• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作金色の花に永久の約束

小野坂,34歳,グリーンショップオーナー
佐埜和奏,18歳,不思議な夢を見続けている大学生

その他の収録作品

  • 金色の魂に永久の誓い
  • あとがき

あらすじ

金木犀の花が咲く頃、必ず見る夢がある。和奏は大切に抱き締めてくれるその人のことをいつしか「王子様」だと思い、現実でも会いたいと願ってきた。一人暮らしを始めた和奏は、偶然出会ったカフェオーナー・小野坂を一目惚れの勢いで好きになってしまう。この人こそが、と思い定めるが、彼には金木犀の季節に探し続ける忘れられない人がいて――。

作品情報

作品名
金色の花に永久の約束
著者
真崎ひかる 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344845237
3.3

(17)

(2)

萌々

(5)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
54
評価数
17
平均
3.3 / 5
神率
11.8%

レビュー投稿数5

モチーフと伏線が効いてます

今回は亡き恋人を探し続けるグリーンショップオーナーと
幼いころから不思議な夢を見続ける大学生のお話です。

受様視点で夢の中の王子様と再会し恋を実らせるまでと
攻様視点で本編裏事情を絡めながらの後日談を収録。

受様には幼いころから金木犀の花が咲く時期にだけ見る夢があります。
両親でや義姉よりもずっとずっと優しく、愛おしそうな声で愛称で
目覚めを呼び掛けてくる夢です。若い男の人の声ですが、きちんと顔
を見られたことは1度もありません。

秋が深まり、街のあちこちで金木犀が花を綻ばせる時期は、受様の
誕生日が近づく合図でもあります。家族全員が揃っての誕生日会で
両親はいつも出生時に受様の心臓が停止した話があがり、立派に成長
したという話題で盛り上がるのです。

16才の誕生会の日もその話題で盛り上がりますが、姉が受様が幼い頃
から見続ける夢に出てくる相手を「王子様」と呼んでいた話を振った
事から受様にゲイ疑惑が持ち上がります。

酔っ払いの話と軽く受け流せなかった受様はコンビニに買い物に行く
と家を飛び出すのですが、夢の王子様についていろいろと考えていた
受様は自転車事故を起こししまうのです。

受様は大怪我を負って1週間も意識不明な状態になります。その間に
現世と悲願の狭間世界に迷い込み、同世代くらいの不思議な少年に
出会います。彼は死んでしまった恋人を探しているためにこの世界に
いると言い、受様は彼の導きによって現世へと戻るのです。

それから3年、受様は大学生となりますが、父の転勤で大学近くでの
独り暮しを余儀なくされます。バタバタと荷解きを済ませ、近所の
散策に出かけた受様でしたが、運悪く店先で水巻きをしていた男性の
ホースが外れた瞬間に出くわし、びしょ濡れになってしまいます。

受様をびしょ濡れにした相手はグリーンショップのオーナーで、今回
の攻様になります♪ 攻様はショップのあるビル自体のオーナーでも
ありました。

グリーンショップの隣には攻様の友人が切盛りするカフェがあり、
受様は攻様が水をかけた縁でカフェとショップの手伝いというバイト
をすることになります。

そうして2人と接するうちに受様は攻様に好意を抱くようになります。
しかし、カフェ店長は攻様は他人に無関心で、来る者拒まず、去る者
追わずの最低男だからおすすめしないと言われてしまうのです。

しかも攻様には金木犀の花が咲く頃に起こる持病が有り・・・


攻様の亡くした恋人が受様として生まれ変わって新たな出会いをする
輪廻転生ものになります♪

プロローグ、受様が幼い頃から見る愛称で呼び掛けられる夢、自転車
事故に遭った受様が狭間世界での出来事、攻様の持病等々、読者には
早い時点で受様の夢の相手がわかり、攻様の探す相手も見えてくるの
ですが、攻様が恋人を失ってからの事情は見えてこないので、受様と
一緒にドキドキです o(>_<)o

そして攻様の事情が明かされ、2人が共にいる未来を選び取るまで
ハラハラしつつ、たいへん楽しく読ませて頂きました。

輪廻転生というと、結ばれないままに亡くなってしまった恋人の受様を、
攻様が探してだして再開、今世で恋を実らせるというのが王道パターン
ですよね。

だいたい残された攻様は転生しても前世の記憶があり、前世を知らない
受様を必死に探すというのも黄金パターンなので、受様が過去を思い出
すかに否かが鍵となのですが、本作は片方のみが生まれ変わるという
変則スタイルで、2人の邂逅もまたひねりが聴いていて、どうやったら
2人が恋仲になるのかすごくワクワクさせて頂きました。

輪廻転生ものって記憶を持ち続けて探す側の人はすごく頑張るけど、
探されている側って「絶対探してくれる」的な待ちの姿勢の人が多い
と思うのですが、本作は受様がすごく頑張って攻様に関わってるのが
すごく良かったです。それが攻様の気持ちを動かして、攻様の気持ちを
変化させていった展開もMYつぼでした♪

今回は真崎さんの既刊から『目を閉じて触れて』をおすすめです。
こちらは年の差&再会モノになります。

2

そんな寂しい所に一人で囚われるのはやめて、もう幸せになるのです

夢に現れる見知らぬ寂しそうな男性に、強く惹かれる主人公。
そして、失ってしまった恋人を、探し続ける男ー。
切なく優しく綴られる、輪廻転生ものになります。

こちら、モチーフが金木犀になってるんですよね。
で、ストーリー自体はかなり切ないものなんですけど、印象としてはどこか優しいのです。
金木犀が効果的に使われてるせいだと思うんですけど。

う~ん・・・。
元々、再び巡り会う恋人達みたいのにめちゃくちゃ弱いのですが、今作では、攻めの出した答えがとにかく素敵で。
そう、そんな寂しい所に一人で囚われるのはやめて、もう幸せになるのです。

ザックリした内容です。
昔から金木犀の季節になると、どこか寂しげな男性に呼び掛けられる夢を見る和奏。
彼に強く惹かれ、現実でも会えたらと思い続けてきたんですね。
で、大学生となり、偶然出会ったグリーンショップのオーナー・小野坂に、不思議な吸引力を感じて恋に落ちる和奏。
しかし、小野坂にはずっと探し続ける忘れられない相手が居るようでー・・・と言うものです。

まずこちら、地方の名士の跡取りである青年が、幼馴染みで二つ下の恋人と密かに待ち合わせている所からスタート。
足を滑らせた恋人と共に二人は川に落ち、青年だけ助かるんですね。

で、場面は切り替わり、毎年金木犀の時期になると、不思議な男性の夢を見る主人公。
大学生になった彼は、偶然出会ったグリーンショップのオーナー・小野坂に強く惹かれ・・・と言う流れ。

こちら、時系列順に丁寧に物語が進みます。
で、読者には早々に、二人が互いに探し求めている相手だと分かる仕組みなんですね。
そう、これ、ストーリーとしては、かなり切ないのです。
川に流されてしまった恋人を諦め切れず、ずっと探し続けている小野坂。
彼はですね、金木犀の時期になると、現世と彼岸の狭間にある「狭間世界」を魂だけでさ迷い、「恋人」を探し続けるんですね。
そして、物心がついた頃から、夢で自分を呼ぶ寂しげな男性に思いを寄せる和奏。

和奏は小野坂に惹かれてゆきますが、彼は自分の中に踏み込ませようとしない上に、探し続けている「誰か」がいてと、なかなか届かない想いが切ないのです。
これ、読者としては、その探し続けてる恋人は目の前に居るじゃん!と、なんともジレジレさせられるんですよね。
こう、長い間、悲しみに囚われるあまり、すっかり心を閉ざしてしまい、真実にちっとも気付かない小野坂にジレて仕方ない。

また、小野坂が想い続けてる「誰か」には決して敵わないと傷つきながらも、小野坂のそばに居続ける和奏が健気で健気で。
この二人のスレ違い、なんだかすごく悲しいんですよね。

と、ここから、金木犀の季節が今年も訪れ、狭間世界で邂逅を果たす二人。
小野坂は「和奏」と、初めて名前を呼び・・・と続きます。

こういう転生ものだと、生まれ変わりだと気付いて結ばれてハッピーエンドと言うパターンが多いんですよね。
あなたが探し求めていた相手だったみたいな。
が、こちら、そうはならないのが素敵です。
そう、小野坂ですが、過去に囚われていただけなんですよね。
恋人=和奏ではなく、和奏は和奏と言う全く別の存在として、新しく恋をするー。
「俺はもう、カナを捜さない」と言うセリフに、グッと来ちゃいましたよ。

あと、この後に語られるエピローグ。
和奏は生まれた時に、実は心臓が止まってたんですね。
この謎が明かされます。

あの人の元に帰らなくては。
ずっと傍にいると、約束したから・・・。

と言う「カナ」モノローグには、思わずこみ上げてくるものがありましたよ。

と、切なく優しくしっとり読ませてくれるー。
輪廻転生もの好きとしては、大変心を打たれる素敵なお話でした。

6

金木犀って、花の時期以外は、木の存在を忘れるよね

イラストが金ひかるさんなら問答無用で買うシリーズ。
新刊発売時に見落としていたのを店頭で発見して購入。
今の季節に読むのにぴったりの、金木犀の花の香りが重要なモチーフになっている作品。

失くした人を思い続けて・・・。
先だった方も、彼を一人残していくのは心残りで・・・。
早い段階で、輪廻転生再会物語だというのは読者側には明示されていますが、物語の主人公達はそうとは知らず、そんなことは信じられず、お互いに惹かれ合っているのにもだもだするお話です。
ただ、このファンタジーを受け入れるには時代設定が微妙で、ちょっと萌えきれなかったのが残念。
生まれ変わった現世の19年目で再会することや、幽界の出来事は受容できるのですが、そもそもの最初の別れがせめて昭和だったらいいのになぁ。
今2019年という事で考えると19年前は2000年。
21世紀を目前に控えて、いくら地方とはいえ、二人の家の関係云々はどうだろう。
もっとも、作品中には今が何年とかは明示されているわけではないので、全体の時間を、もう10年とか、15年とか前の時間に読み替えれば、その違和感も消える程度のことなんだけどね。

この作品でも、小柄な、いわゆる受けくさい受けの見た目を裏切るような、芯のある受けといったら、金先生の絵はテッパンです。
私、このタイプが本当に好きみたい。

1

金木犀の香る季節に

金木犀、今年はあっという間に散ってしまいましたね……。
もうちょっと金木犀の季節を楽しみたくて、この本を手にとってみました。

冒頭、不幸な出来事で死に別れた恋人たちの姿が描かれ、そして現在……という流れなので、早い段階で輪廻転成ものだとわかります。

私、勝手に冒頭の出来事は明治・大正くらいの昔だと思い込んでた。
いくら田舎とはいえ、身分差ばりばりで、封建的な様子にいくらなんでも平成ではなかろうと。
だから受けのカナも死んで、攻めの小野坂もやがて年をとって死んで、二人とも生まれ変わって現世で再会なのかと。

そしたら、違ったのでちょっとビックリ。
冒頭の彼と、グリーンショップオーナーの小野塚は同一人物でした。

小野塚は、目の前に登場した和奏が誰なのかまったく気づかない。
それどころか、和奏が恋人候補に名乗り出ても素っ気ないし、つれない。
読んでる私からすると、あぁぁ気づいて〜小野塚、その子だよ…!と焦れ焦れしまくり。

和奏が健気に頑張る姿よりも、攻めの小野塚が頑張る姿が読みたかったなぁ……。
というのも私は基本的に攻めが頑張ったり、苦悩したりする姿が好きなので。。。。

いや……頑張ってるとは思うんですよ。
金木犀の時期になると意識飛ばしちゃうくらい、頑張ってる。
なんだけど、実際は和奏から見た「素っ気ない」小野塚描写が主なので、なんか物足りなくてですねー‥‥。
思い人が見つからない絶望感たるや凄いものがあるだろうし、小野塚の心の内にスポット当てたら切なさ120%のはずなんだけどな。
そこを描いてくれたら、きっと切なくてのたうち回って萌えただろうにな……と。


最後の「金色の魂に永久の誓い」が良かったので、萌です。
本編だけだったら中立でした。

0

金木犀の季節にトリップする

先生買いしてはみたものの、せつなさ、ひたむきさにシンクロできず、申し訳ありません、中立です。本編210Pほど+その続き40Pほど+あとがき。

16歳の誕生日を家族で祝ってもらった和奏(わかな)。小さい頃から繰り返し見ている夢のことで「ゲイ」という姉の言葉に異常に反応してしまい、つい家を飛び出してしまったのですが、乗っていた自転車のブレーキが壊れて転倒、意識を失います。気がつけば真っ白な世界。誰も和奏のことを見てくれず、自分の存在自体があやふやな感じになってきた時に、まっすぐ和奏を見て声をかけてくれた同い年ぐらいの少年がいて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
カナ(故人)、新田(攻めの友人、カフェ店長)、受けの両親姉がちょっと出、ぐらいです。

**より内容に触れる感想

攻めはカッコいいですが、想い人を亡くしたために生きる意味をあまり見いだせずにいた方。受けは割合何でも一生懸命頑張る元気な前向きさんという印象。

不思議な世界でそんな二人が出会って。カナと和奏になんかの関連性があるのも、王道設定で好きなはず。ただなぜか二人の恋心にシンクロできなかったです。
攻めが亡くなった想い人に寄せるせつない恋心にもっときゅーーーーーーーーーーんとしたかった・・。
攻めが想い人を探して探して、金木犀香る季節に何度も狭間世界にトリップしてしまうという事実だけではなく、そこに探して見つけられず虚しく帰る攻めの様子とか気持ちとかがもっとあれば・・一生懸命読んだと思うのですがどうも寄り添えなかったです。

季節的には金木犀モチーフでピッタリなのですが、あと一押し、攻めの方の気持ちに踏み込みたかったでした!

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP