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ヤマシタトモコ、3年ぶりのBLコミックス
『3年ぶりのBL単行本』、となれば買わない筈がない。
ヤマシタ漫画好きの方には「待ってました」の作品ではないでしょうか。
表題作【ストロボスコープ】から始まり、【Chain gang】【good morning,bad,day】【Devil's thoroughbred】+エッセイ32本が収録されています。
何と言っても、デビュー前、同人誌で発表されていた【Devil's thoroughbred】が大目当て。『onBLUE』でも読みましたが単行本はやっぱ別腹。
暴力、レイプ、ハメ撮り(?)…と、当時のヤマシタさんの嵌り物がふんだんに詰め込まれているとの事。
そしてタッチが荒い。表情が暗い。全体的に気怠い。
この「表情が暗い」が、何とも救いようのない暗さのような気がして、私の心が疼いて仕方ありません。
本当にこの頃のヤマシタさんのタッチが酷く好きです。
時が経ち、現在のヤマシタさんの絵柄はやはりアッサリに感じます。
◆【ストロボスコープ】
小さな町で決して潰れはしない寂れた喫茶店を経営しているゲイオヤジ・和さんと、気付けば住み着いている若者・レンジのお話。
何にも感じない、何にも動じない。
スティックシュガーをしょっちゅうパクられようと、常連に軽口悪口言われようと、ばあさんがむぐむぐナポリタン毎日食べて居ようと、兎に角何も感じないのが和さん。
ゲイだけれど恋人もいない、体の関係だって遠い昔の事。
そんな和さんが、若いレンジと居る事で、自分の心の底の感情がくつくつと音を立てていく事に動揺します。
和さんはきっと、感情のまま動く事を、遥か昔に諦めているんだと思う。
生きる事に何かを見出すわけでなく、だからと言って死ぬ意味も感じない。
そんな『無』の感情が、レンジと居て乱され、落ち着きたいのに落ち着けない。
その辺の若い男と久々にセックスしようとしても、出来ない。
好いた事が無ければ好かれた事もない。
家族とは違う、他人に好意を持ち合う小さな幸せが分からない。
そして、レンジに手を握られる。好きだと言われる。抱きたいと言われる。
レンジの手を握り返す勇気があったのだから、「ただ毎日生きる」にプラスして、彼と居る事で「生きるって案外幸せだ」と感じて欲しいと思います。
(レンジのヒモでもいいじゃないか!介護されよう和さん!)
◆【good morning,bad,day】
大学生、同い年、同居人のお話。
ただの同居人はコイたりしません、悪しからず。
それは「ただの」だったら、という話で、あなたは彼にとって「ただの」ではない訳です。
好かれる意味を体で受け止めましょう。
指までいれられて涙も鼻水も流してよがるなら、きっとその先もいいはずです、あなたなら。
◆【Chain gang】
ホモじゃないの?カップルじゃないの?
えっと…おも、らし……はプレイじゃない訳ですね。
この後、実は気になります。変態プレイだと良かったのに。
◆【Devil's thoroughbred】
暴力もレイプも手錠も詰められた、私にとってのヤマシタ漫画最高峰。
何でこんな事するんだろう、と鬼永は怒り狂って考えるのだけれど、まさか破崎が自分を愛してるとは思わなかった。
でも、ハメ撮りされたデータを確認し、第三者的目線でヤラれている様子を見た時、破崎からは自分への申し訳なさげな愛を感じるのです。
馬鹿野郎な破崎ですが、そんなやり方しかできなかった彼ですが、やっぱり諦めきれない。
そして描き下ろし。いよいよこれからが、鬼永と破崎の形勢逆転!
続きが読みたいですー。
私的には、お得感満載の1冊!!
エッセイがまとめて読めるのって、凄く嬉しいですもんね♪
「辮髪受け」「超年下攻め」「おしおき天国」は爆笑しましたw
色んなヤマシタさんキャラが見られるのは美味し過ぎますっ。
又ヤマシタさんの作品、じっくり堪能したいです。
ヤマシタトモコさんの、
萌えへの情熱と、
湧き上がる話の展開やシチュエーションの豊かさはこうやって出来るのか~!
と、その才能に改めて脱帽です。
ヤマシタさんというと、BLに限らず短い話をたくさん書かれる作家さんというイメージで、
よくこんなに色んな話を思いつくなぁ、
もっと話を膨らまして長くすることもできるだろうに、そうしないのはなんでだろう?
もう描くこと思いつかない~ってならないのかな?
なんて実は思ったりしていたのです(わたしだけ?)。
でも、この本のエッセイを読んだら、ああ~凡人の発想だったのね~となりましたよ。
こちらの本、3/7くらい(4/9?要するに半分よりちょっとだけ少ないくらい)がエッセイ。
そのエッセイのうち半分くらいを占めているのが、
「なにがでるかな 辞書 アン ルーレット」
辞書を開いて偶然出た単語をBLにからめてなんかやります、というコーナー。
たった4Pなんですが、多少端折りながらもなんだか素敵なBLの話になってゆく……
しかも、攻め&受けだけじゃなく、当て馬がいい味出していたりするのです。
もうちょっと肉付けしたら、あっという間に短編1話ですよ。
そんなことをサラッと(に見える)できちゃうヤマシタさんが、
ツンデレ、痴漢、束縛、お初、おしおき、メガネ、襲い受け、超年下攻め……
などなど語ってくれて、描いてくれて(2Pなので少しですが、少しなのに)、
もう!面白い!どうしてくれよう!!
プロだから凄いのか、
ヤマシタトモコさんだから凄いのか、
凡人のわたしにはよくわかりませんが、とにかく素晴らしい……
萌えっていいなぁ、萌を求める情熱っていいなぁ。
あ、当たり前ですが、4/7(5/9?)を占める漫画も、もちろんいいんです☆
「ストロボスコープ」
40ジャストくらいの年齢で、もう死ぬまで静かに暮らすのみ……なんて考えている、
さびれた喫茶店の店主の和さん。
いつも気怠そうな佇まいと、すべてを諦めたような表情。
ひとと一緒にごはんを食べることなんて、父親が死んで以来17年もしていない。
いつの間にか住み着いた若い男に惹かれても、欲情しても、
みっともない…、なしなしなしなし…と、静かにその想いは押し殺す。
どうしてそんな風なのか、過去に何があったのか。
ひとから愛された経験のない40男が愛される、そのとき……を、
ゆっくりと丁寧に描いたお話です。
途中2Pだけカラーになっています。
日常の中のなんてことないひと時なのに、
ひとりじゃなくて、彼と一緒で、彼の肌が触れて、和さんの世界が変わっていく。
柔らかな色のついた日常を、和さんはこれからどんな風に生きていくのかな……
そう思ったら、穏やかな感動に包まれました。
3年ぶりの単行本というこだが、昨年頃からボツボツと単発掲載をされ始めて、このたび他紙であるが連載が始まったことからも、凱旋的意味合いの単行本なのかもしれませんね。
そういう意味で、この本は過去と現在が混在して、彼女の変遷を見るようです。
エッセイ漫画の中にも当然含まれていて、そこの中で彼女のbl感が語られるときに、今年OnBLUEで見た、先日BLTで見た、彼女のいんたびゅーの文面が思い出されるのです。
「これってアリなんじゃないの?」というものを否定される姿。
そうやって、ゴツゴツと角のとがってザラザラした石が、周囲に研磨された結果が今のスタイルになったと思うのだが、どうだろうか?
多分根底にあるものは変わっておらず表現の方法がかわっただけ
もちろん見せ方もずいぶんうまくなっているし、救われ感が強くなっている、
「泣けるBL」にあったホモのマスターの話まさに彼女流の味付けがなされたふぁんたじーだった。
「ユリイカ」のボーイズオンザランでのインタビューでも取り上げられていたあの”きんたまスースー”の表現は見事だった。
こうして名を成したからこそ、許される表現もあると思う、これからの作者さんには思うまま自由に描きたいBLを書いて見せてほしいと切に願うのです
それなりに充実しているけど、
やっぱり、コミック作品が半分しかないとなると、「神」にはし辛いよね。
メインの作品はリブレ出版の「泣けるBL」に掲載された『ストロボスイッチ』
次いで祥伝社「on BLUE」に掲載された、商業デビュー前の同人誌再録作品「Devil's thoroughbred」。
ほとんどこの2作品のためのコミックスといって差し支えないけど、それじゃあ幾ら何でもページが足りない。
で、本の後ろ半分は、オークラ出版「アクア」で過去に連載されていたエッセイ。
よくぞ、というか、
よくもまあ、というか、
コミック作品の方はここでは置いておいて、後半のエッセイマンガのことを。
連載お題エッセイのようなモノって、なかなか纏めてコミックス化されないので、コレはコレで読めてうれしかった。
で、エッセイの中で先生ご自身が、「自分の萌はマイナー」「編集に即却下」的なことを繰り返し、繰り返し書いておられるのだが、私としては、「ええー!このどこがダメなの!」「全然アリじゃん」「つか、これ是非読みたいんですけど」のオンパレード。
私の趣味って、全然マイナーじゃないって自分では思っていたのに、なんだかショック。
『なにがでるかな 辞書 アン ルーレット』
私、こういうエッセイ大好きです。
作家の萌えと自分の萌えが一致した時、ものすごくわくわくして嬉しいから。
私だけじゃなかったのね~って見事に共感し、ふむふむと頷くことができて
「ヤマシタトモコ先生~!これからもついて行くわ~!」
と力強く、来年への新たなBL目標が生まれました。
今、私生きていて何事にも萌えられる人生は幸せなんですよね!
生きる希望が持てる、そんなエッセイでした。
『愛欲デスマッチ 時間無制限の巻』がツボ萌え。(他にも随所ツボ発見!)
【なぶり 殺して 殺されて】(私の心の呟き)