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攻・外科医師の高藤亮一 30歳
受・久住智紘 20歳(くらい)
DV被害で病院に運び込まれた智紘を治療したのが高藤。
意識朦朧ながらも「警察に通報しないでくれ」と高藤にすがりつく…DV被害者は自分が被害者であるという意識は全く無くて、むしろ「自分が悪い」とDV加害者を守ろうとするのですが、智紘もその典型です。
実際のDVがこのようなレベルにあるものなのか、もっと酷いものなのか…分かりませんが、智紘は本当に痛ましい被害を受けています。
高藤は智紘に言い聞かせます。
電話にも出るな。
連絡を取るな。
手紙もダメ。
家に荷物を取りに行くのも駄目。
「崇(恋人)のことは考えるな」と、思い出すこと、考えることさえ禁止します。
DV被害者に対する処置としてそれは正しいのかどうかは分かりませんが、高藤は医師としてだけでなく、智紘を思う男として、崇から解放しようとしてるんですね。
智紘も必死に頑張っています。
でも、不安なんですよ。
智紘が元恋人のもとを離れられなかったのは、崇(元恋人)が好きだったのではなくて、崇の側に自分の居場所があったからでした。
殴られても、蹴られても。
痛めつけられるだけのセックスも。
それら全てが自分の存在を求めてくれる証拠だったから、逃げようとしなかった。
崇(元恋人)がいなくなったら、自分は誰に必要とされるのだろうか。
どこに居場所があるのだろうか。
そういう孤独がDVに行き着いてしまったんですね。
崇はそういう弱者を見つけ出し縛り付けることが得意だった(そういう人って、居ますよね)。
高藤の紹介で仕事も始めたし、引っ越して眠れる場所も得た。
それでも孤独に対する不安はぬぐえないのは、智紘が高藤を好きだから。
高藤の行動が、主治医としての範疇なのか、それ以上のものなのか、分からないからですね。
高藤の従兄弟(邪気のある小悪魔)に嫌がらせを受けたり。
崇に見つけられて暴力を受けたり、仕事を邪魔されたり。
様々な苦難に必死に耐えていたけれど、高藤が刺されてしまった事で智紘は故郷に帰ることを決意します。
自分が居ては、高藤は不幸になるから、と。
逃げ出した智紘を追いかけて捕まえた高藤に言った
「一緒に不幸になってください」
という智紘の言葉に泣けます。
健気も健気。
前に進もうと努力する智紘がいじらしいです。
元恋人…え?
アレは…犯罪被害者だろ|壁|lll´Д`)))ブルブルブル
バイト中に無理矢理連れ去られ(しかも初対面)レ●プして監禁してペット用の首輪を着けさせて…恋人なわけがない。
崇の執着と暴力が怖すぎる…。
取り戻すための手段も卑劣で最低。
こんな最悪な男からの独占欲ですら失いたくないって思っていた智紘のこれまでのことを思うと不憫でならない。・゚・(´□`*)。・゚・
やっと優しい素敵な人と出会って、思いも通じ合っているのに…それなのに脅かされる生活…。
集めた高藤の吸い殻に智紘の大切な思いが重なって…土足で踏みにじられた様は…ボロボロになった智紘の精神を表しているようで悲しくて胸が詰まりました。
崇との対比のように白衣の似合う優しい高藤先生…でも黒い部分もあるのよね。
崇を思い起こさせる言葉にはゾクッときた。
書き下ろしのSS『チョコレート・シガー』は散々邪魔しまくりやがった高藤の従弟はるか視点。(高藤の弟・修史×はるか になりそうな終わり方)
智紘との接触を通じて少し成長しました的な。
…正直な話、高藤と智紘のラブラブ幸せSS(後日談)を読みたかった(´・ω・`)ショボーン
癒されたーいという時に読むのは、たいてい雪代さんの作品です。
もちろん雪代作品ですから、受けが散々酷い目にあうわけです。
が、それでも雪代さんの書かれる攻めキャラはたいてい男らしくて優しい王子様タイプ(時々は俺様もいますけど)なので、わたしの心にお薬塗ってくれるのです(笑
といっても今回の攻めさんはムッツリですよ!セリフがもう、こっちが恥ずかしくなるんですけどもー。
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受けの智紘は、恋人(崇)からDVを受け続けた20歳の青年。
階段から恋人に落とされ、高藤の勤務する病院へ搬送されます。
攻めは、気どらないエリート外科医の高藤、30歳。
智紘の担当医師となったことがきっかけで、退院した後も智紘を保護しています。
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崇は、想像していたDV男とはちょっと違いました。
なんとなくDV男のキャラって、仕事や人間関係がうまくいかないだとかで、世間に対する不満を八つ当たりのように暴力として発散させているという感じかなと思っていたので。
崇は裕福で恵まれていて、悪さをする仲間たちもいてという感じなのです。
育ってくる過程で歪んだという、どちらかといえば相手への過剰な愛でなく、病んでいる雰囲気です。
まあ、智紘も高藤の吸い殻を集めたりしてストーカー一歩手前という乙女ですが(苦笑
今回は珍しくウジウジ受けでした。
雪代さんの書かれる受けは、不幸でもそれに立ち向かったりする前向きなタイプが多かったように思うので。
ただ、だからこそここまで崇に翻弄されある意味洗脳されたのだとは思いますが。
高藤はよく智紘へ「いい子」と言う言葉を使うのですが、挿絵だけ見ているとそこまで歳が離れていないように見えるので、若干その度に違和感が(苦笑
でも実際は30だとそこまで大人ではないわけで、木下さんの挿絵はぴったりなんだと思います。
雪代さんの書かれたこの高藤の言動や行動が、もっと年長設定の方がしっくりくるというだけなのかな。
この高藤、先にも書きましたがムッツリです。
普段は外科医様然としたクールさなのですが、智紘を自分のものにできるとなった辺りから本領発揮でした。
すごい好き!久々に悶えました!
木下さんが表紙絵だから勝手にほのぼのした話を想像してしまったんですが、結構痛い内容でした…
攻めに片思いしながらも、DVの元彼と共依存の状態に陥っている受けのお話です。
受けの智紘が恋人の崇に酷い暴力を受け、攻めの高藤先生の働いている病院に搬送されてくるシーンから始まります。
先生は、あきらかに男にDVを受けている状態の智紘を心配して、治療後も住むところや働く先を探してくれ、更にその職場の店に何度も足を運び何かと気にかけてくれます。
智紘は優しくしてくれる先生のことを入院中に好きになり、店に来てくれるのを楽しみにしながら、徐々にまともな生活を送り始めていました。
先生からは、崇は最初一度だけ病院に智紘の居場所を聞きにきたものの、それ以降は何の連絡もないと聞かされていて、「崇とはもう一切会わないこと、考えることもしないように」と強く言い聞かされています。
しかし本当は崇は凄い執念で智紘のことを取り戻そうと探し回っているんです。
この崇がかなりやばいキャラで…
ストレスが原因のDVかと思いきや、もう崇と智紘の出会いからして異常でした。
バイト中の智紘を一目で気に入り、無理やり車に連れ込んで誘拐。レイプして監禁…
崇はこんな無茶苦茶なことを普段から当たり前のようにしてるんです。
しかも親が代議士なので何かあっても権力でもみ消してしまえるという…
こんな人間が、街に野放しになってると思うと怖すぎる…
崇の智紘への執着はとてつもなく、作中ひたすら智紘を取り戻そうと追ってくるんですが、これが結構恐いです。
予想外のタイミングでヒヤリとさせられることがあり、サスペンス的な展開が読んでて結構どきどきしました。
そして酷い扱いを受け普通なら好きになるはずがないような男なのに、強く求められることが嬉しくて無意識に依存してしまっていた智紘。
ずっと逃げたいと思っていた筈なのに、いざ逃げると自分がいない状態の崇のことが心配になってきます。
崇がいないことに不可解な寂寥感を感じ、そんな自分に智紘自身も戸惑うのですが、先生からは共依存の典型的な症状だと指摘されます。
父親の義母との再婚で家で寂しい思いをして育ったのが影響しているんですが、崇の暴力を許してはいけないと言われた時の「先生、だけどそうでもしないと俺を求めてくれる人なんていないんです」という心の中での台詞が切ないです。
あと個人的に結構ツボに入った最初のキスシーン。
崇のことでパニックに陥った智紘をショック療法で落ち着かせるためにキスして動きを塞ぐんですが、冷静にこんなことする先生に読んでてちょっとどきどきしました。
キスし終わった後平然としているところが逆にえろい。
先生が作中何度も「いい子だ」って言うのも子供をあやしてる感じがして好きです。
医者だからこういう台詞が似合う…厳しさの中にある甘さが良かったです。
先生の命に危険が及んだりいろいろありつつも本編が一応ハッピーエンドになるんですが、残りページ数1/4以上残ってる!後日談のあまあまくるかな〜とわくわくしてたら…なかった……
ずっと先生のことが好きだった従弟のはるか視点のお話でした。
後日談じゃなくてがっかりしながら読み始めたんですが、まさかの他人目線での2人のセックスとかいう個人的にすごい性癖に刺さるシチュエーションがきて、これにもどきどきさせられました。
本編で智紘に酷い言葉を投げかける小悪魔として何度も登場してたんですが、その時のはるか視点です。
智紘が崇から逃れて先生の家に匿って貰っていた時、智紘への嫌がらせのために先生の部屋に忍び込み様子を伺ってたら、2人がすぐ傍のソファの上で愛し合い始めて出るに出られない状態に。
もう〜これ!こういうの堪らないです。
見てはいけないものを見てしまったような気分でした。
…でもやっぱりその後のちゃんと幸せになったメイン2人の話を読みたかったなあ。
あと崇に踏みにじられた煙草の吸殻は、やっぱり誰かしらに捨てられちゃったんだろうか…ちょっと行くえが気になります。
大事に集めてたの先生にバレる展開も見たかったな。