Chance!

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Chance!
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神14
  • 萌×25
  • 萌7
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

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レビュー数
14
得点
112
評価数
28件
平均
4.1 / 5
神率
50%
著者
 
媒体
コミック
出版社
新書館
シリーズ
Dear+コミックス(コミック・新書館)
発売日
価格
¥571(税抜)  ¥617(税込)
ISBN
9784403662638

あらすじ

ある夏の日、水泳部ホープの九条(くじょう)は上級生の水村(みずむら)に一目惚れをする。近づいたつもりでも水村は水のようにとらえどころがなくもどかしさは募るばかり。一方、水村は、実家の映画館が立ち退きを迫られる中、誰よりも早く泳ぐ九条の姿に希望を見出していた。胸の痛みが心地いい。極上のセンシティブ・ラブ、ついに単行本化。

表題作Chance!

九条隼人,水泳部員1年
水村祐二,3年

その他の収録作品

  • 前略。
  • モエパラ☆スペシャル~帰れないふたり。~

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レビュー投稿数14

衝動と諦め

10代の少年の多感さと特有の正義感。
見渡せる世界だけが全て。
だからこそ、踏ん張って守り抜こうとする勇気と強さ。
触れれば壊れてしまいそうな危うさの中、水村が唯一縋ったのが九条だった。

1度だけ近寄ったら満足するつもりが、何故か九条に懐かれくすぐったい関係に気を緩める事を覚えます。
2人が近づいていく過程に、ひらひらと舞う蝶を追いかける様な言いえぬ楽しさを感じるのですが、祖母の死を境に突然現れる父親に、話の筋を読み違えたような。
突然放り出された疎外感に呆然としてしまいます。

何度か読み返しても同じ所で引っかかってしまい、ラストに急激に気持ちが冷めてしまう。
鷹ちゃんの次の日には蛻の殻。
そのぽかーんとした心情に近いかもしれません。

その後の2人の在り方にはとても心あたたまるのですが、子どもの理屈だけで終わりきれなかったせいなのか、親の存在に矛盾を感じてしまったのか。
ラストに対しての理解力が足りず消化不良となってしまいました。

3

キラキラした恋と現実の苦しさ

ままならない現実へのもどかしさ、辛さ、苦しさ…大切な思い出が壊されてしまう痛み…水村の置かれた状況がとても厳しいです。
笑顔で隠して1人で堪えて…近所の人たちは見て見ぬ振り、町ぐるみの土地計画のため警察もまともな対応をしない、映画館を無くしたくないから家族にも言えず、どん底にまで落ちた昏い精神に刺した唯一の光…それが九条だったんですよー!
可愛らしい恋のキラキラした部分と、水村の家庭事情との明暗が痛い。゜(*´□`)゜。

脇キャラも良くて…水泳部の徳永部長が話が進むにつれて素敵に…。
祐二(=水村)と1番仲良かったのは自分だったのに横取りされたみたい…と、しょんぼりする姿や後半の独白「恋愛が絡むと友情の形も変わってしまう。恋のない国に行きたい」とか(´・ω・`)
良い人なんですよ~…。

水村の父親が取った行動は…故人の意志を無視したものでしたが、決して故人を軽んじいるわけじゃなく…悲しみの涙を流し、悲しさを外に出さない相手に怒りを感じるほど大切に思っていたけど…それでも生活や家族を守るために仕方なく動いたのかな?と。(※守りきれませんでしたが)
ただ…葬式直前とか続きなぁ…早い方が良かったんだろうけど…(;´Д`)

本編が本当に大変だったのでオマケ漫画の大人になった2人のイチャラブっぷりは嬉しい(*´▽`*)

因みに絡みはあっさり。
「いっぱい いっぱい中略。」されましたからwww

モエパラ☆スペシャルは萌えました。

3

ノスタルジーと、現実を生きる二人

線の細いキレイな絵に、登場人物の背負うものの重さのギャップが好きな河井作品。
青春のキラキラした感じと若者故の無力さ・所在無さとが同時に描かれていて、良い意味でリアル。劇的にすごいことは起きない現実の中で生きる高校生二人。彼らの恋や日常や、色々抱えながら大人になっていく姿の一つ一つが愛おしい。
さびれたポルノ映画館や肉親の死なども含め、時の流れとともに失われてしまうものへの寂寥や愛着を強く感じます。

実家の映画館が立ち退きを迫られ、嫌がらせを受けている水村と、
そんな九条を支えたい後輩で水泳部ホープの九条。

厳しい現実の中にあって、男同士で惹かれ合うことにそれほど躊躇のない二人の関係だけが、どこか御伽噺のような夢物語のような、純粋な美しさを放っていました。性交の肝心なシーンが思いっきりぼかされている所からも、現実世界の生々しさからは縁遠い二人って感じがします。そこがキレイすぎてピュアすぎて物足りない気持ちもありますが、そんな二人のまっすぐな想いだけではどうにもならない現実もちゃんと描かれていて、そこを乗り越えて大人になった二人の再会ラストは切なく感動的。遠距離恋愛を乗続きり越えて(電話ボックスなつかしい!!!)お互いに就職&同棲している二人に、幸せになれてよかったね~と心から思いました。

連載がスローペースな河井作品、個人的に追ってる二作品とも続きが待ち遠しくて仕方ないのですが、こういう完結作を読むとスローでも作品の繊細な魅力を損なわずにじっくりゆっくり完結させてくれればまーいいか、なんて感情も湧いてきます。もちろん早く読めるにこしたことはないんですがw

3

「九条がそばにいると、いつも少しだけ世界が美しく見えた」

水村の家は、今や時代遅れになった場末のポルノ映画館。
街ぐるみの再開発計画があり、立ち退きを迫られ嫌がらせを受ける日々。
そんな日々、誰よりも速く泳ぐ九条を見つけ、心に一筋の希望を抱く…。

大切な思い出が壊されてしまう痛み…、ままならない現実…、無力な自分。
路地裏、焼けつくような夏の日射しし、黒い影、蝉の死骸、風鈴の音、
プールの水飛沫、オクラホマミキサー、汗、吐息、抱きしめる手触り…
おとぎ話のような儚さと、痛いような現実感が不思議に同居して、
独特の雰囲気と魅力を作る。

話自体は、高校生の一夏の切ない恋。
でもちゃんと大人になって恋が実る様も描かれている。

脇キャラもいい。
幼なじみの水泳部長の徳永が、水村を横取りされたみたい…と、しょんぼりする姿や
「恋のない国に行きたい」という含蓄のあるセリフとか。

河井先生は二次創作の同人誌を多く描かれているようで、商業誌の作品は少ないのですが、
少女マンガのような絵とシビアな話のミスマッチさに味わいがあって、とても好きです。
藤たまきさんや、明日美子しゃんのファンの方ならばお好きなのでは?
続きちゃんと完結するのかな?と不安な作品もあるものですから(笑)
ファンが増えて声が高くなるのを希望してます。

9

もぅ、切ないなぁ・・・

河井さんの作品は単行本としてはこの作品しかまだ読んだことがないのですが、独特な雰囲気でとても印象強く残っています。
絵柄が好きで表紙に惹かれたのが読んだきっかけだったのですが、中身のストーリーも透明感があるというか、とてもピュアなイメージです。
内容はどちらかというと少し重めで、受け様の家庭環境がかなりシビアなのにもかかわらず、決して重すぎはしない・・・微かながら希望の星がキラキラしている、という印象。
主人公の2人がとてもお互いを大事に思っていて、高校生という若い2人ながらお互いを支えあいたい、というしっかりした関係です。
しっかりしているとは言っても、2人とも若いから周囲の大人たちの都合でどうにでもなる、という環境でもあります。
不安な要素が常に2人の関係に影を落としている状況なのですが、とても頑張っている彼らにどうか幸せになって欲しい、と願いつつ最後まで読んだ作品でした。

4

せつなかった。かわいかった。

前から絵がキレイで気になっていた作家さん。
本誌ではチラチラ読んでたけど、ちゃんとコミックスとして読むのは初めて。

水泳部のホープ・九条はある日声を掛けてきた水村に一目惚れする。
とらえどころのない水村に九条はもどかしさを感じたり。
一方の水村は、実家の映画館が立ち退きを迫られる中、偶然見つけた九条の泳ぎに希望を見い出すのだが…。

水村の抱える背景がなかなか複雑というか。
守りたいのに、守る力もなくて。
せめて、自分にくわえられた危害くらいは隠し通したくて。
自分の中に全部溜めこんで、周りには見せずに明るく振舞う。
九条の前でもそれは同じで暗い部分は隠そうとして。
結局、それは九条の手で暴かれてしまうのだけれど。
隠す水村もせつないし、うまく隠されてしまうことに自分に苛立ちを覚えるような九条もせつなく映ったり。
確かに心の距離は縮まっているはずなのに、少し遠く感じるような部分があったり。
それでも、九条の中に安らぎを求めているのが感じられたり。
キュンとなるシーンが多かったです。

あと、この方特有の効果音というか書き文字のフォントとかもステキ。続き
手描き文字ではなく、あのフォントを使うことによってなんかそれぞれの印象がクールになるっていうか。
熱を持ちすぎない涼しげな印象というか。
なんか好きだな。

一番萌えたのは電車の吊革持つ手が重なってたところ。
それに赤面する水村がかわいすぎた!
あとは、もう「いっぱいいっぱい中略。」されたえちシーンが見たかったな、と。

3

希望の光=chance

河井先生の作品は、こちらが初めてでした。ずっと気になっていて先日ようやく読むことができたのですが、もう満足です!本当にすばらしかった!ほろほろと涙を流しながら読ませていただきました。

とにかくマンガを描くのがお上手だなと感じました。1冊の中でこんなにも深い内容をしっかりとまとめあげるなんて、さすがです。切なさと優しさがいい具合に混ざり合って、なんともいえず良い雰囲気の物語でした。ゆっくりと深く、毎日が流れていく感じ。そんな中で2人の少年が惹かれ合い、すれ違い、また求め合う。
なんというかこう、口では表しずらいのですが、この2人を見ていると「運命」って本当にあるのかもしれないと思えてきます。出会ったことも惹かれ合ったこともすべてが必然で、切っても切れない強い糸で繋がれているような。2人には、いつまでも幸せでいてほしいです。

ただBLというくくりにしておくには、とてももったいない作品だと思います。もっともっとたくさんの方に読んでいただきたいです。

2

切なくて、切なくて...でもちゃんとハッピーエンド

その昔、某探偵アニメの同人誌で随分お金をつぎ込んだ河井英槻さんの
商業誌ということでなつかしさにキュン!
しかも評価も良かったから見つけて即ゲットしました★
同人誌描いてらした時も、あったかくてちょっぴり切ないけど
ラブラブでキュンキュンする作品のイメージありましたが、
この作品も切なさ満点でポロリと涙がこぼれつつ、
読後感は幸せいっぱいのあったかい作品に仕上がっていました♪

カラミは薄く、唯一それらしいシーンですら“いっぱいいっぱい中略”
でスルーされてガクーンとショックを受けましたが、
この作品の雰囲気と流れからしてこれで良かったのかも。
無駄にエチシーンにダラダラページ数使われて内容薄くなるより、
ストーリーに重点を置いて丁寧に描き込まれる方がありがたいですよね。
それに、エチまでのイチャイチャがもだえるぐらいかわいいんだもんww
キスシーンもいちいちキュンキュンさせてくれるしww
なんと言ってもシチュエーションがうまい!
その場面でする!?そのアングルでする!?その場所でする!?と、
全部のキスシーンが思い出せるぐらい印象に残ってます。

続き
1話目掲載から単行本発行まで4年。
リアルタイムで物語を追っていた人はさぞやもどかしかったでしょうね。
1話目が出会いから友達へ、
2話目でお互いが自分の気持ちに気付きチュー
3話目でやっと裕二の悩みを知り、想いを告白し合って初エチ、
4話目は始終ラブラブで癒され、
5話目の祖母の死でまた落とされ、
6話目は水村の友達(鷹さん)の優しさにキュンとなり、
迎えた最終話でのキスシーンとラストの再会のシーンでは
うれし涙がポロリとこぼれました。

ラストがあっさり過ぎたから、もう少しページ数増やして
描き込んで欲しかったなぁ~と思いつつ、
全体通してひたすらキュンキュンしっぱなしでした。

そんな感動シーンの連発の中で一番涙をそそるのが、
「一筋空高く登った煙の行く先が、どうぞ美しい所でありますように」
と言う裕二のセリフでした。
その煙とは、火葬場で遺体を焼いた時に出る煙のこと。
もちろん亡くなった祖母のことを想い、願った裕二の心の声です。
この全体的に切ないストーリーに河井さんの繊細でかわいらしい絵は
とても合っていました。
主役2人もさることながら、友達の鷹ちゃんが話が進むにつれ
どんどんイイ男になっていくんですよね。
まぁ彼はノーマルなんですが、2人のキスシーンを目撃して
一番仲良かった友達がいきなり横取りされた気分と言って
落ち込むシーンにやけに萌えましたww

『前略。』
高校中退して働いていた裕二と、ようやく高校を卒業した九条は
同棲を始めました。
毎朝仲良く出勤する2人に「末永くお幸せに」
と祈らずにはいられませんww

『モエパラ☆スペシャル』
デートの終電間際の帰る帰らないの攻防が萌えるらしいです、河井さん★
いや~この4ページめ~っちゃかわいいんですww
ちゃんとした1本のお話にしてくれないかなぁ~?

3

初めて会ったときから、友達なんかじゃなかった―(帯より)

気になっていた作家さんだったので手に取ったのですが、他の作品でなくこれを購入したのは表紙が理由でした。
受け攻めはわかるけど、受けが美人系。
他の作家さんだったら攻めでもおかしくないかも。
可愛すぎる受けがニガテな私にはドンピシャでした。読後も印象は変わらず。

内容はラズベリーソーダ的甘酸っぱい青春ラブ。
ちょっと不良の水村君が密かに心の支えにしていた水泳部の九条君。
偶然同じ高校に入り出会うわけですが、九条君は水村君に一目惚れ。
顔と名字しか知らない水村君を探しまわるのですが、再会は描写も繊細で良いシーンでした。
ちょっと衝動的な九条君の行動とひょうひょうとしているようで一途な水村君に萌えざるを得ません。

学校では勿論家族にも隠し事をしているだけに孤独な感じのある水村君が九条君という心の支えを得る。ちゃんと弱さを見せて泣けるようになる。
そんな切なさベースの幸せを感じられる作品でした。
二人の幸せなその後をもっと見たいと思ってしまいます。

2

みずみずしい。

夏とか、プールとか。高校生とか。
どれもまぶしい~(キラキラ)

高校生、学園モノとか、好みではない、と思うんだけど
たまにこういう作品があるから手を出さずにはいられない…。

なんとなく主人公2人のキャラが私の中で定まらず、ふわふわした
印象でした。
キャラも絵もあっさり目なのに、ストーリーはしっかり骨がありました。
モノローグやセリフ、効果音とかも独特だなーと思ったり。
でも、全体的に悪い感じはしなくって。

なにかきっかけがあって、ドキーンvってのもいいけど、
こういう風な、いつの間にか恋におちてる、ってその感じもよかった。

脇キャラもよかった。
「恋のない国に行きたい」
…切実にそう思うよ!激しく同意!と思いつつ
人生のお楽しみの大半も恋であるぞと思い直してみたり。
私的に一番の胸キュンポイントはここでした。

高校生にも高校生なりの人生があるんだなぁとか思った1冊。

2

頑張り屋さんに胸キュン

努力してる人は魅力的で、惹かれずにはいられない。
そこまで悲惨なことが起こるわけではないのに、ドラマティックで、終始無性に切ない。
だけど、ひたすらラブラブなふたりに激しく萌えです。
美形のモテ男九条と頑張りやさんの水村がお互いを一途に想いあう様が堪りません。

1

つきあってる子。

この作家さんの今まで読んだ事ある作品の中でいちばん好きです。
私はその昔2次同人で河井さんを知ったのですが、やっぱりオリジナルがいいですね(*μ_μ)
簡素なようで繊細なような、でも色気のある絵だなぁと思います。

この作品は、帯にセンシティブ・ラブと書かれておりましたが。
一冊通してノスタルジックな感がありました。
現代モノだけどどこか懐かしいような寂しいような。でも暗くはなくて、
色んなモノに抗ったり縋ったり甘えたり逃げたり。
ホント多感な時期の男子高校生という感じ(かな?)が伝わって。
おばあちゃんの御葬式の後に「ゴメンよ。映画館…なくなっちゃうかも」
と一人でこっそり泣いてた水村に読んでて悲しくなりました。
九条はもとより周りのキャラも皆それぞれ良かったですし。
鷹ちゃんは水村の事が(そういう意味で)好きだったとは思いませんが
やっぱり水村に一番近かったポジションを九条に取られた歯痒い感じ
が、何と無くわかったので、これまた切ない。笑
水村の父親も話の上でとてもいい(というか活きる)キャラですねー

ラスト、と描き下ろしのその後のお話で、2人は続きまたちゃんと会えて 幸せそうなのがホントによかったなぁーとしみじみ。
全体を通して、じんわりと色んなモノが込み上げる一冊ですv

3

肝心なシーンが涙を誘う

ドラマがあったので、読み応えがありました。
こういう風に、世の中を考えさせられるお話もいいもんだと思いました。
夏に読めればもっと臨場感があってよかったとも思いました。

駅前開発で立ち退きを迫られているポルノ映画館の息子・水村と、年下の水泳部のホープ・久条のお話。

ある日水村に一目惚れした九条ですが、飄々とした水村の背景には、なかなか重い現実があり・・・

水村は、九条の泳いでいる姿に癒されているんだろう、
九条はその水村のどこか寂しげな姿にも惹かれているんだろう、
で、なるべくして恋人関係になるのですが、その後、水村家の最後の砦おばあちゃんが亡くなることによって、大きな変化が訪れます。

このお話で感じたのは、二人が大変しっかりした軸を持っていることです。
お互いを支えにしているとも思えますが、すっかり寄りかかっているのではなく、自立しようとしている。そこに好感が持てました。

水村の幼馴染みで水泳部の部長徳永くんは、いちいち二人に当てられておりますが、なかなか良い理解者になってくれそうなので、二人は末永く幸せにいてくれることを願うばかりです。

続き
絵柄が繊細なので、このお話の展開にも良く合っていて、朝チュンのシーンや公園でのシーンでは、セリフと相まってジーンときさせてもらいました。
また、おばあちゃんのお葬式のくだりでは、水村の気持ちが痛いほどわかり、泣かせてもらいました。

4

希望の星を見つけて頑張る水村が愛おしいです。

河井さんの漫画は少女漫画の線をそのまま引き継いで、センチメンタルに少しノスタルジックも含んだ少年達の姿が魅力です。
この作品も同人で出したものを再編集したものですが、切ない雰囲気にありながら、希望を持たせる若者の姿が染みいります。

中学の頃水泳で優勝した経験のある九条は、わけあって普通の高校へ入学しました。
水泳部で期待の星として活躍している九条に声をかけたのが3年生の水村。
彼の家はポルノを上映する映画館で、祖父が亡くなり祖母が老いた女手で経営していました。
しかし駅前再開発で取り壊しの要請をされ、散々嫌がらせを受け、それは水村にも及ぶ。
祖父母の想いでをなくしたくないと必死で一人で頑張る水村にとって、水泳で頑張る九条は彼にも希望の星だったのです。
九条も一声かけられただけの水村の存在が気になり、彼の実状を知るごとに水村が好きになっていく。

淡々と、二人のそれぞれの時間が交錯しながら離れたり繋がったり、ゆらゆらとゆれる陽炎のような淡さを持って綺麗な憧憬になって表されていきます。
色々な苦悩を抱える水村がとても切ない存在です。
しかし九条の心はいつも水村を包続きんでいて、少年達の少しずつ大人になろうとしている気持ちが丁寧につづられていきます。

祖母の死と共に姿を消した水村が九条の高校卒業後、幸せになっている姿が見られてとても幸せな気持ちになりました。

とても雰囲気があって素敵な作品でした。

7

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