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野原耳子先生の作品、はじめて読ませて頂きました。
隣接、対立する部族の間で、花嫁として嫁がされた好戦的なアジム族出身のカヤ。花婿として彼を迎えたのは、穏やかなイェフェム族の族長の3男ユーティ。お互いが望まぬ婚姻をきっかけに出会い、かけがえのない存在となっていく物語です。
ワタシが特に感動したのは、野原先生の文章の美しさでした。
常に美麗な表現を使用して自己満足に溺れていくのではなく、要所要所でハッとさせてくれるような美しさを覗かせてくださる、ストイックな文章。
もちろん読み手によって好みがあると思うのですが、ワタシはそのさじ加減が大変心地よく、好きな文章をハイライトしながら、とても楽しく拝読しました。
カヤが狩猟民族としての本領を発揮する狩りのシーンの緊迫感。
これだけの能力があって、足を悪くし花嫁として生きる痛々しさ。
普段おっとりしているのに、有事にたやすく人を殺すことができるユーティの二面性。ちょっと吃驚しつつも、ユーティにとってカヤがどれだけ大切な存在なのかを思い知らされます。
濡れ場もガッツリのエロなのですが、本能で快楽を追う無邪気なエロというか…そこかしこに2人の純粋さ、可愛らしさが感じられる表現があり、素晴らしかったです…!
kindle版の102ページ、カヤと生きていくことを決めたユーティが父と話す場面。「不意に、心臓の奥から甘いような、温かいような、そのくせかすかに仄暗い感情が沸き上がってきた。執着と独占欲の鎖が絡まった、澄み切った純粋な愛情。」
ワタシはこの愛を見せつけてほしくて、BLを読んでいるのかもしれないな…と思ってしまったくらい、ものすごいパワーのある一文でした。(あまりに感動したので引用させて頂きましたすみません…!)
物語もロマンティックで素敵でしたが、それを紡いでくださる文章に大変魅力を感じたので、他の作品も読ませいただこう!と、今からワクワクしております。
初読み野原耳子先生。
レビューを読んで良さげだったので。
結果、満点です。
エロ具合は3割(私調べ)ほど、ストーリーがとにかくおもしろいです。
ハピエンなのはわかっていても、カヤがなかなかかわいそうで、牢屋でユーティに別れを言うシーンでは涙で顔が歪みましたよ…
受けが短髪でおそらく筋肉ムキムキ(狩りが得意の闘争民族出身のため)なのは私の萌えポイントではないのですが、年下のユーティが人目を憚らず愛でまくってそれに恥じらうカヤも、ベッドの上で徐々に積極的になっていくカヤもすごく良かったので幸せな読後感です♡♡
教えて姐さんでどなたかがオススメされていたので読んでみました。Kindleでしか読めないと。
知らない作家さんでファンタジー。
普段は手を出さないのですが、何となく読んでみようと思って。
面白かったです。ストーリーもスルッと入ってくる。別の部族同士の政略結婚。
嫌がらせで男の花嫁を送り込んできた。
さてどうなる?
雑にネタバレしちゃうと、男同士の夫婦で仲良く暮らしましたとさー。
なんだけど、キャラの設定が良かったです。
朗らかでおおらかそうなユーティが、カヤの事となると冷酷な鬼のように激変するところとか。
ユーティよりも二つ年上のカヤ、父を叔父に虐殺され花嫁として他族に嫁がされる辱めを受けるも、ユーティや周りの温かさに触れ、ここで生きていく強い決意と愛を感じて幸せに過ごす。
なかなか出来ないよ。恨みに取り憑かれそうなのに。
10年経っても2人はラブラブなのですよ。
自分を振り返るともうこんなホヤホヤ感ないですわ。どうしたら、好きな気持ち持続出来るんだい?
たまに、おじいちゃんおばあちゃんでも手を繋いで仲良くお出掛けされてる方居たりしますが、色々あったけど、好きな気持ちは変わらないって感じなのですか?うーん、私はその境地にいけるのか?もう、愛とか恋ではなく家族になってしまったなー。
この2人のアツアツぶりを見て自分を顧みてしまいました。
少し気になったところがあります。
最初、ファンタジー作品として読んでいました。
すると、長さを測る単位としてセンチメートルが出てきました。これで、おや?と私の中のファンタジー世界観が崩れてしまいました。
包帯で怪我をしたところを巻くだとか、医者だとか。
主人公達は、小さいコミュニティで生活してそうなので、私達が当たり前に享受されている物も無いのでは?って思ってしまう。手作りの弓矢を使って狩りに出掛けたり、衣服も買うのではなく自分達で縫ってる描写がある。
なので、薬草で手当して欲しいし、医者ではなく、薬草に詳しい〇〇さんのところに行きな?みたいな感じで表現して欲しかったかな。
ファンタジーと思わず、現代のどこかにある集落と思って読めばいいんでしょうが、変に気になってしまいました。
イェフェム族とアジム族それぞれの部族の文化といった世界観に、圧倒的な説得力があります。
ファンタジー作品ですが、すんなりと舞台設定を受け入れられました。
アジム族の男性であるカヤが花嫁とされること、そしてイェフェム族族長三男のユティと結ばれるまでの物語に違和感がまったくありません。
本作で野原耳子先生の作品にどっぷりハマってしまいました。
カヤの壮絶な過去を受け止めるユーティは一見おおらかで柔和な青年ですが、一筋縄ではいかないところも魅力的です。
愛するカヤのためなら手を汚すこともいとわないギャップに、読んでいてハラハラするほどでした。
このユーティの一面を縁者であるヨヨから見た短編も収録されているのですが、併せてユーティという人物の掘り下げができるお気に入りのエピソードです。
先にも述べたとおり、本編が素晴らしいのはもちろん番外編も非常に良いところがたまりません。
二人のその後の生活を垣間見てほっこりした気持ちになりました。
この一冊でもとても完成度の高い作品でしたが、この世界観で二人の続きの物語をさらに読みたくなります。
何度も読み返しているお気に入りの一冊です。
「傭兵の男が女神と呼ばれる世界」は未読ながら知っていた野原先生の作品。
Kindle Unlimitedに個人で出した作品は全てあるとのご本人のツイートで、ちるちるで一番点数の高かったこちらを読んでみました。
なんとなくみんなが持っている"部族"のイメージをそのまま使うことで説明を省いている印象。世界観が作り込まれたものを読みたい時というより、現代物ではない作品で軽めでテンポ良く展開する本を読みたい時にはぴったり。ユーティの豹変ぶりが好きでした。
"お人好しのお坊ちゃん"が猛々しく血生臭い人間になる様の勢いがいい!ユーティやカヤのキャラクターもかなりシンプルで、うだうだ悩むシーンも少なくサラッと読めます。
いつ頃書かれた作品か知りたかったのだけど情報がうまく探せなかった。作家さんの作品を古い順に読んで、変化を知るのが好きで。