茶鬼さんのレビュー一覧

さようなら、と君は手を振った コミック

木原音瀬  深井結己 

無償の愛は痛い。

ノベルスの表紙とコミックの表紙を並べて、構図がよく似ていたので思わず「あれノベルズか?」と勘違いしてしまいました。
しかし、ノベルスは啓介が誠一を抱きこむような構図。
コミックは啓介の腕に誠一はいなくて、左隅に洋服をきたまま考えるようなポーズでいます。
トーンは同じなのに、この構図の違いがコミックの中身を現しているんだ、と感心させられました。
原作は木原氏の小説で、ergoで掲載されていた…

3

茜新地花屋散華 コミック

ルネッサンス吉田 

散る前の椿の花の如くのエロス

真っ赤に熟れたザクロが口を開いて、その実を見せびらかして木に生っているような、
椿がその全盛を終えかけて、花弁の淵を茶色く枯らせてなお満開でいるような、そんな淫靡さを漂わせる作品です。
自分はどちらかというとイメージや感じを捉えがちで、文章で表現するのが苦手なほうなので抽象的表現ですみません。
しかし、最初に読んだ時、その画から 「つげ義春」や「あがた森魚」かの「ガロ」の世界を思い起こさせま…

6

Hybrid child コミック

中村春菊 

性別も種別も関係ない愛に感動

ロマンチカシリーズは読んでいるのですが、ついつい引き込まれる理由がわかったような気がします。
かわいいだけの絵でなくて、その奥に流れる愛の表現がうまいのですね☆

人間が与える愛情で成長するハイブリッドチャイルド。
それを作る黒田の理由がわかる3話の、月島との関係が涙でした。
それぞれのお話も感動です。
ゆずと壱のお話も、
「まだ僕に優しさしかくれていない、もっと辛いこととか悲しいこ…

6

出来の悪い子 三村家の息子シリーズ コミック

明治カナ子 

手に届きそうで届かない、または掴んではいけない存在

二巻目は弓目線になるので、一巻目でモヤモヤしていた部分がクリアになってきました。
まだ恋愛と気付いていないけど、敏夫のことがとても気になり始めています。
ただ、それは家を出た兄と比較されることへの対抗心からではありますが。
受験の最中、温泉へ行く敏夫と弓。
敏夫は弓を意識してしまい、一緒にお風呂に入れず一人で抜くシーン。
その後無神経な弓の敏夫に対する肉体に関する発言。
この弓の無神経…

4

三村家の息子 コミック

明治カナ子 

しがらみにとらわれて何もわからない

「リアル1/2」もそうだったが、このシリーズもリアルだ。
それぞれの気持ちのすれ違い、それが痛いのだ。

弓の兄はホモと言われ、色々問題を起こして家出している。
旧家らしい弓の家を彼は継がなくてはならない、他にやりたいことがあるのに。
そのプレッシャーで刺のように心が過敏になっているようだ。
唯一心を許せて頼りにしている同級生の敏夫は、弓に似ていると、その兄角と関係を持つ。
敏夫は弓…

4
非BL作品

正直売れたい。 -BLマンガ家 天城れのの必死屋DAYS- コミック

天城れの 

頑張れ、BL作家

正直、中村明日美子さんのHPで知って、帯につられて買った口です(ハイ、、)
編集さんの、れのさんの思惑通りに動きました!
原稿料の話、パシリやバイトのようにこき使われる事実はどこまでデフォルメされているのかわかりませんが、突撃をやらされるくらいということは、ある意味愛されている作家さんなのではと思います。
本当はある程度の販売部数を行かないと、原稿料もきっと本人書かれているとおりにさみしいも…

3

うつしみの手 リアル1/2 コミック

明治カナ子 

兄弟で家族再生のお話

「リアル1/2]で兄潮の友人谷口とも関係してしまった陸。
そこから潮が陸を突き放すような発言と行動を。
陸も谷口と潮の関係にうっすら気付き、憤りを覚える。
この兄弟の家庭は崩壊しており、兄と二人で家を出て一緒に暮らすため、陸は努力しようとする。
二人だったらやっていける。
貧しくさみしい食卓だった今までの風景が二人暮らしになって幸せそうだ。
そこには、禁忌の愛ではなくて純粋に家族として…

1

リアル1/2 コミック

明治カナ子 

怖いです

潔癖症の陸は兄の手でしか精を放てない。
しかもそれは寝ている時で本人に自覚と意識はない。
兄の潮はそれを二重人格というが、夢遊病でもあるようだ。
暗く、深く、そして何より痛い!
そこに愛情は間違いなくあるのだろうが、潮の友人(?)谷口の存在もあり、狭間にある潮の立場が悲しい。
潮と陸の家族の事とか、兄弟の先行きはこの次の「うつしみの手」で明らかになり、それぞれの展開もされていくので、次の…

1

ビター×スイート コミック

ARUKU  

ぐいぐい引き込まれます

「猿喰山疑獄事件」でそのストーリーのうまさに惹かれた作者さんです。
絵は拙い感じで表情にも乏しい感があるのに、それもまた魅力なのかと思わざるえません。

表題作で、みんなに嫌われて暗いと言われた三日月が、村山に「好きだ」と言われて意識しだしてから、どんどん可愛くなっていく姿。
好きなコーヒー道を一生懸命邁進する姿が感動です。
三日月を振り回しているような村山ですが、自分でキリキリマイしち…

13

世界が終わる7日前 コミック

中村かなこ 

不覚にも泣いてしまいました。

切なくて泣くんじゃなくて、心から感動させられた涙でした。
短編集ですが、それぞれが秀逸。
人外や特殊能力が題材でも、大げさや、わざとらしさになっていなくて、自然に入り込んできます。
どのストーリーも、お互いを思いやる気持ちが伝わってきます。
そこはかとない愛が気持ちをあたたかくしてくれました。
エロはないけど、それを補って余りある愛があふれています☆
疲れた心が癒されます。

3
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