一巻では到底足りなかったですね。
お互いに孤独を抱えた殺し屋×盲目の青年という二人が出会って……というお話で、なかなか読ませるものがありましたが、雰囲気漫画の枠を出ていないような気がします。
殺し屋稼業もふんわりしているし、殺せないのに仕事していない間はどうやって食べてきたのとか、妻さえ殺す千夏の父があっさり消えるはずはないだろ…と思ってしまったり、銃やナイフを持つことができない、つまりそういう事には圧倒的に向いていない千夏に殺し屋稼業を強いる父って意味不明と思ってしまったり、細かな疑問点が……。
時代も大正かと思いきや、現代っぽいし……。
とまぁ、??マークが頭のなかに湧いてしまうところちょっと残念でしたが、初めての漫画ということなので不慣れなのかもしれませんね。
でも、二人の間を取り持つ絵本や、キラキラと明るい水族館のシーン、暗い海のシーンから夜明けの描き方といったところや、明暗の見せ方に物凄いセンスを感じました。
今後が楽しみな作家さんです。
寡黙な攻め、かつ幼馴染ものという条件で詳細検索したらヒットしたのがこちらだったので、再読してみました。
そういえば確かに「寡黙な攻め」で間違いないんだけど、それよりも受けの青葉のアホの子っぷりが炸裂してたんだっけ、この作品。
青葉は「男同士のエッチってすごいらしい」「ある意味選ばれた男だけが辿り着ける境地」というギャル同士の会話をふと耳にして「これだ!!!!!」と思ってしまうんですね。
何かにつけて童貞であることを幼馴染の涼にからかわれているので、「涼が知らない男同士の世界を知ってる俺」ってことにして、非処女マウントをかましてしまう。
ほんとアホ。
非処女マウントが有効だと信じているアホの子。
で、ブチギレられた青葉によってホンモノの非処女になってしまうんだけど、なんで青葉はあんなにブチギレたんだろ?非処女の俺に嫉妬か?!みたいな。
で、そんな二人の間を取り持とうとする友人・植野による協力宣言もこれまた笑えるし、趣味の悪さときたら……!!
そして忘れてたけど、植野に見られながらエッチするシーンが個人的に嫌なんだった。
というのも私が好きな攻めのタイプは、受けのエッチなところは第三者には死んでも見せたくない、自分だけのもの!!っていうのが好きなので。
でも、あとがきによると今作一番のお気に入りのえっちシーンとのこと……。
そーなんだ……。
そして、あまりの青葉のアホっぷりに涼がねをあげたくなる気持ち、わかるよ。
何度目かの再読。
表題作は、同僚の広瀬に「長年、実家では犬と添い寝してきたから一人では眠れない」と言われ、一緒に寝る羽目になった攻めの 岡田視点で進みます。
なんで男の同僚と??と思いつつも、断りきれずに一緒に寝たら、なんと広瀬を抱く夢を見ちゃうんですね。
それからも一緒に寝るたびに、岡田は必ず広瀬を抱く夢を見るようになってしまい…
眠れないのは広瀬だったのに、淫夢のせいで岡田が次第に眠れなくなっていくところが、タイトルに絡んでで好き。
【愛してると言え】同級生もの。
攻めの角倉はとにかく惚れっぽい。
そんな角倉の様子を相川は苛々しながら見続けてきた。
ほんとは俺だって、角倉のこと好きなのに!と。
だけど相川は、入学式でいきなり告白してきた角倉を振った過去があるだけに、今更、角倉のことが好きになったなんて言えないんですね。
おまけに弩級のツンデレ。
そんな二人をくっつけた友達の真澄のお手製CDがウケます。
脇役がイキイキとしてるところが、上田にくさんらしいなと思う。
【魔法をかけて】幼馴染もの
晴生の登場シーンはBL界の攻めとは思えないダサさ。
(あのとき君とシておけば。の越地さんを思い出す髪型)
晴生からイメチェンを依頼された千昭は、張り切ってイメチェンさせるんですね。
その甲斐あって、見事イケメンになった晴生が健気でかわいいお話。
【不確かなビジョン】同級生もの
眼鏡デビューしたら、気になる女子から「賢そう!図書室とか似合いそう!」とのせられて、図書室に行った明里と、先生(男)に片思いしている図書委員とのお話。
読んだはずなのに、中身をまったく覚えていない状態で再読。
うわー、これ私の大好きな記憶喪失ものだった!!
しかもただの記憶喪失ではなく、千寿は自分が妖狐だということや妖の世界観すら忘れてしまったから大変!
気づいたら「ただの人間」の自分に、男の妻はいるわ、自分の子供だという狐耳の得体の知れないちびっ子が三人いるわ……。
うんうん、受け止めきれないよね……。
一方の和喜も、突如三人をワンオペ育児する羽目になるんだけど、ここが読んでるだけで心削れていく感じ。
とうとう限界がきて、結婚指輪を外そうとしたときに、万が一俺になにかあった時の保険として千寿がかけていた術が発動するんだけど、この時、見せた幻影の千寿が愛溢れる以前の千寿なんですね。
この愛の深さよ……!!
そして現在の千寿との落差よ……。
でもそこから記憶は失ったままだけど、とりあえず日常を取り戻していこうという姿が良かったですね。
小山田あみさんのイラストが眼福でした。
ちびちゃん三人はぷくぷくしててかわいいし、千寿もかっこいいし、特に大じいさまのイケおじっぷりときたら!!渋くてかっこいー!!!
最後のほうのイラストで千寿、祖父、父親の三人が描かれてるんだけど、全員イケメンすぎるよぉぉぉ。
父親の五百紀もちょい神経質そうなイケメンで、個人的には彼を受けにした何かを読みたいですね。
堅物総領だし、死んでもありえないけど。
初読時の記憶がなく、数年ぶりの再読。
全寮制の旧制高校を舞台に繰り広げられる学生達の恋。
バンカラで、なにかと会話にドイツ語を織り込んで(例:キュッセンしたい=キスしたい)いるところがそれっぽい気分を味わえて楽しい。
それはともかくも攻めの領家が、超〜問題児でしたね。
『若葉の戀』は受けの捷視点なんだけど、領家の印象は最悪。
だって領家ときたら基本無視を決め込んでいて、時折口を開くと皮肉しか言わない。
「なんなんだ??こいつは?!」ですよ。
デレがなくて、完全ツンツン。
後半の『燃ゆる頬』は攻め視点なんですね。
私はこの後半部分が好き。
あの時の感じの悪いセリフや心情は実はこーだった!!という種明かしが次々とされるんだけど、ほんと領家ときたら難儀な子。
あんなにツンと孤高の男みたいなポーズを決め込んでたのに、脳内はぐらんぐらんのジェットコースター状態で目まぐるしく妄想したり、落ち込んだり、焦ったりと煩悩大忙しだったのかと。
ロマンティックなBGMとともにシェイクスピア的な愛の告白を考えていたはずなのに、「好きでもないやつと素股なんかできるか!」とか、「お前に捨てられたら発狂する」みたいな脅迫めいた告白(?)しかできず‥‥
笑えます。
アルがかわいいですねー。
コウモリの時は、ギャッギャッと言いながら暁の首筋にスリスリしたりしてかわいい。(暁から邪険にされているけど)
人間の時も、暁に恩返しのつもりでせっせと得意の料理(チョコレート風味の味噌汁など)を振舞っていて、健気で可愛い。(暁から激ギレされてるけれど)
だもんで、そんなかわいいアルが二回も殺人犯の餌食になってしまうシーンが読んでてちと辛かったです。
特に、蝙蝠姿での二回目。
不死身だし、傷は放置しておけば治るけれど痛みは普通に感じるという設定なので、人間なら即死確定のぐちゃぐちゃグロい姿にさせられたアルがのた打ち回るシーンが読んでてキツかった。
非BLのレーベルなので、BLはまったく期待しないで読んでいましたが、やっぱり男と男がいえばそりゃ何かが起こりますよね。(そして元々はHolly Novelsで出版されたものでしたね)
といっても、周囲が勝手に暁とアルの仲を誤解しているだけなんですが、そこがコミカルでおかしかった。
医者にヤリすぎゲイカプと誤解されて生暖かい視線を頂戴する羽目になったり、同僚からもゲイカプだと勘違いされていたりして笑えます。
BLじゃないから攻め受け存在しないんだろうなー、でももしカプになるなら暁×アルかなぁと途中までは思ってたんですよ。
だって暁があまりにも完全絶縁体というんでしょうか、周囲と遮断&絶縁しているような男がとてもじゃないけど他人、しかも男のアレを体内に受け入れる姿がまったく想像できなくて。
でも、途中から、あ、これ暁が受けでアルがヘタレ健気ワンコ攻めだとわかってから、めちゃ萌えました。(ヘタレで健気なわんこが大好物なので)
エンバーミングについて全く知らなかったので、そこは大変興味深く読みました。
記憶喪失モノが好きなので読んでみましたが、こういうパターンの記憶喪失は初めてだったかも。(記憶力皆無なので初めてではないかもしれない…)
記憶喪失モノって、忘れられてしまった哀しみが王道パターンだと思いますが、この作品は忘れられてしまった哀しみなんてのはゼロ。
だって、トラックに轢かれかけた自分を助けてくれたせいで、見知らぬ相手を記憶喪失にさせてしまったんですから。
初対面の相手が記憶喪失になってしまう。
わかっている事は、どうやら自分の兄の親友ということだけで、兄は世界を放浪中で連絡も取れない。
自分のせいで記憶喪失になってしまった男を見放すわけには当然いかず、アオイさんと名前をつけて自分の家に置いて面倒を見ることにするんですね。
つまり受けのトワからすると、あなたは誰?何者?だし、攻めからすると、俺は誰?一体何者?!というわけで。
駆け出し俳優であるトワのマネージャーをすることになった攻めは、あれこれデキる男であることが垣間見えて、こいつは只者ではないな感全開。
記憶喪失になる前の攻めって何をやってたんだろうなぁ?とあれこれ推理しながら読むところが面白かったです。
恋愛面については、オメガバースですからね、
どうせ運命の番なんだろーなっていうのは早い段階から読んでてわかるので、そこは予想範囲内でした。
でも、あの日トワの前に姿を現したのは単なる偶然ではなく、もはや必然というか、おぉ〜!そーだったのかぁ!的な回収があって良かったです。
面白かったのは、トワに何かと絡んでくる売れっ子俳優を害虫扱いしてガルガルしまくりなところ。
そして単なるファンではなく、神棚どころか聖域をこさえちゃうほどのオタクっぷりが露呈するところがいいですね。
しかもなぜか得意げになってるところもウケます。
おまけして萌萌で。
作家さん買い。お久しぶりの新刊、嬉しいです。
1話で早々に付き合うようになった二人がめちゃくちゃいい感じで、めちゃ面映くて、読んでてニコニコする一方でチラッと思ってしまったんですよね。
うわー、この二人がもっと早く出会っていたら、もっと良かったのにぃぃぃ〜!!って。
45歳で出会ってハッピーもいいけど、20歳くらいで出会ってたらそこから25年間もっと幸せ満喫できていただろうに、もったいないなーって。
ところが。
全然違った。
45歳のこのタイミングで出会うことに意味があったわ。
第1話でイケオジの完全無欠に見えた井田さんときたら……。
現時点で、攻めの属性登録が「 40代以上・ゲイ・ヤリチン・男前・天然 」となっていますが、男前か?!天然っていうのも違うような……
顔は確かにイケてる男前だけど、精神面は男前どころか、ドヘタレだと思います。
ほんとバカたれー!!!!!!
雪の中、肩を落として帰るかけるのページ、泣きそうになりましたよ!
少年時代の願いは45歳になっても叶わないのに、「もうそれで十分幸せだ」なんてー!!!泣ける。
私はドヘタレ攻め大好きですが、自己保身のヘタレというか、ヘタレたせいで受けを傷つけるような攻めは大嫌いなので、井田さんを市中引き回しの刑に処す気満々でしたが、あの時ゴーゴーと来たことで彼の首は繋がりました。
「いろいろあった今だから」って本当にそうだなーって。
駈を宝だと気づけるようになって良かったね。