる姿は感動せずにはいられません。

グアンがレイのことを理解者かもしれない、と感じたタワーの場面は印象的でした。ここでの二人の会話がとても興味深い。この世界について、自身が生きていく目的について、ロマンの話や過去の話。
世界のすべてのものが二対で存在することを「不思議」と表現しながら異議を唱えたがっているようなグアンに対し、その考えを「妙なこと」と評したレイがまるで簡単で当たり前のことのように「二つきりじゃない」と断言したこと。次々に挙げられていく具体例や考え方は、グアン自身や私たち現実世界に生きる様々な立場の人々をも解放していくようなもので、胸が熱くなりました。「純粋過ぎて不純になる」は重要な視点で、だからこそ「中道」というものは難しい。
そんなレイとの会話で視界が開け、前へ進む道に確かな足場を感じられたような矢先、転落してしまう二人。しかし、そのような状況でもやはり、レイはグアンの進む道を護る騎士でした。
その転落事故後、窮地に陥ってしまうのですが、マフィアに身を差し出すため、堂々と歩くグアンの背中は大きく、背筋が伸びていて、美しい。しかもそれは、レイのために。
レイのことを「偽悪者」と呼ぶグアンも、グアンのことをこんな奴が魔法使いなわけがないと思うレイも、互いの中に高貴さ、高潔な魂があることを認識していて、強烈な眩さを感じているという繋がりに、こちらが目が眩みそうです。献身の心が宿っているにもかかわらず、自分は優しくないと嘯くレイを「偽悪者」と呼ぶグアンの言葉に慈しみが込められているように感じられました。
マフィアに引き渡される直前、本当のかあさまととうさまを知るグアン。ずっと、愛されて生まれてきたのかを不安に感じ、本当のかあさまがどこかにいるのでは、と愛を求め探していたグアンにとって、とても大切な真実だったのだと思います。「僕は愛されて生まれてきた」という自己肯定感。その過去の真実はレイとの会話から辿り着いたもので、二人の間にある引力を感じさせるものでした。

たそがれ街とパライソという格差のある社会。それを作り出す政治の腐敗。現実世界にも通じる問題とともに、魔法使いやそれに関する謎というファンタジーを組み込み描くことで、おもしろさが何倍にも増幅されています。何度読んでも、話の重厚さを感じます。
話の重厚さに引けを取らない画力にも魅せられます。グアンの魔法使いの刻印や様々なデザインも凝っていて、惚れ惚れします。西洋風でもあり、中華風でもあり。混沌とした世界でありながら、堅苦しさも感じる世界観を表しているように感じられました。

電子単話でずっと追いかけている作品なのでコミックス化が待ち遠しかったのですが、まさか2巻同時発売してくれるとは。
コミックスの表紙が美麗で見惚れます。電子単話の表紙が口絵になってて、そちらも美麗……。気に入っていたので、口絵に収録されて嬉しい!

自らが仕えるべき王だと認識したグアンを自らマフィアの手へと渡してしまったレイの後悔で終わる1巻。それが「これは愛だ」と気付く瞬間というのがもう……!
コミックス派の方も、すぐに続きをチェックできます!