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最初から最後まで面白かった1冊。
あとがきまで読んでしまう面白さに脱帽です。
受けも攻めも最後までキャラのブレもなく。
本当に楽しめるお仕事ものBL。
歴史校正者として働く正祐が勝手に行う1人お通夜シーンから始まるこのお話。
え?どういうこと?と思いながら読み始め、分かった時には
攻めさんの作家・東堂とかなり言い合ってました。
この2人、1冊の半分は言い合ってるんじゃないか…?と感じるほど
ひたすらに言い合ってます。
ますが、傍から見れば変わり者同士の痴話喧嘩。
会話も内容も凡人には着いていけない(着いていきたいとも思わない)。
文学に知識を持ってる2人が出会えば、こんな会話ばかりなのか…!
と思える、ある意味阿吽な関係なんです。
正祐の「スケキヨ…」は、今思い出しても個人的にツボなシーン。
そんな変わり者2人に関わる、校正者の篠田や鳥八で小料理を提供する百田
実は家族想いの光希…と挙げればキリがない脇役さんもいい味出してます。
あと、このお話の魅力といえば数々出てくる文学作品。
知らないものから有名なものまで深く掘り下げて紹介してくれる
(会話がマニアックすぎて勝手に宣伝してる風な感じ)ので、
読んでみたいな、そんな視点で読むのか…!と
新しい発見や興味をそそられる事間違いなしです!
菅野ワールド、是非お試しあれ!とオススメしたい1冊でした。
続編もあるようなので、そちらも文庫化されるといいな…
最後の書き下ろしで描かれた、「何故、校正者を受けにしたか?」という理由がなかなか痛烈でしたね〜。この小説を一冊読めば、作家さんの気持ちが少しは共感出来る仕様になっていて、なかなか憎い演出です。
菅野彰先生といえば、BL小説では「毎日晴天!」シリーズが有名です。晴天シリーズの一巻を読み出した時は、文体がフリーダムで正直読みにくい荒削りな印象がありました。ところが、途中からストーリーがどんどん面白くなって虜になり、今では長いシリーズを追いかけている次第です。
「毎日晴天!」の一巻の出だしの頃と比べると、長年の経験の賜物とはいえ、作家さんとしての成長ぶりが恐るべしだなーと唸らせられました。タイトルから受ける印象と違い、内容重視のバリバリ一般小説です。BL要素は薄めです。
受けが校正者なので、地味な話かなーと思いしばらく積んでいたのですが、読み始めたら止まりません。浮世離れして捻くれ気味のカップル、作家の大吾と校正者の正祐の文学を絡めた尖ったやり取りがいちいち面白くて…。また校正の仕事が歴史校正も入った奥深い世界だと知れて興味深かったです。
BL小説はハードカバーでも購入しますが、文芸書は持ち運びを考え文庫本しか買わない自分には傍ら痛い話も出てきましたが…w 読書が好きな人には特に楽しめる内容になっています。高校時代の文学史を思い出し、懐かしい気持ちになりました。大きな事件がある訳でないけれども、ユーモアを誘いつつ、じーんとくる人情味もあり非常にバランスの取れた小説でした。
菅野先生の一般書も読もうと思いました。
書き下ろしの八郎の話もとても良かったです。二人の性格の違いを何よりも分かりやすく表現されていて、面白かったです。子供の頃に読んだ「花さき山」は懐かしすぎて。。小説は読む人の性格や見方、バックグラウンドにより受け取り方や感想も変わってくるから面白いんだなー思いました。
BL系で文学史的要素を取り扱ったもので思い浮かぶのは、BLゲームの「古書店街の橋姫」が斬新で傑作だと感じている作品ですが、この小説のように二人芝居で進むような形式も味があっていいなー。「古書店街」の主人公の玉森君もたいがいだけれど、「色悪」の正祐君も負けていないアクの強さ。文学系BL青年って拗らせやすいのかも。二人とも好印象ですがね。
「アメ車とあだ名される女」の菅野先生が描く、BLラブコメ。
堅そうなイメージを抱いて敬遠していたけど、意外と柔らかくて面白い。
しかも誤字・誤文法が無くて読みやすい。
BLは、校正を省略す予算割愛ジャンルなのか、誤字だらけで辟易する作品が多いけど、
菅野先生のこの作品は「校正者」がテーマだけあって誤字がほぼない。
さすが!と思った。
この一巻目を読んだら、noteで紹介されていた『愛する』(キャラ文庫)を読む予定。https://bit.ly/3M1c0zU
これは歴史・時代小説の校閲校正を仕事としている主人公がひとりの小説家と運命の出逢いを果たし、赤子からやり直すかのごとく人と人との付き合い、主に恋愛に関して、初めての経験を積み重ねていくお話。
有名女優の母から生まれ、姉も弟も芸能人、しかし母親譲りの美顔を持ちながらも受け自身の性格は地味で芸能界とは反りが合わなかった。居場所を求めておじいちゃん子となり、祖父の影響から、文学の中に生きるようになった受け。
担当する校正の仕事のために読んだ小説がいたく気に入り、大ファンになるのだが、ある展開が気に入らず、ついに同じ飲み屋で愚痴をこぼしていた著者(攻め)に食いついてしまう。そこから二人の交流が始まります。
二人とも無駄に(といったら失礼ですが)非常に知識人なので、大切な言葉に行き着くまでにめちゃくちゃ遠回りします。
もう本当に面倒くさい二人なんです。
でもそんな二人の、時に周囲を巻き込んでされる会話がユニークで興味深くて面白かった。
関係ない話をしていたと思ったら、気づけばちゃんと愛の話になっていて、すごいなぁと。
文学作品がいっぱい出てきますが、どこかで聞いたことあるなぁ程度で楽しめます!難しくないです!
本好きなら「その気持ちわかるなぁ」と思ってしまうところも多いんじゃないでしょうか。
シリーズを通して彼等をもっと読みたいと感じました。
電子書籍で読了。挿絵、あとがきあり。
出版関係のお話を書くと菅野さんのお話はとても面白いです。
これはやはり、菅野さん自身が小説家というご自分の仕事をすごく好きで、誇りを持っていらっしゃるからだろうと思うのです。
華やかな家族から浮いてしまって、愛されているのに孤独を感じて来た校正者が、やはり孤独を感じざるを得ない生育歴を持った小説家の作品に惹かれ、延いてはその本人にも惹かれていく過程を描いているのですが、ドタバタにも近い二人の言い争いと、それに相反する大吾の寂しい心象風景が一つのお話の中で矛盾せずしっくりと解け合っているのは菅野さんの持ち味。
それと同時に、この本は『小説というフィクションが人生にもたらすもの』を教えてくれる本だと思います。
大吾は塔野の執筆する時代小説の登場人物を心の支えにしてきたのですが「ああ、実生活で困難にぶつかった時、私も小説の登場人物を頼りに頑張ったことがある」と思いだし、塔野がその人物の死に必然性があることを大吾に話す度に「うん、そうだ。いつか必ず人は死ぬ。たとえそれがフィクションの世界の中でも、その時は来て、それを書かなければ嘘になってしまう」と納得する。
そして私も思い出しました。
そうやって本を読んで来て、同時に実人生も積み重ねてきて、リアルでもフィクションでも、沢山の人から影響を受けて今まで暮らして来たんだなぁ、ということを。
BLっていうのは、時々こんな風に人生について考えちゃう作品があったりするから面白いジャンルだなぁ。しばらくはこのジャンルから離れられないな。
相変わらず、菅野さんの文体は癖があって向いていない方もいると思います。
もってまわった言葉を選ぶ処もなきにしもあらず。
にゃんみさんが仰っているように、言葉のリズムを重視していらっしゃるのかなと思いますので、古典の授業が嫌いでなかった方は向いていらっしゃるのではないかとも思ったりします。
ここから先は書くかどうか迷ったのですが、菅野さんは長い経歴をお持ちの作家なので書いてしまいましょう。
『毎日晴天!』の最新巻をお好きな方であれば、このお話は読んだ方が良いと思います。
主題が同じだと思うのですよね、あのお話と。