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表題作君の夜に触れる

榊千夏,人を殺せない殺し屋
御縁佳澄,盲目の青年

その他の収録作品

  • 後日譚

あらすじ

殺せない殺し屋×盲目の青年
【孤独を溶かす救済】

圧倒的画力で紡がれる、孤独な二人の恋物語――。
期待の新鋭デビュー作!

「本当の俺を知ったら…
きっとあんたは失望する」

殺し屋の千夏は、運命に再会した。

運命の名は、佳澄。
目の前で兄を亡くしたとき、手を差し伸べてくれた少年である。

数年後、千夏は偶然
ひったくりに遭った佳澄を助ける。
目が見えないと話す佳澄を放っておけない千夏は
近付くべきではないと思いながらも、
彼と距離を縮めることになるが…。

暗闇にとらわれた二人が
お互いの孤独を溶かしてゆく、救済の物語。

作品情報

作品名
君の夜に触れる
著者
もりもより 
媒体
漫画(コミック)
出版社
シュークリーム
レーベル
from RED
発売日
電子発売日
ISBN
9784910526263
4.3

(356)

(221)

萌々

(64)

(43)

中立

(20)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
44
得点
1510
評価数
356
平均
4.3 / 5
神率
62.1%

レビュー投稿数44

圧倒的に足りてない

ページ数が!圧倒的に足りてない!

デビュ―作なんて信じられないような繊細で美しい画力に
読者の感覚を惑わすような独創的な空気感、ほの暗くも
最後には心救われる涙腺に響きまくるストーリー展開…。
挙げ出したらキリがないほどの衝撃がたくさんでした。


トラウマを抱えた殺し屋の青年と盲目の青年の出会い。
救い、救われ、どちらともなく自然と惹かれあってゆく二人。

テーマがテーマなだけにシリアスで静謐な雰囲気でしたが、
インパクトは満点でした。

二人のキャラクターも魅力的でした。
殺し屋の千夏は殺し屋なのに繊細で優しく、見た目と稼業に似合わぬ
不憫ヘタレっぷりに母性本能をくすぐられてしまうタイプでした。

盲目の少年・佳澄も一切の穢れを感じさせない無垢の塊でした。
そのせいか、見かけはかなり幼いですが千夏に触れられるときに
見せる表情が妙に艶っぽくてとてもいけない気持ちにさせられます///

光を失ったはずの瞳の美しさが印象的で、吸い込まれるようでした。
そのまっすぐな瞳に見つめられると全てを見透かされているようで、
千夏が佳澄に救いを求めてしまうのもなんだかわかる気がしました。
小柄な体にもかかわらず、不思議と包容力があるんですよね…。

少し残念だったのは全体的に抽象的な印象が拭えなかったという点。
千夏の殺し屋稼業のことや兄を失った事件、二人の感情の変化、
千夏と父親との決着など、色々な部分が掘り下げが足らず、
ぼやけてしまっている感が否めませんでした。
1冊に収めるには若干設定が複雑すぎたのかも。

とはいえ、残念点を差し引いても心を鷲掴みにされる部分の方が
圧倒的に多かったので【神】で推させていただきます!

描き下ろしでは二人の後日談が描かれていて、幸せそうな二人に
心癒されました。
どうか末永く幸せでいてください。。。
ただ、和服ではなく洋服でスマホを操作する佳澄にそこでようやく
あ、現代のお話だったのね、とハッとさせられたのは私だけ?笑

13

画だけでも神をつけたいレベルの満足感


レビュータイトルの通り、めちゃくちゃ美しい一冊。どのページをめくっても丁寧で繊細でため息が出てしまいます。すっごく好み。紙で手元に置いておきたい作品でした。

お話そのものはと言うと、設定そのものはどこかふわふわした印象で、裏家業、というほの暗いバックボーンも、その言葉以上の実態が見えていない為、生臭いものはさほど感じず。多少の血と、罪悪感から察する程度のアングラ感なので、893物やマフィア物などのエグ味が苦手な方には安心かと。逆に、がっつり裏家業のドロドロが見たかった方には物足りないかな?

生と死に囚われて罪悪感でがんじがらめになっている攻様と、その攻様を救済する盲目で純真な受様、という、今作の空気感には、ふわふわ設定位が逆に合っていると個人的には思いました。
裏家業からの足抜けを血反吐をはいて頑張るようなお話ではなく、それこそ、しとしとと降る雨音をひとつひとつ拾うように、繊細で透明感のあるお話です。
ゆったりと流れる時に、つかの間の安心感を覚える攻様の姿にこそ、感じるものがあると言うか。

これといって激しく訴え、はっとさせるようなものがあるお話では正直ないのですが、そこが逆に二人の関係と画風にマッチしていたと言うか。
個人的には読後、はー、さいこう……と本を閉じましたね。

そのあと直ぐにアニメイト有償冊子を読んで、さらりと美しい情交だった本編との違いに、最高!とにこにこしてしまったので、いちゃらぶ好きな方は是非アニメイト有償冊子も読んで頂きたい。

10

これがデビュー作とは

単話で一話だけ読んでいまして。
コミックス化されたら絶対買う!と決めていた作品でした。
今作品がデビュー作なんですね。もうびっくりです。とんでもない大型新人さんです。

内容としては、人殺しを生業としている青年×盲目の青年の恋のお話。
それぞれ内に秘めたものを抱える二人が出会い、そして恋に堕ち―。

というお話。
ストーリーとしては奇抜なものではなく、どこかで読んだことがあるかな?と思わせる展開。が、そのストーリーを読者に「魅せる」、その手腕が素晴らしかった。

帯に「圧倒的画力で紡がれる」という文句が書かれていますが、その言葉通り画力はすさまじいものがあります。綺麗な絵柄に見やすい構図、表情やしぐさ一つで内面を読者に読ませる高い画力。が、この作家さんの魅力はそれだけに非ず。

ちょっとした因子を、登場人物たちと重ねて描くことによって感情の機微を緻密に描くことだと思いました。

例えばタイトルにつけられた「夜」という言葉。
「夜」という言葉に、彼らの孤独な心とか、過去の哀しい出来事を重ねて描くことで一気にその言葉に重みが増していく。ストーリーに奥行きがある感じ。

先述しましたが、ストーリーとしては想像を超えるような奇抜なものではありません。ありませんが、王道と言えるストーリーにきちんと色がついている。
彼らはそれぞれ抱えるものがありますが、それを自身の力で乗り越えていく姿にめっちゃ萌えた。薄幸さんがスパダリに愛でられ(ちなみに今作品の千夏はスパダリではありませんが)、スパダリさんの力で幸せになりました、という陳腐な流れではなく、心に空洞を持つ彼らが出会い、恋をし、だからこそ困難に立ち向かう力を得て自分の足で立つことができたという展開で、ムネアツです。

受けさん・佳澄の透明感のある美しさも良かったし、攻めの千夏が佳澄と出会ったことで少しずつ表情の険しさが取れていく様も手に取る様にわかる。画力も素晴らしいし、ストーリー展開も素晴らしい。

暗闇の中で、二人は出会い、そしてお互いだけが輝く光だった。
純愛でもあり、二人の成長物語でもあります。

読んでいて、「北風と太陽」を思いだしました。
人は厳しさだけでは生きていけないのだと。
愛情や優しさこそが、人の頑なな心をほぐし、そして人を人たらしめるのだと。

しいて言うと、二人が抱える家庭環境はなかなかにシリアスで複雑なものなので、その辺りをもう少し描き込んでほしかったという感は否めないのですが、それを差し引いてもこれがデビュー作という衝撃はすさまじいものがあります。

個人的に佳澄の弟くんと千夏の父ちゃんのエピソードがめちゃめちゃ気になりました。弟くんは良い恋をしそうなナイスガイだし、父ちゃんの方は病んでてまたそれが良い。欲を言えば、千夏の亡きお兄ちゃんのエピソードも読んでみたい。ぜひともスピンオフを描いていただきたいと思うナイスなサブキャラたちでした。

佳澄ちゃんはねえ、あのお目目が可愛いのよ。
彼の清廉さがそのまま切り取られた感じ。ものを見ることはできなくても、人の本質を見抜く力がある感じが良い。
が、ほっぺ。可愛いの。ぷっくりしてて、千夏と話しててちょっぴり赤く染まるほっぺも良い。触りたい~!きちんとお手入れされているんだろうな、良いところのお坊ちゃんなんだな、と分かるようなふっくらさを持ちつつ、彼の赤く染まる頬が彼の心情をも読ませる一つのツールになっています。

読んでいて、気づかないうちに落涙していた作品は久しぶりでした。
めっちゃ良かった…。
素晴らしい作品に出会えたことに感謝。
次回作も楽しみに待っていようと思います。

8

自分のペースでじっくり読んでほしい

ここ数年、何人も「え?これがデビュー作なの?」という作家さんの作品が発表されてきました。
その中でも今年は大型新人さんが大量にデビューされたと思いますが、さすがにこの作品はfromoREDが「夜明けの唄」と同時発売させただけのことはあります。ピカイチの大型新人ですね。
とにかく絵が上手いです。美しく、そして艶があります。一コマ一コマ、見入ってしまいます。

でも残念ながら「夜明けの唄」ほどのセンセーショナルがないのは、やっぱり1冊完結だったからかもしれません。少し説明不足だったり、設定が活かしきれなかったり、あっけない終わり方になってしまっている感じが否めません。ふたりの家族の話やふたりの気持ちが近づく様子をもっとじっくり読んでいきたかったです。そこは残念でした。


はじめは盲目の受けの佳澄が着物を着ているのと、人を殺せない人殺し稼業の攻めの千夏という設定で明治や大正などの時代物なのかと思いました。ところが千夏の手にはスマホがあるので、現代物だとわかります。でもなんとなくスッキリしませんでした。絵の雰囲気と殺し屋という稼業のせいか、どこか異次元の世界のように感じました。

全体的にトーンが多めの為、暗い雰囲気で暗雲が垂れ込めている様子がうかがえます。盲目の暗さと人殺しのダークさがそのトーンの感じと繊細で美しい絵柄によく表現されています。
少し言葉が少なくなる場面もあり、佳澄の分までじっくりと細かいところまで絵から表現されたことを受け取ろうと思えてきます。影や光の使い方や瞳の動きの一つ一つに「今の表現が意味するのは?」と考えさせられます。佳澄の見えないはずの美しい瞳に映るものがなんなのかじっくり見てしまいます。また、見えている千夏の瞳の方が白くて感情を殺しているかのように、何を映し出しているのか分からないのも印象的です。
そんなところからも、何度も読み返したくなる作品になりました。


わたしが個人的にネタバレなしで、まっさらな気持ちで読んで感動したいタイプなので、この作品もできればネタバレなしのままじっくりと自分のペースで読んでいってほしいと思います。


タイトルの「君の夜に触れる」のようにこの物語は、暗い夜をさ迷い歩いていたふたりが出会ったことで互いの寂しかった夜に触れつつ、一つの光をふたりが見つけてこれから一緒に明るい外で歩んでいく感じがしました。強くたくましく育ったふたりのお話でした。
家族の愛や絆、友情などが希薄で自分の望むことすら口にできなかったふたりがはじめて言った我が儘をこの先も大事にしていってほしいです。

この物語の主導権は全部佳澄が握っています。盲目のただ待っているだけの青年ではなく、自分から新しい世界を手にしようとしているところがとてもいいなと思いました。弱そうに見えても実は強い受け、大好きです!


このふたりのその後、そしてもっと詳しい過去などもぜひ読んでみたいです。

6

これがデビュー作

なんなんですか!!
どういうこと?!?!
これがデビュー作って!!

ストーリー展開に身体の奥をギュッと握られて、でも、キャラクターや作画は儚く健気に見えるギャップにやられました。

殺し屋の千夏と盲目の佳澄。
ふたりに共通する『闇』によって出逢い、再び巡り合う。

盲目だからこその仕草や感覚や空気感、それとふたりのやりとりが存分に感じられるのがとても凄い!!!

千夏と佳澄の出逢いからその後までを読んでいるとふたりの表情が段々と変わっていくのが、幸せという『光』に向かってふたりで歩んでいるように観えました。

5

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