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びっけ
葡萄瓜
一読する前にいつもの癖でカバー下を見たら 裏も表も全面に薄墨色の桔梗の群れ。 そして口絵の表には白桔梗。口絵の裏には お馴染みの青紫の桔梗。 本編を読んで桔梗の花言葉を検索してもう一度 思いを巡らせて合点がいきました。 ……卑怯ですね、相変わらずこの紡ぎ手は。 ポストカードにも描かれている蓮には確実に 意味が忍び込ませてあるのでしょうけど。 出来上がった恋愛を描くのではなく、…
柳沢ゆきお
後書きに曰く、この作品は小説が原型になって 成立したと言う。 そう言われて再読してみると確かに視点の展開が 小説的だ。それもかつての耽美小説と紙一重の様な ざらつきを持って展開している内側へ内側へ籠り 展開しているサブカルかぶれの初書き小説の様に。 改めて読み込むとさり気ない所で時代の演出を感じさせ、 それがぬかるみの様な深さを醸し出している作品で あると感じられる。 7頁の…
チョコドーナツ
薦められてまず原典(WEBマンガ)を読み、 そして首根っこを掴まれて本になったものを 一読して見事に絡めとられてしまいました。 役割や立場はこの浮世でも恋愛の制限に なるものです。 ただ、浮世の壁の場合は当人達の頑張りで 結構何とかなってしまったりする場合も あります。 しかして、この作品世界でのしがらみはと 言えば…。 理想として造られた世界が素顔の恋の障壁として 終始…
『キス』を愛情表現の最終地点に置いた作品を 7編収めた描き下ろしアンソロジーです。 「体」という一言で指し示されるのは上半身限定で 下半身の事情にはほぼ一切言及はございません。 イタリアの詩人・フランツ=グリルパルツァーが 遺したキスに関する八つの格言に基づいて それぞれの物語が展開されるのですが、 キスで行為を止めるという縛りがある故に時に 消化不良と思われる展開がございます…
コンドル
流石に昨今ではいらっしゃらないと思いますが この一冊を読んで腐女子の萌えツボを押さえた!と 小躍りしている殿方がおいでだとすれば…評者は とても生温かい目付きになるでしょう。 この本の立ち位置はいわばパロディかと評者は 拝察します。 萌えツボの解説本の換骨奪胎パロディを行ったら 本書がいつの間にか出来上がったと言う感じです。 ある意味二次創作アンソロジー隆盛の礎を築いた 版元…
矢間野狐
後書きに『(自分にとって)最初で最後の美少年本に なるでしょう。とあります。 確かにボーイズラブという観念を踏まえた美少年本と してはこの方にとって最初で最後の一冊ですね。 以降の本はショタの範疇であり、またある意味この方の 本業である美少女マンガの延長線上にあるものですから。 独占欲と寛容の対峙、そして辿り着くとりあえずの目標。 当時美少年という縛りの中で展開されざるを得なかっ…
こだか和麻
カバー下で大笑いした者としてはなにか一言 言っておくのが礼儀なのだろうか、と(笑) 表紙が本書の内容をほぼ言い表しておりますが こだかさんのBL作家としてのデビュー当時から 二人三脚のタッグを組んできた担当編集I本こと 岩本朗子副編集長のお茶目の記録が三分の二を 占める一冊です。 そうです。青磁ビブロス~ビブロス~リブレ出版と 続くBL老舗出版の裏歴史の記録でもある一冊です。 …
正直、評価については迷いました。 読む人によっては迷わず「しゅみじゃない」と 断ずるのでは無いかとも愚考します。 例えば評者が表題作を評するとしたら こうなります。 『JUNEの振りをしたガロの末裔』 斯様に評価に苦しみます。 しかし、読み進めて行くと気付かされるの です。 不条理コメディの振りをした語り口の中に 含まれる鋭い氷の破片に。 コメディが幕を閉じても氷…
えすとえむ
異色だ異色だと言う声につい臍を曲げて 読まずに措いておりましたがふと気紛れに 手に取り、引き込まれる様に貪り読みました。 率直に申しますとこの一冊を貫いているのは JUNEの世界観ではあるまいか、と。 ただ美意識に基づいた物語がそこに在り、 そしてそれは能書を開陳される事なく 鑑賞されてゆくのです。 理詰めで愉しむべき一冊ではありますまい。 ただ語りに身を委ねて彷徨うべき…
大久保ニュー
恋と色欲と理想の三すくみと言うのは 創作の中だから上手く成立している 部分があって、現実では中々そう上手くは 行かないと拝察します。 殊に同性間に於いては。 自分と同じ部分があるが故に相手と 自分の境をどこで設定したら良いのか 判らない、そう言うもどかしさが多分 あるのでしょう。 そう言う中でこの掌編集は淡々と心の揺れと その戸惑いを綴り続けています。 この中に居るのは愛…