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表題作BE MY HERO

新見慎、幸太郎の同級生でオタク
仲井幸太郎、女装が趣味の大学生、19

その他の収録作品

  • BE MY LOVER
  • I'm all over you
  • あとがき

あらすじ

大学生の仲井幸太郎には他言できない趣味がある。それは女装。女になりたい訳ではなく、理想の女性像になる程似合うのだ。ある日女装して出かけた先で同級生の新見慎が不良に絡まれている場面に遭遇する。見目は悪くないのに常に自信なさげで、大学でもよく絡まれている彼を、幸太郎は見過ごせずに助け出す。ついに家族以外に知られてしまったと覚悟するが、新見は「お茶でもしませんか!?」とナンパのような誘いをしてきて…。

作品情報

作品名
BE MY HERO
著者
綾ちはる 
イラスト
乃一ミクロ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778126827
3.8

(14)

(2)

萌々

(8)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
54
評価数
14
平均
3.8 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数3

オタク大学生と女装癖のあるイケメン大学生のかわいい恋



今作はこの作者さまの作風には珍しい、いたって普通なかわいい男子大学生同士の初恋でした。
どちらも初めて同士の初心な恋がゆっくり進んで行きます。

<あらすじ>
密かな趣味は女装癖なイケメンで成績もいい人気者の大学生・幸太郎(受け)とおどおどしていてオタクな新見(攻め)は同じ学科で授業がよくかぶっています。
大学でいつもオタク趣味をからかわれている新見とそのたびに助け船を出す幸太郎。
そんな関係が2か月ほど続いたある休日、いつものように女装して出歩いていた幸太郎がふと足を延ばした秋葉原で、カツアゲにあっている新見を助けたことから二人の関係は変わります。
女装していることを普通に受け入れてくれたことで友達になった二人。
そこから大学でもつるむようになり、休日は一緒に出掛けるようになりと新見と出かけるのが楽しくて仕方ない幸太郎。
そんな時、以前カツアゲをしてきた男たちに見つかってしまい・・・


中編2本と短編1本で、中編は幸太郎視点、短編は新見視点になります。

小さい時から姉の着せ替え人形をさせられていた幸太郎はそのまま女装趣味のある男子大学生になってしまいました。
女性になりたいわけでもなく、男らしい性格の幸太郎の理想の女性は自分の女装した姿です。
昔は気弱な性格でいつもからかわれており、新見がからかわれているのを見ると昔の自分を思い出して嫌な気持ちになるから助けているのであって、新見が可哀そうだからとか正義感というのではありません。


オタクであることをいつもいじられている新見はそのたびに庇ってくれる人気者の幸太郎は新見にとってヒーローです。
ずっと仲良くなりたいと思っていて、幸太郎によく似た女性に助けられた時、思わずお茶に誘うという暴挙にでてしまいます。

憧れている幸太郎と仲良くなりたいけど声を掛けられないのに、自分を助けてくれた幸太郎によく似た女性(実は幸太郎)をお茶に誘うという勇気があるのかないのかよくわからない新見が面白い。


等身大の普通の(女装趣味は普通じゃないかもしれないけど)大学生が友人になった相手との外出が楽しくてそれが次第に恋愛に代わっていく様子や何もかも初めてでゆっくり関係を深めていこうとする様子、恋人になってからは男同士だということの葛藤や嫌われたくないと思って行動がぎこちなくなったりと恋愛の王道をゆっくり進んでいく感じが可愛らしくかったです。


大学2年にもなって小学生のように絡む同級生がちょっと信じられなかったのですが、少し余裕ができた新見の見立てでは、新見と同じく幸太郎に憧れていて構ってほしかっただけのようで可愛いと思えないこともないけど、どうみても好きな子に意地悪して嫌われる小学生で、やっぱりいい年してと思ってしまいました。一度痛い目を見ればいい。


今まで読んだ作風と随分違った作品だと思って読みましたが、あとがきを読むとデビュー前の同人誌の作品を改稿した作品ということでちょっと納得。
精神的には落ち着いた二人ではありますが、なんとなく大学生というよりは高校生のような雰囲気だとも思っていましたが(幼稚な絡みをしてくる同級生然り、二人の初々しさ然り)、それももともとは高校生という設定だったとういことでいろいろと腑に落ちました。

ただ、秋葉原ってあんなに治安の悪いところだったかなと思ってしまいました。
路地裏でのカツアゲはまだわかるけど、店先で絡んで追いかけて殴る蹴るの暴行って、日中で周りに店もあるのに。
新見の幸太郎を守りたいとうい心を強く感じましたが、ちょっと違和感を感じました。



どちらかというと攻めがイニシアティブをとる作品の方が多いような気がしますが(私の読む中では)、今作ではコミュ障気味の攻めなのもあって受けの幸太郎が主導権を握っている感じが新鮮でした。
それでも、襲われた時は何が何でも幸太郎を守ろうする強さや幸太郎がひよってしまった時などの決断力や力強さは、やはり幸太郎を守ろうとする新見の芯の強さが出ていて、二人がお互いを守りたいと思っているところはとても可愛いし好感を持って読み終えることができました。
今は、幸太郎を神聖視しているふしのある新見が幸太郎の愛で強く逞しい頼りがいのある男になる日がくるのではないでしょうか。
幸太郎は今の新見のままでも全然大丈夫だと思いますが。
これからも色々あっても2人はこんな雰囲気で仲良く生きていくんでしょうね。

5

初々しい

先生がデビュー前に書かれ、同人誌にもしておられた作品を改稿したとのこと。商業化するにあたり、当初設定の高校生から大学生へ変更とのことです。びくびくワンコ大学生と、女性にしか見えない女装が出来るキレイ系男子の恋話、本編110Pほど+その続き100Pほど+さらに続き30P弱。二人のすったもんだはめちゃくちゃ可愛かったのですが、やっぱ設定変更のしわ寄せが気になってしまったので萌にしました。

講義の終わった部屋で、同級生たちにイジられている慎を、「ほら行くぞ」と救出する幸太郎。慎からは感謝、尊敬されていますが、どんくさい慎を助けるのは幸太郎も昔苛められていたからです。苛められていたのを脱出できたきっかけは、幼い頃に姉にさせられたリアル着せ替え人形ならぬ女装。自らのあまりの美しさ、かわいらしさに自信が出てきて、おどおどしなくなり、今では誰もが振り返るほどの美形なのですが、休日は女装することが楽しくて楽しくて、普通に友達と遊ぶこともしていません。そんなある日、女装で出かけたアキバで、やっぱり絡まれていた慎を助けると慎は気づいていなくて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
攻め母、受け父母姉(姉、面白い)、大学の友達(ヤな奴いる)ぐらいかな。

**より内容にふれる感想

攻めさんはビクビクいじられキャラなんだけど、受けさんのおかげでだんだんしっかりしてきて良い感じ!受けさんも美しい自分というものに対する姿勢が潔いというか、吹っ切れているという感じで、良いです!そんな二人があーだこーだ、悶えるところはめちゃくちゃ可愛かったんですよ!!!

なんだけど、「大学で体育の授業は無かったな・・・」とか「大学生にもなってこのネチネチ絡むイジリは無いな・・・」とか、「授業の教えあい、小テストは無かったな・・・」(うちのガッコが自由過ぎたのか)とか、あああああああああああ自分でもイヤんなるほど引っかかってしまって。それで申し訳ないです、萌が減った気がします。あーもやもやする。

しばらく?お休みすると呟いておられた気がする綾先生。充電終わられたら、また「わーお」と思う新しいお話を読ませていただきたいです。たっぷり休養してください、お待ちしています。

4

地味に進む、等身大のとても素敵なラブストーリー

綾先生と言うと、ちょっと不思議な設定に捻りのあるストーリーと言うイメージなんですけど。
こう来るかと言う、読者の予想を裏切るオチが面白かったりして。

が、今回ですね、超ド直球の等身大の恋愛です。
いや、いじられ系オタクと内緒で女装趣味のある人気者と、キャラ自体は個性が強いんですけど。
でも、そんな二人が繰り広げるのは、ごくごく普通のそこらじゅうにありそうな「平凡な恋愛」。
優しくてあたたかくて、ちょっと切なくてと、誰でも覚えがありそうな「当たり前の恋愛」が丁寧に綴られています。
すごく、キュンキュンしちゃいましたよ。

ところで、綾先生ですが、本作を一区切りにちょっとお休みされるそうです。
つぶやきを拝見した時は、仰天しましたよ・・・。
また、表紙折り返しの「色んな方に感謝することばかりです」の言葉に、すごく感傷的になっちゃいまして。
う~ん・・・。
この作品、あたたかくて優しい内容なのに、どこかほろ苦く感じちゃうのは、私の心境が影響してるんでしょうね。


内容ですが、いじられ系のオタク大学生・新見×内緒で女装趣味を持つ人気者の大学生・幸太郎による、ごくごく等身大のラブストーリーです。
作者さんのデビュー前の作品で、同人誌にもなってるものを改稿されたそうです。

皆に一目置かれる、イケメン大学生の幸太郎。
そんな彼が最近気になってるのが、よくオタク趣味をイジられている同級生・新見。
絡まれてる新見に、幸太郎が助け船を出すと言う関係なんですね。
で、実は内緒で女装趣味を持つ幸太郎が、女装姿で街に出掛けた際、偶然絡まれる新見と遭遇してしまう。
やむを得ず助けた女装姿の幸太郎を見て、新見のした意外な反応は・・・と続きます。

まずこちら、繰り返しになりますが、すごく普通の恋愛なんですよ。
幸太郎の女装趣味を知っても、「似合うねぇ」と感心するだけの、ある意味大物な新見。
そんな新見の反応に、くすぐったさを覚える幸太郎。

幸太郎の女装趣味ですが、本当に趣味で、それ以上でもそれ以下でも無いんですよね。
ただ、女装した事により何故か自信を持てるようになり、以前は虐められっ子だったのが強くなれた。
彼にとって、女装と言うのはとても心浮き立つ事で、その趣味をごくごく自然に受け入れてくれた新見は、特別な存在になって行くと言いますか。

また、いつも自信が無くて、絡まれてもろくに言い返せない新見。
そんな彼にとっても、いつも格好よくて自分を助けてくれる幸太郎は、ヒーローだった。

で、こんな二人が、この出来事をキッカケに共に過ごすようになり、少しずつ少しずつ距離を縮めて行く。

そう、一方が女装で一方がオタクと言う事を除いちゃえば、とても甘酸っぱい普通の恋愛なんですよ。
二人で買い物に出掛け、お茶をして(メイドカフェだけど)、ゲームなんかもしちゃってみたいな。

と、そんな日々を重ね、心を通わせて結ばれるまでが丁寧が綴られ、甘酸っぱかったりちょっぴり切なかったり、キュンキュンさせてくれたりと言った感じでしょうか。

あとここに、付き合い出した二人の、家族へのカミングアウト問題。
それとキス止まりの関係から、本当の意味で心も身体も結ばれるまでとなります。

まぁそんなワケで、ハッキリ言って派手さは無いのです。
失礼ながら、終始地味~に物語は進む。
ただ、等身大の恋愛を、とてもじっくり楽しめる作品なんですね。
主人公の心情が丁寧に綴られていて。
あと、これはすごく綾先生っぽいのですが、時折ハッとするような印象的なセリフが入って。
二人が初めて結ばれ、「好きになってくれてありがとう」とか言い合うシーンには、なんだかすごく優しい気持ちにさせて貰えましたもん。

まぁそんな感じの、ピュアで素敵な作品でした。

あと、いちファンとして、綾先生の作品がしばらく読めなくなるのは残念ですけど。
いや、残念どころかめちゃくちゃショックですけど。
また戻ってきていただける事を信じて、気長に待ち続けようと思います。

14

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