のばらあいこさんの初連載作[ぬるくなるまで待って]

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表題作ぬるくなるまで待って

順平,服屋の店員,家の風呂が壊れた受を泊めてあげる
市原カズキ(いっちゃん),同じ職場の先輩

その他の収録作品

  • プロローグ(描き下ろし)
  • 番外編 やさしい口
  • 番外編 WE WANT TO TOGETHER
  • エピローグ(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

「いっちゃん、俺じゃだめ?」

風呂がこわれたという先輩〝いっちゃん〟を
部屋に呼んだ順平は、酔ってせがんだキスをきっかけに
二晩で肉体関係となった。

翌日、今度は〝挿入〟に備え浮かれる順平だったが、
ふいに職場のOB・辻井のことを            
口に出した途端、いっちゃんの顔つきが変わる。

結局順平はコトを失敗し、
いっちゃんが自宅に帰る日を迎えてしまいーー。

のぼせそうなほど不器用な恋、描き下ろし収録!

がむしゃらヘタレ×迷えるゲイ男子の、
風呂にまつわるラブストーリー。

作品情報

作品名
ぬるくなるまで待って
著者
のばらあいこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
ISBN
9784396783297
3.5

(104)

(17)

萌々

(51)

(19)

中立

(10)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
24
得点
356
評価数
104
平均
3.5 / 5
神率
16.3%

レビュー投稿数24

久しぶりに良かった

とても好きな作家さんです。
美男子じゃないけど暖かい
普通にいそうな生活が描かれているところが好きです。

すね毛もちゃんとあるところがほっとします。
人間そのもの。

お風呂が壊れた先輩を自宅にとめている後輩。
職場が一緒。後輩は先輩が好きです。
先輩の元恋人のつなぎでも良いから好き・・という切ない展開です。

早すぎず語られる会話も
遅すぎない展開も
読みやすかったです。

弟さんがやってくる回が1番好きです。
やさぐれてばかりじゃない
それは新鮮でした。

4

優しくて、臆病な2人。

じっくりと読みたくなる作品です。
何と言うか、自分自身に勇気が欲しくなるタイミングでの何度目かの再読です。

劇的なドラマがあるわけじゃないんです。ほんと普通の人々の日常と恋。
じゅんぺーは、職場のアパレルショップの先輩いっちゃんが大好き。お風呂が壊れたいっちゃんを自分のアパートに招くところから始まります。
いっちゃんがお風呂に入っている状況に興奮して勃っちゃうんです。でもその時点では、気持ちを悟られたくなくてAV観て誤魔化すエピソードが割りとお気に入りです。

結局、いっちゃんに想いを告げてセックスまで持ち込むけどなかなか上手く行かない。それは、いっちゃんに忘れられない男の存在があるから。
いっちゃんの引き摺った過去の恋と並行して、じゅんぺーの気持ちの成長が追えます。
まだまだすれ違う時期に、気持ちが重ならないまま、2人がセックスする時は切ない。
誰でも言い訳じゃないのに、『誰でもいい』と嘘をつきながら。
セックスしても虚しい。結局、快楽にものめり込めない。
読んでいても苦しい…

じゅんぺー、いいヤツなんですよね!優しいけどヘタレ。だけど、いっちゃん一筋な熱い純愛を持ち続ける子なんですよね。
2人ともじくじくと自分の気持ちの整理をつけながら、本当の気持ちに気がついたり。2人で居るために勇気を出して寄り添う。

いっちゃんの臆病を、成長したじゅんぺーが受け止めて。互いに気持ちを偽りなく伝えることが出来る!紆余曲折有ってこその喜びですよね。

こちら、付き合った同棲エピソードといっちゃんの弟登場エピソードも有りまして。
かなり読みごたえ有ります。

2人が臆病だけど、幸せになるために勇気を出すところに胸が熱くなるんですよね。
読み終えると、なんか頑張ろって思う作品でした。

2

体感に訴える言葉

「秋山くん」とも「ネコジタスパイキー」とも違う、がっつりと取り組んだ跡が見られる初連載作品。
部屋の風呂が壊れたために、同じショップで働くじゅんぺーの部屋にしばらく居候することになったいっちゃん。
じゅんぺーはいっちゃんが好きで、その想いを告白するのだが、いっちゃんの断ち切れない想い人の存在を知って、じゅんぺーはいっちゃんの事を何も知らなかった事を知る。
まっすぐなじゅんぺーに素直に向き合うために、それまでの自分を脱皮して
そしていっちゃんはじゅんぺーと恋人同士になる。
そんな筋書きの中に、散りばめられる主人公達のセリフが胸に響きます。

もうすでにじゅんぺーはいっちゃんが好きという設定から始まっています。
なので、いっちゃん家の風呂が壊れた時自ら自分の家に誘ったのはじゅんぺー。
じゅんぺーはとてもワンコです。
いっちゃんが好きなのを気取られないように、一人ハラハラしたりドキドキしたり、
いっちゃんが大好きオーラが滲み出て、まるで少年のように真っ直ぐな、ガタイはデカイけど、とても可愛らしい男子だと思います。

いっちゃんはあごひげなんか生やしてるけど、優しそうな雰囲気が漂います。
じゅんぺーの誘いに、キスもするしかきっこもするけど、その本心は見えない。
唯一表情を変えたのは、店のOBの辻井の名前を出した時。
それを知って、泣いていっちゃんが好きなのに。。。と訴えるじゅんぺーを見て
辻井と向き合ったことで、自分に決着がつくのです。
とてもヘタレなゲイでした。
嫌いじゃない相手、むしろいい奴と好意を持ち、相手も自分を好きだと言ってくれる。
しかも、まっすぐに一途に自分の事を考えて涙を流して真剣にぶつかってくる。
激しい、はっきりした恋情じゃないかもしれないけれど、その好意に答えたいと自然に思うこと自体がもう恋の入り口に立っているんじゃないだろうか?

場面場面に散りばめられる、登場人物のセリフとモノローグがとても印象的です。
とても感覚に訴える言葉なのに、それが何だかわかってしまう。
傷付いたじゅんぺーとセックスした時の「焼き切れそうなのにまんなかだけが凍ったみたいにつめたい」
単純に表現すると、体は熱いのに心は冷えていた。というような事だとおもうのだが、言葉の選び方がとても感覚なのです。
題名が「ぬるくなるまでまって」とか風呂がきっかけ、というわけではないだろうが、表現として”溺れる”とか”のぼせる”とか、体の感覚の表現を使うことで、よりリアルにつたわってくるものがあるのです。
それがとても自分の感覚にマッチしているのです。

じゅんぺーって、部屋にいる時ちょっぴり小汚い感じがするんだけど、店に居る時とかきちんとしてると案外いい男では?(w)
スネ毛はご愛敬(苦手な人注意ですが)

そして、番外としていっちゃんの臆病になるきっかけの少年時代の話【やさしい口】、いっちゃんの弟がやってきてカミングアウトをしてそれぞれの兄弟が自分の思う道を進むことにする【WE WANT TO TOGETHER】、単行本描き下ろしとして、じゅんぺーの高校時代の告白の話【エピローグ】が掲載されています。
これらも、逐一の言葉がとても響くものがあります。

前2冊では気がつかなかった、この作家さんの「言葉」
とても素敵でした。

8

誤魔化しのない“好き”が一番大事

ずっと気になっていたのですが、ようやく読めました!!
結果、のばらさんのコミックスで一番好きです♪
一読目から、ときめいたり吹いたり切なくなったりしましたが
繰り返し読むほどに、もうなんだか泣けてきちゃって…。

じゅんぺーの、飾らない気持ち、一生懸命いっちゃんに向かう恋心。
「ヤるから準備しておくから」と言われてそわそわしすぎるところ、
面白いんだけど笑っちゃいけないね!
夜までが長くて長くて落ち着かなさすぎなのが可愛かった。
なのに、直前で見てしまったいっちゃんの表情が気になって勃たなくて…。
やはりデリケートですね。殿方は。
狭い浴槽に二人で入りながら「好きなのに」と繰り返すところ、
ぎゅーーーーっとなりました…。

新店舗に異動したことも聞かされず、会えず、
仕事でミスっていじけて飲めないビールのんで泣いて。
雨の夜、ただ会いたくて突然いっちゃんを訪れ
心とは裏腹にいっちゃんを責めて聞きたくない言葉を耳にし、
抱いて気持ち良かったはずでもいっちゃんの泣き顔が離れない。
意思に反して無理やり抱いたわけじゃないのに、
「取り返しのつかないことを」と一人道で泣くじゅんぺーが悲しかった。
ぐだぐだしたけど、自力で乗り越えた強さも愛おしい。

いっちゃんの元カレ・辻井に嫉妬して、
仕事の頼まれごとついでに直接話す勇気なんか健気で健気で!
そりゃ、余裕かまされたら頭にきちゃうよね!!
こっちは真剣で誰よりいっちゃんを好きなんだっつの!と。
辻井がこういうタイプの人間だってだけなんですが、
そんなのじゅんぺーは知らないし、いっちゃんを渡したくない一心なわけで、
ここまで必死になれる恋は、したくてもそうそう出来ないんじゃないかな…。

風呂場に縁(運??)のないじゅんぺーといっちゃんだけど、
毎日使う場所、体は勿論裸になるけど、心まで裸になれるような空間。
きっとこれからも、思いやりを持ちながら穏やかに暮らすんだろうな。

いっちゃんの過去も、弟のエピソードもきゅんとしました。
折角いっちゃんが買って来たお守りを弟が投げつけて
じゅんぺーが殴りかかろうとしたところなんて
すごく愛を感じてしまい、泣けた!!
しかし逆にいっちゃんに殴られたというのが泣き笑いになっちゃってw
兄弟愛も美しいけど、じゅんぺーが優しくて…。ぐすん。

じゅんぺーも昔男に告られて傷つけたことがあったけど
それをいっちゃんに話しながら顔も忘れた相手の幸せを願うとは!!
自分たちが幸せになれたら後はどうでもいいというんじゃないのが
人柄に表れていてこちらまで嬉しくなりました。
最後のモノローグで、またほろり。

本心を告げて自分が傷つくのが怖くて逃げてきたいっちゃん、
じゅんぺーに出逢えて、好き合って良かったねと心から思いました。
ものすごく神寄りの萌×2です!!

ちなみに、いっちゃんのちょい顎ヒゲになぜか萌えましたw
童顔っぽいひとの顎ヒゲ、悪くないかも…。

あと、じゅんぺーが不審者のような格好でローションを買った
アダルトグッズ店の店員が!!!w
ものすっごいインパクトで何回みても笑ってしまう…。

8

のばらさん苦手・・・な人にもオススメ。

ぬるく―――
それはきっと、ず~~っと浸かっていたい心地よい幸せな温度・・・

順平(攻め)は、ノンケなはずなのに職場の男の先輩・いっちゃんのことがとても好き。
いっちゃんの家の風呂が壊れたと聞くとすぐに「ウチ 来ます!?」と、その想いは真っ直ぐで熱い。
いっちゃんはゲイで、
順平がキスを望めばしてくれるし、それ以上のことだって・・・。
そうやって身体では順平を受け入れようとするけれど、
でも実はいっちゃんは過去を引きずっていて、その過去と今を重ね、心の温度を上げれずにいる・・・
この本は、
そんなふたりの気持ちがちゃんと混じり合って “居心地のいい温度” に落ち着くまでのお話。


ワンコで単純でヘタレな順平(攻め)がなんとも可愛い。
いっちゃんが、順平のおウチのお風呂に入ってくれるとそれだけで興奮し、
キスをねだり、それ以上もねだり、
でも、いっちゃんの昔の男の存在を直前に知って、肝心な時にたたなくて・・・
個人的には、
たたなかった後に、いっちゃんの浸かるお風呂に順平も入ってきて、
何度も「好きなのに・・・」を繰り返す、ちょっと切ないシーンがとても好きでした。

真っ赤になったり、目をまんまるにしたり、激しく後悔したり、
悩んだり、泣いたり、早とちりしたり、いっちゃんのために本気で怒ったり・・・
そんな順平が、とてもとても愛おしかったです。

悩みながらも、格好よくなくても、真っ直ぐにぶつかってくる順平だから、
ゲイゆえに傷ついた過去を持つ、いっちゃんには、
順平のように素直にはなれず傷つくことをすぐに怖れてしまう、いっちゃんには、
順平は、ちょうどいい居場所になるんだろうな。

いっちゃんを順平が癒し、
順平もいっちゃんに引き上げてもらうところがあって、
とてもお似合いなふたり。
このふたりの未来はこれからもずっとずっと穏やかで平和だろうなぁと、
読んだあとは気持ちがあたたかくなりました。


「秋山くん」も「ネコジタスパイキー」も、あまり好みではなかったのですが、
この本はとても好きです。
ほっこりしたいなぁ~という時には特にオススメの一冊です。

6

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