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萌×2作品

エキスパートレビューアー2022

女性fandesuさん

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風が変化するんですよ

前作『草原の王は花嫁を征服する』が好きだったものですから、楽しみにしていたんですね。出版社あらすじも見ないまま購入して「え?主人公、馬に乗れないの?」とビックリ。前作ではあれだけ爽快だった『草原を吹く風』が、このお話ではちょっぴり痛冷たいです。

遊牧の民であるならば、馬に乗るのは必須のこと。
それが出来ないハワルのつらさ、いたたまれなさを考えるに(それもメンタルの理由なんですよね)……
それでも卑屈にならずに、部族の中で生きる術を考え、居場所を作って行く彼の在り方は感動的でした。

だから余計に「もう少し早くにオーリはなんとかしてやれなかったもんかねぇ」と思っちゃうんですよ。気がきかないよね、オーリって。ってか『身近にいる現実の男性』を思い出したりなんかしちゃって、この辺は腹が立ったり。

だから余計ハワルの頑張りに共感できたっていうのもあります。
そう、風が変わるんですよ。
お話の初めと、中盤と、ラストで。
この変わり方がとってもとっても素敵でした。
草原を吹く風、良いよ。

やーん、可愛い!

クリスマス休暇にアーサーと時広がエドワードと千紘の所を訪れた時のエピソード。
本当にこのシリーズは『受けが好きすぎてアホになっちゃう攻め』と『健気で一生懸命な受け』を書くのがお上手ですね。何と言ったら良いのか、ある意味「これ、読んだことあるやつ!」と思わせながらもちゃんと楽しく読ませてくれる。

これを『職人芸』と書こうとして、次の瞬間「いや、そうなのかな?」と疑問に思って書く手を止めました。
職人って言うよりも、名倉さん自体が楽しんで書いている様な気がするんですよね。
だから私も楽しい気分になっちゃうんじゃなかろうかと。
お忙しい年度末、心のオアシスになってくれる様なご本です。

臨場感

何が『臨場感』なのかと言いますと、このお話の語り口なんですよ。
講談師みたい。またはスタンドアップ・コメディアン。
綺月さんが講談してくれたんですよ、あたしの目の前で。
笑いありキュンありの冒険譚を、立て板に水の名調子で。
なんて贅沢!

『沼の竜宮城で、魁皇様がお待ちかね』のスピンオフです。
世界観を同じくするお話ですし登場人物も被っていますので、前作は「読むべし」と思います。なにせ、今作の途中でお話の世界観に触れる部分がありますが『詳しく解説したいのは山々だが、そこへ至るまでの経緯がややこしいため、ストーリーの進行重視で話を先に進めてしまおう。」という説明でぶっ飛ばしちゃっている(ここ、私はかなり笑った)んですもの。

三人兄弟の長兄なのに、天界は優秀な三男に、海は愛され体質の次男に取られてしまい、暗く湿った黄泉の国で魂の振るい分けをしているハデスが今作の主役です。
私は長女なもので、このハデスの恨み節がなかなか身に沁みました。
いや、そうなのよ。最初に生まれた者ってなかなか素直になれないのよね。
そんで『なんとなく損してる感』を抱きつつも「あたしだって恋もしたいし」とかって言いづらいのよね。そのくせ、恨みつらみの毒吐きをしちゃう。
そんなハデスに幸せが来て、私も嬉しかったです。

このシリーズは登場する神々の強烈なキャラを愛せるかで好き嫌いが決まっちゃう様に思います。
私はドンピシャリなんですよ。
更にシリーズ化されないかなぁ……
ゼウスさんは天照大御神(女性だよね?)狙いだそうだから、次回はアポロンが主人公とかでどうですか?

この空気感を楽しみました

読んで夕映さんのイメージが大きく変わりました。
以前から綺麗な文章を書く作家さんだとは思っておりましたが……
ある意味『もったいぶった』今作の語り口で、私は一気に平安朝(『なんちゃって』ですが)の世界にドップリと落とされちゃいました。
お上手!
お上手でございます、雰囲気のつくり方!

オメガバースですが、お話の構造は『後ろ盾のない不遇な姫が、その清らかな美貌と楽や歌詠みの才気によってやんごとなき方からの愛を得る』というオーソドックスな、意地悪な言い方をすればよくありがちなものだと思うんです。
でも、夕映さんが選ぶ言葉で、その場の空気が見える様に解る。
これがねー、実に典雅でござるのですよ。
特に閨の部分はね、私の部屋にまで香を焚いている様な錯覚がっ!
ああ、エロいわ。
くらっくらしそう。

『結婚というもの』のお話なのね

……って確信したんですよ、この巻読んで。
今回はウェルナードの義父(育ての親ですね)も登場し、フィリオの家族=大切な人がどんどん増えていくのがねぇ「ああ、幸せな結婚ってこんな感じだわ」と思ったんですね。ウェルナードの子ども時代についてとか聞いちゃったりするのよ。きゃっ!いかにも新婚さんって感じじゃないのっ。

前半は、彼を母国に連れて帰りたい一念でウェルナードの義父と一緒にクシアラータにやって来た従弟が巻き起こす騒動について書かれているんですけれども、私はね、この部分を結構興味深く読んじゃったんですよ。
「あ、こういう人いるよね」って思って。
自分の理想を勝手に押し付けられたベルさん、すごく気の毒。
でも、どうして自分がそんなにウェルナードに固執しているのか、解らない彼もある意味、気の毒なんだと思ったんですよね。
恋は怖い。

んで、フィリオの身になれば『結婚って、素敵な義父も出来るけどめんどくさくてあぶない親戚も出来ちゃう』ってことなんじゃなかろうかと。

後半の活劇部分は割とさらっとしてました。
お話の山場って言うより『ベルさんがどれだけフィリオしか目に入っていないか』を示すためのエピだったんじゃなかろうか、と思っています。

しかし、久方ぶりにヒュルケン将軍様にお会いしましたけど、やっぱり変人ですな。フィリオがとてもとても可愛らしいのは「私も同感」だけど、それ以外目に入らなくなってしまうのは、可笑しくも可愛らしい。
また読みたいですね、この世界のお話。

『フェア・ゲーム』が好きだった方は

この『ウィンター・キル』も好きなんじゃなかろうかと思いました。
名前だけですがあちらの登場人物も出て来ますし、事件と恋にメリハリがあります。

出版されてから結構時間が経つのですけれど、レビューがひとつ、評価が3つしか付いていなくてちょいと驚きました。わたくし的にはこのお話(2021年3月1日までの感想ですが)サム・ケネディが主人公の1人として登場するシリーズよりも好きと思ったものですから。

このお話もシリアルキラーがらみなんですけれども、でも事件が起きる場所が『リゾート地で田舎』なんですよ。捜査するのが警官ではなく保安官で、主人公の保安官助手はこの町に住んでいる人をほぼ全員知っていたりするんですね。
そう。のどかな場所なんですよ。
そこで白骨化した死体が発見される。
で、そこに住む人では非常に珍しい性指向であるロブ・ハスケル保安官助手と、ロスから来たFBI捜査官のアダム・ダーリングが出会っちゃうんです。

本来なら一夜限りのこととして終わるはずだったのに、その後、惨殺事件が起きるてしまい、2人は再会。
誰もが「こんな町で殺人事件なんか起きるはずがない」と思っていた町で連続して起きる事件と、惹かれ合いながらも「住む世界が違う」ため恋を諦めようとする2人の関係が並行しながら書かれるんです。

私が面白かったのは、事件の捜査を進めていく中で、互いが相手をよく知り、仕事仲間として信頼を深めていくほどに離れがたくなっていくところ。
う~ん、わかるよ、わかる。仕事が上手く行っちゃうのって、惚れるよね。

心のひだ

『淫心』なんていうタイトルなんですもの、淫猥なお話かと思っちゃうんですが。
でも、心の襞の話なんですよ、どっか別の所の襞じゃなく。

出版社あらすじも『めくるめく快感』なんて、淫猥方面を狙っている様な書き方なんですけれど、私は読んでいてあまりそんな感じはしなかったんですね。エドラントが絶倫さんなので確かに色々なことを何回も何回もやっていらっしゃいますが、エロいかな?……うーん、こうなってしまうと「エロって何だろう?」ってなことを考えちゃったりもしますね。

基本的に2人とも体の相性だけではなく、自分の天命に対する姿勢や、他者に対する寛容さとか素直さとか、そういう内面的な部分に惹かれている訳なんですが、このお話で私が面白いなと思ったのは、体を繋げるのとほぼ同時に、内面的な部分を予感している様に感じられることなんです。『ひどい人だと思ったのに実は……』ではないのですね。
なので、ふたりがどんな風に心を通わせていくかを読むのが楽しかった。
馬での遠乗りや、お忍びで行く夏まつりなどのシーンで、まるで高校生カップルみたいに少しずつ近づく2人が微笑ましくて。

お話のラストには大団円の為の陰謀も書かれますが、それがなくとも多分満足したと思うんですね。
高月紅葉さんって「好き」を『少しずつ表現していく2人』を書くのがお上手なんだと思いました。

『僕』語り

そうなんです。
受け様視点なんですが一人称が『僕』。
これが萌えた~っ!
私って変なとこがツボなんだな、と気づきました。

20歳は超えているけれども小さく細く、攻め様のヴィルベルトには「ちびっこ」なんて呼ばれてしまうナダ。
この『国のために戦う鷹族の気力体力回復の為に体を差し出して癒す』鷹匠という自分の役割が嫌で嫌でたまらない彼が、僕語りで物語を進めていくんです。
いわゆる『神の視点』で進まないので、ヴィルベルトがどういう人なのかがすぐにはわからないし、隠し事をしている彼の心の奥も覗けません。
で、未熟で、尻込みしているナダがヴィルベルトの為に全てを投げ出してもかまわないと思うまでを『僕』で話してくれるんですよ。
だからねー、ナダの心の変化がよーく解るの。
これがめちゃめちゃ面白いんですわ。
受け様にこんなに感情移入しながら読んだのは久しぶりなんじゃなかろうか。
やっぱり中原さん、お上手ですね。
読者を裏切らないもん。

お話もキャラも王道寄りだと思います。
中原さんのお話、ここのところ素直にカッコいい攻め様が多い様な気がするんですが、私としてはもう少し、だらしなくて、負け犬経験があり、さむいギャグを連発し続ける減らず口のおっさんに会いたい気がします。
そこが私のど真ん中なんですよ。
でも、最近登場しないのは、彼らに需要がないからなのでしょうかねぇ……

『惚れたが負け』を認めたくない姿勢が可笑しくて

ふばば様が運営する【小説読みたい人寄っといで】小説推進委員会で「コメディが読みたいよみたい」と大騒ぎをし、教えていただいたご本の一冊。

楽しかったーっ!

特別に優れていとは言えない受け様に惹かれていることを容認できずに「なぜ俺が?」と不機嫌になるユアンが、もう面白可愛くて。
そうなんです。悩むんじゃなくて怒るのね。
300年も生きているのにアンニュイにならんのですよ、この吸血鬼は。

方や弘斗は無垢なアホの子なんですもの。
仔犬系。
思ったんですけど、単なる『アホの子』ではなくて『無垢なアホの子』って、ある意味最強じゃないですかね?だってジェルソ〇ミーナ(『道』ですね。古くて申し訳ない)じゃん!おまけに弘斗は死にもしないし、お話もハッピーエンドだからフ〇リーニ映画の登場人物以上の強さではないかと。

恋におちてジタバタする攻め様を書かせたら、名倉さんは本当に上手いですねぇ。繰り返しますけれど、読んでいる最中、本当に楽しかったです。

男ぶりを読ませるお話

あとがきによれば『ちょっぴり架空戦記っぽさのあるお話』とのことですが、あくまでも『っぽさ』なんです。思い切ったことに、戦闘部分はまるっと書かれておりませんし。
かと言って血沸き肉踊らなかったかと言えば、沸いたり踊ったりしたのね。
読んでいてワクワクしたんです。
このワクワクの正体なんですけれど、主人公2人の男っぷりの良さに対して芽生えちゃった感情の様な気がするんですね。

王太子となる直前に発情が起きオメガと分かったために、長子でありながら父の後を継げず、都から遠く離れた領地に『島流し』にされていたアデル。大火により王と王太子が亡くならなければ、辺境の地から出られることはなかったのだと思います。

方や領地を広げゆく新興国の王弟ウィルフリードは、兄弟姉妹の中でも2人しかいないアルファ。しかし、彼の母は正妃ではなく、またアルファであることから兄である王に疎まれ、反乱制定などの危険な仕事を強いられ続けています。

捻くれてもおかしくないのですよ、2人とも。
でもね、どちらも国を愛し、民を想い、部下を大切にする。
カッコ良いのですわ。
で、このカッコよいふたりが反発しつつも惹かれ合う。
あああああああ、王道ではないかっ!

一時期はノアールを数多く書かれていた印象のオハルさまですが、今作を始めとして最近のお話は『真直ぐ感』に溢れている様に思います。
人にも会えないようなこういう時代ですので、明るいお話を届けてくれようとするサービス精神でしょうか。実にありがたく感じます。