葡萄瓜さんのレビュー一覧

先輩 コミック

びっけ 

相変わらず、卑怯

一読する前にいつもの癖でカバー下を見たら
裏も表も全面に薄墨色の桔梗の群れ。
そして口絵の表には白桔梗。口絵の裏には
お馴染みの青紫の桔梗。
本編を読んで桔梗の花言葉を検索してもう一度
思いを巡らせて合点がいきました。
……卑怯ですね、相変わらずこの紡ぎ手は。
ポストカードにも描かれている蓮には確実に
意味が忍び込ませてあるのでしょうけど。

出来上がった恋愛を描くのではなく、…

6

ワンダーラスト コミック

柳沢ゆきお 

さもありなん

後書きに曰く、この作品は小説が原型になって
成立したと言う。
そう言われて再読してみると確かに視点の展開が
小説的だ。それもかつての耽美小説と紙一重の様な
ざらつきを持って展開している内側へ内側へ籠り
展開しているサブカルかぶれの初書き小説の様に。

改めて読み込むとさり気ない所で時代の演出を感じさせ、
それがぬかるみの様な深さを醸し出している作品で
あると感じられる。
7頁の…

5

友人が勇者 コミック

チョコドーナツ 

甘々評価と笑わば笑え

薦められてまず原典(WEBマンガ)を読み、
そして首根っこを掴まれて本になったものを
一読して見事に絡めとられてしまいました。

役割や立場はこの浮世でも恋愛の制限に
なるものです。
ただ、浮世の壁の場合は当人達の頑張りで
結構何とかなってしまったりする場合も
あります。
しかして、この作品世界でのしがらみはと
言えば…。
理想として造られた世界が素顔の恋の障壁として
終始…

5

君の体に優しいキスを コミック

僅かなブレ

『キス』を愛情表現の最終地点に置いた作品を
7編収めた描き下ろしアンソロジーです。
「体」という一言で指し示されるのは上半身限定で
下半身の事情にはほぼ一切言及はございません。

イタリアの詩人・フランツ=グリルパルツァーが
遺したキスに関する八つの格言に基づいて
それぞれの物語が展開されるのですが、
キスで行為を止めるという縛りがある故に時に
消化不良と思われる展開がございます…

0

腐女子のパネェBL世界 コミック

コンドル 

あくまで示準

流石に昨今ではいらっしゃらないと思いますが
この一冊を読んで腐女子の萌えツボを押さえた!と
小躍りしている殿方がおいでだとすれば…評者は
とても生温かい目付きになるでしょう。

この本の立ち位置はいわばパロディかと評者は
拝察します。
萌えツボの解説本の換骨奪胎パロディを行ったら
本書がいつの間にか出来上がったと言う感じです。
ある意味二次創作アンソロジー隆盛の礎を築いた
版元…

1

BREAK DOWN コミック

矢間野狐 

突破口としての

後書きに『(自分にとって)最初で最後の美少年本に
なるでしょう。とあります。
確かにボーイズラブという観念を踏まえた美少年本と
してはこの方にとって最初で最後の一冊ですね。
以降の本はショタの範疇であり、またある意味この方の
本業である美少女マンガの延長線上にあるものですから。

独占欲と寛容の対峙、そして辿り着くとりあえずの目標。
当時美少年という縛りの中で展開されざるを得なかっ…

0
非BL作品

つれづれ絵巻 BLマンガ家のゆかいな日常 コミック

こだか和麻 

漫才、紙上に及ぶ

カバー下で大笑いした者としてはなにか一言
言っておくのが礼儀なのだろうか、と(笑)

表紙が本書の内容をほぼ言い表しておりますが
こだかさんのBL作家としてのデビュー当時から
二人三脚のタッグを組んできた担当編集I本こと
岩本朗子副編集長のお茶目の記録が三分の二を
占める一冊です。
そうです。青磁ビブロス~ビブロス~リブレ出版と
続くBL老舗出版の裏歴史の記録でもある一冊です。

2

神とペン コミック

柳沢ゆきお 

確かに味わい深い

正直、評価については迷いました。
読む人によっては迷わず「しゅみじゃない」と
断ずるのでは無いかとも愚考します。
例えば評者が表題作を評するとしたら
こうなります。

『JUNEの振りをしたガロの末裔』

斯様に評価に苦しみます。

しかし、読み進めて行くと気付かされるの
です。
不条理コメディの振りをした語り口の中に
含まれる鋭い氷の破片に。
コメディが幕を閉じても氷…

4

equus コミック

えすとえむ 

JUNEの末裔

異色だ異色だと言う声につい臍を曲げて
読まずに措いておりましたがふと気紛れに
手に取り、引き込まれる様に貪り読みました。

率直に申しますとこの一冊を貫いているのは
JUNEの世界観ではあるまいか、と。
ただ美意識に基づいた物語がそこに在り、
そしてそれは能書を開陳される事なく
鑑賞されてゆくのです。

理詰めで愉しむべき一冊ではありますまい。
ただ語りに身を委ねて彷徨うべき…

3

坊や良い子だキスさせて(1) コミック

大久保ニュー 

揺れながらもそこにある

恋と色欲と理想の三すくみと言うのは
創作の中だから上手く成立している
部分があって、現実では中々そう上手くは
行かないと拝察します。
殊に同性間に於いては。
自分と同じ部分があるが故に相手と
自分の境をどこで設定したら良いのか
判らない、そう言うもどかしさが多分
あるのでしょう。

そう言う中でこの掌編集は淡々と心の揺れと
その戸惑いを綴り続けています。
この中に居るのは愛…

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