SS付き電子限定版
海野先生買いです。
本作品もそうですが、先生のお仕事BLが大好きです。
社内の営業部門と技術部門という、異なる部門間のやり取りや、対顧客との折衝、値段交渉など、実際にその現場にいたことがなくても厳しさを連想させる、海野先生の表現の巧さを再確認できる、素晴らしいお仕事BLでした。
本作はそれに加えて、並行世界というファンタジー要素もあり、読み応えのある一冊でした。
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技術部門から営業に異動してきた彰人は、大狼のような優秀な営業マンになりたいと頑張ってきた。
失敗しても、大狼に対して虚勢を張ってしまい、素直になれなくて、関係が悪化してしまう。
彰人がそんな自分の複雑な気持ちを、嫉妬か、執着かと考える。多分歪な感情を抑えきれずに拘ってるのは彰人の方で、大狼は気にしていないように見える。
あることがきっかけで、この感情は恋かもと気づき、気持ちが変わり始める。
そんな時、神社の階段から転落したあと、並行世界に転生して状況が変わる。
仕事を自分で抱え込み、うまく振ることが出来なかった彰人。素直になれず、卑屈だった。
ところが、スムーズに回る新しい世界では、大狼や、同僚との関係もうまくいっている。何もかもうまくいかなかった以前の世界で、自分ができていなかったこと、やりたかったことと、今の並行世界のうまくいっている自分とを比べて、自分のどこがいけなかったかを思い知る。
並行世界では、自分が思い描いていた理想に近づいている自分がいて、実際の自分との乖離に戸惑う彰人。
話は少しそれますが、大狼はシゴデキ、
自信掌握術、判断力、決断力、いずれも素晴らしい。営業については、社内の業務が滞ることにならないよう、利益が出るようギリギリを攻めることができる交渉能力、そして俯瞰して物事を見ることができる、こんな人が1人でも部署にいたら万全です。
こんな大狼のことを好きだと認めること、ゲイであることを受け入れる彰人。
並行世界の自分と、別の世界にいた自分とを比較することで、別の世界の自分に何が足りなかったのか、どこがいけなかったのか、自分自身で気づき、成長することができた彰人。
さらに大狼に仕事でも対等に認めてほしい、好きだと思う気持ちを再認識する。
並行世界では、みんなが親切になったのではなくて、自分自身が頭を下げて、教えを乞うたり、溶け込む努力を怠らなかったから、みんなが認めてくれたのだった。
頑張ったのは彰人だった。
一方で、以前の無愛想ながらも、自分の不器用で遅い進みをそばで見守り、落ち込む自分を励ましてくれた大狼に会いたい気持ちを募らせていく。
不器用で周囲に馴染めない素の彰人を気にかけてくれ、自分の意見を尊重して教育してくれようとした大狼に会いたい。
そして、営業補佐としてではなく、対等に自分の力で這い上がりたい。自分の成績のことより、彰人の成長を望んだ大狼への申し訳ない気持ち。迷惑をかけたまま去るわけにはいかないという気持ち。
ここからが彰人はすごかった。
居心地の良い並行世界に浸かるのではなく、大狼と対等の立場になれるようになって恩を返したいと奮起する。
最後の方で、2人の甘々が少し読めますが、糖度がもっと欲しいので、番外編も読もうと思います。
とっても読み応えのある、素敵な作品でした。
描かれる仕事の内容や様子が細かくてリアリティがある一方、専門的になりすぎていないので状況がイメージしやすく、とても読みやすかったです。
並行世界という設定が出てきた時点では、そちらで恋が進むのだとばかり思っていたのですが、最終的に主人公が元いた世界で想いを伝える選択をする展開にはグッときました。
ファンタジー要素を入れつつも物語としての納得感はあるので、ファンタジーが得意でない方でも、この作品なら受け入れやすいのではないかなと思います。
文章がやや硬く、少し単調に感じるところもありましたが、行為のシーンで描かれる二人の雰囲気がとても好みでした。
ラストに向けて糖度がぐっと上がっていくおかげで、読後の満足感も高かったです。
ドラマの1話が良くて、海野先生の原作を積んでいたことを反省してすぐ読みました
異動した先で馴染めず全てが行き詰まっている中で違う世界にいってしまうとは面白い設定。
技術から営業に異動なんて大変だよねぇ。
リアルな世界の大狼とはうまくいってないけれど並行世界の大狼は自分をすごく甘やかしてくれるし部内のみんなは優しい。
最初こそ、その世界に心地よさを感じていても
みんなが自分にやさしいのはなぜなのか、というところに疑問を感じる加納。
そして優しいが自分に仕事は任せてくれていない並行世界の大狼と接するうち、元の世界でどれだけ自分が見守られていたか、甘やかされていたか気づく加納。ここでの世界の優しさもこの世界の加納の努力で生まれたものだから享受すべきではないと感じる。
環境の中で状況を変えるのは自分次第、人は一面から見えるだけがすべてではない、自分はどう動けるだろう?
海野先生のお話は毎度サラリーマンにめちゃくちゃ刺さりますね。加納の真面目さも、大狼の優しさも全てが愛しい物語でした。励まされたなぁ。
大狼が並行世界の自分に嫉妬してるのが良かったですね。私は元の大狼が好きですけど!
この作品はストーリーを進める上で、仕事に関する描写をかなり細かく書いていかないと、ペラペラなストーリーになると思うんです。
仕事に関する描写が丁寧過ぎるほど書かれていたので、一見お堅い内容にも思えてしまいそうですが、それがリアリティを増していて良かった。
何たって攻も受も、仕事に対する姿勢を主軸にして最初は惹かれ合う訳ですから。
正直最初は、攻・大狼がデレる姿が想像出来ませんでした。
根が優しいのは十分過ぎるほど伝わってきますが、無愛想さとぶっきらぼうさが強くて。
でもまさか、好きな相手にはこうも甘く溺愛するのかと驚き。
無事に甘々なイチャイチャを見ることが出来て良かったです。
影では認めあってるのに拗れに拗れてぶつかってしまう。
こんな2人でどうやってラブに発展してくの!?ってくらい関わり無く、関わったら関わったで険悪!?
加納の頼りにされたいのに上手くいかないジレンマが苦しい!!
そんな時に周りとも大狼とも上手くやってる並行世界へ飛ばされる。
そこで何が足りなかったのかどうしたいのか仕事も恋も真面目にもがくの胸にきました。
加納の気持ちを汲んで 素っ気なかった大狼が真に加納の意図や変化を知って ガツガツし出すのも良かった~
並行世界の過保護な大狼姿も、それに対抗してでろ甘になってくのもどっちの大狼も良い!!さっぱりした性格なのかと思ったら…な攻め方も良い。ダメの判断が的確なの素晴らし!!
加納の必死に仕事に取り組む姿とどっちの大狼にも戸惑う可愛さと両方堪能できたのも良かった。
しっかりお仕事しつつ、高め合い認めあえる関係から恋に発展してくの大好きです!!
