すっごい好きです!絵もお話も雰囲気にピッタリ合ってて、ファンタジー世界だけど難しい説明はなくともすんなりと入っていけました。
特に絵が!いい!!野白先生の作品は他にも読んでいますが、今作ほどには感動を覚えていませんでした。ファンタジー世界がめちゃくちゃ絵柄に似合ってます。服装とか小物とかも好みです。
さて、ストーリーは。
名家のお坊っちゃまとその家に引き取られた孤児がお互いに心を通わせ、しかし立場ゆえに離れ、それでも離れきれなくて隠れて逢い引きし、これからの人生どうするんだ?となってからのハッピーエンドです。
幼い頃の2人が可愛い…。厳しい親の元に産まれたお坊っちゃまゆえ、甘えることも甘やかされることもなかったアロイ。恵まれているのに孤独という、ほんのり不幸な感じがいいですね(性癖)
対するミカドは孤児であり、やはり孤独を抱えている。アロイに惹かれたのは見た目や性格だけではないのでしょう。ほのかな孤独を感じ取り、彼を癒すことでおそらく自分も癒されていたはず。許されるまで最後までしてないのが彼の理性と遠慮を感じます。
3年間のブランクが2人をさらに惹き付けるという展開も良かったです。切ない、一途、健気。そんな2人が幸せになってはいけないはすがない!ラスト、お母様の言動や過去の回想が、まるっと2人を包み込んでくれました。厳しい母にも愛情はあるし、許せるだけの度量も過去の悲しみもある…。
描き下ろしのアロイの嫉妬が可愛いのと、遅刻してお母様に詰められてるミカドが面白い(笑)どうみても姑にいじられる婿(笑)
マイリトルドギーを読み返したので、こちらも。前作に出ていた守とチャッピーも出てきます!
【製菓会社で営業をしている小林は、社長命令で子会社のペットフード会社に出向する。実は犬が苦手な小林だったが、歓迎会で社員がみんな犬に変身してしまい…】
前作の設定を引き継いで、人狼という人間にもなれる犬たちが社員を勤める会社なのです。小林、強く生きろ…。実は私も昔は犬が苦手だったので、気持ちが分かります。あんなたくさんの犬に囲まれちゃったらビビるよね…。
しかし、小林は徐々に社員(犬)たちとの距離を狭めていきます。最終的にはドーベルマンの大山支店長を好きに…!小林や社員(犬)たちの努力も実り、支店は営業成績を伸ばしていくのでした。
という、BLなんですけど犬と人間のハートフルなお話がメインです!これはマイリトルドギーでもそうでしたので、そこに不満はありません。エロなしなのですが、もはやそんな次元で語る話ではない。むしろたくさんのワンコが見られて幸せっていう(笑)
最後にマイリトルドギーの2人がメインの描き下ろしもあって嬉しかったです。チャッピーにハスハスしてる守がおもろい(笑)
echo先生の別の作品を読んでいたら、こちらが懐かしくなって読み返しに来ました。かわいいワンコたちが見られて眼福です…。
【トリマーの守は子どもの頃から犬が人間に見えるという能力の持ち主。犬と話はできないはずだけど、なぜかチワワのチャッピーだけは言葉が通じる。そのチャッピーをしばらく預かることになり…】
チャッピーがかわいいチワワなんですけど、なぜか人間の姿はヤンキーか?ってくらいのちょっと目付きの悪い男の子。ギャップが逆にかわいい(笑)
守がチャッピーとは言葉が通じる秘密は、チャッピーは実は人狼だからだそうです。だから人間にもなれる。元々チャッピーを飼っていたおばあちゃんも、本当はそのことを知っていたけど気付かないふりをしていたとか。優しい。みんな優しい人ばっかりでよかったね、チャッピー。
と、ここまでBLの話ナシ!(笑)いやまぁあの、守とチャッピーがくっつくんですけどね。なんというか、人間と犬(人狼)との交流がメインの話なんです。エロなしだし。でもそれがいいっていうか…!もちろんチャッピーと守の恋愛が進むところもいいんですけど、心が暖かくなるようなエピソードがたくさん入ってて、とてもほっこりしました。
最後に一編、別の読み切り作品あり。こちらもハートフルな感じです。相合い傘書いたあと、手で消したら相手が現れるの、めっちゃいい(笑)
とんでもない破格のバイトです。私がやりたい(笑)でも私、オメガではないのでできませんね…。
【亡くなった両親の借金を返すため、オメガながらがむしゃらに働く御津。借金を取り立てられているところに高校時代の同級生、葉山が通りかかり、日当5万三食付きのバイトをしないかと提案されて…】
まぁあの、最初にネタバレしてしまえば、両片想いなんですわ、この2人。しかも高校の時からの。高校のときのエピソードはオメガ差別のハッキリとしたとんでもないクソエピソードなんですけど、そのときの葉山がかっこよくて、惚れるの分かる…。
オメガバースももう何作読んだか分からないほどで、同じような話だったり展開だったりっていうのは正直ありますよね。結局はオメガとアルファ、発情期、番。このキーワードが入ってればオメガバースなんです。
じゃあこのお話の何が良かったのか。私としては、絵の丁寧さ、オメプロベースの分かりやすさ、主人公2人の実直なキャラクターが良かったと思います。真面目な2人のドキドキキュンキュンな様子が楽しかったです。お兄さんはいらなかった気がする(笑)
でももうちょっと、2人がもっと盛り上がってるところも見たかったですね。あと一捻りが見たかった!
これは一言で表すと、童貞いん魔がソープ男子にガチ恋した話です。そのままです(笑)
【恋をしたい童貞のいん魔である久住はソープへ行くことになった。キャストとしてやってきたレオと無事に初めてを済ませるが、久住はレオに責任を取って付き合ってほしいと言い…】
割とライトなテイスト。ギャグっぽさもあり、テンション高めで話が進んでいきます。絵がキレイで、レオくんのムッチリ感もほどよいです。久住がまぁまぁのおバカなので、レオが風俗のキャストでも悲壮感はありません。楽しく恋愛は進み、最終的には婚約、結婚までする2人。ハッピーエンドです。
ライトなのでちょっと物足りなさはありました。先輩の話とかもうちょっと深掘りするとシリアスさもあったと思いますが、おそらくこの絵柄でこのライトさがキモなのですよね。楽しく読んで楽しく終わる。深く考えないのが持ち味でした。
表紙からは獣人のようですが、違います。実は擬人化した野生のライオンとインパラの話です。自然界ではあり得ないだろう肉食獣×草食動物というカップリング。動物間でもオス同士は意外とあると聞いたことはありますが、さすがに種族は越えないでしょうし、何せ食うもの・食われるものの関係性。BLかと聞かれたら、ちょっと違う気もしますよね。男同士どころではない、種族の壁がそびえ立っているのですから。そこはもうファンタジーとして楽しむしかありません。
悲しい話も避けることなく描かれていました。おそらくこの2匹以外には何の関係もない世界観なのです。普通に野性動物の話。そこだけはリアルで、ファンタジーの中のリアルさに少し戸惑いました。
寿命の差が切ないといえば切ない。どうせなら死が2匹を別つところまで読みたかったですね。
なんだか罪深い設定がてんこ盛りでした。
亡くなった兄の番を子どもの頃から好き。アルファとオメガという関係ながら義理の兄弟。しかも実は運命の番で、そのことに気付いたのは入籍した日。でも2人とも知らない振りをしている。兄が亡くなったあとでさえ、いや、亡くなったあとだからこそ、そういう関係になることを恐れ、拒み、お互いの本能的な欲求を一方は薬でごまかし…。
なんとも業が深いのです。幸せそうな家族BLでありながら、男同士やバースといった壁よりもはるかに高い亡き兄の伴侶という…。何重苦だよ!とつっこみたくなるほど。最終的にこの2人がくっついてしまうのも、なんだか昼メロのようなそこはかとない後ろめたさを感じてしまいました。
柔らかな雰囲気で味のある絵ですが、そんなこんなで内容はドロッとしていたような気がします。そう見えないのも味ですかね。
しょっぱなからエリート警視正オメガと元マフィアアルファのバッチバチなにらみ合い。しかし、アルファとオメガ2人いて何も起こらないはずないんです…!
バディを組むことになった2人。密室で二人きり。となれば、分かりますね?そうです、セ○クスです(笑)展開が早くて(笑)しかも初めてだというオメガ警視正は爆速でトロトロ。なぜ今まで無事だったんだ…?
事件は暴力団の銃撃から薬の取り引きと進み、2人の仲も進み…。嫌味なアルファ同僚という当て馬や発情期を経てクライマックスへ。大体はテンプレ通りで期待を大きくは裏切りませんが、かといって予想外の展開もなく、ファンタジーとしての舞台設定を楽しむ感じでした。
あとは絵ですかね。シャープなイケメンが好きだと目が楽しいと思います。サイコ・アナ●バスターズの作家さんですが、あんなサイケな感じではないです。
BLなのですが、ゲイやノンケの絡んだジェンダー問題がテーマであったようにも思います。恋愛の切なさだけでない、ゲイとして?女装家として?アイデンティティをさまようような心情の描写に心打たれました。
【ホイップはゲイバーで女装して働くゲイ。顔も知らない不眠症のリーマンと夜中に愚痴通話をするのが楽しみだった。ある日、そのリーマンがホイップの店に現れて…】
男のままの姿が本物なのか?女装した彼が本当なのか?私はそこに違いがあるとは思いませんでした。どちらも本物の彼であり、本当の彼だからです。本当の君が見たいというのは、もう一方の彼を否定しているようで、なんだか悲しくなりましたね…。気持ちは分かるんですが、両方の君を見たいと言ってあげてほしかったな。
そんなノンケの悪気ないセリフや、恋愛においてノンケとゲイを区別することの違和感がにじむように描写されていて、ときめきよりも切なさが多かったです。最終的な受け攻めは理想どおりで良かったけど(笑)