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表題作片翅蝶々

速水一佳,25歳,水帆に恨みを持つ速水財閥次期総帥
雨宮水帆,実家の没落によって遊郭に売られた男花魁

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  • あとがき

あらすじ

色と欲が行き交う花街。
没落した伯爵家の末裔・雨宮水帆は借金返済のために遊郭へ売られてしまう。
失意の水帆の前に現れたのは、かつての家庭教師であり、水帆が密かに恋い慕っていた一佳。
七年前、突然に姿を消した一佳は、今や速水財閥の次期総帥に成り上がっていた。
偶然の再会に水帆は無邪気に喜ぶが、一佳は何故か冷淡な微笑を見せ、俺は世界で一番お前が憎かったと言い放つ。
しかも水揚げ客として一佳が水帆を買うというのだ。
呆然とする水帆は強引に褥に組み敷かれ、泣きながら惨い無撫に乱れる―切なくも淫らな遊廓恋愛譚。

作品情報

作品名
片翅蝶々
著者
雪代鞠絵 
イラスト
あさとえいり 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルスHYPER
発売日
ISBN
9784778101442
3.3

(8)

(1)

萌々

(2)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
26
評価数
8
平均
3.3 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数3

ザ・遊廓もの!

 ザ・遊廓もの! という感じの内容でした。

 没落した伯爵の末裔・雨宮水帆は借金返済のために、騙され、遊廓へ売られてしまう。
 けれど、どうしても水帆には会いたい人がいて、一度入ったら年季が明けるまで出られないという遊廓の入り口である大門から逃げ出そうと繰り返す。
 当然、脱走が成功することなく、捕まっては罰を受ける……その繰り返しであった。
 ところが、その水帆が自分の命を賭けてまで会いたかったかつての水帆の家庭教師であり、ある日突然姿を消した一佳が現れる。
 彼は、水帆の前から姿を消してから、速水財閥の次期総帥にまで成り上がっていた。
 願っていた相手との再会を無邪気に喜ぶ水帆だったが、何故か一佳は冷淡な微笑を見せ、「俺は世界で一番お前が憎かった」と言い放つ。
 しかも水揚げ客として一佳が水帆を買ったというのである。
 幼い頃から想いを寄せていた一佳に抱かれるのは水帆にとって嫌なことではなかったけれど、一佳の気持ちが自分に向いていないことを知っている一佳は抱かれていても悲しい思いばかり募り……

 という感じの物語でした。
 遊廓ものにはよくある設定ですね。
 個人的に遊廓ものが大好きなので、こういう話は大好物です。
 片方は想いを寄せてるのに、もう片方から憎まれていて、それでも金で抱かれないといけなくて……。
 おまけに、自分が想いを寄せる以外の相手にも抱かれないといけないかもしれない……という設定。大好き。

 まあ、実際には「憎んでる」と言いつつも、一佳が水帆のことを封殺して、他の人間に抱かれないようにしてるんですけど……。

 遊廓ものが好きな人には充分に満足できるものだと思います。

2

遊郭ものですが・・・

え~とですね、結局これってHがメインでラブもストーリーも二の次なんですか!?と思ってしまったくらいH三昧です。

そこのところは『HYPER』レーベルだからもう仕方ないんでしょうか。

とにかくHの連続で、途中で完全に飽きました。飛ばそうにも多過ぎて困った。←所謂『エロ特化』というほどの作品ではない(と思ってる)んですけどね。

すごく大胆(イヤ大雑把?)に要約すると、あらすじに書いてあるままの設定・ストーリーでうんざりするほど大量のH描写を挟みつつ、お約束通りのハッピーエンドです。

まあ、さすがに↑はあんまりな言い方だとは思いますが、ホントにそれ以上言うことないわ。

ただ、私は一佳(攻)が水帆(受)に他の客を取らせたくないと画策して、結果遊郭で色子なのに『Hは初恋のお兄ちゃんとだけ~』なのは一向に構わないんですよね。

『遊郭ものとしてどうか』というのはともかく、そういう甘さ・ヌルさがいいんです。←攻以外の男となんてあり得ない・許せない!とまでは思ってませんが、個人的な好みで攻以外とはないに越したことはないので。

それよりも、雪代さん作品には受が必要以上に(←私の感覚では)痛い・酷い目に合わされるケースが多いんですが、こちらもまさにそうでしたね。

『切ない』という前にやり過ぎでワザとらしいとしか感じませんでした。耐え忍ぶ健気ちゃんの演出にしたってここまでやんなくても・・・と気分悪くなりましたよ。

う~ん、無条件に好きとは言えないものの、決して『もうダメ!』でも『読まなきゃよかった』でもないんです。

むしろ設定もキャラクターも基本的な部分は好みなので、H多過ぎで肝心の(・・・まあ何が『肝心』かは人それぞれでしょうが)ラブやストーリーが薄れちゃってもったいない気がしました。

ストーリーに関しては、いくつかのエピソードがそのまま他の作家さんの『遊郭もの』と重なりました。←例えば、攻以外の男の身請け話を受けるんですが、その男と攻は知り合いで一緒にいれば攻に会う機会もあるかも・・・という思惑を指摘されるとか。

いえ、それ自体は別に構わないんですよ。それこそ『遊郭もの』としてはある程度パターンが限られて来るのも仕方ないでしょう。『似てる(同じ要素がある)からダメ』とはまったく思っていません。
ただ、いまひとつ入り込めなかったからこそ、そういう些細なことでいちいち気が逸れるというか醒めてしまったんですよね。

キャラクターについては、基本設定は好みでも作中の描き方では一佳にも水帆にもたいして魅力は感じませんでした。それこそいろいろと極端(ワザとらし)過ぎて。

この設定でもう少し『切なさ・甘さ』を押し出したストーリー展開ならきっとハマったのになあ・・・と残念です。
雪代さんの『やり過ぎ』と私が感じる作品にはいつも『もう少し(痛さ・酷さの演出が)控え目ならな~』と微妙な気分になってしまう。基本の作風は好みだからこそ。

まあハッキリ言えば、こんなにH(やイジメ・お仕置きも)いらなかったってことです。余計としか感じませんでした。

もともと雪代さんは好きな作家さんなんですが、冷静に考えてみると『ものすごく好き!』な作品って意外と少ないんですよね。
数でいうなら『う~ん、微妙・・・』(ちるちる評価でいうなら『中立』以下)の方が多いくらいですから。
たぶん、数は少なくても大好きな作品の当たり度合いの桁が違うからでしょう。苦手作品の数々も覆い尽くすくらいの勢いがある。

評価は『萌』と『中立』で延々と悩んでいましたが、キライでも絶対無理でもないしもう『萌』でいい。←本文は確かに『中立』でもいいかとも思うんですが、あさとさんのイラストだけで『萌』以上にしたくなってしまいます。

イヤもう、あさとさんのイラストがとてもよかったです。

特に表紙カラーは、(もし本文がダメだったとしても)これだけでも買った意味はあると思うくらい綺麗で素敵でした。
あさとさんはもともと好きなんですが、中でもこの表紙カラーがいちばんお気に入りです。

4

遊郭モノ

遊郭モノです。
主人公は没落した華族で、借金背負って廓に売られた男(受け)。
そこで再会したのが、七年前に主人公の家庭教師をしていて、突然失踪した男(攻め)。主人公の初恋の男です。
攻めは財閥の時期総帥にまで登り詰めていて、主人公を水揚げし、その後も主人公を買い続ける。
初恋が実ってめでたしめでたし、みたいな。

郭モノは好きだし、全体的な雰囲気はイイんですが、ストーリー的には私の好みからハズレてました。
売られてきたわりには、主人公に覚悟がないというか甘いというか、結局は初恋の男としかエッチしなくて良かったというオチには納得いかないというか。
もっとこう、『ザ・花魁!男を手玉に取って取ってとりまくります!』とか『色んな男に抱かれても、惚れてる男はダンナだけ…ょょょ』みたいなストーリーが読みたいんですよね…つまり、唯一の客が愛する男で、その男にアンアン本気でよがらされるだけなら、わざわざ主人公を花魁にする意味がないんじゃないかと。
このあたり、私の趣味の問題なんですが。

3

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