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【良かったところ】
・タイトルの意味がわからなかったけど読後、腑に落ちた。
・6歳も年下である自分に焦れているような攻めの言動があって、年下攻め好きとしては萌えた。
【気になったところ】
・初合体が無理やりというのが嫌で、ガックリ。
酔って思い余った末とはいえ、そういうことするキャラには思えないんだけど……。
おまけに「感じるんだ?ここ」とか言う子じゃないというか、攻めのキャラがあそこだけ崩壊してる気がする。
しかも、受けがあんな酷い過去持ちだったとあの時点では知らなかったとはいえ、後から知ったら自己嫌悪どころか俺も犯人と同類とか思ったりしないのかしら??
あの無理やり感が古いBLっぽいけど、2006年のだから仕方ないか……。
後半、受けにめいっぱい振り回されているのに忍耐強くずーっと付き添っている姿や、真っ直ぐで一途な姿が印象的なだけに、あの初合体シーンは彼らの汚点としか思えない……。
・濡れ場が長くて流し読み。
・あいつは一命とりとめたとはいえ、これからどうなるんだろう??また堀の中だろうけど二度と執着しないという保証はないのでなんか不安が……。
【その他】
・受けの発作的なキレっぷりにドン引きして、読むの止めようか迷いつつも最後まで読んだところ、あんな陰惨な過去持ちならキレてもしゃーないな…という感想に変わった。
タイトル、どうよ…(苦笑
夜光さんはタイトルをつけるのが苦手で編集さんがつけてるとかそういう噂がありますが、本気にしたくなるような。
受けの三沢玲人は26歳で、自宅ガレージを改装した喫茶店のマスター。
大人しそうな外見ながら、頭に血が上ると破壊行動に出る二面性あり。
両親が亡くなり、脱サラして喫茶店を継ぎました。
攻めの鳥羽秀一は、玲人の喫茶店でもう2年バイトを続ける20歳の大学生。
寡黙でありつつも、実はきちんと周囲に目を配れる大人な青年です。
お話のスタート時から鳥羽は玲人に惚れていて、玲人は過去のトラウマにより恋愛は出来ないと考えているために、なんとか彼を諦めさせられないかと頭を悩ませます。
しかし、その悩ませた結果がうまくいかず、結局身体を繋げてしまうので、玲人の思惑は外れたというわけです。
話自体は夜光さんお得意の、受けのトラウマとそれに対峙する内容です。
このパターンは夜光さんの書かれる作品には多いのですが、好きな作家さんだからでしょうか、あまり気にならなかったかな。
スパイスは従姉妹で歳のはなれた八重子。
子供が出てくるのも、聡い子供のお話も好きではないのですが、八重子と人形の台詞は空々しく感じず、状況を知らない鳥羽と記憶に蓋をしている玲人の代弁をしていたような感じでした。
イラストは水名瀬雅良さん。
今ではすっかり夜光さんの作品に描かれることが多いですが、この作品が初タッグなのでしょうか。
水名瀬さんのイラストは美しいのですが、この作品、中身が若干地味ですしタイトルもBL風味ではないので、もう少し目につきやすい表紙が良かったなあと思っちゃいました。
最近の夜光さんの作品よりもトラウマの表現のされ方がまだソフトなので、読みやすい方かな。
導入部分で玲人〔受〕の心の歪みを匂わせておいて、喫茶店のマスターとしての日常生活へと持っていく。
温和そうにみえて、突然、感情的な行動に走ったりする玲人。
そして酷い死に方をした亡き妹の存在から、その犯人が出所し、実は……という展開の読ませ方はスムーズで、玲人の行動や過去の事件が解き明かされる部分、この辺はやはり夜花さんだなーという感想を持ちました。
攻は玲人が経営する喫茶店のバイトの年下学生、鳥羽〔攻〕で、年下だけど頼りになる包容力を持った実に真っ直ぐな男。
鳥羽の真っ直ぐな愛情は、心に傷を負っている玲人の相手にはぴったりだと思う。
ちなみに作中でも出てくるけど、「オズの魔法使い」のブリキの木こりのエピソードはかなりホラーなので、この機会に読み返してみるのもいいかも。
なんとなく重苦しいだけで、救いがあるような、ないような……受けも攻めもピンと来なくて、いつおもしろくなるのかなあ、と思っているうちに読み終わってしまいました。残念。
攻・鳥羽秀一 大学生のバイト店員
受・三沢玲人 喫茶店のマスター
玲人は壊れている。
自分が壊れている、大切な何かを持っていない、と信じています。
感情の起伏が激しくて、何かのきっかけで抑制できなくなり爆発してしまう。
鳥羽は玲人がどういうときに感情を爆発させるのかに気づいていました。
何かとてつもなく大きな傷が玲人にはあって、それが原因で彼の破壊行動が起きてしまうようだ…と。
それを嫌悪したりうざったく思わず、玲人が抱えているキズを癒そうと、ずっと側に居ました。
過去の傷を自分の傷とは認められず、双子の妹が負った傷だと思い込むことで、玲人は精神状態を保っていた。
しかし原因である男が出所してストーカーのように付きまとうようになってから、玲人の清心は次第に壊れてゆきます。
双子の妹はいない。
彼女の受けた被害は、すべて自分が受けた被害である。
それを思い出し、逃れるには男を殺すしかないとまで思いつめます。
そんな玲人を癒したのは、従妹の娘・八重子と、鳥羽。
特に鳥羽は、年下である不利を「今の自分にできることで玲人を救う」と前向きに考えて、必要な助けは呼ぶし、玲人が嫌がっても警察や近所に助けを求める。
「自分の力でなんとかする」と無理をしないで、玲人のために己の不甲斐なさを悔しく思いながらも行動する。
こんなに包容力のある年下攻って、あんまりないような?
ラストが少し駆け足過ぎるたような。
あと20ページくらいあって、じっくり書き込んでたら「神」だったのですが。