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果ての荒野でバカンスを

hate no kouya de vacance wo

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表題作果ての荒野でバカンスを

シン,惑星開拓任務で単身赴任中
ルキヤ,技術者

同時収録作品ふたりぼっちのエバーアフター

エーミル
マグノリア

同時収録作品蛙の王子様

飯田,虫好きの高校生
西野,美人過ぎる高校生

その他の収録作品

  • 描き下ろし

あらすじ

惑星開拓の任務についているシンは、
毎日、地球にいる友人で技術者のルキヤに定期報告をしている。
夜ごと、ルキヤを想ってAIとの擬似行為をする自分に自嘲しながら、
想いを伝える日を待ち望んでいた。
赴任して3回目の誕生日、ついに地球へ帰還する日を迎えて――。

他、森の奥深くに住む美しい青年と子どものBLおとぎ話「ふたりぼっちのエバーアフター」、
好意が気持ち悪い“蛙化現象"の青年の恋を描く「蛙の王子様」も収録した、
静かに、だけど心に届く長編読み切り集!!

作品情報

作品名
果ての荒野でバカンスを
著者
赤河左岸 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックスDX
発売日
ISBN
9784799748077
4.5

(174)

(125)

萌々

(25)

(17)

中立

(6)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
26
得点
782
評価数
174
平均
4.5 / 5
神率
71.8%

レビュー投稿数26

どの作品も素晴らしかった!

この短編集、切な過ぎるよ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
でもいいよ、とってもいい。
3作品収録の短編集なのですが、その全てが切なくて泣いた。
どの作品もそれぞれ良くて、短編にありがちな物足りなさを感じさせないところが素晴らしかった。
何といっても表紙がいいですよね。これは買っちゃうよ。

【ふたりぼっちのエバーアフター】
森の奥に住むマグノリアと少年・エーミル。
少年はいつしか成長し、マグノリアを性の対象として見るようになります。
そんな自分に絶望するエーミルをマグノリアは静かに受け入れーー…

おとぎ話BLです。
世界観、そして一途な愛が美しい作品。
伏線が至る所に張り巡らされ、マグノリアの真実を知った時には納得すると同時に切なくて涙がこぼれました。
愛するからこそ続く幸福と迎える絶望。
愛した人に永遠に愛されたいと望むことは、身勝手な呪いなのでしょうかね……

「君が老いて死ぬところが見たい」という台詞。
どちらがどちらに言ったのか確かめて欲しい。
ラストまで美しくて幻想的です。

【蛙の王子様】
美し過ぎる容姿のため中身を評価されない西野と、人に興味がなく虫に夢中な飯田。
この二人が人知れず交流していく、心温まる高校生BL。

美人過ぎることがコンプレックスの西野は、「君の顔を美しいとは思わない」という飯田に唯一心を許していきます。
西野のコンプレックスが想像より大きく、好意を向けられただけで吐いてしまうほど。
飯田にだけは好かれたくないと思う西野の気持ちに反して、好意を向けてくる飯田。
吐き気がこみ上げてくる西田に飯田が言った言葉とは……?

これがすごく良かった。
誰だって自分自身を見て欲しいもの。
野獣がイケメンに変わるから好きなんじゃないでしょ?
野獣のままでも好きでいてくれるよね?そんな気持ち。
これも最後泣いてしまいました。とても素敵な作品です。

【果ての荒野でバカンスを】
こちらが表題作で、表紙の二人です。
ネタバレなしで読んで欲しいので、サラッと書きます。
SFファンタジーBL。

惑星開拓のために単身赴任しているシンは、友人で片思い中のルキヤと毎晩交信しています。
一人きりの寂しさを紛らわしてくれる唯一の相手はAIのルキヤ。
長い任務を経て、ようやく地球に帰ろうとするシンにコンピューターが告げた事実とはーー…!?

切ない。切な過ぎるけど美しい。
押し寄せる悲しみ、絶望。
それすら払い除けるのは、相手を想う強い気持ち。
決して読後感は悪くないです。
表紙の印象を裏切らない世界観とラストが素敵でした。


とにかく、どのお話も心に響きました。
今まで読んだ短編集の中で一番好きです。
エロはほとんどありませんが、ストーリーが秀逸。


19

世に広まるべき名作BLです。

表紙に惹かれたなら間違いなく買いです!
もちろんそうでない人にも推していきたい。

この見るからに素敵な表紙、しかし読み終えこの表紙が訴えかけてくるものに気づいた時より一層この本が好きになる事でしょう。
ここまでの世界観を表紙一枚の絵に落とし込める稀有な作家さんだと感服致しました。

次に全体の印象。
読みきり3編からなる読み切り集です。私は漫画を描く人間ではないので漫画の上手い下手には正直鈍感ですが、グッと引き込まれるコマ割りやセリフ回しで漫画の世界にどんどん浸れます。また読み切りで連載作に比べればページ数は少ないはずなのにしっかりお話として完結しており過不足がないのでこの一冊で大満足です。
もし続編があったら逆に手に取るのを躊躇してしまうのではないかと思います。名作の蛇足になって欲しくない感覚と言いましょうか。
この続きに思いを馳せるのも読者の楽しみというものでしょう。その余白もまた気持ちいい。


ここで先に特典ペーパー情報書いときます。
・電子→果ての荒野でバカンスを
・シーモア→蛙の王子様
・コミコミ→ふたりぼっちエバーアフター
・アニメイト →果ての荒野でバカンスを

このようになってます。どれも1ページですがさらに物語に深みを与えてくれるものばかりで読めてよかったと心から思いました。なので好き作品の特典がもらえるところでぜひ読んでください。


ここからネタバレレビュー。好きな二編について語ります(蛙の王子様も素敵ですが長くなるので泣く泣く割愛)。

特に表題作はネタバレなしで読んで欲しいので未読の方はバックを。



・ふたりぼっちのエバーアフター
多分皆さんと好きポイントが一緒なのではないかと思いますが…

『やっと同じ命になれた』
『君が老いて死ぬところが見たい』

ここです。最高ですね。命ある生き物、皆死ぬために生きている。生と死の対比があるからこそ限りある命が輝くというもの。異種間BLは寿命の違いなども重要な萌えポイントですが私的には共に命を消費して生きるCPが好きですね。

・果ての荒野でバカンスを
これは2度読んで楽しめるBLです。このようなお話ってどこかでラストが予想できてしまうのですが、これは恋心を巧みに匂わせることによってラストの衝撃を新鮮なものにしています。ずっと生身のルキヤに恋い焦がれていたシンにとっては一番残酷でしょう。

「魂だけでは不足かい」
地球滅亡の日、最後に望んだのがパッピーバースデーを歌うこと、
「この星が焼かれたあと 光になって それよりも速く 僕は君の元にいる」
「見えるよ シン」

どれも私の心に深く突き刺さり抜けません。よかったちゃんと魂は届いていた。映し出されているキューブとしてのルキヤが生身の肉体でなくても、本物のルキアでなくても魂さえあれば…シンを一人にしなけば、悲しいけれど、涙が止まらないけれど、それだけで大丈夫です。私も救われました。AI技術が今の世界の何十倍も発展していて、これからもシンを一人にしませんように、それだけ願っています。
二人きりのバカンスを、夜が長くて昼が短いあの星で楽しんで、そう2人に伝えたいです。

書き下ろしのタイトルが「エンドロール」なのも素敵ですね。映画の幕が降り、真っ暗な中数秒の静寂と共に余韻に浸るあの瞬間を体験しているようでした。

私はこの本の表紙を見た時にノスタルジックで素敵だな〜と思ったんですが、読み終えるといかがでしょう?ノスタルジック、郷愁…まさにその通りではないでしょうか。

14

泣くほど好き

ちるちるの新刊作家インタビューで気になったので予約して購入。
案の定というか、想定通りに、絶対泣くヤツだった。
元々、この手の、越えられない時間を扱ったファンタジーとかSFが好きで、好きで、
「ふたりぼっちのエバーアフター」で既にウルウル、
「蛙の王子様」のきれいなお顔の高校生くんのかわいいお話でちょっと一息ついて、
表題作の「果ての荒野でバカンスを」で涙腺決壊。
この、3作品の並べ方もよかった。
絵もきれいで好みのタイプ。

昔、ハヤカワのSF小説やファンタジーが大好きで、いろいろ読み漁っていた頃を思い出す、私好みの大絶賛の神!

14

SFが好きだ

ファンタジー、高校生、SF作品が一冊に纏まっていながら空気感が壊れていないのは、きっと先生の中に表現したい確かなものがあるからなんでしょうね。

表題作が圧倒的に好きでした。これを表題にして、かつ最後に持ってきてくれたことが嬉しいです。
タイトル、表紙共に素晴らしい。
この先はバカンスで、更に先を考えてしまうのはヤボというものでしょうか。シンがいつか死ぬときに、ルキヤは残されてしまうのか。あるいは、ルキヤが先に壊れてしまうのか。もっと色々と想像できますが、やっぱりこれはヤボってもんですね。

一方でこれらが男性同士の恋愛である必要性はなく、男女であってもよければ、女性同士でもよいし、むしろ地球人でなくたっていいような作品でもありました。そういう意味で先生はBLレーベルから作品を出す必要はないのかもしれないし、BLだからこそ単行本が出て、購入されるようなこともあるのかも知れない。しばらくしたら一般レーベルから作品を出していそうな気もする。

11

表紙買いしたいBL入選作

ちるちるさんの『表紙買いしたいBL』に入選されていてそのコメントですごく気になって購入しました。

読んだ方の心に1番残ったセリフがなんだったかすごく知りたいです。
私は
“魂だけでは不足かい”
が読後、心にへばりついて取れません。

地球と宇宙、離れ離れの恋人(?)たちの話はもしかしたら世の中には数あれど、ありきたりな物語と感じないのはこういうセリフ選びの秀逸さがあるからだと思います。

3編とも作者さんのそういう天性のセンスを感じずにいられませんでした。こんな宝物みたいな一冊に出会えて本当に幸せです。

それとカバーをはずして広げた時さらにこの本の世界観完璧だな…と感じます。上に見える表面だけでなくカバー全体すみずみまで世界を逃さないような本なかなかないです。
ぜひ読んだ方カバー外してみてください!
まさに表紙買いしたいBLでした。

11

この作品が収納されている本棚

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