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恋人たちは草原を駆ける夢をみる

koibitotachi wa sougen wo kakeru yume wo miru

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表題作恋人たちは草原を駆ける夢をみる

オーリ,亡き兄の親友,25歳
ハワル,草原の民,18歳

その他の収録作品

  • 草原の夜
  • あとがき

あらすじ

馬に乗れない者は一人前の男として扱われない草原の民でありながら、幼いころの出来事が原因で馬に乗ることができないハワル。 そんなハワルをなにかと気にかけてくれる、亡き兄の恋人だった男・オーリにハワルは淡い想いを抱いていた。 ある日、宿営地が敵襲に遭いハワルは捕らわれの身になってしまう。そして、そこで見たものは、敵と通じているオーリの姿だった――。 オーリの裏切りに衝撃を受けるハワルだったが、どこかでオーリを信じたいと願っていて……。

作品情報

作品名
恋人たちは草原を駆ける夢をみる
著者
夢乃咲実 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344848344
4.1

(41)

(15)

萌々

(17)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
168
評価数
41
平均
4.1 / 5
神率
36.6%

レビュー投稿数7

馬と風と共に生きる

広大な大地と風、馬と共に生きる民の物語。
モンゴル風の架空の民族系BL。遊牧民文化、好きです。
スピンオフ作とは知らずに読了。自分のリサーチ不足が悪いのだけれど、あらすじにスピンオフの記載があったら嬉しかったなーなんて…
独立したお話なので特に問題なく読めましたが、細かな繋がりはありますので、やはりこれは前作を読んでいた方がより作品の世界に入り込めて楽しめたのかもと思います。
馬を並べる関係というのが魅力的でした。ただ、これも前作の方がより濃厚に描かれているのかもしれませんね。

移動式住居・季節ごとに住まいを移す人々・羊に馬…と、遊牧民もの好きにはたまらない設定の数々。
けれど、今作の主人公であるハワルは、幼少期のトラウマが原因で馬に乗ることが出来ません。
馬と共に戦い、馬と共に生きるのが当たり前の部族の中では異質というか、男としてあり得ないレベルのことなんですよね。これは辛い。
上手く環境の中に溶け込めず、自身のアイデンティティを確立出来ないまま思い悩み、葛藤しながら懸命に生きるハワルの心理描写が終始苦しいのです。
しばらく部族内での自身の在り方や亡き兄、そして想い人であるオーリについて悶々とするシーンが続くものですから、このお話が開ける時は来るのだろうか…と思ってしまう。
けれど、息苦しさすら感じた彼の心の扉がパッと開く瞬間が爽快で、脱皮をしたような頼もしさと成長っぷりが気持ち良いったらありません。
目の前が一気に開けて、広大な大地が現れる。そんな感覚になりました。

王道のすれ違いあり、両片想いありのちょっぴり切ない成長物語でした。馬が大切にされている作品は良いなあ。
攻めよりも受けが輝いて見える1作。

0

もうちょっとなんとかならんかな?

前作でも思ったのですが、切なすぎる!8割くらい切なくて辛くてすれ違ってますよね?

オーリの気の長い強い想いが途切れなくて良かった。

ハワルの悲壮感とオーリに焦がれながらも拒絶するしかなかったり、兄とオーリが馬を並べる関係だったことでますます意固地になったり。

草原ものもロマンチックだな〜と思ってたけど、ほぼ親戚の一族でまとまって暮らし、誰もが労働力として縛られ、一生同じ生活を続けるかと思うととても窮屈である意味過酷ですね。

今作ではオーリが裏切り者?何を考えてるの?なぜ兄が亡くなったのにいつまでも構ってくれるの?とハワルの苦悩がほんとーに長かったです。
あのときもこのときもオーリは…と思うと最後に草原で抱き合えて良かったね!
オーリのアプローチや善意を叩き落としてきたハワルを諦めないでいてくれて良かった。

馬で3日の距離かあ。この距離感はきっと二人にはたいしたことがないんですね。

0

草原の民なのに、馬に乗れない

コロナ禍でどこにも出かけられない中、執筆されたとのことで、想像の中だけでも「密にならない、広大な場所へ」という作家さんの願いが伝わってくるかのような作品でした。

前作でも「馬を並べる」関係に萌えましたが、今作も出てきましたよ〜。
ハワル(受け)の想い人であるオーリ(攻めは)、かつて亡き兄と「馬を並べる」関係だったというパターンで。

「馬を並べる」とは、親しい男同士の一対一の特別な絆で、実の兄弟よりも互いを優先し大切にし合うという濃い関係なんですね。
人によっては体を重ねることも含んでいて、どちらかが結婚したらその関係は終わるけど、でも終生深い友情は続く……というやつで。
恋人同士でしたーよりも、馬を並べる関係でしたーのほうが、なんか不可侵的なものを感じるわ。

というわけで、オーリが自分を何かと気にかけてくれるのは、亡き兄の存在があったからだ……としか思えないハウル。

おまけに、ハウルは幼い頃のトラウマのせいで馬に乗れない。
草原の民にとって馬に乗れないという事は致命的で、一人前扱いされないハウルだけど、卑屈になりすぎずに自分の出来ることを見出す。
その姿が良かったです。

実は一番記憶に残ってるのが、電子限定の描き下ろしSS

前作の受け、セルーンがハワルを訪問し「同じ立場同士、仲良くしましょ」と言うお話。
受け同士が仲良くなるのが大好きなので、その先の展開を考えるとあれこれ萌えました。
ぜひぜひ仲良くなって、お茶飲みながらでもあれこれ語り合ってほしーわ。

0

民族BLその2

「草原の王は花嫁を征」に続く物語で、セルーンとソリルが登場します。
このシリーズは、読み物として面白いけれど、エロス度低いです。

自分が馬に乗って、大草原を走っているような気持ちになって楽しかった。
モンゴルが未だまとまらなかった時期の草原の物語、馬と家畜と人の移動生活は郷愁を感じるので好き。

「草原の王は花嫁を征服する」に登場した草原の部族を連合する王のソリルは、草原の部族を未だ全統合しきれていなかった。
事故のトラウマで馬に乗れないハワルの部族は、最後まで統合に反発している。
或る晩、東の軍の奇襲を受け、ハワルは捕虜になる。
敵軍にはなぜかオーリがいる。
ハワルが東の国の王へ男妾として移送される途中、オーリが捕虜たちを逃がす。
オーリは密かにソリルと会い、密偵として東の軍隊に入り込んでいた。
逃避中、敵に見つかり、ハワルを逃がしてオーリは、東の軍隊に捕縛される。
乗れなかった馬に乗って走り、ソリル王にオーリの伝言を伝えると、ソリル王は即座に出撃を決定。ソリル王の横には、セルーンも居る。
並んで走るソリルとセルーン、二人の様子を見てハワルは考える・・・
・・ハッピーエンドです。

電子版のSSは、「草原の光」
ハワルを訪問したセルーンが、馬を並べる関係について語らう。

この作品を読了後、遊牧民族キャラが登場する「転生の神王妃 ~夜に抱かれる少年~ 」を読みます。

1

風が変化するんですよ

前作『草原の王は花嫁を征服する』が好きだったものですから、楽しみにしていたんですね。出版社あらすじも見ないまま購入して「え?主人公、馬に乗れないの?」とビックリ。前作ではあれだけ爽快だった『草原を吹く風』が、このお話ではちょっぴり痛冷たいです。

遊牧の民であるならば、馬に乗るのは必須のこと。
それが出来ないハワルのつらさ、いたたまれなさを考えるに(それもメンタルの理由なんですよね)……
それでも卑屈にならずに、部族の中で生きる術を考え、居場所を作って行く彼の在り方は感動的でした。

だから余計に「もう少し早くにオーリはなんとかしてやれなかったもんかねぇ」と思っちゃうんですよ。気がきかないよね、オーリって。ってか『身近にいる現実の男性』を思い出したりなんかしちゃって、この辺は腹が立ったり。

だから余計ハワルの頑張りに共感できたっていうのもあります。
そう、風が変わるんですよ。
お話の初めと、中盤と、ラストで。
この変わり方がとってもとっても素敵でした。
草原を吹く風、良いよ。

2

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