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表題作、実は雑誌掲載時に読んで大泣きしたんですよ。揺さぶられちゃってねぇ……
『色悪作家と校正者の~』で始まるシリーズのスピンオフです。
本編も『孤独』がテーマのお話ですが、このスピンオフ作品の方がもっとわかりやすいかもしれません。
白州というキャラクターは『~の純潔』に登場していますが、私は嫌いでね。
「なんといういけ好かない野郎」と思っていたんですよ。
自分が他人を操る能力に長けていることをよーく知っている厭世家とでもいうのでしょうか。ま、ある意味『他者はどうでもいい』人なのね。そんでもってベストセラー作家で世間からは優しい人だと思われている。
このお話で、白州がこんな感じの大人になってしまった理由が解りましたよ。
いや、闇が深すぎる……
この闇の深さに対抗できるのは、確かにまんじゅう時代劇を書く様なうつけ者くらいしかいないのかも。
だって考えてみれば『ものを知らない』ということは、社会に転がっている有象無象の汚れたモノに接していないってことなんですものね。宙人くんが先入観なく澄んだ眼で、白州の中の奥の奥の方に隠れている『傷ついた子ども』を見つけることが出来たのも納得いくってものですよ。
お話の中に、よだかの星、銀河鉄道の夜、あとマイ・フェア・レディが出てきますが、私は『はだかの王様』を思い出しましたです。
あ、宙人は告発の為に白州の裸の心を言い当てたわけではありません。
白州が「いっぱい着ている(だから本当の自分がどんな風なのかは見えないはずだ)」と主張し続けたから言ったんだと思うんですね。
「裸だよ」と言うよりは「そのカッコだと寒いでしょう?」的な意味だったと思うんですよ。
……こんなこと言われちゃったら、もう惚れてしまうしかないやろー!
色悪作家シリーズのスピンオフ。読む人を選ぶと思うのですが、私自身がとっても好きなので、神にしました。なんと宇宙人小説家、宙人vs大吾の天敵、白洲絵一!楽しかった。絵一は「色悪作家と校正者の純潔」に出てくるし、宙人は「色悪作家と校正者の貞節」に出てきて、二人とも強烈な個性を輝かせていますので、是非色悪作家シリーズの方からお読みくださいませ!各種分からないところを、「わかんないけど、まいっか!」とさっくり超越できる方限定でおススメです。
新宿の高層ホテルで文壇の爺に撫でられるのを我慢している絵一。ここ何年か獲りたくても獲れない賞の事を考え我慢してパーティに出たものの、パーティ終わるや否や飲まずにおられない精神状態に。エレベーターホールで鉢合わせた想定外の人物(宙人)をやり込めてやろうと思っていたのに、飲んだくれてしまったのか、なぜか目覚めるとベッドに宙人と一緒にいて・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
大吾・正祐(色悪作家の方のカプ)、お兄ちゃん(絵一を毎月訪ねてくる男)、百田(小料理屋のおやじ)、篠田さん(正祐の同僚)、宙人のお爺ちゃん。相変わらず百田のおやじさん、涎の垂れそうな料理作ってます。今回の№1は白海老と空豆のかき揚げ。食べたいよう。
**攻め受けについて
絵一。思いもよらなかった背景を持った方でした!!!!!
なんであんなに賞に拘っているのかという切ない理由が今回分かりました。過去に囚われて一歩も動けてないじゃないですか、絵一さん・・・もうほんとにびっくりです。その方が少しずつ自分を取り戻して前に歩いて行こうとする訳です、今回。
そのトリガーになったのが、出ました宇宙人!宙人。名は体を表す?宇宙人としか思えない想定しなかった方向からのアプローチ?いや本人は真正面攻撃なんですけど、絵一の常識では、真下から攻撃受けたぐらいの衝撃。最初は会話が成立してないですよ。やんわりお断りモードに入っているであろう絵一なのに、宙人はなんと説明すればいいのか、とにかく全てを破壊して、絵一を手に入れちゃう!素晴らしいこの突破力。
毎度のごとく、有名なお話は出てきますが、今回はマイ・フェア・レディ、よだかの星、銀河鉄道の夜と既読のものだったので付いていけました!すごく好きなお話なので、できれば多くの人に読んでいただきたいなああああ・・・・
難しいなと思う部分はあれど、そこは宙人が「わかんない!」とぶっ飛ばしてくれるので、是非試し読み部分だけでも!
シリーズのスピンオフですが、私は本作品が一番好きです。
(シリーズ未読の方にも楽しめる内容となっております)
受けがまず普通じゃないです。そこが良い!!!きちんと我があって、いかにもなイケメンなのに目立たないように擬態して、でもきちんと打算もできる大人な受けです。
そんな受けのテンポを崩す攻めの人間的面白さといったら最高です!!これまた自由奔放で、単なるイケメンには終わらないけれど謎の包容力がある攻め!!
この攻め受けの人間的リアルさを兼ね備えたBL小説となっているところが、さすがの菅野先生です。
是非是非、小説読みのお姉様方におかれましては、読んで頂きたいです。
続刊も期待しております!!
どうやら私は本シリーズの正祐が苦手なので、こちらのカップルの方が人間らしくて好きだと思いました。大吾と正祐も登場してますがあまり出張って来ないので、それほど気になりませんでした。
白洲の方が人間として共感出来る部分の方が多いし、なんと言っても宙人がこんなに魅力的だとは思いませんでした。
宙人の言葉が段々と理解出来てくる事に絶望する白洲にクスッとしたり、宙人が命を与えた庭の変化と共に白洲の感情が変化して行く過程がとても良かったんです。
白洲が心の中の少年に別れを告げて、宙人を選んでからの変化がとても素敵だと思いました。ちゃんと宙人の気持ちを慮る事が出来るのが正祐との違いだと思います。
コンサート会場での開き直りとも取れる白洲の潔さに読んでて高揚感を覚えました。あの心の中の少年が現れて彼は白洲に未練があったようですが、宙人の手を取り立ち去ったのに胸が熱くなりました。
宙人は何も考えて無いようで、実は宙のごとく思慮深いのではと思ってしまいました。
二人の好きな本が同じだった点も凄く良かったんです。
それに比べて今作でも「春琴抄」に拘ってた大吾と正祐のやり取りには辟易しました。
本シリーズのあとがきにこちらの続きが出るとあったので楽しみにしてます!むしろこちらをメインシリーズにして欲しいくらいです。
最初、この二人がカップルになったのか…と思ってました。
(色悪シリーズを先に読んでしまっていたので)
で、こちらを手に取ったのですが、読み出したらなんだか宙人と絵一のやりとりというか、宙人の天然さなのか、コメディなのか?このスピンオフは?!
と思ってしまうよな入り。
ですが、そこは後半からシリーズらしい深さが出てきます。
絵一の抱えて抱えているものが、宙人によって変えられていく。
宙人は天然でアホっぽい子なんですが、まぁ本当にアホなところもあるんだけど、彼のすごいところは知識を吸収しようとするところ。そして人の機微にはなぜかめちゃくちゃ聡い。きっと絵一には、宙人くらいのキャラクタじゃないと太刀打ちできない闇に沈んでいたのかもですね。
ネタバレですが、白州絵一というのはペンネームで、実際の名前は双葉(これまたカワイイ)なのですが、彼は名前を捨てているんですよね。もうずっと絵一として生きてきた。その名前を取り戻すべく宙人は「双葉」と呼び続けるんです。あえて。
宙人のその名前は大切で、それを呼び続け、馴染むようにちゃんと考えていたってところがすごいなと思いました。
何を考えているのかわからない宇宙語を話す彼ですが、実はめちゃくちゃ地に足が付いている。お祖父ちゃん、やるな。
最初はなんだか軽めな感じ?と侮りながら(って訳じゃないですが、さらっと読めそうとは思った)読み進めていたんですが、やっぱり最後はあたまフル回転で読まねばアホな私は逃避してしまいそうなお話でした。
最後は東堂にデカダンス的な光景と言わしめて、周知の関係となった二人。
次作も楽しみになりました。