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表題作色悪作家と校正者の純潔

東堂大吾,31歳,小説家
塔野正祐,28歳,校正者

その他の収録作品

  • 色悪作家と校正者の明暗と吾輩は猫である
  • あとがき

あらすじ

ポストに白い封筒を、大切にそしてどこか嬉しそうに微笑みながら投函する正祐の姿を目撃した大吾。時は夏至、文壇は賞レース真っただ中、ただでさえ不愉快な時期なのに、正祐が三か月も文通していたことを知って、大吾は面白くない。しかもその相手が文壇における大吾のライバル、目の上のたんこぶな白洲だとあっては!?

作品情報

作品名
色悪作家と校正者の純潔
著者
菅野彰 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
色悪作家と校正者の不貞
発売日
ISBN
9784403524721
3.8

(43)

(20)

萌々

(11)

(3)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
6
得点
157
評価数
43
平均
3.8 / 5
神率
46.5%

レビュー投稿数6

シリーズ3作目

今回、作者さんが呟かれてましたが、同時収録の掌編『色悪作家と校正者の明暗と吾輩は猫である』とSSペーパーで『吾輩は猫である』のネタバレをしてますので、気になる方は先に読まれた方がいいです~。
ラストがわかっても気にならなければ問題ないです!

私は特に正祐のおぼこさがが可愛くて大好きなのですが、今回、更に正祐が可愛くて可愛くてなりませんでした。
初めて恋をした初々しい感情や行動が本当に可愛くてなりませんでした。
(菅野先生のサイン会に参加した時に正祐好きをお伝えしたら最後の方だったのに本日4人目とのことで・・・少数派のようでした(´・ω・`))

そんな正祐を味わいながら、少しずつ成長していくのを応援しながら、次巻も楽しみで読了しました。

ぜひ多くの人に読んで欲しいシリーズです。

4

marilyn

あーさま、こんにちは!
コメントありがとうございます♪
暫く見てなくてコメントなんて滅多に頂かないので気づくの遅れて失礼しました。
わ~どこかですれ違ってたかもですねっ☆先生に直接お伝えできる機会ってとっても嬉しいですよね!
驚愕ですか(;・∀・)でも宙人も可愛いですよねっ!
はい、腐教しましょう~♪

あーちゃん2016

こんにちは、あーでございます。わあ、marilynさまもサイン会参加されたんですね!!私も参加してました~!私は宙人が好きと先生にお伝えしたら、担当編集さんと二人してかなり驚愕しておられました(笑)私は早い方だったのですが、多分少数派だったのではないかと思います。また続き出たらレビュー読ませてくださいね!このシリーズ腐教しましょう~

小説家×校正者 ③

第③巻の今回は終始攻め視点で話しが進むのだけど…
前作までは受けの心の動きが書かれていて、相手視点を知りたいと思っていたので、無頼で付き合いの難しそうな攻めの心の動き、受けに対する思いを細かく知れたのが本当に嬉しい〜

①巻、②巻と受け視点で、初めての恋、愛によって揺れ動く受けの心情に寄り添ってきたので、その時はうんうんと思いながら読んでいたけれど…攻めから見ると受けってこんなにも心が幼くて、難儀な人なんだ?!とビックリ
確かにずっと他者と関わってこなかったから物理的な情緒教育不全の未熟さを言われてきていたけれど…今まで物語の中で生きてき過ぎて(この時点でも結構な衝撃)恋と愛の喜びに振り回され、人を人として認識できない程だとは…唖然とした…
そんな衝撃があったのに、この性格なのもおじいちゃん子なのも、読者が自然に納得できる文章なのもすごい。人格形成において大切な時期であるその過去から形作られた無垢な心が、外見と口調だけ大人になったような受けの外殻に見合うような成長過程が、羽化する様を観察しているみたいな不思議な気持ちになる。
それなのに無理がなくて本当に自然なんだよな…

それぞれ造詣の深い2人の会話は本当に…お互い会話するのが楽しいだろうなと思う。考察を聞いたり本の談義を2人でするのは知識欲も満たされて、相手の考えにも触れられるからより相手を理解する過程にもなっていて、この2人のやりとりは他の誰よりも何倍も濃厚に感じる。

基本的にその言動から場を支配するタイプの攻めが、翻弄されたり、その上手のタイプであるライバルと対峙した時こんな反応するんだ〜と攻めの新たな一面が見れて興味深かった!
それだけじゃなく、全キャラ集合!な場面も皆の色々な面が見れて楽しかった✨
今回も篠田さんが大活躍!抜群の安定感で大好き!
①巻の弟視点で見る2人のお話みたいに、篠田さん視点で見た2人を読んでみたいな〜♡

受けと攻めの2人は作中にもあるように正しく運命の人なんだろうな…3つのingにある…feeling、timing、happeningの全てを満たしている。
宙人や白州さんは受けの相手になりえたのかもしれないと思うけれどtimingとhappeningは足りなかっただろうなと思う。
攻めのライバルこそ、受けとかなり合う気がしていたけれど惜しいことに運命の歯車が噛み合わなかったのだな、としみじみ思った。
基本的にメインCPしか興味がない私だけれど受けに似ているようで攻めより上手な白州さんの話も気になってきてしまったので…初めは読もうと思っていなかったスピンオフ【ドリアン・グレイの激しすぎる憂鬱】が絶対読みたい気持ちに変わってきた‼️

ライバルとの決着の付け方も…その性格の人物達が本当に生き生きと行動していて。このキャラならこう動く、というのがすごくスムーズ表現されているように感じた。
事の収まり方がもう…夫婦やん…と思った(笑)

最後「おまえ!そのインターネットと戯れに交流してはなかったことにするのはやめろ!」には笑ったw
①巻からだけど今回も…浮世離れしたような受けが不意に現代に着地するかのように一瞬のコミカルさを入れてくるのが本当におかしくて(笑)

また、本編を経た後の『色悪作家と校正者の明暗と吾輩は猫である』の「今は俺の方が領土争いに負けている。」〜『それでも自分は仕えているのだと大吾は口惜しく思った』の文には脱帽した。
文章、説明が素晴らしい事はずっと感じていたけれど特に、この回はすごいと思った。
この2人にしか分かり合えないこと、更にこの2人でさえ分かり合えてない思考を言葉巧みに読者に解らせている文章が圧巻過ぎる。
最後まで攻めがモヤモヤしている理由が解らないのに、読者は最初からそのモヤモヤが何だか解る、というのが本当に絶妙。
今回の書き下ろしの最高な点は3つ!
複雑な内心を巧みな心理描写で表現されていてること。
攻めが初恋である受けの重く一途な愛が分かった本編から更にパワーアップする受け。
一人で生きてきて、一人で生きている攻めの人生にくい込むことがいかに凄いかが、これまでの攻めの性格の描写を知っているだけに震えるほど興奮してしまう点。
1冊丸々攻めの視点で読めて本当に大満足だった!!
漱石議論についても、作家、校正者が集まっている中で中華料理屋のお姉さんが終止符を打つオチも子気味好い。

総じて、本③巻は①〜から読んで1番満足度が高い!と思った。④巻を読んでまた満足度を更新してくる‼️

0

めんどくさい二人に愛おしさ

シリーズ3作目。私としては「めんどくさい!」の一言につきるカプ、だけど大好き。ううーんと煮詰まった時に、さっくりガス抜きしてくれるサブキャラ(宙人w 2作目から登場)が3作目も引き続き登場してくれて、篠田もご活躍+新キャラ登場!で楽しかったです。噴き出すこと数回、正祐の愛の深さ?に染み入るところもありましたが、2作目より私が落ち着いてしまったので神寄り萌2にしました。2017年ディアプラス掲載分150Pほどと、書き下ろし60P超+あとがきです。

夏至の頃。大吾は不機嫌になるので、正祐の顔を見たくなり、百田のおやっさんが相変わらず素晴らしい鳥八で一緒に夕飯です。その直前に見かけた正祐の様子(手紙を大事そうに投函していた)とは関係なく、なぜ不機嫌なのかというと、咽喉から手がでるほど欲しいと思っている賞の発表があるから。そして大吾は候補にノミネートされても毎年選ばれないから。なにとはなしに機嫌がやや悪い大吾に正祐は文通している相手のことを話し・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
篠田(正祐の隣に座っている同僚、普通の人の模様)、宙人(ぶっとんだ歴史小説家)、白洲絵一(賞を獲れる小説家)ぐらい。正祐の姉ちゃん、弟は出番なし・・・無念。正祐の会社の社長さんが入院したとの記載があり、作中内登場人物なんだけど、心配。いい味だしてたんだよ、あの社長さん。

**以下今回好きだったところ

本編は、正祐が、思っていた以上にお子様だ!と感じられたところと、彼の深い?重い?愛情に関する記述部分が好きでした。行間で、ちょっと本から目を離し、深呼吸すること、2回ほど。正祐が、白洲と会うのですが、その理由がすごい(爆) 大吾の事を誰かに話して、肯定してもらうことが嬉しいからと言うんです。お前は中学生かーーーー!!でした。正祐ってば、本当に人間的に人間に向き合ってないなあと改めて思いました。そんな彼を、手法はともあれ、向き合わせた大吾は、それだけで偉大だったのかな。大吾、やりたい放題やってるような気がして、むっ(怒)という気分だったんです。それが、当巻では、「あれ、大吾、実は正祐にかなり振り回されてる・・・?」と思うようになって。

後半の夏目漱石談義もそうでした。大吾の中心に関わるところを、正祐がかなり揺るがしている。へーという気持ちです。それとともに、正祐のとんでもない行動(でも彼は一生懸命。彼が職を辞めたらどうするかというネット相談)に大吾への凄い依存度というか愛情というか執着を感じて・・・この二人、なんだかお互い雁字搦めになってきてないかという印象です。

相変わらず私には小難しい話(向田邦子がどうだの、夏目漱石はどうだの、から揚げと竜田揚げがどうだの)をやっているのですが、宇宙人が絶好調に「わかんなーい」(原文ではありません)と私の代わりにちゃちゃ入れてくれて、すごく楽しいです。篠田は、いたってまっとうな人間っぷりをきちんと晒して、普通ではない方々の中でひじょーーーに健闘しておられました!

すいません、長くなりました。とにかくめんどくさい二人ですが、多様なサブキャラがいて、とにかく楽しかったです。ああ続き読みたい。白洲がまだ一絡みすると思うんだけどなー。

5

策士なライバルに振り回されて

本シリーズは
人気小説家と彼の校正担当者のお話です。

攻様がライバル視している作家と
受様が文通していた事から始まる騒動と
老作家の死に端を発する
2人の文学者論議の顛末を収録。

攻様は出版不況と言われる中
時代小説でミリオンセラーを飛ばす
人気小説家です。

今も年2本程度文芸作品も書きますが
文芸新人賞を受賞してデビューして以来
文芸の賞を取ったことがありません。

時代小説では片端から賞を貰っているのに
文芸では大きな賞も小さな賞も
よくノミネートはされるのに
受賞した事が1度もないのです。

今日発売の文芸誌にも
攻様の短編が候補作に並びますが
どうせ選考委員は攻様を選ばないだろうと
攻様の不機嫌は極まっていました。

攻様はこういう時こそ恋人に会うに限ると
彼と待ち合せる居酒屋に向かいますが

受様が駅前のポストに分厚い手紙を
薄い微笑みを浮かべて投函しているのを
見つけてしまいます。

攻様は店に落ち着くと早々に
受様に手紙の相手を尋ねますが
受様は3月も前から文通していると
あっさりと告げるものの相手については
攻様に教えるつもりはないようです。

受様の相手が気になりすぎる攻様は
受様の同僚を通じて探りを入れ
受様は仕方なく重たい口を開きます。

相手は攻様の同業者で
受様が初めて担当した本を上梓した後に
丁寧なお礼の手紙をもらった相手で
話が弾み文通に発展したといいます。

昔風の文章の開き癖から
受様はその作家を老齢者だと推測
攻様も一度は納得するのですが

なんと相手は
攻様と文壇デビュー時期が近く
攻様が候補作にしかなれない賞を
攫って行くライバル作家だったのです!!

その上受様は彼に会うと言い出して
2人は盛大にやり合う事になります。

受様は文通相手の作家を
穏やかな人物と思っているようですが
恋人が目の上のたん瘤的な相手と会うなど
攻様的には許せるものではありません。

自体は受様の思った様にも
攻様の思いとも違った様相を帯びてきて!?

本シリーズは
それぞれに難のある小説家と
その校正担当者に第三者が絡まる事で
2人の絆が深まっていく物語で

雑誌掲載作のタイトル作に
続編を書き下ろして文庫化が
定番なシリーズでもあります。

私は毎度雑誌では読んでいるものの
主役がともに面倒くさい性格(笑)な上に
有名作家、文芸論に通じていないと
面白味が半減するような気がして
文庫までは手にしていませんでしたが

今回某書店のフェア特典小冊子を
入手するためにシリーズを
一気に3冊まとめ買い致しました。

他人と馴染まない俺様な攻様と
他人と交わる術さえ知らない受様は勿論
どの登場人物もしっかり性格づけされていて

その性格の良さも悪さもきっちりと描かれ
人間の多面性が見事に表現されているので
読み始めればすごく引き込まれるのですが

時に彼らの思考も言動も設定にブレがないため
主役2人がとっても面倒な人達なので
やりとりに一喜一憂されられる結果、
振り回され感が半端ないです。

また主役2人が文学への造詣が深いので
作中に作家や作品からの引用も多く
そういう点にワクワクできないと
面白くないかなとは思いますが

2人が新たな出会いを果すたびに
人として成長し相手への想いを
深めていく過程が楽しいのです o(^-^)o

本作で攻様のライバル作家の登場して
受様に横恋慕するのですが
受様の行動は全て攻様への愛情が根幹で
結果的には攻様とライバル作家を
振り回す事になってしまいます。

他者との共感能力の低い攻様、
他者との交流を始めたばかりの受様、
社会の望むものを書くライバル作家、

受様とライバル作家、
ライバル作家と攻様、
そして攻様と受様、

それぞれの関りが絡まりあいながら
2人の関係がより深まっての終幕まで
たいへん楽しく読めました♪

誰かと対する時、
人はだれしも己の中にある判断基準で
その"誰か"の言動を判断しますが
それは正しい判断なのか、思い込みなのか。

そんな人間の多面性を見事に活かした
シリーズだと思います。

今後は新刊読みして
ペーパーもがっつり読もうと思います。

菅野さんの既刊シリーズ『毎日晴天!』も
小説家と担当者が主カプです。
個人的には花屋&次男カプが好みです♪

2

愛を自覚して哀しみが生まれる

文学のために生きている作家と、その作家に出会うまでは文学の中でしか生きてこなかった校正者のシリーズ、三作目です。
相変わらず、大吾と出会ったばかりに『実社会に』生まれてしまった正祐のいとけなさが可愛らしくも、どこか哀しいお話でした。特に同時収録の『色悪作家と校正者の明暗と吾輩は猫である』は、その色合いがとても強い。
物語世界に登場する者達と『友達になったことのある』方は、胸に詰まるお話ではないかと思うのですよね。
優れた物語の登場人物はまるで生きている様に感じます。物語の中の人達に励まされ、大切なことを教えられた結果、彼らに無情な出来事が起きると激しく憤りを感じる……正祐くん、私にもそういうことがあったよ。そして、当時の私は(あなたほどではなかったけれど)変な子だと思われていましたよ(泣く)。

さて、本編の感想です。
校正をした作家の文章の癖に気づいたことで、正祐はその作家、白州と文通(いつの時代の話だ!)を始め、挙げ句の果てには会って話をするとまでなります。
「おお、すごい。大吾を人と認識したことで正祐の世界は一気に広がったのね」と思ったら、これが大間違いでした。
ある角度から見れば『壮大なノロケ』ではあるのですが、別な角度から見れば『この歳になるまでの正祐の絶対的な孤独』が表されているわけで。
何でこんなに寂しく感じてしまうんだろう?
逆説的ではあるのですが、大吾と知り合い、今のような関係にならなければ、正祐の世界はもっと小さく閉じていて、これほど寂しくならなかったのかもしれないと思いました。

また、大吾の方も、今まで『たったひとりで書いてきた=生きてきた』のに、正祐の存在が自分を侵食していることに気づきはじめています。
まあ、大吾は正祐と違って大人ですから(言動は子どもっぽいけど)人と深く関わることはそういうものだと解っているとは思いますので、あまり心配にはならないのですが。

しかし、正祐の赤児ぶりは甚だしい。
確かに『若紫』なのかもしれません。
もう衣衣の朝は終わっているけど、それとは別の意味で「信じていた大吾に酷いことをされた」と正祐が泣くことのないよう、大吾には頑張っていただきたいと思うものです。正祐の物語への傾倒ぶりを見ているうちに、もう弟のようにしか思えなくなってしまったものですから。

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