神使×新人神主の異種族純愛譚

小説

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愛を言祝ぐ神主と大神様の契り

ai wo kotohogu kannushi to oogamisama nochigiri

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表題作愛を言祝ぐ神主と大神様の契り

ハク・山神の眷属(白狼)
九条春日・神主・24歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

神社の息子として生まれながら、神様などの非科学的で曖昧な存在を信じられず、数式で示せるはっきりしたものを愛してきた九条春日は、父の命により、神職のいない田舎町の神社に、新しい神主として暮らすことになった。そこで一人の青年と出会うが、その正体は神に仕える狼の神使で――。人と神の薄れた絆を再び繋ぐ、和風異種族BL。

作品情報

作品名
愛を言祝ぐ神主と大神様の契り
著者
真式マキ 
イラスト
兼守美行 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344845527
3.4

(5)

(1)

萌々

(1)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
16
評価数
5
平均
3.4 / 5
神率
20%

レビュー投稿数3

意図しない羞恥プレイがエロいのなんの

色々な意味で興奮しました。

まず、それほど詳しいわけではないのですが「日本古来の神様ってこんな感じだよなぁ」と思わせてくれるのがとっても面白かったんですね。
無邪気でそれ故に無慈悲であったり、素直だから単純であったり、その清らかさ故に理屈ではないところでなんか納得させられる様な感じ。

そしてね、この『無邪気で素直で清らか』っていうところが、濡れ場でのエロさを異様に盛り上げるのです。いや、そういう受けさんが出てくるお話はいくつか思いつきますよ。でも、攻めさんですからね、無邪気で清らかなのは。
客観的に言ったら『襲い受け』なんだけど、単純なそういうのとは違うんです。神主が神様を喰っちゃう話ではないのですよ。
この辺の複雑さが大層面白うございました。

九条春日は自分のことを「数式で表される様なことが好き」と言い切ります。神職なのに神の存在なんて信じちゃいません。そんな彼が神主として多忙な父に頼まれ、田舎の神社の神主を任せられます。気が進まないまま出向いてみれば村の人達から大歓迎され、田畑の鳥獣被害を治めてくれる様、神に伝えてくれ等と言われてしまいます。
つまり、春日の行った所はまだ信仰が生きている集落なんですね。
困惑しつつ、頼まれれば嫌と言えない性格の春日は山の神社に向かい、白髪で赤い瞳を持つ美しい男性に出会います。自分の置かれている状況を彼に聞かれるまま話しているうちに真っ白い輝きに包まれ、寂れた神社は傷ひとつない『あるべき神社』へと変わってしまいます。
彼は白い狼の姿も持つ山神の眷属でした。
ハクと名乗る彼は、春日の祝詞を挙げる声を「心地良い」と言い、神社へ通う事を許しますが「自分は山の(自然側の)味方であり、人間寄りではない」と公言し、村人の願いを聞く気はありません。
野の獣達以外とは触れ合わずたった一人で生きているハクを不憫に感じた春日は彼に「愛おしい」「幸せ」「さみしい」という気持ちを教えようとします。
そして自分がこの、清らかな眷属を愛していることに気づいて行きます。
一途な春日の想いにハクも応えてくれますが、この神社にはかつて居たもうひとりの眷属が人を愛してしまったために追放された過去がありました。春日と心を通わせ、人の暮らしにも目を向けるべきだと考える様に変わったハクは神の怒りを買い……

うーん……
私が書いたあらすじは下手糞だなぁ。
本当はもっと話は重層的です。
早い段階で『もうひとりの眷属』クロエ(黒江)は出てくるし、ハクが春日に惹かれて行く過程も『なんとなく』ではなく『元々あった感情を引き出される』それも『教育として』という感じなんです。
これがとても面白いんですよ。
こう、すんなり腑に落ちる風に理解出来るんです。

そして、濡れ場がすごい。
ハクって性的な経験が皆無なのにその能力は高く、おまけに魅力的な成熟した男性なんですよ!だから「恥ずかしい」って事がない。何でも聞いちゃう。やってる事とかをその最中に。
それはやましい事でも何でもないから春日は教えなくちゃならないの。恥ずかしさを振り絞って。
これがエロいのなんの!
『羞恥プレイ』ってありますよね?
そういう事じゃないのに、春日にとってはそうなっちゃうのよ。
でもそこには全然そんな意図はなくて、ただ純粋に『愛し合うこと』を知りたいハクがいるの……これにやられた。めちゃくちゃエロい。

永劫の時を生きる神に属する者と人間との恋愛は、時間がもたらす悲しみが必ず付き纏います。
このお話は、それに簡単な答を出しません。
その事もこのお話を余韻深いものにしています。

「人間が自然の中で生きていくためには」という、ちょっと考え込んでしまう裏テーマも含めて、断然好みのお話でした。
文体も抑え気味で煽らない感じが、余計、読後に色々『クル』ものを増やしている様にも思うんですよねぇ。
オススメです。

2

理系の神主

兼守先生の挿絵目当てに購入。攻め受けともそんなに入れ込まなかったですが、日本古来の神というものが好きなのと最後泣いたので萌にしました。本編220P超+あとがき。

父親が兼務している神社の神主をと頼まれ、木造平屋が並ぶ農村地帯にやってきた春日(かすが)。幼い頃から神社を庭に育ってきたから馴染みはあるものの、どちらかというと理のはっきりした世界で生きていたく、大学も物理学を専攻したのに結局神主になることに。人の好い村長さんから「近年はウサギやイノシシに農作物を荒らされて困っている、ついては大神様に頼んでもらえないか」と言われ、とりあえず山奥の神社に行ってみると、髪も肌も真っ白、その上に真っ白の狩衣を着た男に「誰だ」と問われ・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
黒江(村で農業手伝いをしている青年)、神様、村の人々ぐらい?

++良かったところ

「神というあいまいなものは苦手だ」と言う神主さんなんて多分初めて読んだのでは。「言ってることは分かるけど、それなら神主するなよ」とめっちゃツッコミいれた冒頭です。竹を割ったような性格というか、理論派というか、なかなかに男前な性格の受けさんで、良かったです。

「おお♡」と思われる方がある程度おられるのは、攻めさんの真っ白度合いでは?人間じゃないんで「寂しい」「愛おしい」という感情が無くて、色事も勿論ご存じない。そこをぶっちゃけ手取り足取り教えていく過程が良かったです。最初は「寂しい」等の感情から。いざ教えるとなると難しいですよね。そこは理系神主、一生懸命定義して教えていって無事成功。「愛おしい」という感情を認知できるようになるなんて、すごいわ、よく頑張りました、攻めも受けも。

側で見守っていた黒江も愛おしかったです。かつて心を通わせた人間と同じ名を持つ花を愛おしんでいる様子に、後から猛烈に切なくなりました。いずれ春日も儚くなる運命ですが、そこを捻じ曲げずしっかり受け止めている二人の様子も大変好ましかったでした。

神社関係のせつなめお話がお好きな方でしたら是非是非お試しください。

1

人間嫌いな神様とその眷属の狛狼


理系な不良神主が己の役割を理解し、感情の欠落した狛犬ならぬ狛狼が感情を手に入れ、頑固な神様と交渉する話。


村長からのたっての願いで、父親が兼務する神社の一つを任されることになった九条春日(受け)。
村に着いた春日は早々に神主以外参拝しないという神社へ行くことに。
そこで、自分は神の眷属だというハク(攻め)という男と出会います。
神主でありながら神を信じていない春日は半信半疑でしたが、ハクの能力により異界の神社へと導かれ否応なしに認めざるを得なくなるのです。

そもそも春日がこの村に派遣されたのは、田畑への動物被害が酷くなってきたことを山神様へ陳情するためでした。
が、山神様もハクも動物の味方であり、山を荒らす人間に対して全く思い入れがなく、こちらの願いは聞き届けられそうにありません。
神と人間との懸け橋になろうと決意した春日はまずはハクと距離を縮めようとするのです。
感情というものを知らないハクに人間のことを理解してもらうため、毎日神社へ通い祝詞をあげ話をしすこしづつ距離を縮めていきます。

やがて二人は愛し合うようになるのです。
人間のことも排除するのではなく、共存する道を探ろうと考えを改めてくれたハクでしたが、彼が仕える神はハク以上に頑固で話も聞いてくれません。
春日は神の考えを変えることができるのか・・・


話は面白かったのですが、二人の恋愛に関してはちょっとのめりこめませんでし
た。
狛狼というくらいなので、2体で1対なのですが、今はハクしかいません。
クロエというもう一体は50年前に人間と恋に落ちそれを許さなかった神によって追放されており、現在は恋人を亡くし麓の村に住み着いています。
クロエの時に神と一緒に許さなかったのはハクで、そのハクが春日と恋仲になっていいのか?(クロエに対しても神に対しても)と思ってしまって、どうにも集中できませんでした。
もう少し紆余曲折あって二人がくっついたのならそうでもなかったのかなと思うのですが、結構あっさりくっついたからかもしれません。
クロエが知ったらなんというだろうかが気になってしまいました。
クロエは愛情を覚えたことを喜んでいるようにも見えたので、取り越し苦労でし
たが・・・

神さまとの約束は始まったばかりですが、二人は春日の命ある限り共にいること
を誓うところで終わったのでめでたしめでたしと言えるのではないでしょうか。
とはいえ、いずれ死が二人を分かち、春日を想っていくハクを思うとちょっと切ない気持ちになりました。


1

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