流浪の月

rurou no tsuki

流浪の月
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×22
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない2

99

レビュー数
2
得点
61
評価数
15
平均
4.2 / 5
神率
66.7%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
東京創元社
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784488028022

あらすじ

幼い頃、家に帰りたくなくて、公園で声をかけてきた青年についていった更紗。自由にそして安全に過ごさせてもらったけれども、更紗の声は届かず、それは青年の罪となる。大人になっても更紗は「誘拐事件の被害女児」という事実を消すことができずにいたが、ある日恋人から実家に行く話をされて・・。

表題作流浪の月

レビュー投稿数2

読みやすい文章と、心震えるストーリー

本屋大賞をとった作品は必ず拝読させていただいております。
今回は、凪良ゆう先生の一般小説が受賞したとのことで、
大変驚き、すぐに読み始めました。

ひとことでは言い表せないこの感情を、なんと表したらいいのでしょう?
憤りと怒り、悲しみと悔しさ……
私は主人公たち以上に怒っていると思う。
二人を非難する世間に、消えない傷を残すネット社会に……

9歳で両親を失った更紗は、伯母の家に預けられます。
自分を偽って周りに合わせる日々、従兄弟に性的ないたずらをされる夜ーー
唯一の居場所は公園であり、そこにはいつもロリコンと噂される男がいてーー…

大好きな父を亡くし、母親は更紗を捨て、恋人と出ていきます。
父をご飯、恋人をお菓子だという母にとっての更紗は?

そして、更紗は公園のロリコン男・文に連れられ、伯母の家を捨てます。
キッチリ型にハマった生活を送る文にとって、更紗は自由の象徴です。
目玉焼きにかけるケチャップ、夜中のDVD鑑賞、寝そべって食べるピザ……何をとっても文には刺激的で楽しかったと思います。

やがて更紗は行方不明女児として捜索され、文は性犯罪者として逮捕されてしまうのです。
性的なことは何もしていないのに?
望んで一緒にいたのは更紗なのに?

でも、これが現実……
文はロリコンの性犯罪者であるという事実と、本当はトラウマを抱えた繊細な青年であるという真実。

真実はいつも一つ!
そう言って、真実を暴いてくれる少年は、ここにはいないのです。
ただただ、事実があるのみ……
更紗が否定しても否定しても、誰も信じない。
いつまで経っても更紗はかわいそうな被害者で、文は変態男。

もう、この誰にも伝わらないもどかしさが悔しくて悔しくて。
憤って怒りが湧き上がって、涙は出るは震えはくるわでグチャグチャでした。

心の中で何回も従兄弟を殺した更紗と、女児を見つめるだけで何もしない文。
そして、いずれ更紗に暴力を振るう恋人。
誰が本当の犯罪者なの?

本作は、少女のはなし、彼女のはなし、彼のはなし、という構成です。
文と、彼を理解してくれる女性と少女のはなしなのです。
終章、「彼のはなし」は涙腺崩壊で文字がボヤボヤのまま読了しました。

そして、文の抱えている大きな秘密……それを知って心がザワザワ波立ちました。
男性らしくなれない己への不安、そして、(恐らく)X染色体をもつ文にとって、女性は畏怖の象徴だったのではないかと思います。

この作品を読んで、文と更紗の幸せを願わない人がいるだろうか?
少なくとも、私は二人の幸せを願ってやみません。
非常に素晴らしかったです。
男と女であっても、恋愛や身体の関係に終始しない、拘らないところはBL作家さんらしさなのかもしれないと感じました。

8

読後感

先生買い、非BL本。どんなお話だろう?と全く予備知識なく読んだのですが「せっかくの善意を私は捨てていく。そんなものでは私はかけらも救われない」という帯のまんまでした。すごかった。ブルっとすると言えばいいのかな。ただ読後、どうしてもやるせない気持ちになるので萌どまりにしました。女子が主人公でも大丈夫、かつ正解のない、シリアスよりのお話が好きな方限定で超絶おススメです。凪良先生だもの、心情描写がすごいんですってば。めでたく重版かかったそうですので、是非。

気が向けば綺麗なカクテルを家であおり、自由に生きている母。仲良く親子3人で暮らしていましたが、父が亡くなり、母もある日いなくなり、更紗は母方の伯母の家に引き取られます。伯母の家はごく普通の家庭で、晩御飯がアイスなんてことは絶対なくって、更紗はちょっと窮屈。家に帰りたくないという思いは少しずつ積り、公園でよく見かけていた青年に、とうとうついて行ってしまいます。青年は堅苦しい家で育ったようで、自由奔放な更紗はどんどん青年の生活スタイルを解放していき・・・と続きます。

登場人物は
更紗(♀)10歳~。母に似て自由奔放な考えをする。
文(♂)公園で小さい女の子をよく眺めている青年。
亮(♂)更紗の恋人。実家に更紗を連れていきたいと言う。
伯母の家族、その他大人になった更紗の勤め先の同僚複数、同僚の子供(♀、この子は正しい)、文さんの恋人(♀)ぐらいかな。

**以下もうちょっとネタバレ

更紗と出かけた動物園で、文は誘拐犯として逮捕され、更紗は伯母の家族に対して自らを解放して施設行き。(良かった、ここで解放できて・・)高校卒業後、勤めだした更紗は、亮と付き合っているのですが、偶然文がマスターをしているカフェに行ってしまって・・・・というもの。

先生は、私が善いと思っていることは違う人にとっては善い事ではないということを伝えたかったのか、人の数だけ色んな生き方があって、それを横から口出しするなと伝えたかったのか・・・・分からないです。

更紗の選んだ人生は、更紗になりきると「それしかない、それ以外にどんな人生を選べというのか」というもので「良かった。それを選べて良かった」と本当に思います。文も色々回り道したけど「これで良かったんだよ!」とハグしたい。

ただ周りのクズどものその後が納得がいかない。そしてそんな納得いかない世の中である事はとっても良く知っている。勧善懲悪なんて本の中だけ・・・なのに、その本の中まで浸食されて勧善懲悪じゃなかったからツライのかもです。

すぐには消化しきれないお話です。念のため気力体力に余力のある時に読むことをおススメします。

6

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