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2人の会話がいい

シーモアで読了。
電子限定の短編小説で、フル-ル文庫サイトの試し読みで知りました。
読了後に短編ならではの、何とも言えない余韻がありました。
イラストは、表紙の他に1ページの口絵があります。

物語は社会人2人の、雨が降りだしたある夜のお話です。
1年前、桐生和彦(きりゅう・かずひこ)は年下の同僚・友成聖士(ともなり・さとし)に告白されましたが、返事は保留にしたままです。
返事のできない桐生に友成が「いつまでも待ちます」と言い、全くその事に触れずにいてくれるからです。
桐生は、3年前に取引先の営業部長の一人娘と結婚しましたが、1年程で離婚して左遷に近い状態で友成のいる部署へ異動しています。
離婚の原因は、結婚後に気づいた自分の性癖(男寄りのバイ)です。
告白から1年後の今、桐生は友成とのことをはっきりさせようかなと思います。
職場の飲み会後、2人で駅へと向かう帰り道で豪雨に濡れながら、桐生は何とか友成を足止めしようとします。
すると、友成がホテルに泊まることを提案します。

シリアスな過去は回想で明かされ、物語が鷹揚な性格の友成のおかげで暗くなりきらないところがいいです。
友成は告白の言葉もそうですが、話し方がとても賢く優しいです。
桐生と息が合っているというか、2人の会話は弾んでいて時々くすりと笑わせてくれます。
雨宿りした時に出会った易者に、桐生と友成の前世は「漁師と彼に飼われていた犬」だと言われます。
その話を馬鹿馬鹿しいと取り合わない桐生と、それもいいかもという感じの友成。
そもそもファンタジー系の話ではないので、前世の話自体はどうということも無いのですが。
その話を一緒に聞いた事で、共通の話題になっていくのが面白いです。

1年が経ち、告白の事を言い出せない桐生に対して、さらりと言ってのける友成が凄いです。
友成からすればホテルへ誘った時点から、今夜もう一度口説くつもりでいたのでしょう。
桐生は自分の事で一杯いっぱいになりながらも、徐々に心の整理がついていきます。
これが友成といる時で、桐生が1人きりで泣くことが無くて良かったです。
桐生は辛い過去から抜け出して、ずっと返事を待ってくれていた友成へ素直に気持ちをぶつけます。
この場所がホテルの部屋で本当に良かったです。
桐生が年下の友成に身をゆだねる初めてのセックスは、読んでいてドキドキしました。
友成が何度も言葉で好きだと思いを伝えていたところは、グッとくるいいシーンでした。
そしてピロートークがまた、2人らしくて笑ってしまいました。
友成はともかく、桐生は仕事と恋が一緒の関係は大丈夫なのか、ちょっと心配です。
読み終えてからも、何だかとても気になる2人だなと思いました。


<以下は、読了後に読んでほしい内容です>
このお話には「幸せになる」というキーワードがありました。
元妻が桐生に言った言葉。
 「ちゃんと幸せにならなかったら許さないからね」
桐生が告白されて返事を言えなかった時に、友成が言った言葉。
 「幸せになりたいと思ったときに呼んでください」
そして1年後に桐生が言った、友成への返事の言葉がちゃんと繋がっていました。
それがとても良かったです。
つき合う前の2人に易者が言っていたけど、私も「末永くお幸せに」という気持ちです。

もう一度読むか迷う

初めて読んだ、獣人と人間の子持ちものです。
多分世界観が合わなかったのだろうと思います。
帯文は「愛する獣。子育て。つがいの絆。」です。

獣人の尻尾が好きな人の体に無意識に巻きつくのは面白い。
アシュが、とにかくかわいい。
ディリヤは辛抱強く、ユドハはさらに辛抱強く優しい。
異種族間は何かと障害が多いので大変。
権力闘争には、あまり興味が無いかもしれない。
ディリヤ達が嫌がらせにさらされる様子は回数を重ねると疲れる。
メス表現に違和感があった。
獣人に抱かれると殺される場合もあるという設定は要らなかった。
私は鈍いのでアシュの父親については特に考えず、明かされてそうだったのという感じだった。
ディリヤのキャラが途中でわからなくなり、まるで別人のようにブレている気がした。

男性間で子供が産まれると、やっぱり男性同士である必要性がなくなるように思いました。
つわりや出産の描写もここまでは要らないし、BL作品で読みたいとは思えなかったです。
「妊娠(出産)+子育て」が私は無理なのがわかりました。(ごく一部を除く)
ファンタジーで流す部分とリアルさを持たせる部分が、単純に好みに合わないのかもしれません。
だらだらと長い印象もありました。
オメガバースが読める方は楽しめると思います。

ピュアでワンコな筋肉受け

植木職人の猪狩地永(ちはる)は、子供の頃から羽鳥医院の先生の息子・光洋(みつひろ)のことが好きです。
年上の光洋の大学受験を期に地永は家に遊びに行くこともなくなり会うこともなかったけど、風邪をひいた地永を医院で診てくれたのは光洋でした。
熱っぽい風邪の症状だけでなく顔を赤くする地永は、診察を恥ずかしがってノドを診る事さえも拒否してしまい座薬を入れられることになります。

叶わぬ片思いだと思っている地永は、光洋といると挙動不審になってしまうのがかわいいです。
職人の同僚が妙なアシストをしてくれてゆっくり進展していくのも楽しいです。
でも実は光洋はゲイで、地永を光洋の一人暮らしのマンションへと連れていくとスマートに告白してくれます。
ちゃんと告白からお付き合いが始まるけど、そこからも2人の関係はゆっくりです。

光洋の愛犬ヴィヴィアナ(ビビちゃん・コリー)も地永のことが好きで、3人仲良しです。
合鍵をもらって嬉しい地永が光洋に抱きついて押し倒してしまうと、その2人にビビちゃんも乗ってきて笑っちゃいます。
忙しい光洋に遠慮して距離を置こうとする地永を、光洋と一緒に捕まえにくるビビちゃんは良い子です。

光洋が医者なので腸内洗浄について「…腸内環境が荒れるから…」「2週間後くらい?」というセリフがあり、新たな発見でした。
地永は光洋にイジワルなコトをされて泣かされたりもするけど、2人の間では問題ナシです。

表題作の後に短編「隣の。」が収録されていますが、あとがきによるとこちらが先にできたお話だそうです。
本編では脇役だった植木職人・西尾心助(しんすけ)と、アパートの隣の部屋に住む伊東のお話。
ガス料金を滞納した心助が伊東の部屋に風呂を借りに行って、心助の見た目(筋肉)が好みだった伊東に抱かれてしまう。
展開が早くてびっくりしますが流れは自然で、最後にププッと笑えて面白いです。

試練の波状攻撃に興奮

帯文は「ロマンスグレーが乱れる!?」です。
バーバラ片桐先生の想像力(創造力?)の一本勝ちですね。
タイトルと表紙がどうにも気になって読んでみたら、とても面白かったです。
初めて読んだ時は途中で止まれなくて一気に読みました。

山辺(72歳)は定年前に妻を亡くした後、夢だった喫茶店を1人で開店しバリスタをしています。
(子供はいません。)
山辺は店の常連である大学生・信濃の事を好青年だと思っていたけど、彼が失恋して彼への恋心を自覚しても気持ちを伝えようとは思っていませんでした。
ところが体調を崩して少し眠った後に目覚めると体が20代に若返っていて、どうにも避けられない状況で信濃と対面し、山辺の親戚・龍之介と名乗ります。
信濃は密かに山辺を憧れの存在としていたので、山辺の面影がある龍之介が気になりだします。
龍之介は、失恋直後で一人でいたくない信濃に飲みに誘われ、酔った勢いのまま同衾します。

山辺は前日、学生時代の友人で研究者の田口と酒を飲んだ時に知らないうちに薬を飲まされたので、薬の用法・効能がわかりません。
24時間で元に戻った山辺は、訳あって山辺の自宅に隠された薬を見つけても再び飲むことを躊躇します。
だけど、信濃と親しくなれたことから、また龍之介として少しの時間でも付き合いたいと思うようになります。

その薬は大物代議士・桜庭の体調回復のために大金をかけて田口によって開発されたものでした。
田口が残りの薬を桜庭へ渡さずに山辺へ預け、行方をくらましたことで身辺が危うくなります。

龍之介は信濃との時間を楽しむのですが、話すと口調や内容が「昭和」になってしまうのが笑いを誘います。
事後に服を着る時も肉体は若いのに動作は70代のままで、信濃の前でも悲しいかな「よっこらしょ風」で遅いのです。
信濃に、龍之介の衣類に染みついた体臭を「おじいちゃんな匂いがする」と言われて現実に戻されます。
薬の影響で信濃の性的興奮が増したり、龍之介の体臭や体液が甘くなる効果があるなんて、バーバラ先生上手いです。
桜庭の秘書・白鹿が薬を回収して服用しても用法・用量が違うので効果が出ない、という仕掛けに驚きます。
そして、桜庭の分の薬が足りなくなったと、薬の成分を龍之介の精液から回収しようと必死になる事の滑稽さ。
捕らわれた信濃と龍之介が、研究対象とされながらセックスすることになる状況にもハラハラします。
山辺が龍之介と同一人物だと信濃に謝ると、信濃にどちらの山辺も好きだと告白されるシーンには感動します。
脱出を図っても簡単には逃亡できず、信濃が銃撃を受けて瀕死の重体に。
でも病院へ駆け込むと田口がいて、実は山辺が今後20代から生活できる分の薬を持っているという謎展開。
最後の最後まで山辺と一緒に振り回されます。

桜庭は薬の効果を得ることなく死去し、薬の存在は監禁事件と共に葬り去られる方向で白鹿と話がつきます。
信濃は一命をとりとめ、山辺はやはり龍之介として信濃と生きていくことを選びます。
2人がお互いの最善を願い選んだ道に、ほっとしました。

とても楽しめたのですが、物語後の龍之介の人生に一抹の不安を感じたので萌×2です。
いろいろとファンタジーに浸って読んだのに、最後だけは現実を想像せずにはいられませんでした。
でも、信濃と龍之介には幸せになってほしいと思います。
年の差+若返りは、想像が膨らむ深いテーマだと感じました。

変わった話

帯文は「どっちがいい!?殺されるのと 犯されるのと!」です。
何やら物騒な文言ですね。
発売当時に読まなかったのは、この帯文がついていたからだと気づきました。
ちょっと長めの小説が読みたくて、2018年冬時点でシリーズ3冊目まで刊行されているので挑戦しました。
タイトルは「色悪作家と校正者の〇〇」で統一されていて、この「不貞」が1巻目です。
続巻は「貞節」「純潔」ですが、1冊でもキリのいいところで終わっています。

なかなか個性的な登場人物達でした。
会話が、中でも正祐(まさすけ)の会話が独特で笑えます。
脇キャラに奇抜な人がいることが多い中で、メインキャラの正祐が一番ぶっ飛んでいます。
正祐は校正者ですが、「暗黒の校正者」だという自覚があります。暗黒です。仕事は鬼です。
代わりに小説家の大吾が常識ある人物かと思いきや、そうでもない。

ビブリオ・ラブコメだそうですが、私にはラブが薄い印象でした。
2人の間にラブはあるけど、小説・文学へのラブと仕事へのラブのほうが幅を利かせている気がします。
2人のラブがまだそんなに甘く感じる訳でもないといいますか。
議論に始まり、会えばずっと話していますが、いつもどこへ行きつくのかわからないドキドキがあります。
タイトルの「不貞」がどの辺のどういう事を指すのかわかりませんでした。
すんなり共感できる人物はいなかったので、いつもよりも傍観者気分で読みました。
読むときの気分によって、面白く読めるかどうかが左右される物語だと思います。
評価も変化しそうです。
口絵は、2人が扮装している(?)イラストで通常と違っていて珍しいです。

映像で見たくなる作品

私のこの作品との出会いは少し変則でした。
妃川螢先生の作品を読んだことがなかった当時の私は、ひょんなことから妃川先生のオフィシャルサイトに辿りつき、番外編SSを読みました。
その番外編の中の2人がすごくいい雰囲気で、なれそめが気になって本編を読みました。
普段はこういう読み方はしませんが、奇妙なご縁がありました。
この作品は妃川先生の3作目で、私が読んだのは2009年です。

2人は1枚の写真がきっかけで出会います。
高瀬尚哉(たかせ・なおや)は広告代理店に勤めていて、大きなプレゼンを控えています。
ある日の出張帰りの飛行機の中で、偶然見た雑誌の写真に目を奪われます。
高瀬はそのカメラマンの撮る写真がプレゼンに必要だと思い探しますが、なかなか情報が見つかりません。
使えるコネ・人脈を使い尽くして探し出した人物、それが志賀龍之介(しが・りゅうのすけ)です。
高瀬は電話すらない志賀の事務所へ飛び込みで行き、話は聞いてもらえたものの冷たく断られます。
説得を試みれば、ヤらせてくれたら考えると挑発的に言われ、カッとなって企画書で殴ってしまいます。
でも、どうしても仕事を受けてほしい高瀬は事務所へ通います。

高瀬から見た志賀は、写真の腕はいいのに人物は最悪で「難攻不落」感が満載です。
高瀬は長身にスレンダーな体格と甘いマスクで営業には有利ですが、抱かれるとかは考えたこともありません。
志賀の撮る自然写真は素晴らしいけれど、外見は日に焼けた彫りの深い顔立ちの大男で粗野な感じです。
志賀の撮影に高瀬が同行したり、志賀の事務所で野良猫の出産に立ち会うことになったり、一緒に過ごすうちに2人の関係が変化していきます。
高瀬の心境の変化はとても深いところで起こっていて、それを志賀が全て理解しているような不思議な空気が漂います。
外見も性格も全く違う2人が、時間をかけて互いが抱える孤独を癒やす存在になっていく経過が追えます。
この2人は仕事と恋愛が密接になりがちなのに、仕事はきっちりこなすところがクールです。
志賀と寝てからは高瀬の周囲にも変化があり、BL的お約束の(笑)どんでん返しがあって面白いです。
志賀はマイペースな感じでプロポーズしますが、高瀬には男同士なことに葛藤がある点もポイントです。
高瀬がこれだと思った雑誌掲載の志賀の写真と、高瀬と組んだ広告の写真が見てみたくなります。
後日の仕事で、志賀の写真が使われたポスターも見てみたいです。
それは読者の心の中に浮かぶもので、小説の醍醐味だとわかっていますが見てみたいと思うのです。
脇キャラにも個性的な人達が登場して、会話も面白く、読み進めるとわかる仕掛けもあります。
途中から仔猫を飼うので、猫好きの方にもおすすめです。
志賀の事務所の経理担当の公香(きみか)さんのポジションがちょっと羨ましいです。

ロングスリーパーちかちゃんの恋

レビュータイトルが他の方と少し被りましたがこのままでいきます。
帯文は「片想いでもかまわない。彼の救いに、僕はなりたい。」です。

主人公は代々続く降霊者のいる家系の、少し霊能力を持つ姉がいる、霊能力が無い森谷値賀(もりや・ちか)。
値賀は名前も変わっていますが、キャラクターも面白いです。
ご祈祷の時の白衣に袴が似合う涼やかな美貌ながら、少しぽやんとした優しい青年です。
値賀がゲイなのを近しい人は知っていて、あの人素敵だな、と思っているとそれもばれているといった具合。
睡眠時間が平均10時間というロングスリーパーです。
大学卒業後、就職せず地元へ帰ってきた値賀が出会うのは、東京から仕事で出張してきた紀州充亮(きしゅう・みつあき)です。
地盤調査の会社の社員で、ご祈祷に参加したことで値賀と対面し、値賀が素敵な人認定します。
紀州は仕事ができて部下にも慕われており、急遽アルバイトで仕事をお手伝いした値賀はどんどん惹かれてしまいます。
紀州は3週間の出張期間が終われば帰京します。その前に値賀は告白するけど振られてしまいます。

22歳の値賀と紀州の10歳の年の差。
地方と東京に離れた生活基盤。
紀州は降霊などの現象をつい疑ってしまう性格で、値賀とは考え方も違います。
値賀を可愛がる様子はあるのに、紀州が恋愛を拒絶する理由。
値賀は紀州への片想いを大事にするけど、単なる「押せ押せ」ではないんです。
話の展開が面白いです。

2人の恋愛は値賀の片想いというよりは、隠れ両想いだと感じました。
ゲイでロングスリーパーな為にこれまで恋愛さえ憧れ止まりだった値賀の初めては一大事です。
初心な値賀に余裕が無くなる紀州の様子は読みどころです。
恋愛経験もあり、優しいだけじゃない大人の男性は素敵です。
このお話は、ぜひ読んで楽しんでほしいので肝心なところは内緒にします。

ケモミミでイケメンな神様 パート2

前作「神さまの愛し子は同人作家」で両想いになったスイ様とミチルの蜜月編です。

前作でミチルがイベントに行く時に拉致されるという事件があったので、スイ様はイベントに付いて行くことにしたようです。
以前のイベントで人型のスイ様がものすごく目立ってしまったのでミチルはスイ様に隠れていて欲しいと思っていますが、スイ様は「女体になればよい」と変化してしまいます。
イベントでは大きな問題もなく、帰宅後いつもの姿に戻ったスイ様は入浴中のミチルの所へやってきます。
スイ様はミチルが入手した同人誌のようにしたいのだろうと言い、「湯浴みをしながらまぐわう」流れに…。
ミチルはスイ様の"番"として男の自分がふさわしいのか気にしますが、スイ様は姿や性別に関係なくミチルの魂を好いているのだと言います。

スイ様とミチルは"番"になったけど、ミチルが女性と結婚しないという事はミチルが家を継ぐ事にはならないんじゃないかと気になっていました。その点が今回解決されていてすっきりしました。
ミチルの悩みの一つだった兄の実(ミノリ)とのギクシャクした関係も、スイ様が取り持ってくれました。
スイ様はミチルと一緒に過ごす事が多いし、お酒に酔った時のミチルは甘えん坊で蜜月の甘々でした。

途中に挟まれた4コマ漫画の、小さなミチルの為にスイ様がケモミミ姿になった過去話がよかったです。
スイ様は店番を「張り番」、押しつぶされる事を「のし餅にする」など独特な言い方をするところが面白いし、チー君は相変わらず可愛いです。
今回は精霊やスイ様の飲み仲間の猫又・ミフネが登場して、神様の側の世界を少し知ることができました。
これからミチルは神様の側へ少しずつ馴染んでいくそうなので、もう心配は何もないようです。


同時収録の2作品はアンソロジーに掲載されたお話です。

『愛しのパーフェクトボディ』
小学生の頃に可愛いお友達・智紀(ともき)をいじめっ子から守っていた敦(あつし)が、成長したら立場が逆転してしまい悩みます。
2人共同じ道場で空手を習っているのに、筋肉ムキムキのトモに対して敦は細身で何故か筋肉がつきません。
練習後に敦が他の男子に襲われそうになりますが、トモが助けに来てくれます。
その後トモと敦は気持ちを確かめ合って両想いだったことがわかると、敦が内心で「ビバ☆襲われた俺っ!結果オーライだぜ」と思っているのが可笑しいです。
敦が積極的にリードしてコトに及びますが、その後体が辛くなっても早々に次の約束を取りつけようとする敦がとっても前向きです。

『図書室の秘めごと』
雅人(まさと)が昼休みに図書室の一番奥のスペースを1人で過ごせる秘密の場所として使っていたら、ある日八尋千種(やひろ)が寝ていてそれからは占領されてしまう。
連日いて困るのでどいてほしいと言うと、八尋に「他に静かな場所を教えてくれたら」と条件を出されます。
雅人は図書準備室を提案したものの、八尋から勉強を教えてもらう代わりに八尋に付き合うことになります。
八尋のしたい事はエッチな事でストレスが発散できて勉強が進むと言うけれど、本当は雅人の事が好きなんです。
雅人に勉強とそれ以外のコトを教える、八尋の作戦勝ちのような恋の始まりです。

この物語に出会えてよかった

3巻通してイラストがぴったりで素敵でした。

1巻の終わりに久遠に公園の池に落とされた静良井は、左足を痛めて車椅子生活に。
久遠は右手首の骨にヒビが入りギプスをしています。
久遠は仕事をしていますが静良井は療養のため休職中で、2人で助け合いながら生活しています。
スーパーの傍の公園にいる静良井に中上が来て声をかけますが、静良井は話をしません。
久遠は静良井が記憶障害になっていないのではと疑い、ここから逃げて中上の元へ行かないのかと聞きます。
でも、静良井は逃げるつもりだったけど気が変わったと言います。
久遠は日記の破りとったページとリュック、住所が書かれたタグを静良井に返します。
静良井は足のギプスが外れてから、1人で当時の家へ行ってみます。

久遠に池に落とされた時に静良井は記憶を失くしたのだと私は思い込んでいました。
以前の、久遠の家を出る前に過去の情報を教えてもらえなかったのは久遠の未練からだったのでしょうか。
実家へ辿りついて再会した叔母から話を聞いても、何も感じられなくて悲しくて頭を打ちつけたシーンは怖かったです。
高校時代の日記を見つけて「M」が中上だとわかっても、久遠が「M」に成り代わっていた時間は消えるわけもなく。
静良井はカナリーで2週間のアルバイトをして、その間に過去の「僕」を教えてもらう約束を取りつけたのは良かったけれど、中上をまた好きになっていくのに中上の心には近づけない。
中上にも久遠にもこれ以上迷惑はかけられないと、2人との別れを選ぼうとする静良井が悲しいです。
それも、中上には久遠と暮らしていくと思わせたままで。
記憶を失くしてカナリーへ来てもオリジナルブレンドは出さないでほしいと頼んだ時は、コーヒーの味が2人にとってこんなにも重要な鍵なのに手放さないでと思いました。
お互いに別れを選んだのに、久遠が2人を再会へと導いてからの展開が凄かったです。
中上が静良井のリュックに日記を入れた事が、良くも悪くも複雑に作用していた事実。
静良井の恋人だったのに過去を持ち出さずに新しく出会った人として関係を築こうとした中上と、他人なのに思い出を捏造してまで恋人になろうとした久遠は考え方や行動が全く違いますね。
中上はこれから、もっと静良井に甘えたらいいと思います。
10代で恋におちたあの時から、2人はお互いにとって唯一無二の大切な存在なのだと思いました。

静良井の記憶障害の4年毎の周期に、私は気づきませんでした。
元アルバイトの佐藤の言動に、静良井が中上と2人で動揺しているシーンが微笑ましかったです。
雪で行けなくなったレストランには、また行って美味しい料理を食べて欲しいなと思いました。
喫茶カナリーの紹介記事では、静良井が中上の事を「ハンサム・イケメン」と書いていて意外と大胆でした。
文庫書き下ろしの結びにもってきた一文が秀逸です。
カナリーのようなお店に行ってコーヒーを飲んでみたくなりました。
輪廻転生ではないけど何度も静良井が中上と恋におちるような不思議なお話でした。

2巻はエスプレッソコーヒー

砂原先生の頭の中は、いったいどうなっているのでしょう。
読み終えて思ったのは物語の続きへの期待と、創作の世界の無限の広がりです。
半分残したままの心はどこに、もう半分の心は何処にあるのか。

すごく続きが気になるシーンで終わった後の回想篇です。
過去は知りたいけれど、その過去もまた突発的な記憶障害で終わるであろうことがわかっているので、ひそやかな恋の甘さに浸りつつも何処か影に怯えてしまう気持ちがずっとありました。
記憶障害を起こした後に過去の記憶は戻らなかったけど、静良井が「M」は外国人かもしれないと思ったのは、髪を脱色していた中学生の中上を夢の中で微かに思い出していたのかもしれないなんて。
そして静良井の恋人「M」を中上が一緒に探してあげると言ったのは、中上にハンカチを貸してくれた女の子を一緒に探してくれた時に約束したから。
覚えている人も覚えていない人も、読者にとってはどちらも見ていてつらいです。
1巻の2人の関係が中上の「俺は傷つかないから」という言葉の上に成り立っていたことを知り、なんて心の強い人なのだろうと思いました。
コーヒーが好きではなかったのに喫茶店のマスターになった事、喫茶カナリーとオリジナルブレンドのコーヒーに、静良井への思いの深さを感じました。
あまり印象が良くなかった静良井をゆっくり静かに好きになっていく中上の様子や、目で追ってしまったり触りたいと思ったり、告白していないのに唐突にキスしてしまう場面はドキドキしました。
静良井の独特なメモの取り方は私には絶対にできないけど、私もきっと好きになりますね。
2歳の年の差からお互いに遠慮しながら、それでも少しずつ気持ちが近づいていく2人。
恋の成就はどれほど奇跡的な事だったのだろう。
いつの間にか呼び方が衛くんから衛に、真文から真文さんに落ち着く流れがいいです。

でも、また記憶障害が起きて事故にも遭ってしまう。
足に重度の火傷を負い、記憶を何度も無くし、やっと回復して自宅へ帰ってきたのにまた記憶障害。
中上が受けた衝撃はもう想像もつかないレベルです。
この時に久遠に発見されることがなければ、彼が日記に細工をしなければと思わずにいられません。

2巻は中上視点と静良井視点があり、重なる部分と重ならない部分があり、なかなか飲み込めませんでした。
しかも1巻のいろんな場面へも意識が飛ぶので、頭の中がぐちゃぐちゃになりました。
2巻と1巻の間の中上の生活はもう明かされることは無いのかも気になります。
レビュータイトルは今回も大いに悩みました。
エスプレッソコーヒーは飲んだことがないのですが、伝聞では「甘さは甘く、苦さは苦い」のですよね。
恋のきらめきと記憶を失うことの悲しみ。この2つの要素が互いを打ち消すことなく引き立てています。