竹美家ららさんのレビュー一覧

Saturday night paralysis 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

志緒くんが大人になるとき

本日は成人の日。東京地方は、この作中同様の雪模様…
ということで、レビューしてみたいと思います。
『林檎』番外編、志緒くんの成人式の日のエピソードです。

            :

腕枕をして共に眠った翌朝、桂は右手が痺れて動かなくなってしまう。
そんな状態の桂だが、志緒に世話をやかれるのを嫌がっている。

彼らは、教師と生徒として出会った。
50年経ったら大した差じゃなく…

4

Overtour 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

Over and over

明光新聞社シリーズ、is in you&off you goの番外編。

最初に序曲『Overture』、香港で出逢った時代の佐伯と一束。

表題作の『Overtour』は、出張で東京にきた一束が、佐伯と再会し静兄妹と出会う話。
相変わらず十和子はものすごく魅力的。
何故突然のように十和子は離婚を申し出たのか、
「身体は分けられないから」と語る彼女は、潔くて美しく切ない。

彼ら…

4

ちょうちょ結び 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

ときめいて ほどきし紐を ちょうちょ結びに 

『雪よ林檎の香のごとく』番外編。

作者にとってのデビュー作である通称『林檎』は、
その後もコンスタントに同人誌上で、彼らの行く末を見る事ができる作品になっている。
清冽なデビューで一気にファンの心を掴んだので(掴まれたw)人気が高いのも確かだろうが、
おそらく作者本人にとっても思い入れも大きいのだろうー。

高校生だった志緒は順調に(?)成長し、大学院生となり
作中で生まれた妹は…

4

すべての日は灯 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

赤い誘惑

一穂作品の中で、変態エロ担当の「街の灯」カップル。
今回も楽しませてくれました!

除光液を買って来てと言われ、訝しがりながら訪れてみると
片喰は、初鹿野の妹にねだられて、マニキュアを施してやったらしい。
なんとなく面白くない初鹿野は、自分の足にも忘れ物の赤いマニキュアを塗ってもらう。

翌朝そのまま出張に出かけた初鹿野は、夜大浴場に行く段になって足の赤い色彩を思い出す。
片喰に電…

4

すべての日は灯 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

“灯”より官能的な“赤”

ミチさんの新作は、
なんとなく深呼吸してから読むようになってしまいました。
物語の初めの文から、すっと世界に入れるのです。
この度も私の大好きでしょうがない片喰×初鹿野、
甘くてくらくらしました。

カタバミという雑草が江戸時代にホウセンカと混ぜて
マニキュアとして使われていたと百に聞き
人の役に立ってたんだとこっそり喜ぶのがまた片喰らしい。
最初から百の爪に試すのではなく、自分…

6

ちょうちょ結び 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

着物と、スーツと。

美夏の初恋に、自分の気持ちを重ねてみる志緒。
自分にとっては桂こそが初恋で、
片想いだからこそのドキドキを楽しむ余裕も無かった事を
勿体なく思います。
他の人ならきっと一生の内何度も経験出来るかもしれないけれど
志緒は桂しか見えないし、いらないのだから…。

教授のシンポジウムの手伝いでスーツに身を包み、
ホテルでせわしなく働いていたのに
大学の時のゼミの先生と会うと言っていた着…

5

千流のねがい 小説

玄上八絹  竹美家らら 

これは、『SFファンタジー』であり、同時に健気で一途な攻が素敵な話(なんです、私にとっては)。

玄上さんはこれが初読みで、見事に虜になりました。好きです。大好きなんです。

神社のご神体である《きつね》の5体目のレプリカである凜(受)と、参拝に来て偶然出会ったサッカー少年・颯太(攻)との、10年以上に渡る可愛く微笑ましく、そして切ない恋。

↑(レビュータイトル)通り、とにかく颯太が一途で健気です。いいです、この子はホントに好き。攻を好きになること自体ほとんどない私が、手放しで好…

7

二度目の恋なら 小説

高岡ミズミ  竹美家らら 

10年前の忘れ物

高校時代の同級生の再会ものになります。
受け様はゲイで男妾を3か月間していたのですが、その相手が亡くなりその家族に
無一文で住んでいた家を追い出される事になり、受け様の唯一の財産である車の整備を
頼んでいたら、やって来たのが高校時代の恩人であり、片思いの相手だった攻め様。
皮肉な再会に動揺するが、意地っ張りな受け様は覚えていたのに知らないふりをして
攻め様から久しぶりだと言われ、自己紹介…

5

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

meet, again

この愛はプラトニック・ラブだったと思いました。

『愛の起源』を話したと言われているプラトンは同性愛者で『プラトニックラブ』の語源であり、またその言葉は同性同士の愛のことと書いてある記述を読んだことがあります。
同性愛は肉体関係の持てない愛だからだとか…いや、ま、持てますけどね(笑)
私は肉体関係のない恋愛が純粋な愛だとは思っていません。

例えば、がっつり肉体関係(笑)ですが、この主…

3

あまやかなくちびる 小説

高峰あいす  竹美家らら 

健気で臆病な受け様が愛おしい

このお話の受け様はとっても可愛そうな背景があるんですよね。
虐待なんてBLの中ではかなり王道ですが、この受け様の虐待はお腹を空かせた子供に
わざと腐らせたものを与えて、苦しんでる姿を見て笑ってるような手合いと
過ごさなければならなかった受け様はほんとに哀れなんです。
それまでも貧しいながら親子で暮らしていたのに実父を病で亡くし、
母親と二人で上京し、やっぱり貧しい生活をしていたが、母親が…

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