葡萄瓜さんのレビュー一覧

蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

おさめどころ

高評価を得る作品には二つのパターンが
あると評者は愚考します。
文句なくBLとしての傑作であるから
高評価であると言うのがおおむねの常道。
そして今一つは、BLと言い切ってしまうには
色々含みがあるのだけど、BLの文法を
使わないと落とし所が見つからない快作。
この作品は、評者にとっては後者にあたります。

では仮に、この作品がBLの展開を軸にして
構成されていたとしたら評者は…

7

ラストフライデイ コミック

絵津鼓 

緞帳加減

色々な面で(敢えても含んだ)寸止めを
心掛けた作品なのだろうか、と評者は
読み取りました。
寸止めを仕掛ける事で展開に疾走感を
持たせているので、ページ数の割に
あっさりと読めるのですが、敢えて
隠されていないほころびから少し深入りすれば
このページ数がむしろしっかり剪定された
結果なのだと思われるでしょう。

で、評者は不意打ちを喰らう訳です。
作中人物の口を借りたであろう…

2

7日間。~ノンケはゲイに目覚めるか? コミック

つくも号 

御時世と一徹

この方が紙媒体で単行本を出されるのは
本当に久方振りですね。
もっともこの方は元をたどれば活動の始点が
ネット発と言う方。同人活動における発表媒体も
紙よりはデータ形式の方が若干多かった方です。
とは言え、枕元に置いて楽しめる形態と
言うのはやはり良いものです。

先のレビューでも触れられている修正の加減ですが、
これは版元ごとの時世に対する対応の現れと
申し上げる以外にないか…

4

どうせ掘るなら深い穴。 コミック

りーるー 

美味しい瞬間

電子方面からこの御仁の作品にじわじわとはまった
評者でございます。
本作は電子で読み通してから「ああ、紙で読みたい」と
しみじみ思った一作でしたのでその欲が叶った事も
含めた満腹の溜息をついております。

で、まあ、話のネタバレをできるだけ回避して、
と言ういつもの流儀で進めますと。

この方の描く老若不問の殿方に完璧な人物は
評者の知る限り一人もいません。
皆何処か陰陽の気…

4

ナイトガーデン 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

贅沢なボーナストラック

本作程度の甘さがどの作品にも含有されて
いれば、この作者さんの評価の振れ幅は
現状より少し狭まるかも知れませんね。
少なくとも上方向に。

本作単独で読んでも実際の所そうそう
混乱する事はありません。
そう言う所がこの作者さんは折り目正しい
ですね。
本一冊の空間を用いて力技も使わずに
世界をきちんと分けている。
しかも毎度の如く、生みの親のエゴを
極力排して産んだ子供〔小…

4

ふったらどしゃぶり When it rains, it pours 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

腑に落ちる、かも知れない

この作家さんへの評価が余りにも判り易く
二極化する要因が視えてくる様な、そう言う
一冊でした。
非常に整った世界観ですね。
そして無駄な冗漫さが入り込む余地が一切ない。
後書きにしてみても作品の補完の一部であって
作者自身の内面の吐露ではない。
観客として物語を俯瞰したい人にとっては
垂涎ものの物語でしょう。
ただ、疑似体感を読書作法として取り入れて
いる方にとっては取り付く島…

1

ワールズエンドの庭 コミック

motteke 

微妙な糖衣錠

非常に申し訳ない物言いですが、本作は
版元を間違えてしまっている気が致します。
可能な限り作風とレーベルの気風を
寄り添わせようとはなさったのでしょうが、
その努力を他の所に向ければまた違う
選択肢を見出せたのではないかと。
帯とタイトルが内容の殆どを言い表している
状態と言うのは、正直よろしくない感じですね。

作品としてはあっさりと読めます。
実に癖なくあっさりと読めます。…

5

親の顔がみてみたいっ コミック

津軽 

何気に結構

率直に言いますと、第一話を読んだ限りの
印象は最悪でした。
理性で読み通せなければノリで乗り切って
しまえば良いかなと言う気持ちになって
しまう程、作品の空気について行けなかったの
ですね。
それが2話以降見事にひっくり返っているの
ですからもうお見事と讃嘆するしかありません。
…と、ここで第2話で印象が覆った理由を
書くとネタバレになるのでご容赦を。
カバー袖(裏)もカバー下…

4

ミルクと黒砂糖 コミック

西尾メシ 

今とほんの少しの過去と未来

何故そうなるのか、と言う事を考えさせる
タイトルの時点でかなりの好感触でした。
絵柄については好みがありますから横に措くとして、
各話の展開はまさに『言い果せて何かある』と言う
余韻を基調にしたおおむね柔らかくごく時たまに
鋭いもの。
ゆるゆるほどけながらこう言う次第だったのかと
納得させる筋ですので読者として安心して身を
ゆだねる事が出来るでしょう。
意外性のかけらが無くもない…

3

きみの手をたずさえて 小説

淡路水  明神翼 

踏み込み加減

ほぼ挿絵が無く本文のみの状態であれば
評者は星をもう一つ増やしたかも知れません。
挿絵は挿絵でこの作品の世界観に忠実な
ものであるとは感じるのですが、
少々美麗に過ぎる感もあるかと。
挿絵と本文のバランスは、本当に大事ですね。

本文の中にも些かバランスで躓く箇所がありまして…
これならいっそ絵空事と割り切って突き抜けて
しまった方が良かったかも知れないと思えます。
この割り切…

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