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結構前に読んだまま本棚に眠っていたところを、掘り起こして再読。
誤解とすれ違いの話です。
突然消えた弟を探し続けている達也。
その目的は、自分の代わりに父親の跡を継がせるというものだった。
そんなとき、達也は行きつけのバーでピアノを弾くハルに出会って…。
達也の父親は結構大きな企業の社長らしく、後を継がせるために政略結婚をさせられそうになっています。
でも達也はゲイ。
というわけで「あ、弟に継がせよう!」と探しているわけですが、弟は弟でやっぱり兄を探していて。
お互いに探していた目的は違うし、出会ったタイミングも、正体を明かさなかったせいで生じたその後の流れも不可抗力ではあります。
弟と知らずにのめり込んだ達也と、兄と知っていながら受け入れたハル。
設定的には萌えそう。でも萌え切らない。
達也とハルの認識のズレや、それぞれに相手に感じている罪悪感の種類の違いなどをしっかり描いているものの、中盤で突然乱入してくるもうひとりの義兄が聖人すぎて。
ハルのどうしようもない母親の何番目かのお相手だった五十嵐とその息子・要が、離婚した今でもハルを気にかけてくれてるのは良い話なのですが、血が繋がらなくても「本当の兄」のようにハルを思っている人間が自分以外にもいる、という焦りを達也に感じさせるためだけに登場してきたような要兄さん。
このポジションって、実はハルのことをそういう意味で好きっていうオチがあるものですが、聖人・要兄さんにはそんなオチはありません。
ただハルに「帰れる場所」を提供し続ける善人。
「好きな人を選んだらもうどこにも戻れない!」という切なさを削られてしまったせいで、萌えを邪魔したような気がしてしまう。
さらに細かいことを言うと、社会的地位が達也の父親クラスの人間が妻と不義の子を追い出す場合、徹底的にやると思うんです。
結婚後に生まれているから、戸籍上ハルの父親は達也の父親なわけで、このおやじさんが「親子関係不在」の手続きをしないはずがない。
手続きをするには親子でないことを証明しなければならないわけで、DNA検査は必須じゃなかったかなあ。
ただ追い出しただけでは自分の死後に財産分与しなきゃいけなくなるのになあ。
と、重箱の隅をつついてしまう悪い癖が出てしまいました。
弟!→弟じゃなかった!→ラスト、というどんでん返しに次ぐどんでん返しが用意されているこちらの作品。
萌えポイントはあったのに、「兄」というキーワードに振り回された上に「理想的な兄」の登場で熱が薄まる残念さを拭いきれませんでした。
絵が違う〜と思っていたら、初出が2005年らしく。表現おかしいかもですが、劇画調⁈ 最近の水名瀬先生の美麗な絵柄とは大分違います。ですが、この仄暗いサスペンスタッチのストーリーにはピッタリしていて。独特の緊張感が生まれます。特にショックを受けている達也、思い悩む達也(そして、考え過ぎて疲れている様子。)のアップには鬼気迫るものが‼︎BL自体にも勿論多いのですが、水名瀬ワールドには血族や血の繋がりといった、テーマが度々出ていて、これもその一つです。
幼い頃、慈しんで愛していた弟のハルカと情欲のまま抱いてしまった(抱いちゃったよ‼︎)ハルは同一人物なのか…⁈
弟とは血の繋がりがあったのか…⁈
衝撃のラストまで、目が離せません‼︎
水名瀬雅良先生の絵柄大好き。本当に綺麗です。
本作のテーマは「禁断愛」!
兄弟で恋に落ちる…2人は本当の兄弟?それとも血は繋がってない?
ガチか義理か、展開は錯綜してサスペンス的なものすら感じさせます。
主人公はハル、17才。夜もバイトしたいがために20才と偽っています。
子供の頃親の急な離婚で離れた兄の達也に会いたくて彼の友人の店にバイトで入るが、何も知らない達也(ゲイ)はハルを見染めてその晩お持ち帰りしてヤっちゃうわけです。
弟・遥を探していた達也は、ハルが遥と知って激しく動揺し……
ハルの母親は男関係が激しくて、ハルが誰の子なのかはっきりわからずという背景があって、達也とハルの関係がどうなるのか目が離せないのです。
結局どうなのかはネタバレしません。
ただ、達也はハルに黙ってDNA鑑定を実行します。
知らない方がいい事、知るべきな事、知っておいてほしい事、知らないふりをしたい事…
真実は一つだけど、物事は立場によって見え方も感じ方も変わる。
恋を知った達也の選んだ結論は一つの嘘をつき続ける事。
この一冊、かなり読み応えがありました。おすすめ!
絵が綺麗で好きで、作家さん買いした中の一冊です。
一冊全話分なので、読み応えがあって紆余曲折があって良かったです。
(嘘をつく心理=真実を隠す)のまさしくそれなので、兄ちゃんが、
エゴで嘘をついたんなら、いっそ、墓場まで持って行って、お願い。感がありました。
血縁あり~の、純愛あり~のですが、兄弟ものでも、家族で暮らしているとかからのスタートではないので、兄弟ものの食わず嫌いな私でもすんなり入れました。そうなんですよね~M字開脚にやられました。
まるごと一冊がひとつのストーリーでした。
よくあるお話と言ってしまえばそうとも言えそうなんですが・・
最後の最後だけは良くある結末・・・とはちょっと違っていて、
それが意外性があって面白かったです。
タイトルに使われている「嘘」は、ストーリーの中でたくさん出てきます。
途中途中にそれぞれがその時々につく「嘘」と
とても大きな1つの「嘘」と。
ストーリーとしては重くなりがちな内容なのでしょうが、
キャラクターのおかげか暗い印象もなく楽しめました。