咲人
詩情豊かな文章で、セックスと人間関係という生々しいテーマに切り込んだた意欲作だと思います。
本書には二組のカップルが登場します。
◆一顕&かおり
同棲中の男女カプ。1年ほどセックスレス。
◆整&和章
同居する友人同士。
整は和章が好きでセックスがしたい。
和彰は整を抱くことはできないが、整が大事で一緒に暮らすことを望む。
好きな人とできない。
肩にかかる小雨にのように…
一穂作品の中でも最も好きな一冊です。
やはり佐伯という人物の強烈な魅力が大きいですが、
文章や物語の構成も素晴らしい。
四十代半ばの幼なじみ男女三人。
根の深い三角関係の正体を、過去-現在をオーバーラップしながら徐々に解き明かし、ある一点で爆発してまた穏やかな日常に戻る…という構成に大変引き込まれます。
この繊細な物語世界を、
三人のうち最も鈍感でまとも(に見える)良時の視…
佐伯・静・西口が、三人で飲んでいる冒頭
(この時点でニヤニヤが止まらない!)
佐伯の毒舌が絶好調で何より。
西口の言葉遣いにダメ出しして
「お前はきょう、『まじ』を十二回、『超』を五回口にした」「四十男のボキャブラリーかそれが」「言葉が人格を作るんだぜ、気をつけな」等バッサリ。
西口、静に助けを求めたり、どうにか反論してみるも、口で勝てる筈もなく。
延々続く口論を横目に静が一言「あー、…