電子限定おまけ付き
人生を抱くBLは神作品にするのですがお仕事BLに重きが置かれていて、恋愛パートが最後だけの駆け足になってしまっていた様に思います。
お仕事面もお店が再生した後の話しがチラッとあっただけでどっちつかずになってしまっていました。
なのでガツーンといい!と思えなかったです。
ただやっぱり2人の告白シーンで朝彦が小松に「俺の持てるもの全てをあなたにあげます」からの「一番おいしいもの私に下さい」は良かった!
こういう萌えるセリフはさすがです。
だから私はBLを支持しています!
まさしく単発ドラマにちょうど良いストーリーです。
ただあかね先生の中でもアイム・ユア・プリズナーが私は好きなので腐り萌えとエロの様な、ガツンとくるものはなかったな、という印象です。
朝彦さんも小松さんも癖がなさすぎたといいますか。
朝彦さんがラブになるところが急だったかなと思ったので、BL要素が足りませでした。
ただ、ストーリーとしては面白いので、上下巻だったら良かったなと思いました。
最初は水と油だった2人がどうなるのかと思いましたが。
洋食店を建て直すために朝彦の再生が必要で、そのサポートを小松が果たすというストーリーがよかったです。
朝彦がやる気をなくしてしまった経緯、父親から料理のダメ出しをされた理由がわかってくる流れが、おお!そういうことだったのね〜とわかってくるのがおもしろい。
最初は嫌な奴にしか見えなかった小松に頼りがいが出てきたり、無気力だった朝彦が若さを取り戻したような自然なイキイキさがいい。
恋愛面ではあっさりくっついたなという印象でしたが、その前にお互い興味を惹かれる段階があったし、相手がいてくれたからこその再生なので盛り上がるのはわかります。
建物、内装がステキです。蝶子さんが愛情を持って守っているのがよくわかる。
伝統を守ることと老舗洋食店として継続していくことの具体的な話も納得。
料理がとても美味しそうでした。
毎作そうですが脇キャラがとてもいい。
阿部先生が描かれる派手めでおしゃれで芯の強い女性キャラ好きです。
堂山が山城に一目惚れするところは笑いました。
老舗の洋食レストランという舞台が好みで、ワクワクしながら読み進めました。レトロな洋館風の店構えに、正装のスタッフ、こんなお店が近くにあったら通っちゃいます。中盤までのメイン2人の距離感はかなり現実的。お互いいい歳で体の関係から始まってもおかしくなさそうでしたが、朝彦はゲイではないのでいい雰囲気になってもそこからホテルや寝室にもつれ込むこともなく、シェフとして働く夢を燻らせていた朝彦、熱心なコンサルなのにスタッフと衝突してしまった小松、それぞれぶつかっていた壁をきちんと乗り越えることができてから正式に関係が始まるところに好感が持てました。せっかくなのでもう少し濃い濡れ場も楽しめれば嬉しかったですが、ストーリーの流れは素敵でした。
阿部さんの絵が大好きなんです。それにダメ男やクズ男や些細な仕草ややりとりとかも。
本当にお上手ですよね。目元の色気がたまりません。
しかも!今回は中年男性なのに!お上手ですね。
まさかこの二人がくっつくの?どっちがドッチになるの?と思いながら読むと…。
お店をなんとかしたいコンサルタントの小松。彼にも思いがあって。しかし再建方法が乱暴で。店の従業員はみんな辞めちゃって。
こんな危機なのに朝から着物でぶらついて、再建を望んでない朝彦。
しかし朝彦の過去や葛藤やらがわかってくると…。
これはいい二人ですね!小松が朝彦を引っ張り上げ?乗り越えさせて。意外と朝彦の方が敬語だったりしましたが、小松は口は悪いわ若い男を侍らすわ仕事熱心だわで、朝彦の心を掴んだのかな?
最後は達成感を感じました。
従業員の皆さんや馴染みのご近所さんもみんな良いキャラで、阿部さんのこういう所が大好きなんです!
タイトルも素敵ですね。やっと飛べるね!
老舗洋食店の息子・朝彦と店をを立て直すためにやってきた経営コンサルタントの小松のお話。
長い時間はかかってしまったけど、小松との出会いで父からの言葉の意味もわかり
朝彦がまた料理人として厨房に立つ、というのは日比谷亭にとっても他のみんなにとっても、一番いい場所に着地したなと思いました。
最終的にはふたりの恋のお話にはなるのですが、それに至るまでがすごく丁寧に描かれていて
ふたり以外の登場人物たちの人間模様も楽しめる作品だったなと思います。