九號さんのレビュー一覧

この愛を喰らえ 小説

李丘那岐  九號 

オヤジっぽい受け

極道もののはずなんですが、下町人情劇といった方がびったり。男気あふれる”若”こと鋭と、若頭颯洵のご近所幼なじみカップル。

鋭は極道の跡継ぎながら、昔気質の組の存続をあきらめて好きな料理でお店を開いている。この鋭のキャラの魅力につきますね。引退しても若と呼ばれるだけあって、組の解散時に組員の身の振り方の面倒を見てやったり、今でも頼られると親身に相談にのる、度量の大きな男。27歳の設定なのに、も…

2

だからおまえは嫌われる 小説

岩本薫  九號 

規格外の受け

2002年ビーボーイノベルスでも発売された「だからおまえは嫌われる」「素直じゃない男」の中篇2本に、「素直すぎる男」16ページを書き下ろしされたものですが、中篇も大幅に書き直されたそうです。

「だからおまえは嫌われる」
社長室付き秘書である奥村は、次期社長・倉田に50周年記念式典に向けて写真集を作るよう命じられる。カメラマンの入間に依頼をしたその夜、酔っぱらって寝てしまう。最初はチンピラで…

3

高潔であるということ 小説

砂原糖子  九號 

情景が浮かぶ

真岸(攻め)が復讐をするために、志田(受け)に近づくのですが、志田のあまりの不憫さに驚き、復讐する甲斐がないと嘆きます。そして、自分を好きにならせてから捨てることで、復讐しようとするのですが…と、ここまで書いたところで、復讐する理由が人の死じゃなかったなら、コミカルテイストにもできた作品じゃないかと思いました。男が男を好きにならせようとしている時点で、既にちょっと面白い。

でも、読んでいる最…

1

僕らはそれを否定できない コミック

九號 

抱える恋と引き摺る恋

九號さんの商業作品を読むのは、実はこちらが初めて。
同人誌でもそうなのですが、九號さんは
繊細な心の機微を、魅力的な絵としっかりしたプロットで
読み応えたっぷりに表現してくださる作家さん
というイメージがあり、この作品を読んで益々それが確立されました。

以前、からかわれていたところを助けてくれた斉藤くんと
中学2年で同じクラスになったことが切っ掛けで仲良くなった鈴木くん。
親しく…

2

後は灰になってもいい 小説

斉藤まひる  九號 

何で最後そうなるのって突っ込まずにいられない

いや、なんていいますか、どっからツッコミ入れたらいいのか。
兎に角カオスなお話でした。
色んな意味でカオスなんだけれども、話を破綻せずに終わらせる筆力が凄いです。
文庫でぶ厚い感じですが、この厚さにしても詰め込みすぎ盛り込みすぎ。
上下巻にした方がよかったんじゃない? という感じですが、知名度から無理だったのでしょうか。

この作家さんの作品を読んできて思ったのが、どうも『社長』設定が…

1

幸村殿、艶にて候 7 小説

秋月こお  九號 

BL歴史小説

大作でしたが面白くて読みだしたら止まらず、3日で一気読みしてしまいました。文庫本ですがかなりのボリュームで読み応えたっぷりです。歴女じゃないので予備知識があまりなかったのですが、読み終わった後少し賢こくなれたような気がしてお得です。あの俳優さんの芸名はこの人からとったのねーくらいですが(海賊上がりの根津さんのことです)

あの時代は衆道が盛んだったとはいえ、フィクションも多いので真に受けないで…

3

愛の弾丸 小説

小川いら  九號 

これは・・・

どう考えても別PNの方のカラーが色濃く出てる作品です。受け様の育ってきた環境が可哀想すぎる。そうか、小川いらさん名義だとインテリヤクザが攻めではなく、受けになるのかあ・・と感心するのはそこではなく。

受け様は過去に酷い目に合いすぎて心を殺して生きているような状態で、攻め様は受け様の体だけでなく、心をも救い出すのです。いいなあ懐の大きい攻めは。

萌えたのは受け様が攻め様との初めてのコトの…

0

ダークサイドを歩け 小説

榊花月  九號 

ダークサイドに墜ちた元刑事

なんかすっきりしなかった。
攻はいい味だしてるけど、なんでそこまで受がスキなのかわからなかった。
受が根暗で自分勝手。元刑事で、警察を信頼してないわけでもないのに私怨にこりかたまって、元刑事とは思えないような暴走するのが共感できなかった。で、案の定、トラブルに・・・。

受は、敵対するヤクザなら殺されても平気で、知り合いなら覚醒剤使用も放火殺人の罪も隠匿もしちゃう。かなりダークサイドに墜ち…

2

僕らはそれを否定できない コミック

九號 

えっ? そういう終わり方ってアリ?

中学生のときって、案外、簡単に人を好きになったりするもんです。
いわゆる「中二病」ですね。

同性か異性か関係なく、誰かに惚れたり憧れたりします。
そこからまかり間違って、ちょっとアヤシイ関係になっちゃったりすることも…まぁある。
そんなほろ苦さ、青春の1ページとしてフツーは終わってしまうんだが、
斉藤と鈴木にとってはどうなんだろう?

何年もたって再会したら、また二人の関係が続く…

2

ACID TOWN 2 コミック

九號 

心理の隙間をついた傑作だと思う

同人誌界でもかなり有名な「九號」の魅力はといいますと、
「眼」が異様にきれいなこと、だとオレは思うんだが。

だいたいは社会のブラックな底辺にいる人びとを描きながら
そのコアな部分はすごく透明感があって、灰の中のダイヤモンドさながら。
このギャップにヤラれるわけです。
で、アシッドタウン2の最強の見せ場は何かといったら、
かねてから恋心を感じていた「ユキ」の壮絶な過去を聞き、「テツ」…

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